A Golden Bearの足跡


UC Berkeley Haas School (MBA) における、2年間の学生生活の記録です。
by golden_bear
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巨匠ピアニスト アルフレッド・ブレンデル(Alfred Brendel)氏の講演会

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今週は後半から体調が悪く、ハロウィン・パーティーはじめ幾つかのイベントをキャンセルして家で静養していたのですが、1つだけ、参加した催し物があります。それが、このアルフレッド・ブレンデル氏の講演会になります。何気なく回ってきたメールを見て、妻が「これは絶対に見に行かなければならない」、と言っていたイベントでもあり、満を持して見て来ました。

ブレンデル、といえば、バッハからシェーンベルクに至るまでドイツ・オーストリアの作曲家を得意とする、いわゆる正統派の巨匠ピアニスト。シューベルトやモーツアルトの全曲録音や、リストの演奏にも定評があるそうですが、なんと言っても彼がベートーベン演奏で打ち立てた金字塔とその名声は、他の誰にも真似ができないものと思います。1960年代に世界で初めてベートーベンのピアノ曲全曲を録音し、特にピアノにおける新約聖書に喩えられるベートーベンの32のピアノ・ソナタに関しては、1995年に至るまで全曲録音を3回もしているのです。今年78歳になる氏は、昨年12月にピアニストの演奏家としては引退を宣言。現在はボストンを拠点とし、New England Conservatory of Musicおよびジュリアード音楽院で指導者となられている他、作家としても本や詩集を残しているそうです。

今回の講演会の題名は、"On Character in Music (音楽の中の性格について)"。最初に「演奏家の仕事は、人が小説を読んだ時に頭に思い浮かべるような情景や感情と同じものを、音楽の譜面から取り出して聴衆に伝えることだ」と定義。その後1時間半弱の間、ベートーベンの32のピアノソナタから様々なモチーフ(数秒~数十秒の旋律)を取り出し、ブレンデル自身が「ベートーベンが伝えようとしているもの」をどう解釈しているか説明しながら、隣にあるピアノで実際に演奏して聴かせる、ということを繰り返す、という形を取っていました。

最初は、ピアノソナタ1番や、29番「ハンマークラヴィア」といった、いかにもソナタ、という曲を題材に、ベートーベン自身、つまり作曲者側の構成の工夫について語ることが多かったのですが、次第に17番「テンペスト」や15番「田園」、21番「ワルトシュタイン」といった中期の印象的な曲を取り出し始めると、もはや論理的には絶対に思いつかない「本当にそうなの?」と思うブレンデル独自の解釈に力が入り始めました。この時に、まるでグレン・グールドのように歌いながら披露したモチーフの数々は、時にブレンデルらしく感情を抑えたものであり、時に講演会であることを忘れてそのまま演奏し続けちゃうんじゃないか、と思うくらいのめりこんでいたものもありました。流石に引退後でもあり、音やリズムは一杯外れていましたが、それが全然気にならない素晴らしい音や旋律。「なるほど、こう解釈しているからこういう演奏になるのか」と、頷かざるを得ない、素晴らしく説得力のある「スピーチ」でした。


こう書いては見たものの、恐らく興味のない人にとっては、耐え難いつまらない講演会だったのではないか、と感じています。私自身にとってブレンデルは、私が高校3年生の時、なけなしのお金をはたいて3回目のベートーベンピアノソナタ全集を買ったくらい、個人的にとても思い入れのあるピアニストだったので、講演を聞くだけでもとても楽しめました。妻にとっても8年前に生で演奏を聴いた時に、涙が出るほど感動した名演奏だったそうです。しかし、聴衆の中には途中で帰ってしまう人もいましたし、最後、アンコールで何か1楽章でも演奏してくれるかな、と皆が期待して拍手をしていたのですが、結局演奏は行わず、聴衆から落胆の声が漏れていました。
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にもかかわらず、この日会場は1,000人近い超満員で、多くの観客からは絶え間ない拍手が送られました。これを見て、高々人口10万人のバークレーという町や、UC Berkeleyという大学が担う、文化力の高さを思い知った気がしています。また、今回のツアーでブレンデルは、イエール大学や、オレンジカウンティ、プリンストン大学、ワシントンDCを訪問するそうです。ここバークレーはじめあまり大都市が入っていないことから、アメリカのまた違った奥深い面を感じました。


もう1つの偶然として、本日は私がかつて所属していたピアノサークルの発足35周年記念パーティーが東京で開かれていた日でありました。このパーティーの会誌に寄稿を頼まれたため、以前このブログで書いたとおり、「バークレーは環境が素晴らしすぎて、今まで気晴らしに続けてきたピアノを弾くモチベーションが、12年ぶりに全く無くなってしまった」、という内容の文章を投稿しました。その文章が公にされた日に、このようにブレンデルの演奏を生で聴き、またピアノの素晴らしさを思い出したのは、とても面白い偶然です。もちろんブレンデルを生で聴いてしまうと、もはや自分でベートーベンを弾く気には全くなれないのですが、何らかの機会を生かして、何らかの形でピアノ演奏も復活させたい、と思うきっかけにはなりました。

講演会が終わり、大学のキャンパスを歩くと、ハロウィンの格好をした人々を多数目撃しました。サマータイムも終わり、もうすっかり秋になった感じです。
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by golden_bear | 2009-10-31 22:20 | 趣味・生活

2年目秋学期前半(Fall A)終了(3/3): 九死に一生の経験とゆとりについて

1. 2年生の選択授業は、1年生の必修よりとても印象深い
2. MBA生活は後わずかしかない:一番重要なのは、狙ったネットワーキングではないか
3. ゆとりも必要

ここで突然ゆとりも必要だ、と思ったのは、次の3つの事件が関係しています。1つ目は、健康。何故かここ1-2週間、ずっとお腹を壊していました。ザンビアですら全く無問題だったのに、不思議なものです。さらに先週、突然左人差し指が痛くなった。多分、原因は急なゴルフのやりすぎ。一度グリップが中途半端なまま強振したような気もするし、それでもあまり痛くなかったので週に3回以上は打ちっぱなしか18ホールを回ることを続けていたからかもしれませんが、やたら痛くなりました。で、今週は火曜日に70球打ったら痛くなったので、とりあえず3日やめて見たところ、本日時点で痛みがなくなりました。もう30歳になってからも大分経ちますし、何事も急にやりすぎるのがは良くないな、と思ったのが1つ目。

2つ目の事件が本日のメインテーマ。前回のブログの最後にも書きましたが、先週末に大学OBの同窓会、および、International Potluckの2つを、キャンセルする羽目になった話です。

ゴルフが終わって帰宅途中に、5車線道路の真ん中から2番目の道を、周りの車に併せて75mile/hr (時速120km)で走っていると、突然アクセルが効かなくなりました。どんなにアクセルを踏んでも、徐々に減速している。ダッシュボードを見ると、エンジンオイルのランプが点滅している。とりあえずどうしようも無いので、急いでハザードを出して路肩まで行こうとする。しかし、周りの車は全然減速しようとしない。これはヤバイ、ほんとにぶつかったら死ぬかもしれない、と思いながら、必死で前と右とバックミラーを確認しながら、路肩までたどりつきました。
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(この写真は現場と違う写真ですが、こんな景色の道で、一番左から右までたどりついた感じです。)

路肩にいても、隣は時速110km位走っているので、いつ誰かが間違ってぶつかるんじゃないか、と冷や冷やします。そして、このとき私はAAA(日本にいるJAFのような、電話1本で故障車対応などをしてくれるサービス)のメンバーに入っていない。「今後車で遠出することもそんなにないだろうし、年会費1万円がもったいない」と思い、契約していなかったのです。とりあえず一度、家にいる妻に電話する。妻からは、車のダッシュボードの中に保険証が入っているから、まず保険会社に電話してみたら?と言われる。確かに、友人が車を壁にぶつけた時に、保険会社に電話してたなあ、と思い、試してみる。しかし、今入っている保険会社が怠慢なのか、不況で人減らしをしているからか、「年中無休で24時間対応します」と紙にも書いてあるし電話の最初でもそうメッセージが流れているのにも関わらず、すぐ次に「すみません、今は誰も対応できないので、営業時間中におかけ直し下さい」というメッセージ。

もう一度妻に電話をして、家に来ていた妻の友人が入っているAAAの番号を教えてもらい、電話をしてみる。AAAからは、当たり前ですが「貴方が今会員になっていないのなら、サービスは提供できません」との対応。「今すぐ会員になるから、すぐサービスを受けられないか」、と聴くと、「入会希望から実際の入会までは最低でも48時間かかるから、どのみち間に合わない」、との返答。「こんな優良顧客が目の前にいるのに、貴方はどうして見過ごせるのか。私からはプレミアム料金も取れるぞ」、と言ったのですが、流石は独占企業、「そうは言っても、規則は規則なので、駄目です」という返答。仕方ないので、「私は留学生でアメリカに来たばかりで、AAAの存在も最近知った位なので、貴方に見捨てられると正直どうしようも無く困ってしまう。AAAでなくても良いから、何とかこの困った状況を解決できる方法を教えてくれないか」、と聴いたら、「しょうがないわねえ。AAAがこの地域で契約しているレッカー車の電話番号に転送するから、直接そこと交渉して」といわれ、レッカー車に繋がりました。

なんでここまでAAA経由にこだわったか、というと、それ以外の方法は警察しかなく、ゴルフの懇親会で空きっ腹にビールを飲んで結構酔っぱらっており、この状態で警察はありえない。しかも道中ハイウェイパトロールがうろちょろしているのを見ているので、我の車が発見されて警察に尋問されるのも時間の問題。というわけで、何とか酒気を消すために、そばにあった懇親会の残りに頂いていた食料を一気喰いしたり、窓を開けたりして、レッカー車の連絡を待ちました。

レッカー車の人と話す。「今はI580のオークランドの27番出口のすぐ手前の路肩にいる。」と話すと、「困ったなあ。今オフィスにある地図上では27番出口なんか無いぞ」との返答。おいおい、それでよくレッカー車業者が務まるなあ、と思って諦めかけて何気なくエンジンをつけてみると、なんと発車するではないか。少しちゃんと動くことを確認し、「わりい、わりい。車だけど直ったみたいだから、もういいや」といってレッカー車への電話を切る。そして、iPhoneで一番近いガソリンスタンドを探し、そこまで車が止まらないことを祈りつつ、ゆっくり進める。

オークランド南部のガソリンスタンドは、流石に黒人ばかりだし、店員さんも防弾ガラスに囲まれたブースの中に居て、お金だけやり取りできるような作り。とりあえず酒気を消すためエナジードリンクを買って飲みながら、店のおじさんに、「15分ほど前に突然車のアクセルが効かなくなったのだが、直せるか」と効くと、「ここはガソリンしか提供していないよ。すぐそこに、オートパーツの店があるから、そこで聞いたら良い」との返答。日本とガソリンスタンドの機能は全然違うのね、と改めて感じながら、オートパーツチェーン(日本のAutobacksやYellow hatといった類の店)の店に立ち寄って、店員さんに話を聞く。「ちょっと車を見てやる。うーん、たしかに、エンジンオイルが焦げてるにおいがするね。ただ、申し訳ないけど、この店はパーツを売ってるだけで、オイル交換などのサービスはないんだ。他の店をあたってくれ」との返答。なんじゃそりゃ、という感じだが、それだけ米国の場合、車の点検や修理は自分で日常でやってしまう人が多いのでしょうか。

iPhoneで幾つか見てみたが、土曜日の夜にやっているサービスセンターなど、全く見つからない。そこでパーツの店員さんに聴くと、「あまりスピード出さなければバークレーくらいまでなら帰れると思う」といわれたので、高速に頼らず下の道だけで、バークレーを目指して北上。このとき、カーナビは電気を喰うので使わず、iPhoneのGoogle Mapのみに頼ったのですが、経路検索をすると高速が出てきてしまうので、とりあえず地図機能のみを頼りに北へ向かう。考えてみると、こうやってオークランドの町並みを南から北まで下の道でのんびり走る経験は初めて。中心部には想像以上に巨大なビルが立ち並んでおり、サンフランシスコ並に大きな町だなあ、と思う。が、土曜日の夜でも有り街は閑散として危険な雰囲気。そして、途中で大通りが途切れて、何故か小道に。故障車でスラム街に1台だけぽつんと迷い込んでしまう。もう日も暮れており、道端にうろうろしている危ない目つきの人々に、いつ銃で脅されるか、という恐怖におびえなながら、「頼む、バークレーまで故障しないでくれ」、と祈り続ける。どうにかオークランドの倉庫街を抜け、見慣れたバークレーにたどり着きました。

家に帰って、妻と「これは妻が1人で運転している時に起きた故障じゃなくて良かった。我々は運が良い」という話をしました。実はこの車、2週間前にもブレーキのきしみ音がうるさくなったので、修理工場に出して$200払ってブレーキを直してもらったばかり。何でその時にこのエンジンオイルの問題とか発見できなかったのだろうか、と、修理工場の対応に不安になり、元々自動車に詳しい父親に電話。店に何を確認すればよいか、父親に聞いた後、速攻でAAAに入り(実はネットだと1分で入れたので、故障した瞬間にiPhoneで入れば良かったのかもしれない、、、)、翌日曜日に空いている自動車修理工場を探しました。

翌日曜日。多くの自動車修理工場が休みにしている中、この車の前の持ち主も使っていた、タイヤチェーンのBig-O-Tireが営業していたので、行くことに。ここはタイヤ以外にもバッテリーやオイルなど、基礎的な車の機能を全てチェックしてもらえる上に、何に幾らかかるか、明瞭会計になっているので、以前頼んでいた近所の自動車修理工場より、とても安心してお願いできました。さらに、待ち時間には待合室で、ポップコーンやコーヒーを飲み食べ放題、というサービスもありがたかったです。

結局、全部点検してもらった結果、「とりあえず今わかっている故障は、オイルが古くなっていたことだけで、他には問題ない。ホイールバランスも直しておいた」ということでしたので、オイルを交換してもらい、無事、元通り以上に快適に走るようになりました。以後、クーラーの利用などに気をつければ、まだまだ持つと思います。

今回は結果オーライでしたが、もし先週までの忙しい間、ゆとりがない状態で、こういう事件が起こったら、もっと大惨事になっていたかもしれない、ということを改めて実感しました。アメリカ生活にも大分慣れてきてはいるものの、ここでもう一度安全・安心こそ最優先という原則に立ち返り、健康・安全第一で無事に留学生活が終われるようにゆとりを持ちたい、と思ったわけです。


3つ目の事件は、蛇足になりますが、単純に空虚な何もない時間も、MBAの重要な要素と思いはじめたこと。先週の試験を終え、今週は休講も重なり授業数が通常より6時間分少ない週でした。そこで思ったのは、授業が1-2時間少ないだけでも、ゆとりの大きさが全然違う、および、そのゆとりのありがたみです。

2ヶ月前のJapan Timesへの執筆の際に、過去1年を振り返ってみて、毎日様々な異なるイベントが発生していて1日として同じ日がなかった、と書きました。その中には、授業やインターンのように「義務」もあれば、旅行など自分や家族で「自由にやりたいことをやる」場合もあり、他にも突然予期せず発生した「行事」(シリコンバレーで毎日何かしらやっているようなシンポジウムなど)や巻き込まれた「イベント」(飲み会やチームのトラブルなど)も多数あります。このうち特に、最後に書いたトラブルも含めた予想外の「魅力的な誘惑」があまりにも多すぎるのが、Haas MBAの良いところ。だからこそ、このバークレーの土地で、私は、来る前には想像も付かなかったことをやっているのだと思っているし、過去多くの社費留学者が会社を辞めることを決断した、危険な場所である要因なのではないか、と思っています。

それは今週も同様。先週より6時間授業が少なかったにもかかわらず、私のスケジュール自体は週が始まる前に一杯まで埋まってしまいました。たとえば、
 - インターン: 急遽、顧客や投資家の候補が大量に現れ、いろんな情報を欲しがったため、緊急の調査仕事が大量に降ってきた
 - 急な飲み会(1): Japan Trekで仲良くなった別の連中が、「日本人の『営業マンがやるような飲み会を久しぶりにやりたい』」ということで、ビールをがぶ飲みする飲み会を実行
 - 急な飲み会(2): Fall A Partyという、中間試験が終わった1年生向けに、仮装パーティーを行うのですが、これは2年生が中心になって企画する恐らく最後の飲み会。皆就職活動で忙しく人不足だからか、2年生幹事メンバーに入って欲しい、という要請が仲の良い友人たちから急遽あり、いいチャンスと思い手伝うことに。
 - 急な飲み会(3): 妻の友人が5日間うちに遊びに来ていたので、「日本人の女性をどうしても紹介してくれ」と凄い勢いで頼んできた同期の友人を、急遽家に招いて会ってもらうことに。
 - クラブ活動(1): 去年行われた"Haas Talent Show"を毎年の定例行事にするために、1年生の幹事を募って説明会を開催。参加者として、どういう会だったかを説明するヘルプを求められたので会議に参加。ちなみに、今年は既にこのショーに向けて練習している人が大勢いるらしく、オーディションを開催しないと入りきらないのでは、という話になっていた。
 - クラブ活動(2): 最近知り合いが立ち上げようとしているあるクラブ活動に参画。どのように立ち上げられるか検討中。

ところが、ゆとりがあったお陰で、先週までとは次の2つの点で感じ方が全く違っていました。まず、この1つ1つの活動をより一層楽しめたこと。高々2時間分でも、減った授業に頭を使わなくて良い、というゆとりがあるほうが、先週以前より全然楽しく、この差はとても大きいのです。次に、当たり前ですが、このゆとりはとても貴重。毎日このような様々な誘惑に体を任せるだけでも、麻薬のように楽しい2年間が過ごせますが、一旦卒業すると、後は基本的に仕事をするか無職になるかのどちらか。履歴書に無職と書かれずに何もしないですむのは、私の場合恐らく定年にでもならない限り二度と来ないわけです。従って、どうせ後から様々な行事で埋まるのであれば、あと7ヶ月、サバティカルのように本当に「何もしない」ことも、積極的に取り入れて見たい、と思い、年明け最終学期の授業数は極力減らしてみよう、と考えています。


大分長文になりましたが、要は幸運な事件と気付きのお陰で、ゆとりが重要、と改めて思ったわけです。ひるがえって考えてみるに、社費の人以外のMBA生がゆとりを持てない一番の要因は、就職活動にあるわけです。例えば今年のFall A Partyは、去年に比べると盛り上がりに欠けていた印象を受けます(それでも相当盛り上がっていて、単に去年が異常なだけかもしれないが)。これは、日程がテスト直後だった去年よりテスト終了1週間後になった今年の方が悪かった、ということを差し引いても、2年生は就活真っ最中、1年生も浮かれている場合ではない、という意識が相当高いからの気がしています。現に来ていた2年生のほとんどは、元々ソーシャルの意識がとても高い一部の人々を除けば、既に現時点で内定を獲得している人か、自分で起業中のためネットワークを広げたいと考えている人々が多数に見えました。そこで、次からの記事では、少しでも現1年生や今MBAを検討している人のためになればと思い、私の同期世代の就職活動(夏のインターンまで)について、少し書いてみます。
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by golden_bear | 2009-10-23 23:35 | 趣味・生活

2年目秋学期前半(Fall A)終了(2/3): 既に名残惜しみつつネットワーキング

1. 2年生の選択授業は、1年生の必修よりとても印象深い
2. MBA生活は後わずかしかない:一番重要なのは、狙ったネットワーキングではないか
3. ゆとりも必要

本日は2.について。卒業式の日程が来年5月14日と発表され、もう卒業まで7ヶ月を切ってしまったことをまざまざと見せ付けられています。さらに、Fall Aが終わった、ということは、MBAの2年間を合計10学期間(注1)と考えると、うち7学期分、すなわち70%が終わった事になります。このベイエリア/シリコンバレーにいる間にやりたいことはまだまだ山ほどあるのに、全然時間が足りない。すでに1日も無駄にできない、と思いながら、切り捨てる/諦めるものを増やしながら動いている今日この頃です。その中で、最近妙に活動の優先順位が高くなったものがあります。それが、『狙った』ネットワーキング、です。

『狙った』、という言葉には、「今の自分に無いものを補完し、自分の将来に意義がある可能性の高いものを厳選する」という意味と同時に、「ただ漠然と過ごしただけでは手に入らない、他の何かを捨ててでも奪い取る必要がある」ものをイメージしています。逆に、狙っていないネットワーク、というのは、深く考えなくても普通に過ごして自然と出来上がってくるようなものです。MBAに来ている時点で全員、ネットワークは重要、と思っているので、意識しなくても勝手に居心地の良いネットワークが出来てきます。これはこれだけでも、ものすごい価値が高いものです。しかし、後数ヶ月しかない今、もう1歩踏み込んで、何かを犠牲にしたり苦痛を伴ってでも取りに行くネットワーキングをしていこう、という気持ちになっています。

また、1年前とはネットワークの仕方も変わっています。1年生の時には、とにかく行ける行事には食わず嫌いをせず極力全て顔を出してみて、自分の世界を極限まで広げるように動いていました。これには、1年間でどういう行事があるのかの目星を付けるため、そしてわざと好きではないものにも参加してみることで、自分にどういう反応が起こるか確かめる、またこれらを通じて多様な英語のリスニング機会を増やす、などの意味がありました。こうしてきたお陰もあり、2年目には、2回目に行っても意味があるものと、去年行けなかったものに限定して、狙ったものに参加しています。また、1年目は必修授業かつグループワークが多かったこともあり、まず課題提出などのノルマが先にありきで、余った時間をネットワークに充てる動き方でした。一方、2年目はそもそも就職活動や起業等で授業に出れない人が一杯いることもあり、「この課題を仮に提出しなくても、単位は来るな」と思えば、課題を出さずにネットワークを優先させることもありになりました。要するに、1年目はインプットの量を増やして、2年目にアウトプットの質を高めて収穫する、というネットワークをしているイメージです。

このように、改めてネットワークが重要だ、と思った2週間前位から、どんな機会があったかを、下記ならべてみます。

(1) 南アジアのコンサンプションファンクション(10/2)
大学の中庭で金曜日に月1-2回、どこかのクラブや企業が主催して無料でお酒/料理/踊りなどを振舞う祭事があり、これをコンサンプションファンクションと呼んでいます。この、南アジア人主催のものには去年も出ているのですが、今年のものは自分に取って、去年とはまったく意味が違いました。
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去年は、「2年生が主体で一杯踊っているなあ」と、「インド料理旨いなあ」、という感想で終わっていたのですが、今年は、ひと夏を終えた2年生達の大半と一度に飲める貴重な機会。会う人会う人と、「夏はどうだった」、「今何してる」、「今後どうするの」、「お互い頑張ろうぜ」という話。皆いろいろと大変な経験をしているなあ、と驚く。そして、1学年240人、という他校より少ないがMBAとしては丁度良いサイズのありがたみ。この時期になると、同期の顔は全員見知っており、まだ話したことがない人でも簡単に誰かの紹介で仲良くなれます。
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そして、本日の主役は勿論南アジア人たち。ザンビアのチームメンバーや今までの授業、就職活動などで大変御世話になった友人達が、パフォーマンスをしているのを見ると、思わず声援をかけてあげたくなる。その彼らがアトラクション終了後にいろいろ紹介してくれた人々と、自分自身インドの踊りを一緒に踊って、新たな知り合いが増える。そしてまた、就職活動などで困っている人がいれば、お互い助け合う。妻同士も妻同士でいつの間にか友人関係が広がっている。
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このように、助け合いのネットワークが短期間に広がって行くのは、1年生の時には全く感じなかった現象で、1年間MBAで気付かないうちに結構いろんなことをやってて、これだけの友人ができていたんだなあ、と改めて気付きます。最後は相当酔っ払ってあまり覚えていないのですが、、、


(2) Pac Rimのお月見Potluck(10/3)
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Pac Rimは、Pacific Rimの略で環太平洋圏出身か、そこに興味がある人たちの集まりです。Potluckとは、自分達で料理を作って持ち寄る形のパーティーで、特にこういう集まりでは自国の料理を持っていくことが多いです。この日はアジア系の学生4人が住む下記のような家で、中華、韓国、日本、タイなどの美味しいアジア料理が勢ぞろいしていました。
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実は、Pac Rimには1年生の時にはあまり積極的に参加していませんでした。というのは、このクラブは、どうしても中国人や台湾人による、中華圏の就職活動やイベント情報配信が中心で、日本人の自分には疎外感があった。そして、このクラブを見て「日本人のネットワークが弱い」と感じて、JGRBを立ち上げるきっかけになったのは良かったのですが、その結果、ことごとくJGRBとこのクラブの行事が被りまくった不運もありました。

しかし、今は中国語を勉強していることからも、中華圏の人々とのつながりは自分にとって特別な意味を持っており、パーティーに参加してみると、とても面白い。普段授業中などは何もしゃべらず何考えているか良くわからないことの多いアジア人が、ここでは全然オープンに何でもしゃべってくれる。米国人や欧州人も、ここに来るような人は相当アジアへの造詣が深い。彼らが中国やタイに行って如何に苦労したかを聞くたびに、自分が日本人として今後アジアに関わる際に知っておくべきことを、改めていろいろ学ぶことができました。また、これくらい閉じた場の方が、普段あまり交流のない1-2年生同士の知り合いを増やすのにも適している、と、2年生になった今はじめて気づいています。


(3) ザンビアチームの同窓会(10/4→キャンセル)

これは、前から楽しみにしていたのですが、当日南アジア人2人がドタキャン。1人は就職活動、もう1人は起業でとても忙しいらしい。とはいっても忙しいのはこちらも同じ。チームの中国人と2人で、「ザンビアでも良く見かけた光景だ」と苦笑い。


(4) アメリカ人に招かれたすし屋(10/8)
Japan Trekに参加した、あるアメリカ人が、「お前ら日本人だけを連れて行きたい寿司屋がある」ということで、彼+日本人同期5人で、最近サンフランシスコにできたばかりのすし屋"Sebo"に行ってきました。こんな誘われ方をするのも、Japan Trekの成果の一つです、

流石に日本人を限定して誘うだけあって、寿司自体もサンフランシスコとは思えない、日本でもそこまでメジャーではない秋刀魚や太刀魚などのネタが一杯出てくる、美味しいものでした。オーナーは米国人なのですが、小さい頃から沖縄で育ったのだそうです。

これに誘ってくれたグルメの彼は、元々コンサルタントだったが、金融機関への就職が決定したとのこと。そこで、何故金融を目指したのか、そのために今何を準備しているのか、などなどいろいろ聞いているうちに、彼が本当に昔から何をしたいか真剣に考えて生きて、それをMBAという場で実践に移してることがわかり、それがこの金融危機後に他業界から転職に成功した秘訣のように見えてきます。同じコンサルタント出身で他業界に転職を希望する身でありながら、MBAという場をゼロベースの自分探しの旅として使っている私と比べると、元々やりたいことが決まっていた彼のMBAの使い方は、正反対になります。MBAの使い方は人それぞれ異なり優劣はないのですが、少なくとも私のような生き方の人は、彼のように目標が明確な先人から多くのことを学べました。

2次会でドイツ風のバーに行き11時まで飲んだ後、3次会は日本人だけで1amまで飲みました。日本人同期は、もちろん狙わなくても一番最初にできるネットワーク。しかし、あと7ヶ月しかない中で何をするか、という話には、かなり濃い議論になりました。この同期との関係は、卒業後も一生大事にしていきたいものです。


(5) Tech Club Lunch(10/14)
Tech Clubという、ハイテク業界のまじめな議論や就職活動のサポートをするクラブが主催したランチ。最近のハイテク業界の記事2つを印刷して持って行き、食事をしながら議論をするという会です。

実は、このイベントは毎回間が悪く、今回もある企業の就職説明会が被ったりして、クラブ自体には100人くらい在籍しているのに、当日参加者は13人。私自身も本日が初参加で、かつ試験真っ最中の水曜日に開催されていて、しかもレポートが終わっていなかったので、去年までだったら当然ドタキャンしてここには行かなかったと思います。しかし、この日は何故か「どうせ1時間半課題に余分に費やしても、大差ないし、このイベントに行かないとネットワークが増えない」、と考えて、宿題を放棄して参加することに。

私が持って行った記事は、2つの音楽認知検索ソフト、
"Shazam""midomi"に関するものでした。どちらも、iPhoneに音楽を流すと、何の曲か検索するソフトです。Shazamの方が、無料ソフトで、6ヶ月前に1,500万人だったユーザーが今は6,000万人いる。midomiは有料ソフトだが、Shazamの3倍検索が速く、かつShazamと違って鼻歌でも検索できる、という記事です。なぜ10年前に立ち上がったShazamが今更爆発的に伸びているのか、なぜKleiner Perkinsという老舗名門ベンチャーキャピタルがこのタイミングで投資しているのか、無料で今後どうやって課金するのか、他のソフトやメディア・サービスとの連携は何がおこるか、などなど、流石はTech Clubのメンバー。この手の記事には既に敏感で、面白い議論が沸騰します。

すると、たまたま前の席に座っていた、よくスポーツ系のイベントでバク宙をする、目だってて顔を見るのに話したことのなかった女子学生(Techに興味があることすら意外だった)が、「実は音楽業界に興味があって、XXレコードとか今就職先として探している」という話に。そこで、この記事の話をすると一気に話が盛り上がって、彼女の知識、考え方、知見を一度に学んで、突如仲良くなれました。こうして、アメリカの音楽業界に関することは彼女に聞けばよい、という繋がりができたことで、課題1回分で赤点を取った投資は十分回収できると思っています。


(6) UCLA Anderson卒業生とカフェで談笑 (10/16)
2ヶ月前に、UCLAのTech Clubが、UCLAの学生でベイエリアでインターンをしている人を集めたワインパーティーに、HaasのTech Clubも招待されたので、顔を出しました。そこにいたUCLAの人の友達の友達、というUCLA MBA 2007年卒の方より、突然会いたい、というメールを受けました。よくわからんし、困ったなあ、と思ったので、「3週間後の金曜しか無理っぽいが、それでも良いか」とメールを出したら、「おれも丁度そこが都合よいから、バークレーまで行くよ」と返信があり、わざわざ訪問してきてくれるなら会うか、ということで会って御話しました。

聞けば、彼は卒業後に就職していた会社を突然辞めされられることになり、就職活動中の身分。このように2007年卒で職を失った人は大量にいるらしく、その再就職は困難を極めており、今ほとんど成功していないのだとか。で、彼の場合多少日本語が話せることから、日本と関連した就職先の、最新情報を集めたかったのだそうです。彼は、私から情報を聞き出すために、彼の日本人ネットワークなど、私にとって役に立つ情報をいろいろ教えてくれました。なるほど、インフォーマルな就職活動は、こうやるのか(というか、ここまでしない限り、今の中途採用は本当に無い、、、)、という御手本を見せていただきました。


(7) 出身大学対抗ゴルフ大会 (10/17)
ベイエリアに住む日本人による、出身大学対抗のゴルフ大会が開催されました。この日は、>Play Conferenceという、Haasの一大イベントがあったのですが、その日程を確認する2-3ヶ月前からこのゴルフには「行きますよ」と返信していました。最後までキャンセルしようか迷ったのですが、私の出身大学の参加者は4名になってしまい、キャンセルするのが申し訳なくなり、また>Play自体は去年も出たしWebでも後で講演とか聴けるのでいいかな、と思い、今回はゴルフを優先させました。
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ゴルフ場は、San Ramon。昔はプライベートコースだったが、最近パブリックになった、住宅地のど真ん中にある綺麗なコースでした。9番と18番が池の真ん中にグリーンがある名物コース。そして、アメリカではよくあるそうですが、なんとその池のほとりで結婚式が開かれていて、9番のグリーンに向かって打つときにはとても緊張しました。
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参加者は合計16名。上は60-70歳くらいの人まで参加されていて、日本企業に所属して赴任されて来た方、こちらでコンサルティングなど自営業をされている方々、米国企業や大学の研究者、すでに退職後の人生を満喫している方など、様々なバックグラウンドの日本人の方が楽しんでいました。私が一番若く、とても緊張して13打叩いたホールが2つあり、合計スコアは132。16人中最下位に終わりましたが、良い経験になりました。今回1位の方は確かスコア82くらい。60歳を超えた方がドライバーでものすごく飛ばして90前後で回っているのを見るのは驚きました。また、昔のクライアントさんに所属する企業の方などは、知り合いの知り合いとして繋がっていたりして、世の中狭いなあ、と感じたイベントです。
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(8) 大学OBの同窓会(10/17)
(9) International Potluck(10/18)

『狙って』行くはずだった、上記イベント2つは、残念ながらキャンセルする羽目になります。この話は、次回に行います。

(注1) Fall A, B, Spring A, Bの4学期 * 2年、に加えて、私の場合夏休みのザンビアと日米インターンが2学期分くらい重要だったため、4*2+2=10学期分。
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by golden_bear | 2009-10-18 22:55 | 趣味・生活

2年目秋学期前半(Fall A)終了(1/3): 終わった授業からの学び

試験&レポートの山だった怒涛の1週間が無事終わり、2年目の秋学期もあっという間に半分が完了してしまいました。どれくらい怒涛だったか、というと、書いた英文レポートは計38ページ。これに加えて、中国語とコーポレートファイナンスの中間試験があり、さらにCases for Entrepreneurshipで、自分で書いたケースを使って2時間の授業を行う私にとっての最終試験が被ったからです。この嵐のような1週間が過ぎて、強く思ったことは次の3つ。

1. 2年生の選択授業は、1年生の必修よりとても印象深い
2. MBA生活は後わずかしかない:一番重要なのは、狙ったネットワーキングではないか
3. ゆとりも必要

まずは1について。今週書いた英文レポート38ページの内訳は、
(1) Case Study for Entrepreneurshipのケース17ページ:(ケースA:12ページ、ケースB:3ページ、先生用マニュアル2ページ)
(2) Power&Politicsの最終課題論文10ページ
他にも、VC&PEの課題5ページ、インターンの市場調査6ページがありますが、これらは、まだまだ続くので、もう終わってしまった(2)と、授業は続くものの私の「最終試験」が終わった(1)について、感想を書きます。

(1) Case Study for Entrepreneurship
この授業は、今までに取った全ての授業の中で、予想外に、IBD(International Buziness Development:ザンビア行き)と並んで他とは比較にならない別格で素晴らしい授業でした。(概要は過去エントリ「水曜日は起業学の日 - 2年目秋学期授業(1)」参照)一番大きいのは、受講生が起業に関して造詣の深い8人しかいない、ということです。毎回毎回、8人のうち1人が、自分自身が体験したことを基に作成したケースを作成し、それを元にケースを書いた学生が実際にそのスタートアップの人を呼んで授業を行います。何が良いかというと、下記のように、楽しく8人分の人生及び8種類の起業体験を深く学べることです。
- 毎週友人の実話ケースを読むのが楽しい:
「おいおい、スタートアップでインターンする、ってこんな悲惨な目にあうのか」、「よく厳しい状況を乗り切って、凄いものを開発してるなあ」と、クラスメート達の苦労を目の当たりにします。これを見ると、単に宿題として課される他のケースより、圧倒的に楽しく、感情移入して、熱いものがこみ上げてきます。とくに、CEOと学生が2人で、「今本当に困っていて、何かアイデアが欲しい」という形で訴えかけたケースの際には、2時間の授業がその場でコンサルティングプロジェクトに変化。私も、久しぶりに前職の経験を思い出して、問題解決の議論を楽しく行えます。
- 議論が深く楽しい: 
8人ともスタートアップで働いた経験を元に起業を志しており、これに関する豊富な知識を持つので、書いたケースでちょっとでもわからないこと、知りたいことがあると、2時間の間に容赦ない質問攻めにあいます。このとき、普通の授業なら、教授は勿論そのケースの場面に実際いたわけではないので、受け答えも非常に表面的に終わるのですが、この授業では、実際の当事者とその上司が目の前にいてNDA(nondisclosure agreement:機密保持契約)を結んで議論をするため、とても深い議論になります。
- 教授やクラスメートと密度の濃い知り合いになれる: 
ここまで深い議論をすると、今まで知らなかった友人の深い一面を知ることになるので、当然とても仲の良い友になります。また、それは教授に対しても同様です。MBAに来る前にある先輩から、「MBAの2年間で1つだけやり残して後悔しているのは、教授とのネットワーク。いっぱい教授と話した方が良い」というアドバイスを受けましたが、それが実践できています。そして実際、教授と深い議論をして仲良くなると、MBAの違った価値が見出せます。

さて、今週は私の番でした。テーマは、「シードファンディング」、つまり、最初の会社立ち上げの際にどのように資金調達をしたか。今一緒に働いているCEOと、9月中旬から何を話すか相談していたのですが、機密内容の多い会社、かつ、私の仕事は企業秘密の数字を扱うものがほとんどで、現在進行形の話は書きたくない。また、私が入る直前の話なので、それをインタビューしてまとめることは、私の現在の仕事にも勉強の意味でもプラスになる、ということで、このテーマになりました。

しかし、事前準備には難航を極めました。実は今、インターン先は猫の手も借りたいほど忙しく、CEOも全米中を飛び回っている状況。私のケース作成のためにインタビューをさせてくれる時間など、なかなか取ってもらえず、時間を確保しても、延期が続きました。そして、1週間前に、これ以上はインタビューで聞いて書くより、幾つかのパラグラフを直接埋めてもらった方が早い、と合意した箇所を送って書いてもらおうとしたのですが、提出期限ギリギリにCEOから戻ってきた内容を読むと、当初のイメージより全然素晴らしくためになる内容。そこで、事前に作っていた先生用のマニュアルを、大幅に書き換え、本編の構成も変えることに。そして、最後ギリギリに、「やっぱり固有名詞で本名は使いたくないね」というインプットを受けて、全ての固有名詞を偽名に変更することに。。。(この作業は結構楽しかったですが)。

発表当日、4時からの授業の準備のため3:30にCEOに来てもらったのですが、私は他の宿題の提出期限(4:00)に追われ、3:59に提出。全然CEOと打ち合わせができないまま授業に臨みました。

授業は、事前にパートAを皆さんに読んでもらっていた状況からはじまります。パートAには、どんな会社でどういう状況で何が問題か:どんな市場で、どういう競合がいて、どういう経緯で立ち上がり、今何故どのように資金調達が喫緊の課題となっているか、資金調達のオプションにはどのようなものがあり、目下どのようなことを考えていたか、といった内容を書いていました。そして、「このCEOは1時間後に、どういう資金調達をすべきか、創業者に対して1分間の留守番電話メッセージ残すことになっている」、というところでパートA本文を終わらせて、実際に、授業の前半1時間で皆で議論をして、1分スピーチにまとめてもらいました。

先生役の私は、これが結構大変でした。私自身は、会社そのものにはあまり触れずに資金調達のオプションの議論を中心にしたかったのですが、参加した生徒、及び教授の興味は、会社の事業内容そのものに。このように思惑がずれたため、最初の30-40分間、質問攻めに会いました。最初のうちは、「こんな質問されても、答えとは全然関係ない、うざい質問だなあ」と思っていたのですが、聞けば聞くほど、私やCEOが事前には想定していなかった、「確かにそういう情報がないと、資金調達の判断ができないな」、と思うものばかり。皆、よくケースを読んでいるな、と感心するとともに、参加者全員が私の知識・経験レベルをはるかに凌駕していることに、改めて驚かされました。

そして、1人の工学部Ph.Dの学生に、1分間で議論をまとめてもらってスピーチをしてもらい、その後実際に起こったことの書いてあるケースBを配布。皆それぞれ様々な反応をしていましたが、概ね内容には納得した様子。最後に、CEOが実際に何を考えて判断したかをプレゼンし、また生徒が質問攻めに。CEOにも、「私にも学びの多い、意義のある議論だった」、と満足していただけました。

こうして、私にとってはアメリカ人相手に授業を行う、という今学期の1つのハイライトを無事終えて、肩の荷がおりるとともに、次の学期に関連授業を取って改めて知識を補完したい、という新たな目標ができました。何度も書きますが、短期間にいろいろな学びができる、素晴らしい授業体験です。


(2) Power&Politics
以前の授業紹介の記事のところで、「超人気授業だが時間が短縮されたため消化不良気味、及び、就職活動やその後の個人的なキャリアにやや焦点を置きすぎているのが不満」、という書き方をしました。この傾向はそのまま最後まで続き、やっぱり自分にとっては消化不良の授業でした。が、多くのアメリカ人は絶賛しており、英語力の差と文化の差を感じています。そして、私自身も、消化不良にも関わらず、下記のように多くの学び、発見があった授業でした。

- この漠然としたテーマにも関わらず、根幹が揺るがない:
この授業で教授が伝えたいことは、常に一貫して次のメッセージに基づいていました。

 - 力とは何か: 人の意識や行動原理を変革すること、及びそのために、組織の中で、価値が高く代用不可能なリソースを、自由に操れること。イノベーションは、その定義から力がないと絶対に発生しない。
 - どういう人が力を持っているといえるのか: ネットワーク、同盟、個人の資質、評判
 - ある目的達成のために、どのように力を手に入れることができるのか: 効果的なコミュニケーション、身の丈をわきまえること、「影響力」を行使するための戦略の効果的な実践
 - 力を持って、管理/統治するにはどうすればよいか: 公式な権威のみに頼ったら必ず失敗する。力は押してではなく、引いて達成するもの。信頼を構築し、相手を尊敬すること。

 これらの議論が、一切ぶれない。講師は30歳後半~40歳前半に見える、准教授クラスの若手の方だが、最初の自己紹介で「この研究を既に15年続けてきた」という自信と裏づけが相当しっかりしているのか、どんなに議論が発散したり反対意見が続出しても、うまく収斂させていく。
 これが、1年生の必修授業だと、同じ7週間の授業期間内にとても広く浅くやるので、1回1回の授業の脈絡がそこまで強くないし、教える側も、その全てに精通しているわけではないから、回によってははずれの授業も結構ある。ここら辺が、自分の研究分野だけを教える選択科目の強みだし、そこにコミットして効果的なプログラムを組んでいる教授の授業は満足度・人気ともに高い、と感じています。

- 即効性のある学びの数々:
上を証明するため、あるいは上の理論に基づいた動き方を実際に生徒にやらせるために、豊富なデータに裏打ちされた様々な小ネタが授業内に用意されています。
  -- 統計資料に基づく小ネタ: 例えば「あなた自身の実績と、周りの人がどれだけ尊敬してくれるかの評判、そして組織内の影響力の関係」といった折れ線グラフ(比例関係なので直線)が、突如出てきます。最初は、生徒も、「こんなの測れるわけないじゃん」と、懐疑的に教授に突っ込みを入れまくるのですが、それに真正面から答える教授。すると次第に、データの曖昧さはどうでも良くなって、これを見て何を考えてどうすればよいか、という学びの方の議論になっていく
  -- 「それ言っちゃうの」系の議論: 上の統計資料にも関連するが、例えば、「人のうわさ話は古今東西どんな国でも誰でも大好き:人間の会話の60%がそうだ」、というデータの後に、次に「うわさ話は、是非何が何でも積極的に聞いて生かすべきだが、自分からは一切発してはいけない」という事例を豊富に示す。このように、今までの人生で漠然とそうかなあ、と思っていても、誰かに話すには確証がなく危険なテーマを、その通り、あるいは、その全く逆だ、とデータとともに断言しちゃう。それ自体苦笑しながらも聞いててすっきりするし、正しいかどうかはともかく一度やってみようという気にさせられる。
  -- 突然の実習:たとえば、突然簡便なEQ(注1)のテストを受けされられる。14点満点のテストで、結果が丁度正規分布みたいに、クラスで1人だけ14点満点、3人ほど3点の人がいて、それぞれ顔を見て「こいつらなら確かにそうかも」と納得(苦笑)。私は7点だったので、平均よりやや低め。そして、「ではどうすべきか」という対処法がすぐに説明される。速効性あり。このような遊びの小テストが2回に1回くらいの授業であるので、とても楽しく身にしみて学べます。

- 実生活に生きる最終課題: 
最終レポートは、エッセイ10ページを書くのですが、内容は、
「貴方が卒業後に行くと思われる企業・業界の先輩3人以上にインタビューをし、下記を含めた内容としてまとめること
- 力の源泉は何でどういう組織力学関係にあるか
- 力と倫理の問題が対立する場面はどのような場合か
- その力を手に入れるには何をすれば良いか、
- 貴方の今までの経験はその力を手に入れるのに有用か
- 卒業まで、卒業後1ヶ月以内、卒業後1年以内に、それぞれ何が必要か」

まさにMBAの存在意義そのもののような課題。したがって、「こんなことMBAに来るかどうか考えてる時から、インターン中まで、ここ2-3年常に考えて動いているよ」、と最初はたかをくくっていたのですが、いざ、実際にいろいろな方にインタビューしてみると、とても面白い。ある業界の様々な立場の方にインタビューをしたのですが、全員が全員口を揃えて同じことをいう内容もあれば、人によって全然受け止め方が違う内容もあり、それらをまとめるだけでも、「なるほど、だからこういう力が働くのか」というのが見えてきます。そして、授業で習った学びに照らし合わせることで、本当に、この授業を受ける前には思いも付かなかった、卒業まで、あるいは、卒業後1ヶ月以内にしなければならないことが、明確になってきました。これは、授業を取っているのといないのとでは大違いですので、大いに授業の意味があったのだと思います。



さて、このPower&Politicsの最終課題の中で、あらためて強く感じたのが、「MBA生活は後わずかしかない:一番重要なのは、『狙った』ネットワーキングではないか」ということになります。これについては、次の記事で書くことにします。

(注1) Emotional Intelligence Quotient。こころ(心)の知能指数、感情調整能力。詳しくはこちら
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by golden_bear | 2009-10-16 21:37 | 学業

Haasから2人目のノーベル賞受賞者誕生!

今日の朝9時に、学長から"Oliver Williamson教授がノーベル賞を受賞した!"という興奮したメールが、Haas関係者全員宛に広まって、このニュースを知りました。もともとUCバークレーはキャンパス全体として数多くのノーベル賞受賞者を輩出していた(注1)ので、2年間のMBA生活で1人くらい出てくるかもなあ、なんて思っていたのですが、まさか私のいるHaasの教授が受賞するとは思っていなかったので、朝からとても興奮しました。

11:30amごろ一旦大学から帰宅し、インターンに行く準備をしていると、今後は"12時半から受賞直後のスピーチのイベントをやります!"のメール。今週は中間/期末の試験/レポートの山で、恐らく2年生の1年間でTop3に入る忙しい週ではあったのですが、これは見に行かなければ、と思い、妻を引き連れて急いでスピーチを見てきました。
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先に学長が紹介する中で、"Haasとしては1994年のJohn Harsanyi教授に続いて2人目の快挙。15年後の教授陣にはプレッシャーだ"と言って笑いを取っていました。そして本人のスピーチ後に、集まった人に振舞われたシャンパンで乾杯、という流れでした。実際のスピーチは4-5分程度の短いもので、何をしてきたか、今どんな気持ちか、などを淡々と語っていましたが、よく聞き取れなかったので、下記、Haasのホームページトップに掲載されている、インタビューのリンクを掲載しておきます。

Oliver Williamson教授へのインタビュー(23分:リアルオーディオ)

Haasのニュースリリース


ここからは私が関連ウェブサイトを2-3件見た程度の浅い知識で思った雑感ですので、興味ない方は無視してください。ノーベル経済学賞そのものの意義については、設立の経緯や受賞者の対象があまりにも幅広いなど、今でもいろいろ議論があるそうです("アルフレッド・ノーベル記念経済学スウェーデン銀行賞"が正式名称らしい)。それはともかくとして、金融危機発生直後のこの賞の受賞者として、米国の東海岸以外の大学から2人、それぞれ直接経済学畑ではなく社会科学と経営学の観点から経済学の世界を広げた人が、ともにGovernance(統治)を理由として受賞したことは、まだ現職大統領になったばかりのオバマ氏が平和賞を受賞したこと同様、今後の世界に対するメッセージを強く感じています。

また、私自身にとっては、Oliver Williamsonさんの受賞理由になった、「市場の見えざる力より企業内部の判断の方がより効率的」という理論は、今私がMBAで正に学んでいるジレンマのど真ん中を指しています。それは端的には、「株主と経営者の対立をどう考えるか」、という一言になってしまうのですが、株主視点=「基本的に常に企業を、外部情報=市場の観点から分析せざるを得ないコーポレートファイナンスや会計学(及び夏の金融機関でのインターン)」と、経営者視点=「内部情報が主体の実務上では、市場からの評価はそもそもほぼ無意味、あるいは優先順位が低くならざるを得ない起業学(及び前職のコンサルティングや今のスタートアップでのインターン)」と考えれば、私のMBA生活は、この相反する2つの世界を毎日行ったりきたりして勉強している状態です。このテーマで今日まさにこの時代にノーベル賞をもらった人に立ち会えた、ということは、私自身にとっては「この課題は一生常に熟慮して生きていくべき」、というメッセージのように思えます。今後30年間どんな社会人人生を歩むにしろ、時間のあるときにじっくりOliverさんの論文でも読みつつ、この永遠の課題の狭間で活躍できる人間になりたい、と改めて思い直した一日でした。


(注1) ノーベル賞受賞者数を大学別に数えるのは難しい。確かに思いつくだけでも、出身大学(学部)、博士号取得大学、在籍研究機関、教授としての在籍、名誉教授付与などなど、いろいろなカウントの仕方がありそうで、ノーベル財団のホームページにも直接統計は出ていない。一応参考までに、Wikipediaが重複を恐れずにとにかくカウントした合計数では合計66名が何らかの形でバークレーに関わっており、Wall Street Journalが現職(?)教授別の数を集計したグラフでは、UC全体として教授が35名いるそうです。
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by golden_bear | 2009-10-12 20:11 | 社会・風土

西川千麗さんのイノベーション

一昨日告知したイベントの1つ、"Japanese Traditional Dance Past, Present & Future with Senrei Nishikawa"を本日見て、大変感銘を受けました。

本日の構成は、最初に千麗さんがご自身の踊り「鳥の歌」を5分ほど披露された後に、大画面のスクリーンに日本の舞踊文化の歴史、特に千麗さんご自身の芸術に関係する、能、歌舞伎、舞、日本舞踊、最後に千麗さんのコンテンポラリー芸術を、英語で紹介するビデオが1時間ほど流れました。その後は、千麗さんご自身が舞台の前に登場し、簡単な踊りの振り付けを交えながらの講演をして、質疑応答に移る、という流れでした。会場にはざっと150名程度の人々が集まり、うち約8割は日本人以外のようでした。

私が何に感銘を受けたか、下記に箇条書きにしてみます。
○ イノベーターに出会った瞬間
彼女の講演における略歴紹介の部分は、「日本では古来から習い事は旧暦6歳の6月6日に習い始めると良いという言い伝えがあり、それに習って4歳6月6日に日本舞踊を始めた。以後、踊りが好きで仕方なかったが、1980年ごろ果たして自分は踊っているだけで良いのだろうか、と悩む時期があった。その時、ある地元京都の作家の方による1冊の本に出会い、『人々の心の糧になることを自分で思うように表現したい』(注1)と思うようになり、以後伝統的な日本舞踊も、新しい舞踊の探求との両方を行うようになった。2000年より、この心が通じる、というテーマであれば日本に囚われずに活動すべきと考え、海外でも活動している」、ということでした。

そこで気になって質疑応答の時間に、「特に日本の京都という伝統・保守のイメージが強い地域で新しいことを始めるにあたり、反発は無かったか。あったとしたらどのように乗り越えたか」という質問を僭越ながらさせて頂きました。

そのときのお答えが下記のように、圧巻でした。
- 「自分で良いもの、と信じて新しいことをやり続けている間は、それに夢中で、反発はあったのかもしれないが全然気付かなかった。もちろん後で『あの時はどうこう』と教えてくれたりしたこともあったけど、気にせず新しいことを追求する方が大事だった」
- 「京都は当時ロンドンのようとも呼ばれていて、ビートルズのように新しい文化が生まれる、と言ってくださった方々もおり、新しいことを始めるとむしろ協力してくれる人が多かった」
- 「結局はお客様に喜んでいただくことを続けることが一番大事で、それができていれば周りからどうこう言われることはなくなる。如何に新しいものに対する需要を自分で作っていくかが大切」
こうして3つ並べると、意志、地の利、顧客関係とまるでイノベーションの教科書のように要素が揃っています。、中でも一番上の「夢中で周囲の反発に気付かない」、というのが私自身の学びとして一番大きいです。こう言い切れるほど、夢中になれるものを見つけること、その世界でプロの第一人者になること、それに甘んじず新しいものを追求するリスクを取ること、これらが全て今の自分には欠けてるなあ、と思い、とてもやる気が出ました。

○ 知ってもらおうとする謙虚な努力: 
正直、このイベントは、外国人には受けが悪いんじゃないか、と懸念していました。というのは、Japan Trekの時に、歌舞伎に行った人々が、皆退屈して、英語の解説ヘッドホンもやたら高い料金を取られる割に全くよくわからなかったようで、すぐに出てきてしまったからです。ところが、お伝えしたようにこのイベントは外国人が8割。その影には、
- ドブ板営業: なんと千麗さんご自身が昼休みに留学生寮の食堂で、「来てね」と声をかけて回ったそうです。「National Trust(国宝)」といった紹介を受ける方が、ここまで腰を低くされるのは、なかなかできないことではないでしょうか。
- 創意工夫: 本日の席の並びは、扇子をイメージして配置したそうで、その小話を交えながら扇子にどのような意味があるのかを講演する。このように機転を利かせて、様々な方法でイベントを盛り上げる努力をしているのが伝わります。
- 的を得た英語ビデオプレゼンテーション: 中盤の1時間のビデオでは、「道成寺」の物語を1つ通して、書物から能、歌舞伎、舞、そして千麗さんご自身の芸術でそれぞれどのように表現されているか、順にクライマックスの部分に注目して説明する、という、できるだけ飽きさせない努力が見られる構成でした。まあ、ここまで努力しても日本の古来の芸術はとてもスローで退屈に移ってしまうのは仕方なく、今後まだまだ改善の余地はありそうですが、それでも私自身ですら全然知らなかった日本芸術の特徴を上手に解説されていて、とても勉強になる、という知識欲を満たしているところは、今回のように海外の大学で行うにはうまい表現だなあ、と思います。
- スタッフのサポート: 最初の「鳥の歌」と、最後の講演・質疑応答は、アメリカ人の日本語通訳が完璧な訳し方、時には千麗さんがはしょっていた内容も、自分で「例えばこういうこと」と付け加えて、とてもわかり易い英語の解説にしていました。上記のビデオや当日の音響を準備している千麗さんのスタッフの方々、そして通訳を手配したIhouse/商工会議所/Japan Societyといった地元の方々のサポートの力が大きいのだと思います。

○ カリスマ(オーラ):
勿論近くで見た際に、着ている御着物が繊細で素晴らしい、といった外見面の印象もあるのですが、ここまで書いた内容にもあるとおり、とにかく千麗さんご自身は、とても上品でひょうきんで温かみがある、という人柄が良く伝わってきます。日本芸術の大家の方でしかも海外でご活躍なされていることから、もしかしたら気難しそうな方を想像していました。しかし実際には、芸の追及には妥協を許さない意思を感じた一方、我々に話している感じでは全くそういうことが無く、こういうのが日本人、特に京都の女性に備わっているカリスマなのではないかな、と感じいりました。

というわけで、丁度Power&Politicsの授業で、「イノベーションはその定義からして古いものを克服しなければならないため、必ずPowerとPoliticsが必要」という定義をした際に、まさにPowerに溢れるお方を目の前に見て、私自身がとてもPowerをもらった夜の催事でした。千麗さんはじめご関係者の方々に、この場をお借りして御礼申し上げます。


(注1)『』内は意味を違って解釈している可能性があります。違っていたらすみません。
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by golden_bear | 2009-10-06 22:30 | 学校以外のイベント

Japan Timesに当ブログの「典型的な1日」が掲載されました

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(Japan Times 2009年8月31日のMBA特集内の記事。私が投稿した内容は、右下の青くなっている部分)

今年8月上旬に、ある知り合いから「MBAの典型的な1日を記事にしてくれないか」と頼まれて、投稿した記事です。2009年8月31日に出版されたそうですが、コピーを送ってもらえたので、掲載します。

書き始めてすぐ、「MBAの典型的な1日」は結構難しいお題だ、ということに気付きました。改めてスケジュール張を1年前まで振り返って見て見ると、どの1日として典型的な日になっていない。そもそも曜日によって忙しさや時間の使い方が全然違う上、同じ曜日でも、丸一日テスト勉強やレポート作成に追われ続ける日(大抵のテスト期間中:結構多い)もあれば、ビジネスプランコンペやJapanTrekといった課外活動を授業中も内職でやっていた日もあるし、就活に追われた日もあれば、平日にゴルフに行った日もある。また、必修課目しかない1年生秋学期、必修と選択が半々の1年生春学期、選択課目しかない2年生では、全然活動の質うや時間の使い方が変わるし、むしろ学期中よりも冬休みや夏休みの方がMBA生活を象徴しているかもしれない、と思ったりもする。

というわけで、いろいろ考えた結果、ある実際に起こった1日(4月中旬の月曜日)をベースに、通常かなり高い確率で起こっているものをつぎはぎして作ることにしました。実際には種々の締め切りに追われてもっと緊迫感が全然高い日もあれば、この日より全然だらだらした日もありますが、何が起こるのか、という紹介も含めて、丁度平均的な平日になっている気がします。下記、最終的に新聞に載った版(上の画像と同じもの)を掲載します。

- ここは編集者の記述 -
24 hours may not be enough in a day in the life of an MBA

An MBA program is more than just a tough learning experience, cramming in as much finance and marketing knowledge as you can get. The personal development, the networking, the people, the culture, the language of an MBA program overseas all has an impact. “The Golden Bear”, a full-time Japanese MBA student from the Haas School of Business, University of Berkeley, class of 2010, will show you how to make the most of your 24 “MBA hours” in a day.

- ここから私の投稿 -
The alarm goes off at 6 a.m. Feeling energetic, I immediately check my emails and modify my schedule. Fifteen e-mails are sitting in my inbox, just waiting for me to reply. One regarding the Haas Japan Trek, one from team members sending me files for meetings today, the Wine club, Charity club, Business Plan Competition club all want me to reply. I book myself into the Strategy and MOT (Management of Technology) classes and finally I need to reserve a spot for a career interview....Do you see why I have to wake up at 6am now?

I start to read materials for my 9 a.m. leadership class. After five pages, I decide to give up reading the whole 40 and just focus on the first quarter. By 8:30 a.m., I am ready to take the bus to school, but this is no time for relaxing as there are still many so pages to read! Maybe I need to wake up earlier.

I walk into my Leadership class at 9 a.m. The professor shows us a general framework and theories, but we soon begin challenging her and each other. Our friendly debate soon turns into a heated discussion from which I find myself gaining deeper and more meaningful understanding from the rich experiences of my classmates from around the world.

For lunch, I go and meet Japanese prospective students. I like these opportunities since I can get to help prospective students, and find out more about other countries' industries and people's experiences.

Next stop, the Engineering School for a Technology, Innovation, and Leadership class. This course consists of 50% Ph.D engineering students and 50% MBA students. My task today is to develop a business plan for a local start-up. After summarizing findings from last week, we discuss the recommendation and next steps with the professor. I now know how to manage engineers!

My day hasn't even reached halfway point yet. I need to finalize the report of my M & A course with my U.S. and Chinese team members. This is the most challanging but practical lecture as the professor strictly demands that we develop the case as if we were investment bankers.

Since there are usually two or three events available every day, I often struggle to decide which party to attend in the evening. Today, I choose the alumni mixer. I jumped on the subway to downtown San Francisco and rush to the party where more than 200 students/alumni were networking. I chat with about 20 people, all with extremely interesting backgrounds, but the highright of my night is when two executives from the internet industry spontaneously start debating. I definitely want to be like them in the future

I arrive home at 9 p.m., have I really been awake for 15 hours? Another 20 e-mails are waiting in my inbox. I reply to them all in one go, afterwards, feeling unusually energetic, I apply for two internship opportunities.

I'm starting to regret signing up for so many electives this semester while trying to attend events in the evening, but I really enjoy this MBA lifestyle as I can gain all I want in a super efficient manner without any pressure of real work, all under the perfect weather of the Bay Area.

It's midnight, but I must stay awake and read cases for a strategy class tomorrow. I must stay awake!

1:30am. Finally, time for some z's.

- ここまで -

この記事を見てすぐ気付いたのは、修正の多さです。私が最初に作った元の文章は、とりあえずスケジュールと心情が時系列に書いてあるメモでしたので、Japan Timesに行く前にイギリス人のエディターが修正し、私と何度か確認して合意したものをJapan Timesに送ったそうです。しかし、本日Japan Timesが実際に掲載した記事を見て、修正が1文につき1-2箇所くらいの高頻度入っていました。たとえば、
○ 表記の仕方のルール(amはa.m.に、emailはe-mailに直されるなど)
○ 前置詞(for, in, onなど)、冠詞(a, the, myなど)の違い
○ 無駄な表現のカット(approximatelyとか入っていたものは、全て取り除かれていた)
○ 文章順の変更(Since..ではじまる節を、最初に置くか最後に置くか、など)
○ 文章そのもののカット:どんなパーティーがあるか、と幾つか例示した内容は、そっくり消された

ここからの気付きとして、
- 改めて英語って難しい: 出版するレベルになると、細かい文法やルールを本当に気にしなければならない。エディターが一度チェックした前置詞や冠詞が、さらに直されているところを見ると、細かいニュアンスって本当に伝えるのが大変なのだと思う。
- 編集者はリスクが高い?: 1つ驚いたのは、「ミーティング」と書いたところが、「授業」にされてしまいました(文章中盤の"Next Step"ではじまるところ)。読んだ編集者の方には内容的に授業のように見えたのかもしれませんが、実際にはミーティングでそういう話をしている所を書きたかったわけで、やや残念です。他にも細かいところで微妙に意味が変わってしまったところが2-3ありました。本件はそもそもフィクションになった話の細かい点なので、読み易い方が良い、とプラスに考えれば別に悪くはありません。ただ、政治や企業、人に関するニュースで事実誤認が発生する訴訟リスクって改めて高そうな気がしたのは確かです。意図的かミスか、個人の問題か組織管理の問題か、わかりませんが、編集者って大変な仕事と思いました。

もう1点補足すると、イギリス人と推敲していく過程(Japan Timesに出す前)で、妻と過ごしている時間の文が本文から消えました。原本では史実に沿って8:30pmに家でご飯を食べた、と書いたのですが、文字数制限もあり、この全体の文脈の中で妻が10単語位で紹介されてもかえってかわいそうなので、書かないことになりました。実際には特に2年生になってからは、1年目を経験したお陰で行くべきイベントを取捨選択できるようになったこともあり、夕方以降家で過ごしていることが多いです。まあ、単身者にも既婚者にも対応した典型的な1日、ということにしておきます。


いずれにしても、日々どんなに実験的な過ごし方をしても、どんなに失敗しても構わない、この贅沢な日々を過ごせるのは、仕事をやめて自分自身に投資した結果とはいえ、とても幸せなことです。あと7ヶ月強になってしまいましたが、存分に楽しみたいと思います。
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by golden_bear | 2009-10-05 23:50 | 全般

(告知) 10月のベイエリア日本系イベント数々のお知らせ- 芸術の秋ですね

いつも御世話になっている、地域やJGRBの会員の方々から、「イベントの告知をお願いします」というメールを4通ほど受け取っていますので、こちらでも紹介いたします。ベイエリアにいると、このように日本芸術に触れる機会が沢山あって、時間的にゆとりがあるからか離れているからか、むしろ日本にいたときよりも日本を感じる機会の多い気がする、今日この頃です。

(1) 10/6(火) 7:30pm- @ iHouse ”Japanese Traditional Dance Past, Present & Future with Senrei Nishikawa”
(2) 10/10(土) 10am-4pm @ Yoshi's San Francisco "The Flip Side of Yoshi's - Japanese Cultural Extravaganza"
(3) 10/17(土) 2-4pm @ McKenna Theatre, San Francisco State University "Kabuki- Backstage to Hanamichi"
(4) 10/31(土) 2-4pm @ サンフランシスコジャパンタウンユニオンバンク社交室 "のびる会主催*講演会+交流会"


(1) 10/6(火) 7:30pm- @ iHouse ”Japanese Traditional Dance Past, Present & Future with Senrei Nishikawa”
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Senrei Nishikawa is an internationally renowned Japanese dancer, choreographer, artistic director and one of Japan's national treasures.
Do not miss this rare lecture demonstration appearance infused with modern sensitivity that goes far beyond traditional Japanese dancing.

Sponsors Include:
The Japan Foundation,
the Consulate General of Japan, San Francisco, the Japan Society of Northern California and International House, UC Berkeley

General Public: $10.00; Free for I-House residents and members; $5.00 for UC Berkeley students and staff.

Many thanks,


(2) 10/10(土) 10am-4pm @ Yoshi's San Francisco "The Flip Side of Yoshi's - Japanese Cultural Extravaganza"


(内容、ポスター等は追加で届き次第、アップする可能性があります。)

サンフランシスコのYoshi'sの方ですので、お間違えのないように。詳しくは、下記
http://www.yoshis.com/sanfrancisco/jazzclub/artist/show/961


(3) 10/17(土) 2-4pm @ McKenna Theatre, San Francisco State University "Kabuki- Backstage to Hanamichi"
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在サンフランシスコ日本国総領事館は、10月17日(土)、以下の要領にて上記カブキ紹介イベントを開催いたします。本格的な歌舞伎役者を当地にお迎えするのは4~5年ぶりのことになります。共催団体一同、なるべく多くの方にご来場頂き、普段は見ることの出来ない楽屋の様子や歌舞伎の歴史、音楽についての説明を通じ、楽しみながら歌舞伎を知って頂きたいと考えております。宜しければ、UCバークレー校日本人会の皆様、更には御家族、御友人の皆様もお誘い合わせの上、是非お出かけ頂ければと存じます。

◎歌舞伎レクチャーとパフォーマンス
1.日時:2009年10月17日(土)、1400-1600
2.場所:サンフランシスコ州立大学McKenna Theater(1780 Holloway Avenue, San Francisco, CA )
3.出演者:中村京蔵氏、中村又之助氏
4.内容:二人の役者が女形の代表的作品「鷺娘」や雄雄しい獅子の舞を含む「石橋(しゃっきょう)」と演じるほか、歌舞伎の歴史や歌舞伎囃子の説明に加え、化粧の仕方から衣装のつけ方まで歌舞伎の「裏舞台」を詳しく紹介します。
5.入場料:チケット(一般前売り$15、当日$20、学生前売り$10、当日$15)を御購入ください。詳しくは、サンフランシスコ州立大学McKenna Theaterホームページ(http://creativearts.sfsu.edu/events/1195/backstage-hanamichi-behind-scenes-look-color-magic-and-drama-kabuki)をご覧ください。


(4) 10/31(土) 2-4pm @ サンフランシスコジャパンタウンユニオンバンク社交室 "のびる会主催*講演会+交流会"


2時から3時まで:講演会
3時から4時半まで:交流会

場所:サンフランシスコジャパンタウンユニオンバンク社交室
住所:1675 Post Street, San Francisco, CA 94115
建物の一階の奥にある赤い太鼓橋の横です。

講師:長谷川葉子先生(カリフォルニア大学バークレー校)

題名:日本語から見た日本人―日本人は「集団主義的」か?

要旨:ことばは、それを話す人のこころや、それが話されている文化・社会のありようを映すものである。この考えは古くからあり、言語学のみならず、哲学、文学、心理学、文化人類学、社会学、ひいては精神医学などの諸学問において、ことばと人間および人間社会の関係の重要性が認識されてきた。この講演では、我々の母語である日本語から、日本人の特性と日本文化について考えてみたい。伝統的な日本人論では、日本人の言語行動はウチ・ソトの対立などに見られる集団性の論理によって支配されているという見方が強く、個の主体性が集団に同化・埋没するとまで言われてきた。しかし、この論理は日本語の本質的特徴とは相いれないところがあり、集団性を示唆すると思える現象の背後には、英語などの西洋語以上に強い個の意識に根ざした言語体系が存在することを、様々な言語現象の分析を通して考察していく。

入場料:18歳以上の方は一人5ドルをお願い致します。

席に限りがありますので、下記よりお早目にご予約ください。よろしくお願いします。

http://www.nobirukai.org/
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by golden_bear | 2009-10-04 23:34 | 学校以外のイベント

語学教育はスパルタあるのみ? MBAと中国語履修両立の功罪

学部1年生向けの中国語を受講し始めて、ちょうど5週間。途中Walkoutで授業計画が大きくずれて混乱したり、先生が突然入院して代理の先生になったり、と色々なハプニングに見舞われたものの、ようやく毎週の進み方のパターンが見えてきたので、現状どんな感じかをアップデートします。ちなみに、"1人の人が何かを考えた時に同じことを考えている人が5万といる"法則がここでも当てはまったのか、My Life in MIT Sloanさんが同様の話を記事にしていましたので、トラックバックさせて頂きました。

まず、現状何が起こっているか、箇条書きで並べてみる。
○ 授業は週5.5時間+α
 - 月-金の毎日1時間(私の場合は、朝8-9am)。1クラス22人に対し、教授または先生1人(私の場合はPh.D学生だったが、入院したので、現在はポスドクの方)
 - 週のどこかで30分間、スピーキングの補講が入る(私の場合は、色々動いた結果最終的に来週から金曜日の10:00-10:30am)。1クラス6-8人に対し、チューター1人(私の場合は大学4年生の中国人)
 - このほか、テストの点が悪いと、オフィスアワー(教授が週2時間学生の質問を受け付ける時間)で補講指導を受けるために呼ばれる

○ 通常授業のうち、最低週3回はテスト有り
 - 小テスト:毎週2回金曜日と火曜日に、WritingやDictationの(5分間)を解かされる
 - 大テスト:毎週1回水曜日に、「Writing&Listening」の50分間テスト、あるいは「Speaking」を2人組で4-5分で行うテストが、隔週で交互に行われる

○ 教科書は4種類(秋学期に終わらせる分)

 (1) テキストブック: 全335ページ。基本となる教科書。日本人が中学や高校で使う英語の教科書のような形で、レッスンごとに例文があり、単語の意味、文法事項の解説、練習問題、その他が書いてある。ビジュアルやコラムがやたら多い。
 (2) ワークブック: 全184ページ。問題集。日本人が中学や高校で使う英語の問題集のように、並び替え問題や英作文などが含まれるが、選択式の問題はほとんどなく、文章を書かせる問題が中心。
 (3) キャラクターブック: 全133ページ。漢字の書き取り練習張。1ページに4漢字を52回ずつ書くようになっているので、半年間のこの授業を取り終えると500程度の漢字を覚えることになる
 (4) 文法補遺ノート: 全92ページ。過去の受講学生や先生が作っていった、教科書に載っていない痒いところに手が届く補講教材、及び授業中に配るプリントが予め入っている。教授は教科書よりもこちらで教えることが多い。

○ 宿題は週4回提出。1回必ず1-2時間くらいかかる
 - 月曜日: リスニングの宿題を提出。Webで中国語のスクリプト(1-2分程度)を6-8題聞き、選択式またはPin-Yin記入式でWebに入力。これはネットにつなげればどこでもできる。
 - 火曜日: 作文の宿題を提出。毎回20文くらい書き取る必要がある
 - 木曜日: 朝までに、漢字書き取りの宿題を提出。毎回40漢字位、1漢字につき52回書き取りの練習した紙を提出。
 - 金曜日: 朝までに、Speakingの宿題(録音)を提出。録音すると、どの発音が悪かったか採点されて戻ってくる。これは語学棟のPC端末部屋で、専用ソフトを立ち上げ練習し、録音する必要がある
 - このほか、提出する必要は無いが、金曜日と月曜日にはそれぞれワークブックを5-6ページ解く。授業内に先生が当てるので、答えられないと減点

○ 成績は、2,015点満点。MBAの場合は80%以上(83%かもしれない:要確認)取れれば単位、それ以下なら不可。
 - 宿題(10点満点)、大小テスト(5,50,100点満点)、期末にある作文プロジェクト(50点)、出席等(1回5点)が、毎回こまめに加算されていく
 - 学部生向けには、92%以上でA,89%以上でB+,86%以上でB,83%以上でB-,80%以上でC,80%未満は不可
 - MBAが単位とするには、冬学期と春学期の両方で単位と認められて、初めて合計6単位分と認められる。どちらか片方が不可になると、単位として認められない


こう淡々と並べてみましたが、とりあえずとても厳しい。何しろ、平均で80%取れないと不可、というのは、下記の理由でものすごいプレッシャーです。

- 1回80%を逃すと、次がもっと苦しくなる悪循環: 
毎週1課ずつ進む上、前の課の内容は完璧に覚えていることが前提。従って、知識に抜け漏れがあるまま翌週に進むと、より大変になる

- 80%はめちゃめちゃ大変(1) 求められる品質の高さ: 
例えば漢字の書き取りは、はねる所をミスしたり、形が悪い漢字があると、それで0.5点=10点満点の5%引かれる。つまり、毎週40漢字*50回=約2,000文字書いて、ちょっと書きずれた漢字が4個ある(あるいは採点官の目に付く)と、もう80%は超えない。

- 80%はめちゃめちゃ大変(2) そもそもそんな点取れない: 
例えば、スピーキングの宿題で十数回練習して録音しても、帰ってくると"53%"とかだったりして、発音できていない文字にチェックがついている。90%を超えるまでやり直しなので、2回目やり直すが、対して点が上がるわけではない、、、

- 80%はめちゃめちゃ大変(3) 取れるところで取るのも大変:
例えばリスニングの宿題は、何回でも聞きなおして良いので、私の場合1つのスクリプトを30回くらい聴いて、パズルを解くような感じで全文を書き写してみて、それを読んで答えるので、大抵10点満点が取れる。が、このやり方は1回の宿題を完成させるのに2-3時間かかり、しかも進めば進むほど聴く回数が増えることが予想される。そして、宿題で30回聴かないとわからないのに、2週間に1回の50分テストの聞き取り問題の時は、同じような長さの問題を3回しか聴けないので、超大変

そして、下記のように実際にかかってくる負担もとても大きく、今の私の40-50%くらいの時間、あるいは精神的な頭の使い方は、中国語をどう乗り切るか、が占めているような感じです。
- 時間的負担:予期せぬやり直しが必要 
リスニングとスピーキングの宿題は、1回目の提出で90%に到達しない場合には、2回目をやる必要があります。「必要がある」、というのは、2回目が90%を超えればその点、越えなければ1回目と2回目の平均点にされてしまうので、もし2回目をやらなければ、2回目=0点と計算されて平均されるため、1回目の半分の点になってしまう。このやり直し、現在採点官が少ないので、突然振ってきて「明日までに」とか言われる。しかも、スピーキングを録音できる部屋は、Haasから歩いて10分かかる上に、朝8:00-夜7:00までしか空いてない。他の授業やチーム活動との兼ね合いで、この再録音の時間を捻出するのはとてもしんどい

- チームワークの責任の負担: 
スピーキングの大テスト(宿題じゃない方)は、基本的に2人1組のチームが自分達で3分間程度の作文を作り、それを採点官に渡し、2人でその通り会話する。これは、作文を作る時間を取られるのは勿論、自分が覚えていないと相手に迷惑がかかるため、相当なプレッシャーとなる。さらに、授業中にも、特にスピーキングの補講の時間には2人が会話することが多い。このとき、周りは18-19歳の大学生で飲み込みが早いので、私のように単語が出てこなくて遅い上に発音が下手だと、相当回りに迷惑をかけてしまう

- 屈辱の負担: 
スピーキングの補講は、大学4年生の女子学生が教える。この先生が結構美人で「ラッキー、毎週楽しい時間が過ごせそう」、と思っていたら、大間違い。ちょっとでも間違うと、にっこり笑って「No」、「もう1回やり直し」、「全然駄目」、と何度でもやり直させる。私以外の5人はみな普通に1回でクリアするので、周りの18-19歳の学生達も「何でこのおっさん全然しゃべれないの?」と怪訝な顔でずっと私のことを見ている。毎週30分間、ずっと晒し上げられるためだけにある時間がやってくる、というのは憂鬱です、、、


結局要するに、スパルタ教育を受けているわけです。昔から英語がネイティブ並にしゃべれて最近は中国語もしゃべれるようになったある昔からの私の友人は、常々「語学はスパルタじゃないと身に付かない」と言っていましたが、まさにそれを実践している教育方法だと思います。


さて、MBA留学として、実際にはやらなくても良い中国語に結構時間が割かれると、何が良くて何が悪いのか、今思っていることを下記に書いてみます。

<良い点>
- 自然と中国語圏のネットワークが身近になる:
 
ここまでして身につけた言葉は、使ってみたくなるもの。Haasは特に西海岸でアジアに近いことから、中国・台湾・シンガポール出身の学生や、米国人でも中国語圏で働いた経験がある人が非常に多く、彼らとの挨拶やちょっとした話を中国語に代えることで、応援してくれたり、教えてくれたり。とにかく、同期ととても身近になることができます。

- 毎日やるメリットが、他の「ハードスキル」(注1)習得系の学習方法に波及する: 
流石にここまで毎日スパルタでやると、自分でも日々上達しているのが目に見えて判ってきます。翻って考えるに、ゴルフやファイナンスもできるときに毎日やらないと効果が薄い、ということがとても実感できます。従って、ファイナンスは3時間*週1回の授業ではなく、1.5時間*週2回のコース(内容は同じ)を取りました。ゴルフは毎日触れるために、週3-4回ドライビングレンジで打ちっぱなしをし、打ちっぱなしにいけない時には家でパターの練習をできるように、下のようなものを購入しました。(eBayで中古で$15で競り落とす。送料込み$22)c0174160_1637074.jpgc0174160_16371346.jpg

<悪い点>
- インターンとスパルタ中国語を、MBAと両立させるジレンマ:
 
インターンは今毎日状況が目まぐるしく変わり、私が働けば働くほど現実の世の中が実際に変わる。一方、どっちみちパートタイムでしかできないので、今受けている仕事は、ほぼ電話とメールのやり取りでアウトプットしか見られない仕事=すなわちアナリストワーク=雑用しかしていないため、フルタイムインターンより自分の学び自体が多いわけではない。週5時間と制限をつけて固定給をもらっているため、長く働いてもメリットはなく、できるだけ短く働きたい。しかし、フォローアップや緊急のお願いが振ってこざるを得ないので、結構思い描いたとおりのスケジュールにいかず、よく手戻りが発生する。給料をもらっているため、一応最優先で対応する、、、

こういった仕事を抱えている時に、中国語の勉強はとても厄介です。なにしろ1回50分学部1-2年生たちが集中して授業を受けている朝8-9時の時間に、緊急にメールや電話を送らなければならないケースが結構ある。「この時間に調査・分析して返します」とメールを送った直後に、「スピーキングが79%だから明日までに再録音して」というメールが来て、さっき約束した時間しか録音できないじゃん、、、。そりゃ中国語も大事だからやってるとはいえ、何でCEOへの返答が俺の発音のふがいなさで遅れなくちゃいけないの?というのは相当ストレスフルです。

そして、今学期のMBA授業はどれもこれも相当面白い。インターンと中国語、ともにMBAの卒業には関係ない上に、これらに時間を取られて、睡眠時間を削っても授業に100%満足な状態で出れないことが増えて、益々ストレスが溜まります。大抵こういうときは、「今学生の身でこんなに大変なのだから、ましてや仕事してる時に中国語なんて一生身につけるの無理だ。だから、結局今しか中国語を頑張る時間は無いではないか」と考えてもう一度頑張るのですが、、、やはりMBAたるものMBAで学ぶことが一番面白く、ありがたみがある。それが思う存分できない足かせを自分で作って自分ではまったのは、非常に情けなくも苦しい。

- 上記ジレンマから、短気になってしまった
ここからの話は、語学以外の要因も多々ありますが、語学が大いに関係して発生した気付きなので、多少本論とずれても書いてみます。このように、優先順位の「基準」が異なるものを同時並行でやって、しかもトラブルが頻発したことから、最近やたら短気になった気がします。その証拠に、9月の間に少なくとも日本人の友人達や後輩達に対して最低3回は、とても失礼なメールを怒って書いた気がします(この場を借りてお詫びします。)

普通MBA2年生は1年生に比べて楽になり、しかもこのカリフォルニアの気候とHaasのカリキュラムであれば、数十年の仕事人生のうちに最もストレスがたまらない一年が送れる筈です。が、私の場合は皮肉にも、夏のザンビアと2つのインターンで、全然考え方や文化の違う人たちを相手に様々なリーダーシップを必要とされるうちに、喧嘩っ早くなった。つまり、①公平性や倫理感に欠けたものが横行した場合、②コミットしたことがその通りなされなかった場合、に対して、昔なら笑って済ませて裏から解決しようとしたのに、(特に南アジア人に)通用しない時が多く、大抵速攻で激怒することが必要かつ一番効いた。こういう癖が付いてきた時に、中国語を取ったせいで①②を自分自身でやってしまい、余計腹が立ち、他人の①②にも敏感になって、ますます怒って反応してしまう、、、これは全く予期しなかった自分の変化ですが、妻と同期の友人にとてもよいフィードバックを受けて、まずい、と気付いたので、何とか直して行きたいと思います。


まとめると、下記のような感じでしょうか。
- 大学の学部生向けに教えている語学はスパルタであり、効果は高い
- 語学を学ぶには、周辺に語学を話せる友人がいると、仲良くなれモチベーションも上がる相乗効果あり
- ハードスキルは語学に限らず、毎日スパルタで実践すると効果が高い(はず)
- 一方、仕事との両立は大変: 仕事を抱えている時に、スパルタで語学をやると、様々なジレンマを抱えてストレスが多大になる
- 特にMBAで語学を取ると、自分のやりたいものとの優先順位が狂い、短気になる可能性がある。管理・ロジ・コミュニケーション等、リーダーとしての問題発見・解決の際に、怒りが爆発してしまう、という新たな自分の欠点を発見


では、どうすれば短気が直るのか。1つには、他の短気な中国人などが怒ってる時に仲裁役を買って出てたしなめてあげることで、我が身を振り返って反省すること。これは実際に最近起こって、かなり勉強になりました。もう1つは、ゴルフ練習で汗を流すとともに、やっぱりパーっと飲んで騒ぐのが一番か、とも考え、今週末には3連荘で飲み会の予定を入れました。その様子と思ったことを、次回のブログに書きたいと思います。


(注1) よく大学訪問に来たビジターの方などに、「MBAで付くハードスキル・ソフトスキルは何で、どちらに重きを置いているか」などと質問されることがある。仮に、ハードスキルの定義を、「それが身に付いた/できているかどうかの効果を、誰が身につけようが同じ客観的で公平な手法(例:テストの点、資格など)で確認できるもの」と考えてみると、今私が身につけようとしているハードスキルは、「英語」、「中国語」、「ファイナンスの技術」、「ゴルフのスコア」の4つになります。一方、ソフトスキルは、「身に付いたかどうかの測定方法が、客観的に1つに決まらず人により異なる(どうしても採点したいなら、エッセイを書いて読んで点をつける)」、すなわち、「必要な人脈の広さ・深さ」、「交渉力」、「共感力」、「カリスマ性や評判」などといったものを指すと思っています。
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by golden_bear | 2009-10-03 22:27 | 学業


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