A Golden Bearの足跡


UC Berkeley Haas School (MBA) における、2年間の学生生活の記録です。
by golden_bear
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日本人ネットワーキングのラッシュ

期末試験やレポートに追われる中、毎日ランチやディナー、飲み会等のイベントが複数開かれており、取捨選択に困る日々が続いています。そんな中、4月下旬は久しぶりに日本人関連の会合が幾つか入りましたので、記録しておきます

(1) Alumni Reunion (卒業生の同窓会)
4/23の週末に、キャンパスでHaas MBAの公式同窓会が開催されました。対象は、卒業後1年目(09年卒)、5年目(05年卒)、10年目(2000年卒)の人々向け。金曜日から月曜日まで、数々の特別講演、ナパへのワイナリーツアー、就職相談など、様々なイベントが用意されていたようです。

(1)-1 4/22(木)
日本から到着した05年卒業生の方が、同期との飲み会の後に、我々在校生と飲む機会を作ってくださいました。
私自身はその前に6pmからWine Industryクラスで、ワイン片手にMichael Mondavi氏(注1)のスピーチを聞く大イベント、
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これを早退して7:30pmから同期のチリ人による南米パーティーに呼ばれ、美味しいチリ&ペルー料理とワインを堪能し、
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10pmから合流。場所は駅前のJupitarというバー。2年生同期5人が全員揃うのも久しぶりで、EWMBAの日系人の方も加わって、話は延々と尽きず、0amからIrish bar、1amからThai Noodleとはしごして、帰宅は2am。日本で仕事をしていた時を彷彿とさせる飲み方で、社会人復帰に向けて気合が入りました。「やり残して後悔しそうなものは、全てやりつくしてから帰るように」という先輩の言葉が、身にしみました。

(1)-2 4/23(金)
昨日の先輩に誘われて、05の方同期のゴルフに、人数あわせで急遽参加することに。5年経っても変わらない同期の友情を垣間見れました。

(1)-3 4/26(月)
夜には、2000年卒の日本人の方と、同じくJupitarにてできました。1998-2000年当時は、ITバブルの真っ只中。就職ではなく起業するのが当たり前という風土の中から、先輩ご自身がBerkeley Business Plan CompetitionやSocial Venture Competitionの設立メンバーになった話、10年経った今の話、などなど、歴史と知見に富んだ飲み会でした。


(2) 4/24(土) JGRB Fairwell Party
丁度1年前に発足したJGRB(バークレー日本人大学院生・研究者会)の追い出し会を、今年2月から引き継いで頂いた現役員の方が、企画・開催してくれました。Fairwell Partyと名が付いているものの、日本の学年末のため3月末-4月頭にBerkeleyに来るVisiting Scholarの方も何名かいらっしゃったため、歓迎会もかねて行われることになりました。
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まずは最低限、自分自身が立ち上げた会を無事後任に引き継ぐことができて、肩の荷がおりた、というのが最初の感想。次に、1960-70年代からいらっしゃる大先輩の御二人とゆっくりお話しさせて頂いたことで、バークレーという土地に面白い人が集まる好循環の歴史的なつながりを、改めて感じる。そして、学部は違うが一緒に時を過ごし、バークレーを離れる友人たちとも、別れ間際の熱い話を行う。新しくバークレーに訪れた方の、まだ何があるのかわからない戸惑い、自分をアピールする姿にも、過去の自分を重ね合わせて心を打たれる。

引退挨拶では、「立ち上げはがむしゃらでできたから良かったが、継続の方が大変」という言葉が自然と出てきました。もちろん、立ち上げには立ち上げの苦労があったのですが、楽しさや学びの方が大きかったと思うからです。以前書いたとおり、立ち上げた原動力は、このバークレーの地で出会った方々が本当に面白く、自分の人生の目標が変わる学びを得たこと。そして、日本からの来訪者対応やスタンフォード日本人会との合同飲み会のように、突発イベントを如何に皆で面白いものにするか考えたり、定型作業に関しては最小限の作業量で最大の効果が出るように、組織の業務プロセスを最適化してみたり。立場も年も違う大の大人が全員ボランティアで行うという舵取りでしたが、幹事や参加者の皆様の力添えを頂きながら、自分自身の欠点の発見と動き方の修正という点で、多くのことを学びました。後任の方のために、プロセスの標準化等を通じて作業を楽にすることはできるのですが、この立ち上げの学びによる楽しさまでは引き継ぐことはできないから、継続が大変、と思うのです。

しかし、UCバークレーという大学がこの地にある限り、毎年必ず面白い一期一会のポテンシャルがあることだけは、間違いないと思います。今後も全てのバークレー日本人大学院生・研究者の方々が、JGRBというインフラを使い倒して、都度面白いつながりや学びを発掘し、楽しんで頂けることを、お祈りしたいと思います。


(3) 4/28(水) Law School/Business School日本人合同飲み会
もともと12月のJGRB忘年会の時にお会いして以来、Law Schoolの方とやろうと言っていたまま、忙しさにかまけて先延ばしにしているうちに、卒業時期になってしまいました。しかし、4月19日にたまたまバークレーを来訪した弁護士の友人とランチをして以来、これは絶対にやったら面白い、と確信。特に今後弁護士の方と仕事をする機会が多くなりそうな私が幹事を引き受けるのが妥当だろう、と考えて、皆様本当にお忙しい中でしたが、急遽無理やり開催することになりました。

開催告知をしてみて面白かったのが、学生達より奥様方の方が反応が早かったこと。バークレーは非常に暮らしやすい土地ということもあるのか、Law/Business双方とも、大多数が家族持ちの学生。どこから話が漏れたのか、「旦那が飲むならその裏で飲みましょう!」ということで、学生側の出席連絡が集まり始める前から、続々と参加者が集結していました。伴侶の方々同士が集まる機会へのニーズの強さを、改めて実感することになりました。

こうして、1週間後開催というとても急な呼びかけにも関わらず、学生16名、奥様10名強+子供達、という大所帯が一同に会して、楽しく飲むことになりました。場所は、いつも安価で生の新鮮なネタを提供してくれる"Taki Sushi"。
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一部屋に入りきらないことから、丁度座敷が埋まる人数で仕事関係の話もありそうな学生側が座敷席、パートナー及びお子様方がテーブル席、という割り振りになりました。
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Law Schoolの方は大半がLLMという1年制の修士コースの方々(注2)。その大半は弁護士として働いている方ですが、中には企業からの派遣や官僚の方などもいらっしゃいます。そして、弁護士と一言で言っても一人一人異なる専門分野をお持ちのようで、法律がカバーする領域の広さを今更ながら知ることとなりました。今後、様々な機会に、お互い情報交換ができると良いと考えています。

また、バークレーのLLMは例年、定員80名のうち10名程度が日本人という、日本人が最大勢力の学科なのですが、来年は定員が1.5倍以上に増える一方で、日本人学生が多少減少するらしいとのことです。一方、Haasの来年度(Class of 2012)の日本人は、増えることは間違いなさそうで、来年以降もLLMとMBAの関係が続くと面白いと思いました。

(4) その他 
詳細は他記事にて述べますが、4/26(日)、地元のSF日本人ゴルフサークルでHalf Moon Bayという有名コースにて功労者の送別ゴルフ、
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そして4/28(水)昼には、UC Berkeley音楽学部定例のランチ・コンサートにて、JGRBメンバーの奥様の1人がインドネシアの楽器「ガムラン」を見事に演奏する
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他にも行けなかったものでは、SF桜祭り(4/10-11、17-18)や、オークランドでのJapan Societyのディナー(4/20)なども含め、日本人イベント満載の4月下旬でした。

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もちろんわざわざ留学しているからには、日本人とだけ仲良くなってもしょうがないのは確かです。しかし、私にとってMBAの一つの目的は「自分が人間社会という生態系の中で何をする『動物』なのかを認識する」こと。このMBA生活最後の締めの時期に、大先輩から後輩まで、多種多様なバックグラウンドのバークレーの日本人の方々とお話できたのは、社会人に戻る前に自分がどういう『動物』なのかを見極める、非常に良い機会だったと思います。そして、このような日本人の海外ネットワークは、まさに過去数十年日本が裕福だったお陰のアドバンテージ。今後世界で戦う中で、この貴重な資産が無くなってしまう前に私自身の土台として最大限生かして、日本人&全人類が次のステップへ前進する仕事をしていきたい、と強く感じています。

(注1) Napaワインのブランド化立役者、Robert Mondaviの息子
(注2) 他にもVisiting Scholarの方々もいます
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by golden_bear | 2010-04-30 14:04 | 社会・風土

M&A ケースコンペ(3) ケース設問からの学びと、プレゼン結果

前回、「中国語のコンテストはスキルとやる気の両方を高める」と書きましたが、それはM&Aコンペにもあてはまります。本日は、ケース設問、プレゼンと結果からの学びを書いてみます。

まず、ケースの状況設定:
「あるカリフォルニア州の通信系中小企業が、山間部など過疎地に絞ったサービスを展開し、高収益体質を保っていた。株主構成は、60歳を過ぎた創業者社長と、30歳の娘、22歳の息子の3人が、それぞれ40%、30%、30%。丁度、創業者社長が引退を考え、後継者をどうするか悩んでいた時に、米国全土をカバーする大手企業数社のうち1社が、互いのサービスエリアが被らない、というメリットを強調し、買収を迫ってきた。これに対して、中小企業のオーナー社長がどのように対処すべきか、チームにアドバイスを求めている」

この設定自体で既に、下記5点を面白いと感じました。
○ 自分の「地元」になじみの事例: 
シリコンバレー発のTech企業が、成熟後にどう自社をEXITするのか、オマージュとして見ると楽しい。さらに、このような状況の企業は今日本にも多数あり、将来自分に起こりうる可能性のある問題と考え、やる気が出る

○ 珍しく売り手側のケース: 
今まで授業中に扱ってきたM&Aのケースは、買い手側の立場が大半を占めていたように思います。その理由は推測するに、双方の詳細な企業情報を元にシナジーや統合後の企業価値を算出したり、複数の買い手が競い合う、という設定を学習させやすいからだと思われます。しかし、今回は売り手側。買い手側の情報は、「1回目オファーの買い値と現金/証券の構成」、「買収によるメリット」、「現在の時価総額&株価」のみしか与えられず、実際に情報が乏しいまま判断を迫られる雰囲気が良く醸し出されています。

○ 同族経営のケース:
また、同族経営であることから、下記のような条件を解かなければならないのも、新鮮な考え方でした。
 - 非上場企業っぽく、財務諸表が上場企業にあまり見られない書き方や数値の傾向を示している
 - 株主3名の興味が全て異なっており、全員の意向を組み入れて平等に幸せにすることは、とても難しい

○ 設問には必要十分な情報のみ提示: 
恐らくM&Aの実務では、無限にある膨大な情報の中からM&Aに重要なものを如何に抽出するか、という作業が結構肝な気がします。したがって、過去のM&A関連授業では、ケース自体に本文10~40ページ、付表15~50ページは割かれ、さらに新聞記事、財務諸表やアナリストレポート、論文などが数十~数百ページ渡されることもありました。

しかし、今回のコンペでは、本文4ページ、付表8ページの計12ページしか情報が無い。さらに、「与えられた情報以外をプレゼンの根拠にしてはならない」、というルールがありました。これは楽勝なのか、、逆にたくさん仮定をおかなければならない難物か、、、

ふたを開けてみると、無駄な文章が一文も無い、書かれた全ての文章が使われた、本当に必要十分にまとめられたものでした。もちろん、審査基準を明確にするために、突拍子も無いアイデアを封じる意図があったのだと思いますが、実際に普段と逆の思考回路でケースを紐解くことで、売り手側のM&Aに最低限考えるべき事項の量(文章&作業)の目安を、肌で知ることができました。

○ 生の業界情報を提供: 
上に関連して、このケースの買収側・非買収側の企業は架空の話・データを提示されている(もしかしたらモデルがあるのかもしれませんが)とはいえ、他の同業他社比較や取引履歴比較に用いるデータは、全て実在する企業の直近のものが、必要な分だけコンパクトにまとめられて提供されています。このデータを見ることで、地元Tech業界の現状を俯瞰して見ることができました。

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次に、分析してみてわかったこと。特に奇をてらうわけではなく、下記の4つのステップで進めていきましたが、それぞれ面白い発見が=問題、が多数ありました。

(1) 被買収側企業価値の算定:
「使える限り全ての評価手法を試せ」、という指示があったのですが、今回は非公開企業の売り手側、ということで、実際に試せたのは、同業他社比較、直近同様取引の比較、DCF法(現状)、DCF法(統合&改善後)の4つ。

 - 同業他社比較
既にリストに挙げられた11社、S&P500に入るような巨大企業から小さな企業まで様々並んでいたのですが、なんと対象企業はこの一番小さな企業の1/10のサイズしかない、、、のに、やたら収益率は高いは、やたら借金は多いわ、と、全然比較できない。 シリコンバレーの未上場ベンチャーと、上場済みの企業は、普通に比較してもなかなかうまく行かないことを実感。

 - 直近同様取引比較:
実在する過去5年分の数十件の取引データが匿名で与えられました。ニッチな業界でも数十件もM&Aが起こること自体、M&A市場の規模が日米で1桁違う、と感じます。しかも、その結果は1つ1つ大成功から大失敗までピンからキリまで非常に幅広く、リスク&プレミアムの高さを実感します。2005年から2010年2月くらいの激動期に、シリコンバレーが混乱に陥った様を、数値に感じることとなりました。

 - DCF法(現状): 
中小企業ということで「過去の実績をベースに将来を予想する」という手法が、本当に、全く、使えない。過去数年、毎年違う企業に入れ替わってるんじゃないか、というくらい、業績や財務内容の増減が激しく入れ替わっていて、何が本来の姿かわからない。にも関わらず、なぜか未来予測には美しい数字が並んでいる。この予測をどれだけ信じられるかねえ、という所に、チーム議論のさじ加減が必要でした。

 - DCF法(統合&改善後): 
統合後のCEO候補として、60歳のおじいさん、30歳の女性、22歳の青年、そしてその誰でもない統合後の企業から派遣、と、複数考えられます。しかし、その誰がCEOにつくかで、経営方針が全く違う。この経営方針の違いで、結構業績予測が変わってくるのです。日本でも社長が交代しただけで株価が上がったり下がったりしていますが、この「経営は人なり」の部分って、中小企業だと本当に大きいんだな、と実感。

そして、当然、4つの手法で全然違う結果となる。誰も熟練者がいない我々のチームは、条件の抜け漏れや計算ミスを探すのにも一苦労。先の話を議論しては、ミスや条件の変更に気付いて計算しなおす、という手戻りを何度も繰り返して、ようやく中央値が丁度ケースに提示された買収金額程度に収束。

(2) 買収価格の精査:
次に、買収側のオファーを精査。現金のほかに、Seller's noteやら、株やらが紛れている。Appendixと脚注を良く良く読んで見ると、これらの価値が向こうの言い分の半分くらいしかないことに気付く。「これは100円だ。そう書いてあるし、そう見えるよな!!!」、といってジャイアンに渡された紙を、のび太がドラえもんに見せると、50円しか価値がなかった、という漫画みたいな世界が、本当にあるんだ、と驚く。

(3) 他の売却先と売却スキームを検討:
最初にプロポーズしてきた相手が駄目、とわかったので、「出直しておいで」、と言う所までは筋書きが書けました。しかし、このままでは婚期を逃してしまうため、別のお婿さん候補を探すことに。すでにプライベート・エクイティ・ファンドさんが4社も目をつけていて、「市場が回復すればIPOも狙える」、などと調子の良い言葉を言っています。しかし、ファンドさんに売る場合、創業者一族=我々のお客さんの身柄をどう保証するか、という点も重要になってきます。それなら別の競合企業に買ってもらったり、独立を貫く、という手もありなんじゃない、という話で、延々とどこにどういう形で売ろうか、という議論が続きました。

(4) アクション・プランの提案:
そして、この会社は時系列にいつ何を考えどう行動するか、という形で、プレゼンにまとめます。最初に提案してきた相手をどう断って、他の相手にどうやってアプローチして、一方元の企業が2回目に良い提案を出して来たらそっちにも浮気して、、、、、あたかも5人の男に歩み寄られているクラス1の美女が、皆と平等に話しながら、他の4人and学級委員長(=法律)を怒らせないように、一番いい男と最高の条件でくっつくための、アクションプランを練るわけです。そして、「こんな立ち振る舞いは、我々のサポートがないとできませんよね」、ということを暗に仄めかす文句をさりげなく最後に一言入れる。

このプランを練りはじめた時点で、火曜日の夜。前述の通り以後私は木曜のプレゼン本番まで作業しないので、他の3人に、(3)の売却スキームの検討に戻ってそれぞれ3つの婿企業候補(Aさん、Bさん、Cさん)を検討してもらうことに。そのどれが最高の統合相手になろうと、(1)(2)(4)で自分が気になる部分は殆ど変わらない状況に持っていけたのを確認し、安心してお任せしました。そのときの我々の初期案は、AさんとBさんを両天秤にかけて、ギリギリまで条件&価格を吊り上げると言うものでした。

水曜日夜時点のプレゼンを見ると、結論が「Aさんは全く見込み無いので、Bさんに全力投球」という風に変わっている。Bさん担当が、Bさん案が如何に素晴らしいか、渾身のプレゼンを用意していました。私自身は当初Bさん案が嫌いだったのですが、その気合の入りっぷりと面白さをみて、それでもいいやという気に。しかし、なんとプレゼン発表2時間前に、「プレゼンに重大なミスがあって、これは出せない」として、Bさん担当が自分でせっかく作った全てのスライドを、引っ込めてしまったのです。最後土壇場で、スライドとしてはAさん案のみ残り、バタバタの発表となってしまいました。(ついでに、この間ずっとCさん担当は、何度スライドを作っても説得力のあるものにならず、結局Cさん案が日の目を見ることは一度もありませんでした。個人的にはCさん案は脈有りかも、と思ってたので、コミュニケーションの問題で本来良いかもしれないものが悪くなってしまう瞬間に立ち会うことになりました。)

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当日のプレゼンでは、英語の堪能な2人が、時間配分に気をつけながら、筋書き通りクライアントの個人的な興味を含む疑問を、一つ一つ丁寧に解消していく。もともと凄くできるなあ、と思っていた2人なので、プレゼンの上手さにも感心しました。

質疑応答では、最後のアクションプランの部分を集中して聞かれました。ルールを守って複数社にどうアプローチするか、という質問に始まり、土壇場で却下してしまったBさん案に対する質問や、なぜ「独身を貫く」という案の評価が低いのか、などなど。

このとき質疑応答担当としては、金融関係の質問にはとっさに答えられず、企業戦略関係の質問には自然に答えられたことで、やはり前職の経験が体に染み付いていることを実感。MBAで新たに知識を得ているとはいえ、キャリアチェンジの難しさを感じました。

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我々のチームの結果は、地区予選14チーム中第2位。賞金としてチームに$500($250の現金と$250の商品券、、、そもそも本当に$500の価値あるんだろうなあ、と疑い中)を頂きました。決勝大会はどういうわけか開催が中止になったため、ここにて終了。

Bさん担当の「今までのEWMBA生活の中で一番濃密な1週間だった」という言葉に表れるとおり、普段の会社のエンジニアとしての仕事と、このケースコンペの両立には、本当に頭が下がります。また、Aさん担当は、会社を休職して香港で投資銀行のインターンを獲得。Cさん担当も、今後は自分の会社のIPOに邁進すると思われ、皆ここでの知識が即、次の人生に生きるのだと思います。

卒業直前にこのような機会にめぐり合えた幸運に感謝です。ここでの経験、友人達を、一生大事にし、私自身も一層スキルとモチベーションを高めていきたいと思います。
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by golden_bear | 2010-04-27 20:06 | M&Aコンペ

ソーシャル・ネット時代の外国語学習(中国語学習リンク付)

昨年8月から毎朝1時間の授業+莫大な課題に喰らいついてきた中国語の授業も、来週金曜日で最後。相変わらず膨大な宿題は毎日課されていますが、大きな関門はあと3つ。筆記、作文、スピーキングの各期末試験のみ、と、大詰めを迎えています。

このうち筆記と作文の試験は個人勝負なのですが、スピーキングは4-5人のチームでやります。その課題は、下記のように中国語初学者には大変厳しいもの。

自分達で10-12分間の中国語劇を作り上げて、暗記して皆の前で演じること
○ 中国語劇のスクリプトには、リストの中から構文を1人最低5つずつ選んで埋め込むこと
○ 先にスクリプトを提出し、先生が直したものを貰い、それを演技する
○ 配点は100点満点。作成したスクリプトの文法・内容に50点、実際の演技の発音で50点
○ 1つのチームに韓国人は最大2人まで(韓国人受講生はクラスの3割程度を占め、固まる傾向にある)

近くに座っていた人々に声をかけて決めただけの私のチームメンバーは、下記
○ 米国人男性(金髪白人)。3年生工学部。日本で働きたいらしく、履修して3年目の日本語は、かなり普通に話せるレベル。中国語は初学者。
○ 韓国人女性。2年生政治科学部。
○ 米国人女性(黒髪白人)。1年生学部未定。
1人くらい中国系の人を入れとけば多少楽できたかもしれないけど、元々中国語経験がない4人で組むのも、皆で平等に頑張るのが良い点です。

さて、スクリプト作りですが、米国人男性の提案で、ある日の夕方に語学練習棟のコンピュータールームに集まり、集中してやりました。皆PCは持ち歩いているのですが、語学練習棟のPCには中国語学習/作文を容易にする有料ソフトが入っているためです。
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しかし、驚いたのは有料ソフトにではなく、Web上の無料ツールの方でした。皆で話し合って中国語を一文作成するたびに、彼が有料ソフトで中国語入力し、すぐ見慣れないウェブサイトに貼り付けて送信。そして、3-4分後に次の一文を完成させ貼り付ける際に、なんと前に送った一文を、誰かが正しい中国語に直してくれているではありませんか。
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これは、Lang-8というウェブサイト。一見、FacebookやMixiのようなSNSのような画面に、自己プロフィールや掲示板/コメントのやり取りがなされているのですが、これら一般的なSNSと違い、掲示板/コメントのやり取りがほぼ全て、上記の外国語添削で埋め尽くされている。彼はこのSNSで、英語を教えてポイントを稼ぎ、代わりに中国語と日本語を教えてもらっているようなのです。

一文ずつちょっと訳すだけなら、誰か親切な人がすぐ教えてくれるのですが、12分のスクリプト全体となると、ポイントなりお金なりを大量に消費して誰かを雇わざるを得ず、断念。従って今回は結局、このLang-8の利用はリアルタイムに気になる所にだけ行い、一通り完成させた時点で結局オフィスアワーに先生の部屋を訪問し、直しを入れることになりました。

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Lang-8は作文に特化することで差別化し、大学生が宿題をやるのに役立っていますが、今ネットでは音声も動画も個人が自由に使える時代。SNS系の(クラウド・ソーシングへの丸投げ)無料語学学習ツールは、ちょっと調べただけでも下記のように沢山ある模様です。

○ LiveMocha
2007年創業のスタートアップ、09年末にシリーズBを終えた。英語、スペイン語、フランス語、ヒンズー語、ドイツ語、中国語に関して、ユーザー同士で互いの言語を話す&書くで教えあえるSNSを無料で提供するほか、Pearson社とも提携し、有料のオンライン学習コースプログラムをきめ細かくレベル別に提供。200カ国から480万人のメンバーが利用し、急成長中とのこと

○ italki
中国の上海に拠点があるスタートアップ。こちらは日本語対応。09年8月現在でも、200カ国以上からの登録者数が50万人以上、教え合う言語数は100以上、登録教師数は4700名。SNSを通じて、お互いの母国語を学ぶ目的でランゲージ・エクスチェンジが可能だけでなく、Skypeを利用してオンラインで外国語レッスンをしてくれる先生を探したり、自分が日本語の先生になって生徒を探せる

○ palabea
150カ国以上に対応し、BBCやDW-WORLDといった欧州企業のサポートを受けているドイツ本拠地の企業。機能はLiveMochaとほぼ同等で、オンラインチャット、ラーニングツール、SNS、自分の近くの土地の友人探しのほか、語学学校の検索もできる

○ babbel
英、仏、西、独、伊、瑞、葡の7ヶ国語を、Webの機能を駆使した新しいやり方で学ぶことを目指す。iPhone等にダウンロードして、いつでもどこでも学べる。70万人が登録。FriendsAbroadというSNS形式の企業を買収し、今後SNS機能を充実すると思われる

○ VoxSwap
教材などは置かず、SNS機能に絞ったシンプルな語学学習者ネットワーキングサイト


SNS以外でも、Web上には下記のような外国語無料教材もあるようです。
○ mango languages
英語で他の外国語を無料で学べるサイト。最初50レッスン、1,000語程度まで無料。上級者向けや高機能を有料にしたり、$149で丸ごと購入可能、という課金モデル

○ Yappr
英語リスニング強化に特化。オンラインのドラマや音楽のビデオで、リスニング向上に適したものが段階別に整理されている

○ LearnItLists
日本語を含む18ヶ国語に関して、いつでもどこでも毎日10単語覚えさせるためのサイト

○ Lingoloopy
言語学者やITプロフェッショナルが40ヶ国語以上を楽しく学習・練習するために設立された英国の組織。リンク集。言語の歴史等トリビア的な学びに利用できる


また、無料ではないですが、「講師がフィリピン人の英会話スクール」というページを見ると、乱立している様子が伺えます。最近、日本の英会話学校の経営が厳しいというニュースを目にしますが、これだけ外国語の学習がネット上で容易になれば、土地代と人件費の負担は相当重いことは容易に想像がつきます。また、Rosetta StoneやPimsleurといったCD/DVD語学教材企業も、今後は自社の高額教材の市場を潰しながら、Web機能を充実させていかざるを得ないジレンマにあるのだと思います。

一方、エグゼクティブ向けの通訳・翻訳・教育サービスはなくならず、かえって重宝される時代が来ると思います。その理由は、下記です
○ 全てのビジネスがグローバル化し続けるのに伴い、通訳・翻訳が求められる場面/市場は引き続き拡大し続ける
○ しかし、上記のようなクラウド・ソーシングサービスに機密情報を投げるわけにはいかない(仮に技術的にセキュリティ保護が可能でも、飛行機にパイロットを載せているのと同じ理由で、顧客は使えない)
○ また、このSNSやクラウド・ソーシングを使った場合発生する、最低でも数分の時間ロスはビジネス上では許されない場合が多く、さらに品質担保のための管理工数がかからざるを得ない
○ したがって、管理監督者側は、マネジメントのために必要最低限の語学力は、必須になって来る。もちろん個人で自発的に学ぶにはSNSサービスを使える可能性がある(もちろん禁止される場合もある)が、会社のトレーニングとして提供する場合は、信頼のあるサービスに頼らざるを得ない

このように、アマチュアレベルは続々と無料になり、中途半端なものは廃業し、一流のサービスはより高品質が求められる形で存続する、というのは、通訳・翻訳に限らず様々な業界が直面している事態と思います。この変化には賛否両論あると思いますが、この言語業界に関しては、変化を止めることはグローバルに難しそうだし、人類全体の進歩にとって良いことに思います。

そして、このバークレーの学部生向けスパルタ中国語講座は、まさに言語学習における高品質な一流のサービスと思います。それは、単に授業だけでなく、学習能力向上のための様々な仕掛けを用意することからも担保しています。その1つがコンテスト。昨日の授業の最後に、私のチームメンバーである韓国人女性が、翌日大学生向けの中国語スピーチコンテストに出るため、皆の前で3分間の中国語スピーチを披露し、我々がフィードバックする時間がありました。驚いたのは、彼女、クラスに6-7人いる韓国人の中では、一番中国語を苦労している印象があったのですが、このスピーチの内容、発音とも素晴らしいの一言。コンテストという形式のモチベーション増大作用、そして実際に努力した本人の双方に、感銘を受けました。
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もちろん、楽しく勉強させる仕組みは上記SNSの有料/無料講座でも用意しているのですが、ここまで鬼気迫るスピーチコンテストのようなものをオンラインでやるのは、難しいと思います。「目標とやる気を持たせる」部分までカバーしてこそ一流のサービス、という事を、その効果の大きさを含めて実感しました。


最後に、私が良く使う中国語学習系サイトのリンクを下記に貼っておきます。もし他により良いものがあれば、コメント頂けると幸いです。

(中英/英中翻訳)
http://www.mdbg.net/chindict/chindict.php?page=translate
ここは、長文の英語を打っても、語順変化や企業名のような固有名詞まで含めて、かなり正確に訳してくれます。また、単に翻訳されるだけでなく、下にそれぞれの単語の意味が書いてあるのが良いです。

http://www.freetranslation.com/
ここは中国語以外にも多言語対応です。精度は上のものよりやや落ちる気がしますが、比較して使うこともあります。

(中日/日中翻訳)
http://www.excite.co.jp/world/chinese/
日本語サイトでは、ここを使ってみることが多いです。日本語と相当違う語順変化は思ったよりもかなり正確に見えますが、もっと良い中国語の熟語がある場合でも、日本語の漢字を中国語にそのまま置き換えて当てはめてしまうケースが多いのが難点です。

(中英/英中辞書)
http://www.mandarintools.com/worddict.html
こちらは単語のみ受けつける。普通の辞書と同じく、1つの単語を入力すると複数個の候補を出してくれるので、上記翻訳サイトで目的の単語が無いときに利用

(ピンイン記号表示)
http://dokochina.com/simplified.php
中国語の読み方「ピンイン」を、発声のトーンまで含めてルビのように表示させたい時に使うサイト。ここは、1000字まで一度に入力可能で、Word等に貼り付けた場合でも修正が比較的容易なので、良く使います。

(追記)
Word2007では、Home->Font->Phonetic Guide("abc A"と書かれたアイコン)で、ピンイン記号をつけることができます。しかし、この方法だと1度に50文字程度しか変換できないので、上記Websiteとどちらを使うかは好みだと思います。


(無料検定対策問題集)
http://www.chinese-speaker.com/chinese/exercisemenu.html
中国語検定/HSK対策の問題集・過去問を完全無料で練習できるサイトです。これだけのものを無料で提供するとは、素晴らしいの一言です。
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by golden_bear | 2010-04-24 22:44 | 中国語学習

不思議な同級生ディナー

今行って返ってきたディナーが不思議だったので、書き留めておきます。
ホストは、イタリア人とスペイン人の女性2名。15人くらいの同級生に声をかけていたようで、うち私含む6名が参加し、イタリア人の家で彼女ら2人が作ったディナーとワインを楽しみました。

家はバークレーの山奥にあり、
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窓からはサンフランシスコの夜景が一望でき、雰囲気も最高。
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流石にイタリア人が作ったパスタは、コシが一味違って美味です。
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とまあ、ここまではよくあるホームパーティーに見えます。しかし、実はこれはマーケティング・リサーチの授業の一環で、ある意図を持って召集された、すなわち、どうやら私は実験台にされていたようなのです。しかし、何を観察されたのか、全く判りませんでした。

そもそも、どういう基準で15人が誘われたのか、よく判らないのです。結局参加した8人のうち、5人は良く知っていたのですが、残りの3人とじっくり話すのは今日が初めてに近い状態。

とりあえず、デモグラフィーで8人を分けると、下記のようにてんでばらばらです。
・ 国籍: イスラエル人2人、日本人2人、米国人1人、タイ人1人、イタリア人1人、スペイン人1人
・ 性別など: 男5人(全員30歳以上既婚)、女3人(全員30歳未満未婚)
・ 前職: コンサルタント4人、Tech系メーカー2人、IT系スタートアップ1人、海軍1人
・ Cohort(1年生の時のクラス): Blue 3人、Oski3人、Gold1人、Axe1人

ディナーをして初めて気付いたのは、皆何か1つは面白いネタがありそうだ、ということ。例えば、過去の実績では、テニスの国内大会優勝者と、自転車レースの国内レース優勝者がそれぞれ居ます。Haasの中での業績、という意味では、うち2人はスタートアップを起業、1人はNPOを立ち上げています。

そして、やはり一番面白い話題は、皆将来何をするか。大半の人が大きくキャリアチェンジをしようとしていて、米国での就職を勝ち取った人、本国に戻るが職種や業界は大きく変わる人、起業を進めていく人、Ph.Dに進み学問を究める人、など、本当に多種多彩なのです。

いまだに意図すら良くわからないのですが、それでも2時間の間、いろんな人の人生を垣間見ることができて非常にやる気が出る。とても熱く神妙なディナーでした。

(追記)
マーケティング・リサーチの意図と関係あるかどうかは不明ですが、後から気付いたこととして、この8人の共通点は、全員、「入学時に思い描いた人生と、卒業時に選んだ人生が、変わってしまっていること」でした。中でも、最近のMBA就職先人気No.1の企業から、数十回面接を経てやっと得た内定を蹴って、別の会社で就職する人の話は面白かったです。"憧れの企業だったけど、得ることのできたポジションの上司の方々の話を聞いていると、大企業になりすぎてて、面白くない。XXさんが、Ph.Dの研究材料としてこの仕事1年くらいやるなら面白いかもしれないので、今度紹介するよ"といった議論で盛り上がりました。
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by golden_bear | 2010-04-21 15:59 | 社会・風土

C4C(Challenge for Charity)2年目に気付いたこと

今年も、西海岸9校のMBA生がスタンフォード大に集結して、チャリティーのために30種目以上のスポーツを競い合うイベント、C4C(Challenge for Charity)に参加しました。去年は、この記事に書いた通り、勝手が良くわからないまま卓球、ボーリングとバレーボールの3種目に出ました。皆ビール飲みながらも結構真剣にやっていたので、今年は、怪我の危険やチームへの貢献を考え、バレーボールの1種目に絞って出ることにしました。

この大会に出るためには、1学年の間に指定されたボランティア活動を合計5時間以上(注1)行う必要があります。私の場合は下記3つのボランティアで時間を稼ぎました。
 (1) 身体障害者学校の学生をボーリングに連れて行き、やり方を教える:2時間
 (2) チャリティーオークションイベント(C4C Auction)の後片付け:2時間
 (3) C4Cチケット販売の受付:1時間
この3つ、単にボランティアというよりは、同級生と仲良くなれるメリットが大きかった。例えば、(1)ではゴルフをアンダーパーで回れる米国人の友人と仲良くなり、教えてもらえることになりました。また、(2)ではイタリア人、スイス人、スペイン人、ブラジル人の4人が"お前がエントリーしてるのを見て、楽しそうだと思ってエントリーしたよ"。日本人だとさっさと片付けて帰ろう、という感じですが、陽気なラテン系の彼らは、本当に楽しそうに遊び8割、片付け2割という感じで動く、、この輪に入ったこと自体、良い学びでした。このように、ボランティア、という文化も、奥が深いと感じます。
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そして、大会当日。昨年は、土曜日を丸一日を使って、芝生にネットを組み立ててやりましたが、今年は金曜夜と土曜早朝に、ビーチバレー用の砂浜コートで行われました。屋外ビーチバレーコートにナイター施設まであるスタンフォード大の充実ぶりには驚きます。

先に結果の紹介。私が出た男子と男女混合の大会は、共に男子に身長190cm以上の経験者を3人揃えたスタンフォード大が圧勝。1月からセレクションと特訓でこの大会に備えたUCLAが第2位でした。我がHaasチームは、男女ともこの上位2校以外には負けない強さのチームに見えましたが、男子は予選(3チームx3組)で、いきなりこの2校のいる組に入ってしまい、スタンフォードは25-14で負け。UCLA戦では一時21-18でリードしたものの、結局25-23で敗れました。混合でもスタンフォードに負けた後、UC Davisに圧勝するものの、得失点差で決勝に残れず。
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大会を経ての気付きを下記に

○ やはり日本人は細かさ・完成度の高さで勝負する民族!?
今年のチームはメンバー6人とも全員中~上級者。去年、1人のスーパーエース+私+初心者4人、というチームで私がセッターをやったときにはあまり気付かなかったのですが、この草バレーの中では、私のレシーブ力が突出して高いことを、周りに指摘されます。

何を隠そう、私が今まで日本の中学・高校の部活動や大学のサークルでは、レシーブはチーム一下手でした。高校では前衛専門のピンチブロッカー要員でしたし、大学でも私が後衛の時にはリベロと入れ替わってました。基本的に私が経験した部活の練習では、「セッターの構えた手の所に寸分違わず返るまで、何度でもレシーブ練習を繰り返す」というやり方で、例えば、サーブレシーブであれば、15cmセッターの手がずれたら失格、という基準でした。私はこれが全然できず、一応他の人の3倍(50cm)位の許容範囲には入るのですが、他の人がもっと普通にできる分、私は全然話になりませんでした。

ところが、この大会ではこんな私ですら、チームで一番レシーブが正確。日本ではまず考えられないのですが、レシーブ要員として活躍することになり、大変驚きました。

もちろん、バレーボールの世界では、昔から日本人は体の大きい欧米人に対抗するため、世界選手権レベルでも"Aクイック"などをはじめとするコンビバレーを発明して来ましたし、「レシーブが正確でないと世界で勝てない」とは、テレビのナショナルチームの試合で解説者がよく喋る台詞です。恐らく草バレーのレベルでもこれと同じことが起こっている、というのは、新鮮な驚きでした。そして、"15cmセッターの手がずれたら失格"、というレベルの正確さをアマチュアレベルの練習に求めているのは、多分日本及び韓国・中国などの東アジア人だけじゃないかなあ、と、チームメンバーを見てなんとなく思いました。

よく、イチローの活躍やWBCを日本が2連覇していることから、「日本の精密で繊細な野球がベースボールに勝った」と言った比較をされることがあります。私個人は、これはトップレベルのみそうで、一般人には関係ないんじゃないか、と思っていたのですが、もし中学・高校の部活動=普通の学校教育の段階でこの精密さ、繊細さが自然と日本人に刷り込まれているのだとしたら、、、
 - その良い面は活かし、その欠点は補うことを考える
 - 時代と共に教育が少しずつ変化(例:「ゆとり教育」)しても、この点は受け継がれるのかどうか
は、常に意識して見て考えたい、と思いました。

○ 米国人向けイベントで留学生と仲良くなる
昨年の記事にも少し書いたのですが、このイベント、米国人が参加者の大半を占め、留学生は私のように特定の種目に思い入れがあって、どうしても出たい、という人しか見かけないです。これは、米国でのチャリティーという非常に米国人っぽいイベントで、わざわざ留学生が参加する意義が乏しいのかもしれません。しかし、こういう米国独自のイベントって、実は米国ではかえって珍しい気がします。皆が使う言葉や話題もドメスティックなものが多く、普段外国人に優しいバークレーには無い異文化の世界に突然来た感覚も新鮮です。

こうして留学生はマイノリティーとなってしまい、お互い自然と集まってしまいます。今回のバレーボールチームでも、男女合わせて15人居た中で、留学生は私とイタリア人、インド人の3人のみ。初日に知り合ったばかりのこの3人とは自然と話すようになり、2日目には一緒に1台の車で参加。往復2時間の車中で結構いろんな話で盛り上がりました

○ 就活状況の印象
去年は1年生、2年生が半々で参加しているような印象がありましたが、今年の参加者は大半が1年生。今年の2年生は、単純に私の学年がチャリティーに興味が無い人が多い(留学生率が39%と非常に高い)ということもあります。が、よほどチャリティーに深いコミットがある人以外は、卒業後の職が決まっている人のみ参加している感じで、昨年精力的にやっていた人が今年いないのを見たときには残念な気になりました。1月時点よりは多少ましになったとはいえ、現時点でフルタイムの仕事が決定している人は、7割程度(8割を越える例年よりは悪いが、昨年よりはマシ、といった感じ)に見えます。

1年生に話を聞くと、「インターン先が増えてきて、複数内定を取る人が一杯出てきた」とのこと。確かに、去年は全く募集していなかったり募集を途中で取り消したような企業が、この時期にインターンの募集を追加しているようで、「就職課も1年生についてはあまり心配しておらず、むしろ2年生や卒業生を心配している」ということのようです。

(注1) この5時間はHaasの場合。主催校のスタンフォード大は、10時間必要とのこと。なお、Haasの場合、1年生は入学直前に強制的に3時間ボランティアをやるので、追加ボランティアは2時間で良い。また、一定時間以上のボランティアが奨学金獲得条件になっているような場合、その時間と重複申請も可能。

(おまけ)
バークレーからスタンフォード大のあるパロアルト市に行くには、I-880という高速道路を南下し、海を隔てた東側からdumbarton bridgeという橋を渡ることが多いのですが、この橋を渡りきった所で、Sun Microsystems社とその大きな看板がいつも出迎えてくれていました。そのSunの看板に、上からORACLEと書かれた覆いが被されていて、思わず運転席からiPhoneで撮影。この劇的な買収劇から、丁度1年。時代が先に進んでいることを感じます。
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by golden_bear | 2010-04-18 14:05 | 学校のイベント

Chesbrough教授の講義(1)課題設定の妙(Adobe対Appleを例に)

「オープン・イノベーション」の提唱者であるChesbrough教授の看板講義ということで、たくさんビットポイントを投入しなければ受講できないこの"Managing Innovation and Change"という授業。しかし、それが故にやや偏った教え方となり、万人受けはせず、元からの高い期待値に比べると、受講生の評価は必ずしも高いわけではない模様です。選択授業は人気で決めるべきではなく、自分に合う内容&教授かどうかの方が重要だ、と再認識します。

一方、私自身にとっては、この授業は大当たりでした。毎回毎回必ず心に刻まれる何かを深く考えさせられ、良い所を挙げろと言われれば、すぐに6つか7つは思いつきます。今回はその良い点のうち3つと、その具体例として中間試験の課題について書き留めておきます。

(1) 絶妙なテーマ設定:
全14回の授業を次の4部構成に分けています(多少意訳してます)。丁度第3部が終わった現時点ではありますが、既にこのテーマ設定の素晴らしさに唸らせられています。
- 第1部:破壊的イノベーション
- 第2部:イノベーションのタネを外部調達する方法
- 第3部:知的財産権をイノベーションに生かす方法
- 第4部:イノベーションとビジネスモデルの関係

第1部は、Christensen教授の有名な破壊的イノベーションについて。MOT学習者はもちろん、多くの学生にとってMBAに来る以前に当然知っている内容です。しかし、そこは実際に彼とHarvardで時間を共にし切磋琢磨していたChesbrough氏による授業。説明に最新の事例を用いる程度は朝飯前。単にフレームワークを当てはめるだけではなく、氏独自の理論と関連付けられた調査データと共に、本で紹介されていないもう1~2段深いレベルのメカニズムを含めて議論することで、一味も二味も違う迫力のある「破壊的イノベーション」の説明となりました。同じ理論でも、利用者次第で、全く効果が変わってくる事を目の当たりにし、教授が学生に影響を与えるという意味でのリーダーシップの力量を感じました。

第2部は、要はオープンイノベーションの概念から、どんなイノベーションのタネを生むことができるのか、という内容。ここ10年ほどで様々な大企業やスタートアップが取り組んできた斬新な話を、成功失敗双方の事例交えて、幅広く深く扱います。「世の中こんなサービスを思いつく人々がいるのかあ」、という、目から鱗の新しい考え方の数々を吸収できました。

第3部は、知的財産権に関する少々オタク向けの内容。興味ない方には全く面白くない授業が延々と続いていたと思います。しかし、私にとっては、この特許権の適用範囲やメリット・デメリットなどのテーマは、一度集中して勉強しておきたかったため、願っても無い良い機会でした。単なる特許の話ではなく、それをオープンにしようとすると何が問題になるか、という視点で深く考察出来たことで、特許の応用に対する自分なりのイメージが持てたことはもちろん、特許以外の様々な既得権益の功罪についても適用できそうな視点、そして第2部に続いて目から鱗の様々なアイデアも手に入ったと思います。

こと第2部と第3部に関しては、テーマに興味が無ければ、誰がどう教えようと全く面白くなく、逆に興味がある人なら、教授の力量関係なく、これにコミットする時間を確保できただけでも学べます。日本の大学の経験からは想像つきにくいのですが、このことから、授業選択の際にシラバスの"第何回に何を教えるか"まで良く見た上で判断することが重要だとわかりました。現に何人かの学生は、授業全体を受講せず、興味のある会だけもぐって聴講しています。

一方、第1部は教授の力量が講義の価値にそのままなったと思います。来週からスタートする第4部も、第1部と同様に各所で散々議論され続けている内容ですが、教授がどう料理していくのか、非常に楽しみです。

(2) 世に出る前の新しい内容を議論:
ビジネススクールにおける討論中心の授業では、通常、教科書や市販の教材であるケース、新聞記事など、お金を払えば購入できる内容を叩き台にします。しかし、Chesbrough教授は、これらを使う割合は半分程度。多くの課題は、彼自身が執筆途中でまだ世の中に公開していない草稿のケースだったり、彼独自の人脈で手に入れた情報だったりと、「未公開情報」を元にして行われます。オープンをテーマにしている授業だからこそ、閉じた情報で行われるのは、面白い点です。

このやり方には、もちろん、「教授が授業という場を通して、自分がよりよい文章を執筆するために学生を利用している」、という批判もあります。しかし、学生の側にとっても、このように世に公になる前の固まっていない概念を議論するのは、既に商品として売られている本やケースを叩き台にした場合と比較して、より実際のビジネス環境(=必要な情報が全て手に入ることが珍しい)に近く、面白いです。当然、内容そのものも新しくなるため、大変参考になります。

(3) 期待するアウトプットが明確
上記のように、最新でまだ結論の出ていない内容を授業で扱うと、得てして発散しがちです。例えば、リーダーシップや倫理のような授業で、教授が9割方正しいことを説明していたとしても、残り1割それに当てはまらない経験をした受講生が、「そんなの全然違うよ」と言い始めた瞬間に、授業全体が崩壊してしまうこともあります。

Chesbrough教授の授業でこのようにならないのは、毎回必ず「これに答えられるように準備しておけ」という質問を、授業の3日ほど前に送付します。しかし、これらの質問が直接学生に対して授業内で発せられることはありません。授業中には学生の発言を引き出せるだけ引き出すために、少しひねった別の質問を投げかけて、議論を活性化させます。そして、その流れに沿ったまま、授業終了時には事前に送った質問の7-8割をカバーするように上手く議論を誘導しているのです。

なんでこんなに上手く議論をリードしているのかな、と思っていたのですが、その秘密は質問を送るタイミングを"授業の3日前に"している、という点にありました。授業における学生の反応や、世の中の情報を、直近ギリギリまで反映して、質問の構成が巧妙に練り上げられているのです。

また、中間試験として、「指定した最新ニュースに対して、授業中に習った概念を当てはめて5ページ以内の論文を書け。ソースさえ明確にすれば何を参考にしても良いし、一方この最新ニュース以外何も見なくても構わない。」というレポート課題が既に2回課せられています。そして、1回目の課題後に、10項目くらいの採点基準を厳密に適用していることを公開。この採点基準は、授業中に学んだ概念を正確に当てはめられるかどうか、に明確に重点を置いて設計されていて、幾ら面白い文章を書いても、授業内容と関係なければ全く評価されないのです。

このような質問の投げかけ方や採点基準の設定の仕方を見るだけでも、期待アウトプットに結びつく明確な課題設定の仕方や、人に影響力を与える良い文章を書く指針など、非常に学べる点が多いのです。

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さて、(1)(2)(3)と書いた結果、そもそも授業で何が議論されているのか。具体例として、今までに2つ課せられた中間試験の課題について書いて見ます。

1回目の中間試験は、第2部最後の講義直後に実施されました。この日の講義は、100年ほど前の創業当時から研究開発力に非常に定評があったあるグローバル大企業が、最近10年間に革新的なオープンイノベーションの組織を如何に上手に創り上げることが出来たか、という成功事例のケースでした。この講義の直後に、1ヶ月前の新聞記事が課題として配られる。それはなんと、この大成功企業が、今現在新しいイノベーションのタネを生み出せずに苦労している、という内容。「授業で習ったことを使って、この会社はどうするべきか提案しろ」、という課題なのです。

すなわち、授業内で散散、「素晴らしい組織である」、「先進的な取り組みの事例」として紹介されていた組織が苦戦してる、、、ということは、当然授業で習ったことをそのまま当てはめるだけでは答えになりません。実際、授業で習った直後にすぐ思いつきそうなアイデアは全て、この会社が過去数年間のうちに実施済みであることは、ちょっと調べるとすぐに出てきました。

この上さらに、授業で習ったことを応用しなければ評価されない、という縛りが課せられるので、全く一筋縄ではいかないです。まるで15手詰め位の詰め将棋を解くように頭をフル回転させ、、締め切り直前にようやく雲の合間の光のように、この会社が自力ではなかなか出来ないが、効果のありそうな次の一手が見えて、どうにか書くことが出来ました。経営戦略を練る上で、非常に良い頭の体操でした。


2回目の中間試験は、第3部最後の講義(4/12)直後に実施。講義は4/12の4pmに終わったのですが、なんと西海岸時間4/12、1:15PMに配信された新聞記事が課題になりました。記事の内容は、今巷で様々な論議を呼んでいる、Adobe対Apple。課題は「授業第3部で使った考え方を最低1つ適用しながら、状況を分析せよ」というものでした。

この漠然とした課題、に加え、この2-3ページの新聞記事の中にも様々な論点があり、どこから掘り下げていくかだけでも、全然違うレポートになります。この雰囲気を紹介するため、一例として私が分析した手順と結論を下記に記してみます。(アップデート:注1)

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まず、論点の抽出。私の場合、この、一見お互い詭弁を言い争っている内容を、明確にするところから始めました。
・ Adobeは『ユーザーにFlashを使わせないAppleは、クローズドな組織だ』と主張
・ 一方、Appleは『iPhone/iPadはHTML5はじめ多くのオープンな規格をサポートしている。AdobeのFlashこそクローズドだ』と主張

次に、お互いが置かれているビジネスの環境(市場、競合、収益性、顧客、サプライヤー、代替品)と、売上獲得方法の現状と将来を確認し、ここで議論されている、FlashやHTML5が両者にとってどういう意味合いがあるものか、を確認する。

そして、授業第3部で習った考え方の適用。幾つか習った考え方のうち、下記2つを、2社の状況に適用してみる。
考え方1 企業がある分野における技術と知的財産権を持つ場合、"技術○知財○"、"技術○知財×"、"技術×知財○"、"技術×知財×"(○は有り、×は無し、の意味)の4象限に分けられる。そして、2つ(以上)の企業が同じ技術や同じ知財を持つ場合に、これらの重なりを比較することで、どこからどこをどの程度オープンに/クローズドにするべきかが明確になる
考え方2 知財を持つ技術が、どの程度成熟しているかに応じて、オープン/クローズのさせ方やさせる対象が異なってくる

この考え方が、Googleはじめ他のプレイヤーの動向にどう関連するかを考察後、最後に、この2社が今後取りうる打ち手、及びそれにより起こりうる状況を議論。両社に対するアドバイスで締めくくる
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この手順を踏んだ結果、私の結論は、「この2社は実は戦っておらず、お互いをそこまで気にしていない。そして、両社ともこのまま独自の道を進み続けることが最良の選択。もし仮にどちらかが、現在の主張を曲げて譲歩したりこれ以上相手を罰したりすることは、そう動いた方が短期的に良くても中長期的に大損をする」というものになりました。

木曜日に課題提出後、金曜日に最終課題のチームメンバーであるエンジニア2名と会いました。自然とこの課題について雑談となり、彼らの結論は私とは全然違うことに気付きました。1人は、「AppleはFlashを使えるようにすべきで、AdobeはHTML5においてもFlashのように収益化を実現すべき」という正論のレポートを書いた模様。もう1人は、Adobeについてのみ詳細なApple対抗策を練り上げて、Appleについては何も書かなかったそうです。

ここまで結論が変わってしまうのは、課題の捕らえ方に大きな違いがあった、ということがあります。例えば、「iPadは、今までに無い全く新しい商品か、それとも単なるiPhoneの延長か」という点での意見の違いが、上記考え方2.の使い方を全く変えてしまいます。また、私が話した相手はソフトウェアエンジニアの方でしたので、どの技術がどこまでオープン/クローズか、それが技術者に与える影響、などに関して、私に比べてとても詳しく調べていました。このことにより、上記考え方1.の使い方も、よりビジネス側で適用させた私とは、大きく違うものとなっていました。

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このように、同じ授業を受けて同じ考え方を適用しても、バックグラウンドや主義が違うと、全く違う結論が生まれてしまうのが、特にMOTのように半分エンジニアがいるような授業の面白い点です。そして、より多様な意見を生み出すために、最新の面白い課題を提示し、議論を発散させた後にでも重要な考え方を心に刻むべく結論を纏めきるChesbrough教授。この彼の授業のスタイルは、イノベーションを発生させる為に必要な課題設定とリーダーシップのあり方を、そのまま体現しているように思えます。

(アップデート:注1)
第2回課題の結果が返ってきました。私は平均をやや下回る点、一方ここで紹介したエンジニアは最高点模範解答として授業で紹介されていました。一番心配した結論部分には満点がついており、私が減点を受けた点は2つのみ。1つは上記考え方1の部分の分析の深さand/or表現力不足。もう1つは「引用した点は全てソースをつけること」というやればできる要求項目を、面倒くさい&時間不足&前回高得点を取って手を抜いてもOK、と考え、完璧にはやらずに友人とのゴルフを優先させたこと。

このことから、
 ○ ここに書いた分析手順は”平均点並み”。くれぐれも雰囲気のみ参考にしていただければ幸いです。
 ○ サボったらサボった分だけ正直にそのまま跳ね返ってきた
 ○ 本当に「授業で習った理論がキチンと適用できるかどうか」に、凄い比重が置かれている。その後打ち手や結論を導く部分は、どんなに突拍子も無い内容が書いてあろうが、その前と論理的に帰結がしっかりしていれば減点はしない、というスタンス
 ○ またもや優秀なエンジニアとチームが組めてラッキー!(彼については別に紹介する予定)

(アップデート2)
皆様ご存知の通り、この課題発表の10日後に、Adobe側がAppleのモバイル機器向けFlashツールの開発を断念することを公式に発表。その1週間後にSteve Jobsが公式書簡にてFlash非搭載の理由を声明し、Adobeも反発するなど、まだまだこの問題はこじれ続けるようです。
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by golden_bear | 2010-04-17 23:09 | 学業

卒業直前モード

卒業式まで残り1ヶ月を切り(注1)、今でしか出来ない同級生との交流機会が激増しています。既に5月1日から20日頃まで、"Dis-Orientation"という飲み会や旅行などの「公式な」イベントが毎日組まれていますが、4月中にも各クラブの追い出し会やアルムナイ・就活関係などなど、ほぼ毎日のように複数のイベントが組まれています。明日・明後日も、昨年も行われた西海岸MBA対抗チャリティースポーツ大会に、全力で参加してきます。

こうなると、もはや本やネットを見ればどこかに載ってるような勉強など、やる暇もやる気も無い。教授もこの事情を知っているのか、この時期にはそれまでに説明した知識を応用する機会として、やたらチームワークや同級生にインタビューしまくるような、人との交流系の課題が増えている気がします。すると、授業の課題を口実にして、飲み会やゴルフがセットされ、課題なんかそっちのけで深夜まで泥酔後、朝早く起きて二日酔いの中青ざめながら無理やりレポートを書く、、、といったライフスタイルとなります。このように、授業を少なめにして楽しようと思っていた2年生春学期後半も、想定外のイベントの多さで、結局忙しくなってしまいました。

結局、MBAの丸2年間を通して、早朝から深夜まで何かをやっている、という意味での忙しさは、仕事をしてた頃と大して変わらないことに気付きました。ただ、仕事と大きく違うのは、お客さんや上司からのプレッシャーが無いことと、自分で選んでる分やりたくない無意味な作業が極小化されること。すなわち、同じ忙しさでも、精神的にとても楽しみながら、得るものだけ目一杯得ている、という点が全然違います。カリフォルニアの最高の気候のおかげ、ということも大きいですが、「MBAは2年間の人生の休息だ」という表現は、まさにその通りだと思います。

尚、時期的な観点では、よく「必修授業が集中的に組まれる1年生秋学期が一番大変で、以後徐々に楽になり、2年生春学期は人生で最も楽」と言われます。しかし私の場合は、1年生の秋学期が一番楽でした。それは、個人的には選択授業やインターンを行うことが出来ず、必修授業をやらされてやっていた感があり、常に同じチーム(かつ偶然皆凄く優秀だった)のため、今思えば甘えたり手を抜いたり出来たからです。一方2年生になってからは、選択授業やインターンなど、自分で選んだために言い訳できない責任感ある活動が増え、より大変に感じられます。ちなみに、2年間で最も大変だったのは1年生春学期。就活やビジネスプランコンペ、プロジェクトの数々やJapan Trekに追われながら、選択授業も必修授業もこなしてたのは、仕事以上の忙しさだった気がします。。。

そして、ブログのネタの嗜好にも変化が。今までは毎日日常的にある授業は書く気がせず、その場1回限りのイベントを書き残したい、と思っていました。しかし、イベントが恒常化して授業が終わってしまう今、授業について多少書いてみよう、という気になっています。例えば、Chesbrough教授の授業に関しては、受講終了後まとめて紹介しようと思ったのですが、どうせ1回で紹介しきれないので、先に半分書いてしまおうと思います。(次の記事へ続く)

(注1) Haasの場合、卒業式後もレポート提出が延々と続く、という矛盾したスケジュールになっています。
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by golden_bear | 2010-04-15 07:26 | 全般

M&Aケースコンペ(2) チームワークの大変さ

中国人/中国系米国人EWMBA生3名とのチームワークは、想像以上に大変でした。起こったことのうち印象的なことを、下記に記してみます。

(1) 非論理的な議論の進め方
日本では、誰かが議論の流れにそぐわない発言をした場合、無かったことにして議論が先に進んでしまうことは、ビジネスの場でも見かけます。社内会議でも顧客への営業でも、特に下役が変なことを言うと、上司が机の下で遮って先に進める、とか、その場の全員が無視する、とかは、起こりうることでしょう。

一方、これは米国ではほとんど起こらない気がします。誰かが変なことを言っても必ず、「それはここでは関係ない」とか、何かキャッチボールが返ってくる。もしかしたら、外国人の発言を一生懸命聞いてくれるMBAならではかもしれないですが、そうでなくても、対面よりも電話会議の方が全然多いビジネス環境、議論好きな国民性、英語の構造、など、様々な環境要因から、誰かが発言したらそれに返答するのが当然、となっているような印象です。

ところが、このチームの議論は、日本型でも米国型でもなかった。頻繁に意見が無視され、流れが吹っ飛んでいって、何の話をしているかわからなくなっていってしまう。例として、ためしにM&Aの会話を料理に置き換えると、下記のような流れが良く発生していたのです。
(メンバーA)「小麦粉と卵はどれだけの分量で混ぜるべきだろうか」
(私)「卵の黄身と白身は分ける?それとも両方使う?」
(メンバーB)「どっちでもいいけど、白身は腐る可能性があるから、スピードが大切だよ」
(メンバーC)「最後に電子レンジにかければ、白身が腐っても新鮮でも問題ないんじゃない?」
(A)「電子レンジは小麦粉が傷むから避けたい。最後は油で揚げるのはどうか」
(B)「油はいいアイデアだけど、買って来る時間が無いよ」
(C)「いや、ギリギリまで水を入れなければ、時間は稼げるはずだ。」
(私)「、、、(分量の話はどこにいったのだろうか?)」

こうなってしまったのは、4人とも本業でファイナンスをやったことが無いことから、単純に専門知識不足ややり方が悪いだけ、ということはその通りと思います。しかし、定量的にゴリゴリ押せるはずのファイナンスの分析で、しかも皆似たような授業で同じ教わり方をしているにも関わらず、これだけ行ったり来たりしてしまう。これは、単なる経験・知識不足、というよりは、ディテールにこだわるエンジニアらしいと言うか、いろんな要素を一緒くたにして考えるアジアらしいと言うか、性格や文化の要素がとても強く出ている気がしました。

こうして、こういう議論に堂々と入れるようになったのは進歩とはいえ、それを上手くマネージできない自分の力不足を実感できました。

(2) 納期延長の弊害の数々
当初は4/1(木)夕方に開始、4/5(月)に資料を作り上げて提出。で、決勝に呼ばれた人のみがプレゼンをする、という話で理解していたので、「週末やり切って終わるぞ」、という気でいました。ところが、4/3(土)の夜になって、「4/8(木)夜に全チームでプレゼン&資料を提出」というルールに、「いつの間にか変わっていた」そうです。

大会が開始されてから締切やルールが変更されるなんて、本当かいな、と思いつつ、これ以降様々な問題が発生することに。先に起こった問題を纏めておくと、
○ そもそも全体に雰囲気が弛緩し効率が落ちる
○ 締め切りが延びたことで、考えなくても良いことが気になりだして、検討対象が広がり、収集がつかない
○ 週末気分のまま平日に作業量を分担してしまい、忙しい平日にとても終わらせることが出来ない: 特に、私はEWMBAの方のライフスタイルを知らないし、EWMBAの人は私の生活を知らない
○ 元々無いはずだったスケジュールが後から追加されるため、玉突き事故のように他のスケジュールが圧迫されのびのびになる悪循環が起こる
○ 家族に対しても、何故夜にこんなことをやっているのか申し訳がつかず、雰囲気が悪くなる
○ 結果、チーム全体の雰囲気が険悪になり、ますます効率が落ちる

次に、土曜日以降何が起こったか、日記風に時系列で書いて見ます。
4/3(土)
他のチームメンバーは土曜日なので、朝9時から夕方6時まで授業を受けている。私は昨晩の議論結果を受けて、日中1人で作業。夜9時までにメンバーにファイルを送り、メンバーは夜9時から作業を開始。ここで、木曜に締め切りが延びる

4/4(日)
朝メールをチェックするが、あまりにも論点が多いので無視。昼からサンノゼにあるメンバーのマンションの会議室を借り、3時間半みっちり議論。本来もう最終資料をまとめはじめている時間帯の計画だったが、締め切りが延びたのを良いことに、まだ色々な可能性を検討しはじめている。最初の2時間半でスコープが伸び切って収集が着かなくなってしまったので、早めに帰りたかった私は、最後の1時間で無理やり最終アウトプットの形に詰めていき、私の部分だけ役割分担を明確にして、後は皆に任せて帰宅。その後、深夜まで溜まっていた宿題をこなしていく。

4/5(月)
私は朝から晩まで授業の日かつ、6pmの授業に重い宿題を抱えていた日。週末から本日明け方までにやり終えられなかった部分を、授業の合間を見てどうにか4:30pmに終わらせ、6pmまでの1時間半のみこのケースコンペの作業に当てる。その後、本当はメールベースでのみ議論をし、問題が無ければ火曜日に一度打ち合わせて終わり、という計画だったが、メンバーの1人が不安に思ったのか、11pmにミーティングをセット。不意打ちを突かれた感じだったが、私に関わる議題が多かったので、出ざるを得ない。他メンバーのうち1人は別のミーティングのため欠席。もう1人はいきなりミーティングがセットされ若干切れ気味。最初の1時間は殆ど私と主催者の2人の議論になってしまい、切れ気味のメンバーが「俺意味ないじゃねーか!!」と本当に切れた後、後半1時間は彼と主催者が1時間議論。今度は私の意味がなくなってしまった。

結局、この会議で全体の結論が変わったので、議論をした意味はあった。今後これ以上の変更がないことを望む。

4/6(火)
皆様日中は仕事をしているので、その間に昨日の結論を受け、私が時間を見つけ修正を入れる。「もうこれでデータ変更は最後。私のプレゼン資料も終わってなくて申し訳ないが、後はプレゼンに集中してくれ」と4pmに皆にメールを出す。5pmに一度大学で会おう、と約束していたが、道が渋滞して5pmに誰も来れず。私は6pmから2年生全体のワークショップに参加したら実は大きなパーティーで、酔っ払う羽目に。

8:30pmに帰宅し、1ページ気合の入ったパワーポイントを作成していると、9:30pmデータファイルが返ってくる。見ると、意味不明なデータの修正が起こっていて、「説明するから10:30に電話くれ」とのメール。このデータ修正とそのパワーポイントの反映方針の議論だけで1時間が費やされ、30分遅れで11:30から予定されていた最終打ち合わせ。4人中私含む3人が、計画通りの進捗になっておらず、「やはり週末と違って平日に作業するの無理だよ」という愚痴モードの会議に。しかし愚痴を言っても何も進まないので、翌日6pmからのリハーサルに向けて、最終的な仕事分担をする。また、「前から行っていた通り、私は水曜木曜は殆どこれに時間使えないから」、と念を押す。終わったのがまたもや1am。私自身はここから中国語の試験勉強を開始する。

4/7(水)
朝8時から中国語の試験。昨晩ヤマを張ったところが奇跡的に良く出て、満足いく出来に。9時からManaging innovationの最終課題チームミーティング。これもとてもよい議論が出来満足。10:30から中国語補講、11:00amから「今週は無理、ごめん」とほったらかしにしていたInternational Financeのケースだけ念のため読んでおき、1時間半で準備完了。12:30-2pmに私のこのコンペ最後仕事1枚のパワポを書き終える。2-6pmは授業2つだが、iPhoneを見るとチームの3人は凄い勢いでファイルをやり取りし、恐らく仕事はしていない。6pmから電話会議で最終プレゼンの練習。しかし、皆初めて見るスライドばかりなので、全員が内容を確認し整合性を取る会とし、練習は後で各自でやることに。7:20pmの段階で、「私は予定通り明日この仕事何も出来ないので、後はお任せするわ」と宣言し、プレゼンターからもはずして貰う。7:30からDays At HaasというHaas合格者がキャンパスを訪問しているイベントの飲み会に参加。久しぶりに日本人同士で夜遅くまで楽しく飲むことに。夜家に帰って予想通り30通ほどコンペ関連のメールが増えているが、私宛の質問が無いことを確認し、無視。

4/8(木)
朝8時に中国語の授業を受けたあと、一目散にゴルフ場へ。もちろんプレゼン当日なのでゴルフのキャンセルも出来たのですが、
○ かなり前から予定していた特別なメンバーとのゴルフであること
○ 私と仕事を分けている中国人メンバー同士が凄い勢いでメールを飛び交わしている中に、今私が入っていってもあまり役立たないこと、
○ 私自身が気になっていた点は無事議論が終結していて、そこから他のメンバーがどう結論付けても、大勢に影響ないと思っていた
ということで、あえてチームに入らずにゴルフを優先させる決断をした。しかし、昨晩の泥酔とこのケースコンペの疲れからか、最近ではありえないひどいスコアをたたき出してしまう。

1:30pmにゴルフを終え、スーツに着替え、50通ほどのメールを流し読みし(全員仕事サボってる!)、プレゼン最終版を見ると、ええっ、いつの間にか当初私が思っていた逆の結論になっていて、驚く。ただ、ストーリーを見ると、その結論でも面白い、と思ったので、チームメンバーに「きっと今日のプレゼンでは審査員との議論がとても盛り上がるよ!素晴らしい」とメールを出す。その後、4pmからDays at Haasのイベントに参加、6pmからWine Industryと、4時間連続で飲み続ける。4:30に送られてきたメールを見ると、「やっぱり俺のスライド無理だから、引っ込めたわ。結論も変えといたから」、と、当初私が思っていた通りの結論に急遽戻している。「(貴方の部分が初めからその結論でいいなら、日曜日以降何もしなくても良かったのに、、、)」と心の中で思いつつも、チームとしてはプレゼン3時間前に全く逆の結論をプレゼンする羽目になり、混乱を通り越してあきれることに。整合性がつかない部分が多々入っているが、直せないので口でごまかすことにしたらしい。

8pmからプレゼン本番を迎える。酔っ払って真っ赤な私は、質疑応答専門部隊だが呂律が回らない、、、(次回に続く)
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このように、所属や考え方、目的やモチベーションが微妙に違う人々と働くことは、それ自体学びの宝庫です。さらに、色々試せる(例:プレゼン本番当日に、皆仕事そっちのけで頑張る中で、私はゴルフに行ってしまい、酒を飲み、それでもチームとして結果を担保できるか)ことも、学生に戻ったからこその利点とも思います。しかし一方で、ケースそのものが良くなければ、これらのチームワークや葛藤、学びは生まれません。この意味で、今回のケースは非常に面白く練られていた、と思いましたので、次回、プレゼン本番の状況と併せてケース内容について書いて見たいと思います。
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by golden_bear | 2010-04-13 17:11 | M&Aコンペ

Bill Gates on "giving back" (2010年4月19日スピーチ予定)

来週月曜日、4月19日にビル・ゲイツ氏がUCバークレーのキャンパスを来訪し、スピーチするらしいです。

テーマは、「世界で最も大きな問題を解く最良の方法を探すこと」。大学講演ツアーの初日にバークレーを選んだとのことで、英語では下記のように紹介されています。

Bill Gates on "giving back"—Berkeley is first stop in college tour

Bill Gates, co-chair of the Bill & Melinda Gates Foundation and founder of Microsoft, will speak at Berkeley on Monday, April 19. The talk, on finding the best way to solve the world’s biggest problems, is Gates’ first on a cross-country tour of universities.

Chairman of Microsoftではなく、Gates Foundationを肩書きの最初に出しているのが、現在の彼の興味やスタンスを感じさせます。

この放送を、webcast.berkeley.eduにおけるライブ放送や、西海岸時間4/21夕方5時以降には、webcast.berkeley.edu、iTunes UでポッドキャストにしたりYouTubeのUC Berkeleyチャネルでも見れるそうです。

ちなみに、これらのサイトでは、本年2月に来たビル・クリントン氏や、昨年11月に来たアル・ゴア氏など、数々の著名人来訪時のスピーチを見ることが可能で、便利な世の中になったと実感します。英語の表現の仕方やリスニングの勉強にはもちろん、自分でスピーチをする前に見てイメージトレーニングする、など、色々実践で使えそうです。
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by golden_bear | 2010-04-13 10:11 | 学校のイベント

2年生秋学期後半&春学期前半 授業振り返り

中国人EWMBAとのM&Aケースコンペは、毎日波乱万丈違和感有りまくりで、本当に良い経験。週末潰してやった甲斐あったと思います。本日はその中での1つの発見、MBAの授業が私のスキルを想像以上に上げてくれていたこと、について書いて見ます。

今回M&Aケースコンペに出れたのは、声をかけてくれたPさんが私を
(a) チームに興味があり、やる気を出してやってくれそう(will)
(b) こいつは使えそう(skill)
と思ってくれたから。高々2回の授業でこう思ってもらえたのは、、
(a) 簡単な自己紹介の時に興味を伝えておく; 「こういう授業を一杯取っている」という話をしていた
(b) 実際に授業のチームで、使える&また一緒に働きたい、と思われる働きをする; PEの授業で専門知識含め喧々諤々の議論を行い、意気投合できた

まず、MBA以前に金融業務経験の無い私が、上の太字の部分を示せたこと。次に、実際チーム作業をして、昨年のM&Aのクラスや夏のインターン中には、前職で得たコンサルティングスキルでのみチームに貢献していた私が、今回は自然と金融スキルでチームをリードできるようになってきたこと、に気付き、改めて授業の効果を思い知りました。

というわけで、授業の振り返りです。今までこのテーマは難しくてなかなか書けず後手に回ることが多かった(注1)のですが、個人的には特に2年生の選択科目では、MBA生活で一番楽しい時間は授業と思える位、幸運にも7-8割の確率で凄く充実した授業に当たっていると思います。従って、試みに2年生秋学期後半(Fall B)&春学期前半(Spring A)に受講を完了した下記5授業について、総論、各論の順番に書いて見ます。
(1) Corporate Finance (2年生秋学期通期:3単位)
(2) Venture Capital & Private Equity (2年生秋学期通期:3単位)
(3) Financial Information Analysis (2年生秋学期通期:3単位)
(4) Design Financial model that work (2年生春学期前半:1単位)
(5) Private Equity (2年生春学期前半:1単位)


総論: 見ての通り、奇しくも全て金融関連です。これは「キャリアチェンジャーの最終学期考(前編)興味の無いものこそやる(後編)学生のうちの経験」に書いたとおり、Haasに来て1年経って、金融関連スキルを何らかの形で生かすキャリアチェンジを強く意識したため。Haasの諸先輩方も、来る前には想像つかない方向へ人生が変わっていく人が少なからずいるのですが、私も縁遠いと思っていた金融を、よりによってHaasで一杯勉強することになるとは、大きな変化です。

よりによって、と書いたのは、2009インターン状況レポート(1) Haas視点での他校比較の記事にあげた分析結果からも、Haasは他校に比較して圧倒的に金融を志望する人が少ないビジネススクールだからです。しかし、2008年に学長が金融関係の教授を大幅増員し、MFE(金融工学)のコースは常に全米Top5に入り続けるほど、金融関係の教授陣は充実しています。また、地元にサンフランシスコ/シリコンバレーがあることや、EWMBAを置いていることからも、幅広い選択科目が選べます。

このように、「学生に人気が無いが、教授や授業が充実している」、という環境は、私のような初学者には最高です。

○ 人気が無いので少人数クラスになること多し = 議論がとても濃くなる
○ 人気が無いので、教授は一生懸命判りやすく教える = 簡単な話もフォローしてくれるし、難しい話にもとことん付き合ってもらえる

もちろん本格的に金融関係のコネをつくり名を上げたい方は、昔から金融に強いと言われているMBAの方が得るものは多いと思いますが、単純にMBA程度の金融スキルを身につけることが目的であれば、大学のネームバリューは関係なく、自分が身につけられるかどうか、環境がフィットするかどうかのみの問題と思います。私自身は、金融に関するスキルとモチベーションの両方が得られ、かつ金融以外でも学べることが多いHaasの環境は、幸運にもフィットしたのだと思います。

各論: 次に、5つの授業個別の終了後レビューです。(注1)により内容そのものには踏み込まず、概要と、私が何を得たのか、という点を中心に書いておきます。

(1) Corporate Finance (2年生秋学期通期:3単位)
どのMBAでも教えている内容ですが、去年来たばかりのRau先生のおかげで、Haasで受けた授業でもBest5に入る、広く浅く公平な視点で痒い所に手が届く素晴らしい授業と思います。

 ○ 時間一杯、生徒にずっと質問し続けるスタイル: 1時間半の授業で50回くらい質問されます。その全てが、「実務でこういう状況に陥ったら、悩んで議論になるだろう」という、痒い所に手が届くものばかりなのです。この、他の人がやると学級崩壊しそうなやり方で、授業を纏め上げる教授の力量は素晴らしいです。
 ○ 公平な視点: これ以前の金融関係の授業では、資金を投資/貸す側の立場、あるいは学者としての立場で行うことが多く、企業側の現場感が無いことが不満でした。しかし、この先生は、資金を調達する企業側での実務経験を持った上で投資銀行のパートナーまでになった経験を活かし、常に、貸す側借りる側双方の利益最大化を両立させるための問題解決をする、という公平な立場で進めるため、とても納得感があります。
 ○ 広く浅く全体感を染み付かせる: 「国際金融と詳細なオプション取引以外、学問として金融が扱う内容の9割に触れる」という公約が守られました。これにより全体感を持って、個別のファイナンスの公式/定理が相互に持つ意味や、それらがとてもシンプルな幾つかの基本公式で全て繋がっている、という美しい理論が体系的に学べます。

こうして、まず、同じことを教えるにしても教授が違うとこうも違うのか、と強く実感しました。次に、私個人への意味合いとしては、過去仕事上で幾つか犯した大きな失敗の原因を悟り、今後安心して金融のスキルを磨けるようになった、2点が大きいです。前者については、前職でよく金融出身の上司とは事の進め方や考え方で衝突することが多かったのです。しかしこの授業を受けて、その多くのケースでは、聞き分けの無い私が悪かったのだ、と反省しました。また、金融以外の点についても、この資金調達の視点があれば失敗を回避できた、という振り返りも幾つかありました。そして後者については、公平な視点で全体感を身につけることで、リーマンショック以降散々議論されている金融業界の意義が、より明確にイメージできたことが大きいです。これらから、この授業は今後金融のスキルを身につける、大きなモチベーションになりました。

(2) Venture Capital & Private Equity (2年生秋学期通期:3単位)
正直前半の7回分は、何でこの授業人気なんだろう、とあまりピンと来ず、全5回のチーム課題も、最初2回は、まあVC&PEならこういう課題だろう、という予想の範囲内。しかし、後半の授業7回が圧巻で、3回目以降の課題には仰天しました。

○ 課題第3回: 企業価値評価: 様々な評価手法を試す中で、スタートアップへの投資額を決める難しさの、様々な壁にぶち当たりまくる。非常に非対称な情報と非効率な市場の中を、まさに宝探しをしているようで、こういう世界は面白い、とわかりました。

○ 課題第4回: 契約書: こういうものは専門家に任せればよいや、と思っていた私の考えが一変。このストラクチャーをどう決めるかが、実はスタートアップ企業と投資家双方の生死を決めてしまう非常に大きな問題。だからこそ、VCや投資銀行といった金融サービスが、スタートアップの成長に対して大きく貢献できる、という意味合いを、実務のレベルでクリアに理解できました。

○ 課題第5回: 投資の提案: 全ての知識を総動員して、与えられた20社の中から1社投資先を選び、投資スキームとそれに基づく契約書までを書ききる。膨大な作業量を、米国人、韓国人、中国人と私の4名のチームで処理していく中で、特にVCから来た一番経験豊富な中国人が、事業会社側出身の他メンバーと相当対立。どうにかチームで相当自信を持って纏め上げた最終報告書。3名の教授陣にVCの視点から「この企業にこんな高い金投資できるわけ無いだろ」と、ぼろくそに叩かれるは、インターン先のCEOに持っていって見せても、「こんな条項を入れてくるVCとは俺は一切組みたくない」とスタートアップ側の視点からぼろくそに叩かれるは、散々なフィードバックを受けました。実際の仕事でこれをやら無くてよかった、という、とっても良い勉強になりました。

一番現場に近い実務の部分まで触れた上で、VC業界全体の俯瞰をし、3名の教授と共に毎回実際の大物VCが招待されて活発に議論がおこなわれる中で、現状とインサイダー事情を学べる。VCとは何か、というイメージが根本から覆った、贅沢で幸せな時間でした。

(3) Financial Information Analysis (2年生秋学期通期:3単位)
この分野で世界で3本の指に入る有名なRicherd教授による、実際の企業を外部情報から評価しその将来を予想する決定版の授業。投資家や株式アナリストが、企業の情報(戦略、会計、業界/競合比較、将来予測、現実の株価予測)を、どこまでどう確実に入手・分析可能で、どこからは個人の裁量に委ねられるのか、という境界が見えたことが全体的な学びです。特に将来予測と現実の株価予測の2つの話題については、M&Aケースコンペにも即応用が効いています。

先生自体も特に多くの米国人受講生は「こんなに謙虚に丁寧に教える人はいない!」と絶賛しています。しかし、私にとっては、前半は、単に彼自身が書いた教科書の知識を披露している、つまらない印象で、いつも内職していました。ところが後半に入り、難しい期末試験と、重いチーム課題が立て続けに降ってきて、前半のつまらない講義が如何に重要だったか、と後悔・猛反省し復習しました。

こうして復習してみても、会計スキルのところは良く判らなかったことから、春学期のMBA223を取ることに繋がりました。また、今回は、米国人+インド人2人+韓国人+私のチームワークがとても上手く機能し、成績自体は良かった一方、外部情報だけから投資をする仕事は、現時点の私には向いていない、とも気付きました。

(4) Design Financial model that work (2年生春学期前半:1単位)
題材を簡単な財務諸表にしているだけで、金融は関係ない。その実態はむしろ、工業デザイン、もしくはもはやホワイトカラーの生産性向上の授業に近いです。ビジネスのあらゆる場所で使われる数字入りの書類(殴り書きもエクセルも両方扱う)や、それを用いたコミュニケーションに、何が綺麗(最も単純で必要十分:誰が見ても理解が早く間違わない)か理解し、それを自分で達成できるようになるまで演習や他人へのフィードバックを繰り返した結果、その後の生活に即反映しています。

全7回の授業でしたが、概念から始まり個別の各論に落とし込んだ、前半4回の授業には毎回感動。しかし、後半2回はあまりにも五月雨式にエクセルのツールやらなにやら個別の知識が降ってきて、結局よく判らず失望。ただし、教授によると後半2回は色々実験しながら授業を改善中とのことで、今後はより良くなることが期待されます。

また、2人でチームを組んで課題を解く機会が何度かあり、米国人、インド人、イスラエル人、ガーナ人と共同作業してみる。皆、陥りやすい罠の癖が極端に違うことも、面白かったです。

(5) Private Equity (2年生春学期前半:1単位)
日曜日を丸2日潰す授業。その授業にしても、その間にチームで2回提出する課題にしても、Private Equityとは何で、実際に何をしているのか理解するうえで、とても勉強になりました。

まず、Puff教授が現役のPEのパートナーであり、彼が実際に何を思ってどう投資し、結果どんな良い結果や悲惨なトラブルが起こって、どう対処したか、という実話が、授業内の様々な場面で登場し、説得力を増します。そして、その豊富な経験に裏打ちされた彼が学生に問う課題が、凄く良く練られています。大きな宿題も、授業中に「今から10分で隣の人と議論して発表せよ」という小テストも、どれも一筋縄ではいかない上、それらがストーリーとして頭にこびりつきます。そして、それらの課題全て解き終わって残るものは、チームワークの成果としてのPE関係者全員向け財務モデル・プレゼン資料と契約書といった実務の雛形に加え、「XXの際の10か条」のような行動規範あり、PE業界が世界経済のどこにどう絡んでいるかという鳥瞰図あり、と盛りだくさんです。

今までM&AやVC&PE、Corporate Financeの3つの授業でPEを扱った会が1-2回ずつあり、PEに対する理解はそれで十分かも、と思っていたのですが、PEの方ご自身がPEを扱うことで、他の授業とは切り口も迫力も全然違う授業になっていて、取る意味大有りでした。やはりものは現在進行形の当事者に習うのが一番だと、改めて実感しました。

チームは、米国人、韓国人、スペイン人、中国系米国人と私。上5つの授業では、毎回異なるメンバーと組んでいるのですが、とてもインターナショナルなチームになり、面白い問題が発生することには変わりない。このチームでは特に、スペイン人と中国系米国人が、互いの国をののしりあう勢いで対立して大変でしたが、それを乗り越えて今、M&Aコンペに入れているのだと思います。
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うーむ。やはり授業について書くのは難しく、総論も各論も備忘録になってしまいましたが、データベース的にそのままにしておきます。最後になりますが、記憶に残る授業という意味では、ここで書いた5つよりも「キャリアチェンジャーの最終学期考」の記事内で「(4) 中長期的な視点で思考回路の幅&深さを今一度棚卸しする」に分類した2つの授業(Managing InnovationとInternational Finance)の方が、予想通り学びも印象も全然深いです。これらの凄さをどこまで書き残せるかは判りませんが、最終授業まで聞いた上で、じっくり纏めてみたいと思います。


(注1) 授業をブログに書くことが難しい理由:
○ 特に必修授業の内容は、日本語の文章にした瞬間、「MBAxxx」といった形で本屋さんに並んでいるものと、さほど変わらなくなってしまう上、改めて私が書くより本の方がわかりやすい
○ 新しい概念を議論することもあるが、その感動や凄さは、ブログで伝えるのは難しい
- そもそも高い授業料と時間を払い、ビッドで勝った人のみに公開している授業内容を、あまり公開する気になれない
- 公開するにしても、前提知識や背景に長文の解説が必要で、作業量が膨大
- さらに、新しいものを知るときには、自分自身が専門家でないため、あやふやな点を無くすことにも時間がかかる
- そこまでして公開しても、自分以外の人は読む気にならないだろう
○ 内容ではなくプロセスの学び:例えば、チームで宿題を準備・議論したり、1つの概念についてじっくり考えたり、それを元に授業で議論する、は、実際次から次へ色んな学びがありすぎて、ブログに書くときには臨場感が失われて、うまく表現できない。
○ そもそも、「授業」という言葉がわくわくしない
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by golden_bear | 2010-04-05 09:43 | 学業


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