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A Golden Bearの足跡


UC Berkeley Haas School (MBA) における、2年間の学生生活の記録です。
by golden_bear
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スキミングにご注意を: MBA中に遭う金銭トラブル

今日はエイプリルフールですが、ウソであって欲しかったウソじゃなく残念な話を1つ。

昨日オンラインバンキングで自分の口座残高を確認すると、なんとなく思ったより残高が少ないことに気付く。マウイ旅行で使いすぎたかな、と思って、取引残高を見てみると、全く身に覚えの無い取引が下記2件。

03-26-2010 DEBIT PURCHASE Mar 24 12:00 XXXX
TLG*AUTOVNTGE XXXXXXXX XXX-XXX-X $ 159.99

03-25-2010 DEBIT PURCHASE Mar 23 15:30 XXXX
TLG*TRAVEL ADVXXXXXXXX XXX-XXX-X $ 149.99

(XXXXには、数字が入ります。)

さては、またスキミングか、と思い、早速Web上で"TLG*"から始まる単語を検索してみる。すると、予想通り、様々なページでこの被害報告を取り上げているひとがうじゃうじゃ。次に、過去の取引残高を順繰りに見ていくと、2月19日にもTLG*JUSTFORMEから$129.99、1月12日にもTLG*BUYERSADVから$149.99。4件併せて、合計$590(約5万5千円)も、盗まれているじゃないですか!

実は過去にもスキミングに遭ったことはありましたが、まあ納得いく程度のものでした。
- 電話番号が書いてあり、電話をかけて交渉して確認後、銀行にキチンと話せば直近1-2か月分は戻ってくることがある。
- 金額も、1件$10程度
- 心当たりがあり、出所も予想がつく(例:旅行サイトのプロモーションをクリックして、割引を受けたなど)

しかし、今回は、より悪質
- オンライン明細では電話番号が7桁しか表示されず、銀行に問い合わせない限り番号不明
- 金額が、1件$150程度と高額
- 全く心当たりが無く、出所も不明(恐らく過去スキミングを試みた旅行サイト関係の気はするが、、、)

これには流石に腹が立った。まずは同じ授業を取っていた米国人の友人2人に相談する。2人とも「もう既にDEBITとなってしまっている所が苦しいね。まずは銀行の支店に問い合わせて、その後DEBITカードに記載されているクレジットカードに問い合わせることになるんじゃないかな。お金は運がよければ戻ってくるけど、もう戻らないかもしれない」という反応でした。

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ここで、一生活者の視点で補足説明しておきます。米国の銀行のキャッシュカードは、DEBITカードとクレジットカードを兼ねていることが多いです。米国で普通に買い物をするとき、「DEBITかCREDITか」と聴かれることが多いのですが、このカードを使った場合、DEBITと言ってその場で銀行の暗証番号を打っても、Creditと言ってレシートにサインをしても、初期設定ではどちらも0-2日以内で決済が銀行口座に反映されます。

人によりますが、私の場合、普段のスーパーや大学生協/食堂/レストラン、ガソリンスタンドでの給油、切符の購入など、ほぼ全ての少額決済、及びCOSTCOのようなDEBITカードしか受け付けない店舗において、銀行のカードを財布代わりにフル活用することが多いのです。この利点は、主に下記2つ

○ どんなに少額だろうが全て銀行口座に記帳されるので、銀行口座=自動的な家計簿のようになること。貧乏学生にとって、家計の出費履歴を自動的にモニターできるのは、嬉しい。

○ また、米国では日本と異なり、通常、クレジットカード取引は、銀行自動引き落としになっていない。したがって、クレジットカードを利用した後、返済手続きをすることではじめて清算される。私は過去この手続きを忘れてしまうことが多く、借金返済し忘れ->利子発生し割高&クレジットヒストリーの悪化を、何度も起こしてしまった。で、面倒くさくなって、マイルを貯める気にならない少額クレジット決済に関しては、その場で自動引き落とししてくれる銀行のカードに頼るようになっていった。

しかし、この欠点として、1日3-4件ずつ銀行取引の記帳が発生するため、銀行口座の記帳履歴が膨大なリストになってしまう。このため、上記のようなスキミングが発生しても、よく見ない限りリストに埋もれてしまって気付かないことが多いのです。
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そして本日、朝一の授業終了後に早速銀行に行くと、例によってたらいまわしに。
○ 銀行の支店で、マネージャーに聴いてもらった結果、「カード側の問題だ」、ということで、クレジットカードの裏に書いてある電話番号に電話をかける
○ 最初に自動音声システムで私の発音を試す。が、私の英語は全然認識してくれないので、番号の手入力に切り替える
○ クレジットカード部門に繋がり、事情を説明する。しかし、それはDEBITカード部門の話だ、と言われ、転送される。
○ DEBITカード部門で、説明する。最後まで色々説明し、それは"Disputeだから、専門の人に回すよ"とのこと
○ ようやくDispute専門の人につながり、具体的な施策の打ち合わせに。
- まず、現在のカードは破棄され、土曜の午後に新しいカードが郵送されることに
- 実際にこの金額が帰ってくるかどうかは、まだ判らない。が、通常Debitでトランザクションが発生した場合は、3-5日が取り消しの限度なので、難しいと思われる(クレジットの場合は90日OK)
- とりあえず、Webから"Signature Based Debit Card Transaction Dispute"というフォームをダウンロード。専門のコードを聞いて、手書きで詳細な被害報告を書き、FAXで送付してくれ、とのこと
○ しかし、我が家にはFaxがない、と伝えた所、「どこからでも良いが、支店から送ったら全部やってもらえる」、と言うことで、もう一度支店にいく破目に。

というわけで、金銭&利便性の面で、大きな痛手を食らってしまいました。こういうトラブルに巻き込まれる可能性が高い点が、米国生活の嫌な点の一つなのですが、他に私や同期がMBA在学中に巻き込まれたトラブルについて、下記に書いて見ます。(追加補足やご意見等あれば、コメント欄でお願いします)

○ スキミングの事例:
(1) Webサイト登録系: 旅行サイトや懸賞サイトにある、「後からキャッシュバックします」系の割引クーポンやポイント制度に加入したり、 「友人を招待すると1名に付き$25プレゼントします」といった新規サービスの友人勧誘を行った結果、キャッシュバックとして小切手が送られてくる。この小切手を自分の銀行に振り込むと、スキミングが開始されることに。(契約書を良く見ると"月間利用料$XX"と書いてあるケースが多く、反論できない)

(2) チラシ系: (1)と同様、家に届いた広告郵便物の中に、「XXサービスの利用権及び現金$YYプレゼント」という小切手付き封筒が入っていることがある。これを自分の口座に振り込むと、(よく読むと書いてある通り)以後毎月数十ドル引き落としが始まり、しかも最初の数ヶ月は解約できない。

(3) イベント特典系: 特に大学や地域のイベントに、お金を払って参加すると、参加者特典で「XXやYYの雑誌が2か月分無料に!」が付いて来る。2ヶ月無料だけならいいか、と思ってとりあえず貰っておくと、3ヶ月、4ヶ月たっても送られてくる。ラッキー、と思っていると、実は3ヶ月目以降分からは、イベントに払ったクレジットカード番号を使って購読料が(どこかで事前告知されているけど)勝手に引き落とされてしまっている。

(4) 突然系: 今回の私のようなケース。(1)-(3)で漏れた個人情報がたらいまわしにされているのか、あるいは街のガソリンスタンドやスーパーで入力した情報が漏れているのか、よく判らんが、、、

○ スキミング以外で、MBA生活上予期せぬ出費ががかかるトラブル
(1) 医療費: ついこの間、オバマ政権が歴史的決断をしましたが、それでも医療費がバカ高いことには、しばらく変わりないでしょう。本人の学生保険や、ご家族の方の保険は最重要。その上で「米国で良心的な歯医者に出会う」の記事に書いたような良心的なお医者さんを探しておくのも良いでしょう。

(2) 車関係: 最初に米国に来たときに、「車は貧乏の始まり」と言われましたが、

 (2)-1 違反: ちょっとスピード違反したり、一時停止を停止線はみだしたり、1秒しか止まらなかったり、運転中に携帯いじってるのがばれたり、カープールレーン(注1)を1人で走っていたり、赤信号を右に曲がるのが速すぎたりする(注2)と、その場でつかまらなくても、すぐ数万円の罰金請求書が送られてきます。さらに、この違反を一度やると、以降車両保険料が高くなってしまいます。これに対しては裁判所に申し出たり、学校の合宿に通ったりして緩和する方法もあります。が、私の場合夏休みのザンビア滞在&日本帰国中にこの通知が届いていて、どうすることもできなかったこともあります。

 (2)-2 故障/事故: 古い車だったり信用できない人から買った車だったりして、しょっちゅう故障するケース。その修理代が一回数万~十数万して、馬鹿にならないことがある。また、事故は自分で起こさなくても他人にぶつけられたり傷つけられることもあり、それが元で故障が増えることもある

 (2)-3 盗難: 車の座席の見える所に、ポータブルカーナビや鞄、電気製品を置いておくと、窓ガラスを割られて盗まれる

(3) その他:
 - 予期せぬ借金&利子: 上にも少し書いたが、家賃など、振込み締切日に1日遅れて、大きな利子が発生する。また、口座にお金が足りないのに、カードで買い物をしてしまい、などでは、借金の利子に加えて、自分の信用(クレジットヒストリー)を悪化させてしまうことになる
 - 自転車の盗難: 大学に自転車通学するような人々の間では、日常茶飯事のように発生するらしい。駐輪場の柱にチェーンでぐるぐる巻きにしておいても、チェーンを切られて持っていかれる、とか。
 - 危険地帯で無法者に絡まれ、身ぐるみはがされる
 - その他、学費の値上げ、為替差益/差損など

これらの対策としては、たとえばスキミングに関しては発生しそうな名前(電話番号や#+八桁の番号)、$149.99のようなきりの良い金額、をこまめにチェックしておくことなど、個別にケースを想定して備えておくことが出来ると思います。が、何よりも、こういうトラブルは何回も発生するものだ、と予め想定して、(金銭的含む)心の余裕を持っておくことが、前向きに生きるうえで肝要だと思います。

こういうことが続くと、米国は嫌な国だ、と思いがちですが、かといって日本は安全と言えるか、といえば、今後も安全な国であり続ける保障はない気がします。私自身も米国に来る直前、電子マネーの残高が勝手にゼロになったことがあり、以後電子マネーは怖くて極力避けています。また、日本はそもそも米国の様々なシステムを取り入れ続けている国である上、Web/モバイル世界の発展や不景気による貧富の差の拡大が続くと、スキミングのようなサイバー犯罪も、米国のように増えていってもおかしくない気がします。従って、こういう嫌な経験も、世界中どこに行っても通用する学びの一つとして、今後の人生に生かしていきたい、と思います。


(注1) 特に混む区間において、「混雑時間帯は2~3人以上乗っている車専用になります」という記載がある、高速道路の一番内側の車線のこと
(注2) 米国では赤信号でも、よく周りの注意を確認して車が来なければ、右折可能です(もしかしたら州によるかも)。しかし、これをする前に、"赤信号"なので、一旦止まる必要がある。従って、スピード出して速く曲がりすぎると、一旦停止していないと思われて、アウトになることがある
by golden_bear | 2010-04-01 14:28 | 社会・風土
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