A Golden Bearの足跡 |
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先週月曜日はザンビア行きの決定に驚きましたが、今週月曜にも幸運な決定がありました。絶対取れないだろう、と思っていた少人数の選択科目に、履修決定締切日に上手く潜り込む事ができたのです。以下、その話も含めて、今学期の履修課目を紹介します。
今学期(Spring A:~3月13日)は、下記6(+1)コマの授業に出ています。 (0) Washington Campus (1単位:1/26のチームレポート提出で修了済) (1) Macroeconomics (必修2単位: Spring Aで終了) (2) International Business Deveropment (3単位: 9月末まで) (3) Financial Statement Modeling for Finance Careers (1単位:Spring Aで終了) (4) Merger and Acquisition Practical Primer (2単位:4月上旬で終了) (5) Intro to MOT (3単位:Spring A&B通し) (6) Technology, Innovation and Leadership (2単位:Spring A&B通し) 結果的に、(0)~(2)はアメリカ及びグローバルの社会経済システム、(3)~(4)はファイナンス、(5)~(6)は技術経営(MOT: Management of Technology)という、私が元からMBAで重点的に学びたかった内容3つを、バランスよく取ったことになります。 次に個別の授業に関する、今までの印象です。((0)は1月上旬に連載で、(2)は前回のエントリーに書いているので、割愛します。) (1) Macroeconomics (必修2単位: Spring Aで終了) そのものズバリ、マクロ経済学です。前職でグローバルの仕事が増えるたびに、また、金融危機系の講演を聴くたびに、マクロ経済学の観点は是非身につけたい、と思っていました。また、最初に受けたミクロ経済学が、ビジネスパーソンにとってまさに必要な内容に絞って上手くまとまっていたことから、このマクロ経済学に対する期待は高く、3ヶ月も前にタイから教科書を取り寄せるほどでした(注1)。 ふたを開けてみると、今のところはやたら気合の入ったおじいちゃんが、講義形式で懇切丁寧にマクロ経済学を教えている、あまりビジネススクールっぽくないです。また、この時期インターンシップのインタビューが多いことも考慮してか、出席も取らずに授業の出入りも自由、という形であることも、旧来の大学の授業に近い形です。(実際に、毎日スーツを着た数人が、授業中に出入りしています) 私にとっては、教科書で復習できるのは初学者としては嬉しい限りですが、判りにくい&物足りない、という感想です(こういう感想になる、ということは、つまり、まだよくわかってない状態)。今は辛抱して式に慣れて、後半にどういう議論に展開されていくのかを、期待しています。 (3) Financial Statement Modeling for Finance Careers (1単位:Spring Aで終了) 財務諸表からどのようにエクセルのモデルを作っていくかの授業。「こんなの自分でやるか、仕事で自然に覚えるだろうに」と思って取ってみると、人気がある理由が分かりました。 単にモデルを作れば良いのではなく、財務諸表の各項目の作られ方やその成り立ちと理由、怪しいと思われるデータの見抜き方など、痒い所の質問を、超早口で矢継ぎ早に生徒に質問しまくります。もしこれに完璧に答えようと思うと、財務諸表各項目の細かい関連性や、何故そうなっているのかのビジネス上の理由などを、恐らく「投資銀行又は会計ファームで実務に耐える程度のレベル」で身につけていることが必要で、私にとっては半分以上即答できないものばかり。 1時間半ほどその質疑応答の後、30分でエクセルのモデルを2人1組で作り上げ、さらに毎週1個宿題。緊張感のある質疑応答に晒されながら、適度な課題量で実践的な技術を身につける良い授業と思います。 (4) Merger and Acquisition Practical Primer (2単位:4月上旬で終了) Peter D. Goodsonという、プライベート・エクイティ界の凄腕投資家が教授で、彼の豊富な実績と経験を元にM&Aダイナミクスの本質を議論する、これまた人気授業です。 まず、外部の大物実業家に対して失礼がないようにするためなのか、毎回事前に凄い量の準備を課せられます。何しろ、冬休み中から40ページ近くあるシラバス(注2)と1月末までの膨大な課題が送られてきて、この授業のある木曜朝8時に向けて、毎週水曜夜から猛勉強したうえで、週末が課題に潰れる感じです。 次に、そこまで準備してるにも関わらず、授業中に話されている内容が示唆に富みすぎていて、私にはついていくのが大変です。基本的な内容は、質問したらバッサリ一言で即答されて次に進んでしまいます。また、半分くらいの生徒にファイナンスのバックグラウンドがありそうで、彼らがどんな議論をしているのか勉強しながら、自分がどうやって議論に入れるのか、毎回頭を悩ませます。さらに、Practical Primerと書いてありながら、全10回の授業のうち4回に課される大きな課題のうち定量的な分析は1回目で終了。残り3回は、より政治的な、というか社長対パートナーレベルで語られる話題ばかりになりそうです。とても面白そうではあるものの、これらの課題の要求レベルが非常に高そうです。 このような上級者向けの授業は、本当は2年生で取るべきなんでしょうが、M&Aはファイナンスに興味を持ったきっかけでもあり、是非ここで頑張ってくらいついていきたいと思います。それにしても、ファイナンスの教授は早口&恫喝系の人が多いなあ、、、 (5) Intro to MOT (3単位:Spring A&B通し) これは、バークレーの工学系大学院生とMBA生とが半々で受講する、"MOT(Management of Technology)"系の授業の中でも、まず1年生が最初に取るべき、と推薦されている、まさにイントロに相当する授業です。担当教授名のところに、"Henry Chesbrough"と書かれてあり、「これは"Open Innovation"の著者かつ研究の第一人者に直接学べる授業ではないか」と期待して行ったところ、残念ながらChesbrough氏は表には出てこずに、Ciscoに所属する講師が毎回教鞭を取っています。 授業の内容は、毎回100年前から最新までの様々なイノベーションのケースを、Technology, Process, Businessの3つの観点をベースに、様々な角度から何が優れていたのか紐解いていく、というもの。今のところは、本当に「浅く広く俯瞰」という言葉が似合い、一通りイノベーションを語る時に出てくる様々な概念が、次々に短時間に議論されながら紹介します。「実は知らなかった概念一覧表」みたいなものが自分の中に出来上がるイメージです。もし、その中の何かについて深く知りたいと思ったら自分で調べるしかない、という意味で、まさにIntro to MOTそのものの授業だと思います。 今回楽しみなのは、チームプロジェクトで、どこか1社のイノベーション事例を深く掘り下げて発表する機会があることです。たまたま私のチームは、MBA側からは、元ハッカーで起業してCIAに協力していた友人と私の2人、そして残る3人は機械工学/電子工学のPh.D3年生。かなり強力なメンバーと組めたことで、どんなプロジェクトになるのか、今からワクワクしています。 (6) Technology, Innovation and Leadership (2単位:Spring A&B通し) そして、冒頭にも書いた「絶対取れないだろうと思っていた少人数のクラス」がこれです。以前紹介したbetter place社(MIT Sloan遊学記さんが詳しくまとめています)の経営幹部が、毎回入れ替わり立ち代りでバークレーで授業をし、6つのチームに分かれて、まさにこのベンチャー企業が今抱えている課題を解いていくプロジェクトの授業です。 実は、最初に取ろうとした時には、毎年どこかの企業をやっているが、MBA14名&工学部17名の31名の枠はとっくに満員で埋まっていたし、2年生になってからで良いや、と思っていました。ところが、1週間前に来る企業がBetter Placeだったと知り、「この企業だったら今年一緒にやらないと、来年は無いor面白くないな」と思いました。友人からは、既に6チーム編成が決まっているので、難しいんじゃないかといわれていましたが、何とか潜り込めないか、教授、工学部とMBA双方のプログラムオフィスに色々相談していました。すると、締め切り日の月曜日に、「たまたま辞退者が出たから、貴方を入れてあげるよ」とプログラムオフィスから連絡があり、無事に入れることになりました。 早速授業を取っている友人と話すと、1回目はCOOがbetter placeの業務全体像について語り、2回目は投資しているベンチャーキャピタルが、投資先としてのbetter placeの魅力と期待することを語ったそうです。また、6チームとは、電池、自動車、通信、インフラ構築、エネルギー再生技術構築、需要掘り起こしの6つ。このどれか1つのテーマ(2つ取る人もいる?)を、これまた工学部生とMBA生がチームになり、どうすべきか担当者と議論しながら、提案に持っていくそうです。「MBA生はともかく、工学部側は凄い専門家が多い」とのこと。明日から自分がどこのプロジェクトに入り、どんなアウトプットを出していくのか、とても楽しみです。 ちなみに、2月2日の履修日締め切りになると、今まで満員で取れなかった授業にも、ぽろぽろ空きが出てきています(特に、(4)M&Aなどキビシそうな授業など)。従って、最後まで諦めないでよく見れば、大抵の授業を選択できるのかもしれません。 こうして、先週のIBDザンビア決定→履修決定に始まったこの科目選択がようやく終わり、この先3-4ヶ月、何を勉強するかの計画が立ちました(ゴルフ教室以外)。既に大変慌しくなっており、個人学習系が2本と、チームワークが4本、平均毎週1つ=平均週6つの課題をこなしていくのは大変ですが、あとは、どれだけ効率よく歩留り良くこなせるか、頑張っていこうと思います。 (追記) 履修しようとしたが結局取らない/取れないことになった4科目について、備忘録的に記入しておきます。 (7) Operation (必修2単位:Spring Aで終了) マッキンゼー出身の若手講師による、"不確実な需要に対してどのように一番うまく供給するか"というテーマに則った、オペレーション全般の管理・改善の関する講義。2年生の皆の評判も良く、必修の人気授業だったのですが、ウェーバー試験を受けて合格し、取らないことにしました。 元々私自身前職ではオペレーションのエキスパートだったこともあり、この授業ではリーダーシップを発揮しながら議論を深めていく予定でしたし、実際出願の際のエッセイにもそう書きました。が、秋学期の反省から、「自分が詳しい内容は、授業で聞きなおしても面白くない」ことに気付き、次第に取ろうかどうか迷うようになりました。シラバスを見ると、「需要と供給のマッチング」という永遠の課題、かつ、それほど自分が強くない分野が講義の中心だったので、一層取りたいと心が動きました。ただ、一応教科書を図書館で借りて、3-4時間眺めると、やはりその3-4時間で知りたいことを学びきったような感じがして(大変勉強になった)、ウェーバー試験を受けることにしました。 試験は、今学期はマクロ経済学かオペレーションかを選べたのですが、20人以上受けに来た中で、オペレーションを受けたのは私1人だった模様。本年度のオペレーションに関しては、教科書持ち込み可何見ても良い、という試験だったので、私の元からの知識で6割くらい、教科書の知識で3割くらい、の9割くらいは自信持って解けたと思います。 こうして学年で唯一オペレーションを取らなくてすんだので、その分の2単位を他の選択授業に回すことができて、上記(1)-(6)のいい感じで履修課目を設計できました。また、もし社費で来ていたら絶対オペレーション取っていただろうな、と思うことから、Haasに自費で来ることで、自分の考え方が相当変わったな、と実感できました。 (8) Behavioral Finance (2単位:Spring Aで終了) 日本語だと「行動ファイナンス」と訳すのでしょうか。とにかく、「金が絡むと人間の心・行動って、こんなに変わってしまうんだ」、といわんばかりに、過去数百年前から昨年末のBernard Madoff氏の巨額詐欺事件に至るまで、金が絡んだ事件や事象からの教訓を勉強できます。また、たまにクラスの中で、実際に小銭を賭けてオークションをするなどの簡単な実験をやったり、教授も教え方が上手いと評判の方(アメリカンジョークを連発)。3回目まで受けてみて、仕事の役に直接立つわけではないが、人の心の動きが判る、とても面白い授業でした。また、全米屈指の実力と言われる、MFE(金融工学)専攻の方と一緒に授業が受けれるのも、面白そうです。 ところが、(6)Technology, Innovation and Leadershipが取れたことで、時間が被った&取得単位制限(下記参照)に引っかかったことから、落とすことにしました。来年にでももう一度受ける機会を探りたいと思います。 (9) Private Equity (1単位:Spring Aで終了) これは、週末2日間朝9時~5時までで、Private Equityとは何かを集中的に学び、1単位もらえる、というコストパフォーマンスの高い授業でした。 ところが、Spring AとB併せて、通常16単位しか取れないルールがあり、それ以上とりたい場合は申請する必要があり。「週末だから17単位目も認めてくれるかなあ」と思っていたのですが、先に16単位未満の人のみで席が全部埋まってしまい、除外されてしまいました。 従って、学びとしては、先に人気のある授業で14-6単位分埋めてしまい、後から人気がなさそうな授業に対して、「どうしても取りたいです」と申請したほうが良い、ということのようです。 (10) Entrepreneurship (3単位:Spring A+B) これは、受験の時のエッセイにも書いた、Haasの名物授業の1つで、工学部の人と一緒に実質3ヶ月でベンチャーを立ち上げるためのビジネスモデルを書ききって、ベンチャーキャピタルにプレゼンする、というもの。Haasから年間10~20人起業している人のうちの、何人かはこの授業でアイデアを詰めた上で立ち上げているらしく、高いクオリティのアウトプットを要求されること、また、実際のベンチャー&ベンチャーキャピタルの人もたくさん来ると聞いていたので、楽しみにしていました。 ところが、(2)IBDに合格していたため、最初のビットの時に選択できる単位数が減ってしまい、Intro to MOTとの2者択一を迫られて断念。また、あとから1-2名潜り込む余地があったのですが、(4)M&A Practical Primerと授業時間が被ったこともあり、断念しました。まあ、起業は今すぐにやりたいわけではないので、来年取り直しても良いかなと思っています。 (注1) 教科書はBooksPriceという逆オークションサイトで、"$XX以下の本が販売されたらメールをくれ"と登録しておくと、本当にその金額以下の本を送ってくれます。ちなみに、今回は、生協で買うと$200以上の教科書を、新品で送料込み$64で手に入れました。 (注2) シラバスとは、各回の講義内容、教員連絡方法、評価方法など、受講に関して必要な情報をすべて盛り込んだ、講義の定義書。これを元に、教授が学生を、学生が教授をそれぞれ評価する重要書類だが、通常は4-8ページ程度で、40ページは異例。
by golden_bear
| 2009-02-03 17:32
| 学業
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