A Golden Bearの足跡


UC Berkeley Haas School (MBA) における、2年間の学生生活の記録です。
by golden_bear
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アドレナリンが分泌された日(2/2) 食欲の秋

ここのところ、アドレナリンが分泌されそうな食べ物を口にする機会が続いたので、5連発で紹介します。

(1) Point Reyesの牡蠣と、Sonoma Valleyのワイン
Big Gameの日の夜、同期の日本人が「牡蠣ホームパーティー」を開催してくれました。我々夫婦ほか何家族かが観戦を楽しんでいる裏で、他の同期は2手に分かれて、牡蠣とワインを収集していました。
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牡蠣は、バークレー(地図中央右のポイント)から車で1時間くらい北に行った、Point Reyesという海岸(地図左上のポイント)で、朝採れたての新鮮なものを、その場でバーベキューにするか、直売してくれます。ちなみにPoynt Reyesで検索すると日本語のブログがいっぱい出てきて、日本人の牡蠣好きに納得してしまう一方で、"国立公園内で漁をしているのではないか"という調査も行われているらしく、そのうち無くなってしまうかもしれません。

ワインは、Sonoma Valley(地図中央上のポイント)という、カリフォルニアワインで一番有名なNapa Valleyに隣接した、これまた有名なワイン産地があります。「Napaが観光地化してしまったため、安く良質なワインは実はSonomaに多い」、ということらしく、月に2-3度は出かけている同期の友人選りすぐりのワイン畑を巡ったようです。

同じ大学の家族寮に住む2年生家族も招待し、7家族大人13名子供3名によるパーティーが友人宅で開かれました。買ってきた牡蠣350個は、その場で男性陣が交代で開き、生で食べても、
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焼いても、(これは肉の写真ですが、牡蠣も同様に焼きます)、
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また写真は無いですが鍋に入れても、あまりに新鮮で驚く美味しさでした。こんなに大きな生牡蠣はもちろん、焼いて海水が凝縮された牡蠣には調味料無しが美味しい、という経験は、今まで自分が訪れた日本の観光地ではあまり味わったことのないものでした。そして、4つの畑で買ってきたという12本のワインには良くマッチして、写真を取るのを忘れるほどあっという間に皆で飲み干してしまいました。


(2) サンフランシスコのタイ料理: Osha Thai Restaurant
牡蠣をたらふく食べた翌日、二日酔いの日曜日は、朝9時から昼3時まで企業価値評価の特別講義に参加し、Japan Trekという来年学生を日本に連れて行く研修旅行の企画会議をした後、サンフランシスコに単身赴任中の友人を訪ねに行きました。「そんなに高くない店を選んで」と頼んでいたら、「前回家でランチを頂いたので、今回は俺のおごりで」と言う話に。持つべきものは妻と友だなあと実感。

美食の町と言われる割にはミシュランの三ツ星が1つもなかったり、昔行ったフィッシャーマンズワーフで食べた料理が余り美味しくなかったり、と、サンフランシスコと言えば高い割に値段に見合わないイメージが先行していたのですが、彼が招待してくれたこのタイ料理は、とても行き易く見所の多い立地(Embarcaderoという、BerkeleyとSFを結ぶBay Bridgeのふもとにあり、中心街からも港からも近い)と綺麗な内装の割りに、リーズナブルな値段。普段、まるで現地で食べているかような大雑把な味付けが魅力のバークレーのアジア料理を食べ慣れていたせいか、こちらでは一品一品の料理の繊細な味を期待以上に楽しめました。
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外ではニューヨークのロックフェラーセンターを真似したのか、スケートリンクでたくさんの人が溢れていました。c0174160_18434562.jpg


(3) イスラエルのコーヒー
続いて、月曜日の夜は、コンサルティング業界に興味のある友人に、就職活動のアドバイスを求められたので、彼の家に行ったところ、「イスラエルのコーヒー、飲んでみるか」と薦められて出てきたのが、このコーヒー。
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彼の奥さんには「絶対濃すぎてやばいから、やめた方が身のためだよ。私も前にアメリカ人の取引先が間違えて飲んで、大変なことになった」と反対されたが、とりあえずブラックでお願いすることに。

あまり豆の形に見えないコーヒー豆を、直接鍋に入れて、ぐつぐつ煮ること4分。
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最初気泡がいっぱい出てきたあと、程よいコーヒーの色に変わった頃に、そのままカップに移します。
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飲んでみた感想は、なんともいえない。ラズベリーとジャスミンを丸一日くらい炒って焦がして粉末にしたものをお湯に溶かして飲んだような、本当に舌が生まれて初めて感じた味でした。美味しいわけではないので、普通は砂糖を入れるそうですが、ブラックでも何とかなります。あまりカフェインは強くないらしく、週に1度くらいならまた飲んでも良いかな、と思える逸品です。

併せて奥様に頂いた、自家製チーズケーキも、イスラエル料理に共通しているのか多少小麦粉の味が強いのですが、それが丁度良くチーズケーキの甘みと絡んで、とてもコーヒーに合う逸品でした。
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(4) IN-N-OUT Burger 
水曜日にオペラを鑑賞した後お腹が空いていたので、妻と2人で車を15分走らせて行ってきたのが、この店。ハンバーガーのチェーン店にもかかわらず、以前から「カリフォルニアに行くなら、絶対ここのハンバーガーを食べて」と言われていて、カリフォルニアの複数都市のZagat Surveyでも、"No.1 cheap eats"に選ばれているこの店は、
・ 都市には無く、郊外のモールにだけ出店している
・ いつ行っても大行列ができている
のであまり行く機会が無く、ようやく行くことができました。

夜11時にも関わらず、ドライブスルーには車の行列ができていて、店内にはざっと3-40人の人で込み合っていました。ハンバーガー/チーズバーガー/ダブル(チーズ)ダブルバーガーと、ポテトしかないメニューから、ダブルダブルバーガーと、裏メニューの「ポテト・アニマルスタイル」を注文。

ダブル(チーズ)ダブルバーガー
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ポテト・アニマルスタイル(裏メニュー、+$3)
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ホームページによると、
・ 素材: 高級肉の買付け、解体、加工まで全てカリフォルニアの自社工場で行う。自社栽培のレタスに本物のチーズ、最高級のトマトとポテトを揃える
・ 調理: 野菜類は全て店でカットし、電子レンジやヒートランプ、冷凍庫は一切使わない
とのことで、確かに一切添加物の味がしない、新鮮さと素材のうまみを損なわないハンバーガーとポテトでした。なお、ポテトはアニマルスタイルは料理として美味しいですが、普通に食べたほうが素材の味が生きます。

この素材の良さと新鮮さを保つため、現在カリフォルニア周辺の4つの州でしか営業していないみたいなのですが、いっそ海を越えて日本に持ってこれたら爆発的に売れるに違いない、って考えていたら、日本で添加物無しで行列ができているラーメン屋が懐かしく感じられました。


(5) わが家での日本食パーティー
最後に、やはり和食が落ち着く、ということで、もう3週間近くも前になりますが、自宅で日本食パーティーを行った写真を掲載します。これは、入学して2ヶ月間、今まで勉学、ならびに就職や選挙といった活動で、御世話になった友人達(今回は日本人と韓国人を除く)を招待しました。「この日は感謝をする日だから、料理を宜しく」と妻に頼んでおいたところ、朝からこれだけの料理を用意してもらいました。
(天ぷら、手鞠寿司、焼きそば、手巻き寿司、焼き鳥)
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私は、というと、宝酒造の酒テイスティングに事前に連れて行き、酔っ払ってもらうとともに、酒を入手していました。純粋アメリカ、日系アメリカ、台湾→カナダ、ニュージーランド、インド、イスラエル、ケニア、と出身国は様々でしたが、このもてなしには、皆感激してもらえたようでした。
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続いて私のアコーディオンと夫婦でピアノを演奏し、アコーディオンで皆に遊んでもらったのも好評を博したようです。集まって頂いたかけがえの無い友人達、そして裏方で頑張っていただいた妻に感謝しながら、楽しい時間と美味しい料理を皆で満喫しました。
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というわけで、カリフォルニアの自然が育む美味しい食材に、世界各国の調理法とスパイス、そして素晴らしい人々との交流がなす、贅沢な時間の紹介でした。特に家族とともに留学される方、私費留学の方にとっては、余りお金をかけずにこのような意味での裕福な生活ができるBerkeleyは、本当に素晴らしい環境だと思います。
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by golden_bear | 2008-11-29 19:07 | 趣味・生活

アドレナリンが分泌された日(1/2) Big Game 観戦

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ここ1週間の間に、「興奮する」きっかけと結果を見る機会が多かったので、2回に分けて記載します。1回目は、"Big Game"。スタンフォード対Cal(アメフトではUCLAと区別するためか、UC BerkeleyではなくCalが使われるので、この記事ではCalで統一します)の年に1度のアメリカン・フットボールゲームの日です。

先に結果をお伝えすると、37対16でCalの圧勝。個人的には前回見た対アリゾナ州立大学戦の方が、接戦かつ応援団の中枢に座れて感動したので、今回は圧勝過ぎてつまらないと思ったのですが、周りの盛り上がり方は前回に無く異様でした。この私の感じ方とのギャップは何か、下記3つのことが思いつきました。

(1) 長いライバルの歴史
(2) 試合を盛り上げる小イベント
(3) ビッグプレー/トリックプレーの数々

(1) 長いライバルの歴史
1887年に始まり、今年で111回目を数えるこの大会。戦跡はスタンフォードの55勝45敗11分。このサンフランシスコを南北に挟んだ2校は、昔から対抗意識が強く、ここのウェブサイトに書かれているように、コート外でも毎年何か問題が起きています(お使いのブラウザーのURLに、Stanfordrejects.com、または、crappyschool.com、と打ち込んで、何が出てくるか見ていただくだけでも、対抗意識の一端は垣間見れると思います。)

この長いBig Gameの対立の歴史の中で、とりわけ有名なのは1982年の"The Play"と呼ばれる大逆転劇です。下記に、YouTubeの映像を貼っておきます。できれば1分間の短縮バージョンをご覧頂き、「そもそも何でこんなことが、、、」と前後関係に興味をお持ちでしたら、是非7分間バージョンもご覧いただければと思います。

・ 1分間バージョン


・ 7分間バージョン


(2) 試合を盛り上げる小イベント
c0174160_4212879.jpgc0174160_4214696.jpg・ Tail Gate:試合開始前のパーティーを校舎で

c0174160_4224011.jpgc0174160_423671.jpg・ 1945年からBig Gameを63回連続観戦のおじいさん、と、Big GameでCalの選手にサインをねだったら、ヘルメットをもらえた少年によるスピーチ

c0174160_4233630.jpgc0174160_424933.jpg・ Natalie Coughlin: バークレー出身で、アテネに続き、北京でも金メダルを取った競泳の女性。1大会6メダルは女性の新記録らしい

c0174160_4244083.jpgc0174160_4245873.jpg・ 甲子園でも観客席がやるような絵文字。スタンフォードがCalをバカにするハーフタイムショーの時に、スタンフォードを皮肉るストーリーを紹介

c0174160_4252666.jpgc0174160_427562.jpg・ Calの応援団によるハーフタイムショー。こちらはまとも

c0174160_428365.jpgc0174160_4282981.jpg・ Beat Calを絵で書いたTシャツと、Stanfordの応援団。選手も観客も応援団もほとんど白人で、有色人種が半分くらいいるCalとは対照的

c0174160_4292613.jpgc0174160_4295917.jpg・ CALの彼女とともにやってきたStanfordのお兄さん、試合を見せてもらえず。この後"Take Off Your Red Shirt"の大合唱が起き、退場させられる。

c0174160_4304496.jpgc0174160_4311629.jpg・ 得点が入ると上へ上へ持ち上げられる人々と、試合終了後グラウンドへ大挙して押しかける人々


(3) ビッグプレー/トリックプレーの数々
第2Q終了直前から第4Qに、数々のビッグプレー/トリックプレーが生まれて、流れが一気に傾きました。

・ 第2Q、Calは10-0でリードしていたものの、選手の動きを見る限り両者の力は互角で一歩も譲らず、どちらに転んでもおかしくない。終了直前残り1分でスタンフォードに初の決定的なチャンス。1st try後に、残り1yまで詰め寄られたCalは、観客と一体になりながら1yも進ませず、結局4th tryでフィールドゴールを選ばせることに成功。10-7となるところを10-3に凌ぐ。

・ 第3Q開始直後から、CAL側にアドレナリンが分泌されまくりの状態になり、あれよあれよという間に、タッチダウンが4回決まり、第3Q終了後に37-3となる。このときには、下記のような好循環が起こっていた
→ Cal側は、QBサック(相手QBがパスを出す前に、タックルしてボールを奪ってしまう)に計4回成功。このときには、応援団からのBlack Sabbathの曲に併せて、観衆全員が熊が両手のつめで挟み込むような振り付けをし、嘲笑が起きるため、大変盛り上がる。
→ Stanford側の動きに、いらつきが出てくる
 - QBは意気消沈したのか、キックやパスのミスを連発。ひどい時には、パスを審判のヘルメットに当てて、審判の禿げ頭が見えて大爆笑
 - DFがいらつき、反則が多くなる
→ Cal側のオフェンスの動きが軽快になり、トリックプレイやファインプレーが連発される
 - 明らかに”The Play”を意識した、ランニングプレイにより自陣からのパス回しでつないで得点
 - 相手ディフェンダーを交わす時に、一瞬おどけて挑発
 - 45yard パスや、75yard pant など、"そんなに飛ばせるのか"というプレイが続出
→ CalのDFが、またサックに成功

・ 第4Q開始後、Calの攻撃が緩んだのと、お客さんが帰り始めたStanfordが奮起したことで、それまでが嘘のようにStanfordのロングパスが連続して決まるようになり、2回のタッチダウンを奪う。しかし、3回目のタッチダウンか、と思われたところで、一度ロングパスがインターセプトされると、また流れがCalに戻り、万事休す。


これらの光景は、マケイン対オバマの選挙戦の小競り合い:得票数は僅差だが、結果は大差を生んだ、を思い出させました。実力が紙一重の中で、大差勝ちにつながる好循環を生み出す動機として、下記のようなものがあるのでしょう。
- The Playのような、歴史的に頭に刻み込まれた、あるべき姿のイメージ
- すぐ隣の味方の成功から、自分もやらねば/できる、という、やる気と成功イメージのの伝播
- 特別な日の程よいプレッシャーや、ホーム観客の大声援、による、後押し

とにもかくにも、ここの地域の歴史・風土を感じた、素晴らしい一日でした。
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by golden_bear | 2008-11-28 04:32 | 社会・風土

金融危機の荒波を潜り抜けるには? - Berkeley Financial Conference

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先週はデジタルメディアの1日イベントがありましたが、今週は、金融クラブのイベントです。今回のお題は、”Navigating Through Financial Turbulence(金融危機の荒波を潜り抜ける)”。こんなご時世にこんな業界のこんな議題で、果たして人が集まるのか、と思いきや、学生や関連企業の方はもちろん、他大学の生徒や一般市民の方々まで、400人以上が集まる大イベントとなりました。例によって、学生$25(一般$50)の入場料を取られたくないため、朝7時からボランティアで参加して来ました。

下記4つのスピーチ/パネルディスカッションを聞くことができました。
(1) 基調講演 Rohit Bhagat - Global Chief Operating Officer - Barclays Global Investors
(2) 主要講演 Mark Zanoli - Managing Director, JP Morgan
(3) 投資銀行のパネル
(4) プライベート・エクイティのパネル

(1) 基調講演 Rohit Bhagat - Global Chief Operating Officer - Barclays Global Investors
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基調講演ということで、御題に対する答えを、「7つの指針を守れ」と言う形で演説していました。その7つとは、
1. 安全な航路を計画しろ: 市場やプレーヤーに、リスク回避、透明性の強化、規制の強化、などの動向があることを想定した上で、自分は何を見て、どういう条件で、どう動くのかの指針を予め決めておく
2. 防水艇体を張れ: 一晩で、信用は無くなり、流動性は消滅する。この前提で、ファンディングは安全か、ポートフォリオは多様化されているか、差別化のある強いブランドを持っているか、を確認すること
3. 風を読んで、航路を修正せよ: 漕ぐ(投資基準を設定して細かく修正する)、または、流れに任せる(成長を待つ、あるいは、ライバルの失敗を機会として有効利用する)
4. 正しい航海者を配置しろ: 危機を管理し意思決定ができるだけの経験を持った人材がそろっているか、常に状況を観察しているか、互いに批判できるか、上級経営者に信用されているか
5. ハッチの開け閉めを頻繁に行え: 何か危機/機会があった瞬間を誰よりも早く見際め、誰よりも早く行動に移せる態勢を作っておくこと
6. 強力なラジオで情報を収集せよ: 顧客vsメディア、取引先vs規制、どういう影響があるのか常に情報から認識しておくこと
7. 絶えず航海中のメンテナンスを行え: リスク管理とコスト管理の意識を浸透して通常業務として動かすこと

言葉で書いてしまえばなんてこともないですが、リーマンを買収をCOOとして実際に指揮された方による、その事例を交えながらの説明は迫力があり、金融という枠を超えて参考になりました。

(2) 主要講演 Mark Zanoli - Managing Director, JP Morgan
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「全ての個別マーケットが破壊されたが、様々な学びがあった」、として、分かったこと、および、今後何が起こるかを、体系的な整理と、具体的な数値分析結果を基に解説をしていました。

講演者自体がとても明るい方で、2スライドに1回はShannon Burnsのようなビジネス風刺漫画の1コマを交えていたり、会場の警備員さんに対してハッピーバースデーの歌を歌ったり、と、明るい雰囲気を絶やさない工夫がなされていました。これにより、会場に金融危機で被害を被った/人生が変わってしまった方がいっぱいいる中で、事実を数値分析で示す重苦しい雰囲気を上手く緩和していました。

(3) 投資銀行のパネル
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5人のパネリストにファイナンスの教授が質問する形式。パネリストは、比較的安全そうなメガバンクの投資銀行部門か、ブティック系投資銀行の、執行役員レベルの人々で、偶然か必然か、全員M&Aが専門の方でした。

恐らく考えるのに苦労したんだろうな、と思われる質問のリストは、下記のようなものでした
- 「自己資本の低減が発生して、リスクが取れない状況」、と言うのは本当か?もしそうなら、どれだけ続くのか?
- 高いボラティリティーが続いているが、どのように収拾していくべきか?
- 株価が下がり続けているので、システミックリスクはまだ続くが、続くだけで済むのか/もっと危険になるのか?
- 規制はどうあるべきか?
- 今後6ヶ月に何をしていくのか?
最初3つの質問に関しては、誰かが「続く」「まだ悪くなる」という回答をすると、他の4人も大体似たような内容を補足する、という形で、楽観的な方は一人もいませんでした。規制に関しては、情報開示に対する規制強化は全員歓迎だが、どこまで開示するか、また、税制の変更やファンドに対する規制強化(存在そのものを規制するか、マネージャーの動きを監視するか、など)に関する意見は、多少ばらついていました。
最後の将来の話に関しては、「”この市場・商品は大丈夫だ”と、どの指標でどう的確に判断し、どうやって一番早く顧客に自信を持って説明できるか、の勝負をしている」、という意見が一番説得力があったように思います。

(4) プライベート・エクイティのパネル
同様に5人のパネリストに教授が質問。「18ヶ月前と今とで何が違うか」「最近のディールを話してくれ」「ファンドレイズは順調か」「市場は荒廃しているか」「ポートフォリオの多様化はどこまで手を広げているか」などの質問を次々にしていましたが、今回は5人が5人とも、多少異なる性格のファンド(プライマリー/セカンダリー、投資対象企業の規模、特定業界か手広く投資するか、など)だったので、皆さん立場に応じて違う意見のようでした。倒産企業を専門にされているファンドの方が「この状況なので、なんでも交渉が効き、無問題の会社ですら20%offで買える。大きなチャンス」と言い切っていたり、「2007年は活動を自粛して手元に現金が残ったため、実は2008年の方が好調」という小規模ファンドの方がいて、彼らの逆転の発想は面白かったです。

この後はネットワーキングの立食パーティで、「おまえらそんな服持ってたの?」というくらいスーツにネクタイをした学生らがいっぱいいました。私は日韓学生の飲み会に参加したため様子は分かりませんが、一人でも多くの学生にチャンスがあったことを願うばかりです。
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by golden_bear | 2008-11-21 23:23 | 学校のイベント

世界中から学生ベンチャーが集まってアイデアを競った日

UCバークレーは、シリコンバレーの近くにあることもあり、看板イベントの「ビジネスプランコンペティション」をはじめとして、起業プランを投資家にプレゼンして賞金を貰うイベントが、幾つも開かれています。本日はその一つ、"Intel+UC Berkeley Technology Entrepreneurship Challenge"、という大会の決勝戦が開かれていましたので、内容を記します。

実はこのイベント、Intelが投資をしている大学が世界中の15カ国、40都市にあるらしく、そこに所属する500以上のチームが予選を戦っていたそうです。今週の前半に22チームが世界中からバークレーに集まり準決勝を行い、本日日中に決勝戦を上位9チームが1チーム30分で戦い終えた後、夜から決勝9チームの御披露目会が公開されていて、見ることができました。日本からも、京都高度技術研究所のチームが準決勝に残っていたそうですが、惜しくも決勝にはいけなかったそうです。

御披露目会なので、9チームのプレゼン持ち時間は各5分しかありません。これに対して200人くらい集まっていた観客は、一番良いと思ったチームに1票投票し、最多得票チームが、本選の結果と関係なく「大衆受け賞」を貰うことができます。下記に各9チームのアイデアと、プレゼンの印象を簡単に書きます。このエントリーの一番下に結果を書きますので、御時間のある方はどこが勝ったのか、3位-1位および、「大衆受け賞」を予想してみてください。

No.1: SCU Panda Park (Sichuan University, China)
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・ プレゼン内容: 皮革化学の新技術。世界中の約3割の皮革製品を製造する中国においては、皮革工場による水質汚染が深刻になっている。今回の新技術では、超臨界状態の流体二酸化炭素を反応媒体として用いて、環境汚染を防ぐ。ベンチャー企業のミッションとしては、装置技術の提供と、トータルソリューション構築のコンサルテーションを行う。
・ 印象: スライドを使わずに、良く聞き取れない英語で延々としゃべってたので、実は何の技術、何の会社なのか、全く分かりませんでした。(上記の文章の大部分は、後でパンフレットからとったものです)

No.2: Gelomatrix (Nationalo University of Singapore, Singapore)
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・ プレゼン内容: 膝の骨格、特に関節軟骨を痛めた際に、今まではマイクロスラスチャー施術(軟骨に微小な穴を開けることによって、その部分が自然治癒する過程で軟骨の失われた潤滑機能を回復させる)、や、ACI法(軟骨細胞を自己移植する)があったが、前者は効率が悪く時間がかかりすぎ、後者は手術が難しく高い、という問題があった。今回提唱するChondromatrix法では、3次元の複合材料ナノ・ファイバーを折りたたんで挿入することで、幹細胞増殖の軟骨形成の支援をする。一回の単純な施術で終わるので、患者の負担(コスト・リスク)を低減する上、短期間に回復できる
・ 印象: 膝の断面図など、一般人には気持ち悪い画像が多数出てきたが、おかげで実際に何が起こるかのイメージがつき易いプレゼンだった

No.3: Nano Precision Medical (UC Berkeley & San Francisco, USA)
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・ プレゼン内容: Nanoflowという、分子レベルの大きさの物体を少量ずつ流すための穴がついたカプセルのような技術を開発。そのはじめての応用として、C型肝炎患者に薬を投与するカプセル。今までは、毎週1回注射を打っていたが、注射時には投薬しすぎ、薄くなるとまた注射が必要、という悪循環があった。これの代わりに、カプセルを人体に埋め込むことで、長期間にわたり微少量の薬を投与し続けることが可能。2012年までに製品化し、今後多発性硬化症、動脈硬化、中毒や精神疾患に対する投薬法に応用していく
・ 印象: 流石に地元バークレーからの参加だけあり、事業内容、プレゼンの質、ともに申し分の無いものでした

No.4: APEIRON (National-Louis University, Poland)

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・ プレゼン内容: オレフィンメタセシス触媒を開発、特許化し、商業化することを皮切りに、触媒を専門に研究開発する企業を設立した。今後、製薬、化粧品、農薬といった薬品や、自動車用、医療用といった高分子化合物向けの触媒を多数生み出していく。
・ 印象: 具体的にどんな技術なのか、という説明を全くしなかったので、何がどうすごいのかよくわからないが、すごいのかもしれない、という不思議なプレゼンでした

No.5: Polyskin (National Institute of Immunology, India)
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・ プレゼン内容: 火傷やその後遺症に苦しむ人は、多数いるにもかかわらず、米国に127、インドに19しか治療期間が無い。火傷の対処法は色々あるが、どれも高く、よりすぐに処置できる方法が必要だ。今回のPolyskin Processは、「粉をかけて、エタノールをかけて、Formが形成され、水に入れると、そのまま看護婦がやけどの箇所につけられる」これにより、適切な湿度や薬の塗布状況を保ち、皮膚が剥がれることも無く、看護婦の作業量が減る
・ 印象: 最初はやけどの悲惨な写真が多数出てきてどうなるかと思ったが、上記「」の部分を実際1分間くらいのビデオで示してくれたので、とても信憑性のあるプレゼンになりました。

No.6: Dhama Apparel Innovations (National Institute of Design, Indea)
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・ プレゼン内容: 皆さん、この部屋暑くないですか?そんな皆さんに、快適を約束する衣類3点(ジャケット、ヘルメット、首スカーフ)を開発しました。技術はいたってシンプルで、半導体冷却用のヒートシンクを上手く衣類に埋め込んでいるものです。屋外作業者や、軍隊、スポーツ選手向けに絶大な効果を発揮しますが、普通の人が日常生活でも着れるように、デザイナーとファッション性を追求しています。
・ 印象: CEOとデザイナーが実際に商品を着てプレゼンをしていたのには、笑いが起きました

No.7: Cretical Perfusion (University of Autonoma Metropolitana, Mexico)

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・ プレゼン内容: 人体への干渉を最小限に抑え電子センサーがついた、鼻から挿入し胃を観察する管を開発した。これにより、ICUにいる重病患者の細胞組織の診断が可能になった。メキシコで173人に実証済みで、今後アメリカに導入したい
・ 印象: 演台に立つCEOに対して、観客席から「何をする会社なの?何が昔よりよくなったの?」と質問を投げかけて、CEOが答える、という漫才形式のプレゼン。技術が技術だけに、具体的な絵は大衆的には見せられないのだろう。

No.8: NeuroMOD Technologies (National University of Singapore)

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・ プレゼン内容: 「てんかん」、脳神経が電気的に放電する病気で、5千万人ほどの人が苦しんでいる。薬は70%の患者に5割の確率でしか効かず、手術は50%の患者に8%の確率でしか効かず、それぞれ多大な副作用がある上、2割の人には打つ手が無い。今回は、心臓のペースメーカーのような装置を用い、セラミックプロープにより脳信号をフィードバックする手法を開発中。100%のてんかん患者に最小限の副作用で、5割コスト減で適用することを目標に開発している
・ 印象: どのようにてんかん患者の脳に信号を送ってフィードバックするか、図解されていたり、と分かり易いプレゼンでした。

No.9: VertuOR (University of Quebec, Canada)
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・ プレゼン内容: 初めて商品化された、現実の仮想ネットワークソリューションの紹介。次世代のネットワーク機器はコア・ネットワーク内に仮想化技術を持つべき。例えば2つのタスクを実行する時に、現在の構造ではサーバー/ソフトウエア上のタスク分担を仮想化しても、ネットワークに来た段階でシングルタスクになるために、ボトルネックになる。この技術により、サーバー/ソフトウェアと同様にネットワークも仮想化される。また、EthernetからWifi,Wimaxと主要な通信システムに適用可能。ISPはもちろん、空港、ホテルや会議場など、双方向の通信が必要なシステムで、スピードが大幅に向上する。
・ 印象: プレゼン自体はそれなりに理解し易いのですが、どこからどこまでがこの会社の特許/強みかが分からなかったです。

結果を書く前に、余談です。

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- インテルは金持ち? このコンペティション、インテル1社で第3位に$5,000、2位に$10,000、1位になんと$25,000、さらに「大衆受け賞」にも$5,000を出しています。こんな感じで、私のような飛び入り観客にも、上のようなポロシャツを無料で頂けました。インテルの人から、「今後は微細化技術の追求よりも、どのようなアプリケーション/ソリューションにどんな半導体が必要か、の目利きやそのソリューションの市場拡大が重要で、だからベンチャー企業発掘と育成に多額の投資をしているんだ」、とは聞いていましたが、この大不況にもかかわらず、気前の良さには感服します。

- バイオが有利? 決勝9チーム中5チームと、半数以上が医薬/バイオテクノロジー関係のベンチャーでした。他のコンペでもここ数年は、ITのベンチャーが沈静化する一方、環境・エネルギー技術が増えている変動はあるそうですが、バイオ優位が当面続きそうです。


いよいよ結果発表です
第3位:No.1 SCU Panda Park (Sichuan University, China)
第2位:No.5 Polyskin (National Institute of Immunology, India)
第1位:No.8 NeuroMOD Technologies (National University of Singapore)
大衆受け賞: No.3 Nano Precision Medical (UC Berkeley & San Francisco, USA)


私はこの2位、1位、大衆受け賞のチームで迷って、Polyskinに投票したので、第3位以外はすごく順当な結果でした。プレゼンからは何がどう凄いのか良く分からなかった中国が賞を取ったのは、「中国の汚染が深刻で、、、」と言われて、私も「日本やアメリカに被害が来そうだから、頼むから何とかしてくれ」という気になったので、多くの人が同じことを考えたのかもしれません。改めて今までの自分に無い意味でインテルと中国の強さを感じた一方、来年は日本のチームが入賞することを願います。
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by golden_bear | 2008-11-20 23:42 | 学校以外のイベント

偉人達の講演会(2/2): Play! デジタルメディアの祭典

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続いて土曜日には、私が所属するHaasデジタルメディアクラブが主催する、PLAYという万博のような展示会が開かれました。今年で第4回となるこのイベント、ビジネススクールの建物の大部分を占領し、一般参加者は入場料$50取るにも関わらず、チケットは完売、という、デジタルメディアの祭典で、卒業生を中心に、多くの地元シリコンバレーの起業家、技術者、営業の方々の交流の場になっていました。これだけ大掛かりなイベントなので、私は午前6時からセットアップをボランティアで手伝いました。

祭典自体は、大きく展示、講演、パネルディスカッションの3つで成り立っていました。

「展示」
全部で22社のブースがある中で、目を引いたいくつかの展示について、写真で解説します。

・ Reactable
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これはめちゃめちゃすごい楽器の発明です。波形や回路記号などの模様が書かれたブロックを、テーブルに適当に並べると、各ブロックのエフェクトに応じて、DJブースのように、リズムや繰り返しのメロディを発生することができます。面白いのが、
- 音程や音量などは、ブロックそのものを回す、あるいはブロックの周りに点灯する光をなぞって回すことで調整可能
- 2つ以上のブロックが置かれている時は、一番近いもの同士が相互作用を起こす。従って、「この音にこんなエフェクトをこれくらいかけたい」、という直感そのままに、ブロックをいじることで、音楽が作成可能
その場で周りの人が色んな音楽を発生させていて、とても盛り上がってました。

・ Vertigo (Microsoft Surface)
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マイクロソフトが、2008年のパートナー企業賞を与えていたこの企業は、その元となった"Microsoft Surface"を展示していました。これは、丁度昔のゲームセンターにあったテーブルゲームのような大きさの箱に、30インチのディスプレイがつけられており、その画面を触ることで、マウスもキーボードも使わずにパソコンのデジタル情報を動かせる、というもの。要は、iPod Touch/iPhoneを超巨大にしたような感じですが、画面が大きく動きがダイナミックなので、これも展示としてはとても面白いものでした。

・ Gazopa
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もともと日立が開発した日本発の類似画像検索エンジン。動画とか、自分でその場でなんとなく書いた絵から、画像を探してくれる。日本人が英語と日本語で説明していて、見ただけで嬉しくなりました。

・ Movi TV
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携帯でテレビが見れる。日本ではワンセグとして当たり前になってしまった機能ですが、アメリカでは課金制ありきでスタートしているようで、まだまだこれから市場が広がるようです。目新しさはともかく、こういう既得権益や政治・法律が絡む事業を、地元ベンチャーが起こしているのがシリコンバレーならではだと思いました。

・ Wildcharge
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ワイヤレス充電パッド、と呼ばれる、今年夏に商品になった充電器です。携帯電話はもちろん、ノートPCだろうが、Wiiリモコンだろうが、どんなものでも、いくつでも、どんな向きにでも適当においとけば充電できるよ、という、私みたいなズボラ向けの商品です。

・ HYmini
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見た目そのまんまの、手のひらに収まる風力発電機です。今後、電池が無くなったら、息を吹きかけたり、走り回ったりする人が出てくるのでしょうか。

・ Shapeways
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「大体こんな形で、こんな文字で、、」という感じで、Web上に入力すると、3Dのモデルを自動生成してくれて、郵送して届けてくれます。1枚目のように、文字だけ書くだけでもローソク立てが出来上がったりします。この素材はなんとナイロンでできているのですが、2枚目の写真にあるように、ばねだったり、大きなボールの中に小さなボールを入れて鈴のように使ったりと、それなりに弾力性のある素材で、プレゼントによさそうです。

・ IQ Engines
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ケータイやiPhoneについているカメラで写しているものを、そのまま検索エンジンで探してくれるサービスです。例えば山の中で遭難した時に、山菜やきのこを写せば、食べられるかどうか調べられるかもしれません。

「講演」
前置きがかなり長くなってしまいましたが、ここからが本題の、偉人達の講演になります。今年のPlayのテーマが”Disruption(崩壊)”ということで、これにちなんで2人のスピーカーがしゃべっていました。最初はTwitterという、つぶやきブログサービスのCEO、Biz Stone氏の講演でした。
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実は、校舎内のTVに、”次はTwitterのCEOの講演があるよ"等と、当日のスケジュールが流れていたのですが、それもTwitterで表示していました。

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彼はTwitterを始める前に、既にXangaやBlogger、OdeoやObviousというベンチャーを立ち上げ、成功させていたことから、当日の訪問者には大人気で、朝早いにもかかわらず講堂は満員で埋め尽くされました。

もともと2歳ごろから、電話会社に勤めていた母の父の影響で技術に興味を持ち、文字通り壊して回ったそうです。以後も、Tシャツを作りたい、というところから、Tシャツを作れる最初のベンチャーを立ち上げる。そのサイトを紹介する際に、Blogのサービスを知り、「これは良い」、と感じて全てのサイトの良い面をパクって1つのサイトに集約し、ブログサービスを開始。その成功をしているうちに、ポッドキャスティングが始まったので、そのアイデアも起業させながら集約し、行き着くところとして「モバイルテキスト」がリアルタイムで見れるべき、と感じて、Twitterを立ち上げたそうです。そのミッションとして、下記のようにいっていました。
"Tale the concept of the away message on IM and make it more mobile and more social"(離れた人の考え方を、インスタント・メッセージに載せて語り、よりモバイルに、より社交的にする)

とりあえず立ち上げて、後はどんな人が使うかに任せていた部分があったそうですが、いくつかブレークスルーがあった使われ方を順に紹介していました
- 最初は、あとで「ありがとう!」など、挨拶を言う場として利用
- カリフォルニアの山火事の時に、皆で「大丈夫か!」と情報交換。これを契機に、地震の際に多くの人が利用するようになった。
- NASAが火星から地球を楽しませるために、プレスリリースとして使っていただいた
- 紛争地域で写真ジャーナリストが、”今何が起こっているか”を克明にリアルタイムで記載
- Business Week誌が取り上げた(2008.9.6)ように、企業が自社内のコミュニケーションや、安全対策に使ってくれるようになる

というわけで、最初から収益を上げようとしたのではなく、とりあえず資金はあったのでサービスを向上していくことに集中し、「企業が使ってくれる」レベルまで高まると、企業のほうからアプローチしてくるので、契約が発生し、売上が発生する、というやり方でビジネスにしていったそうです。従って、どんなにFacebookやiPhoneなどが同様のサービスを展開しようと、「それは業界の裾野を広げていいことだ」、と新規参入を歓迎しているようです。こんなに懐の広いベンチャーはあまりないと思いますが、これはビジネスモデルは必要条件として、CEOの性格による部分が大きいのだと思いました。

終わった後、日本進出について一言考え方を聞いてみたところ、「既にデジタルガレージと組んで立ち上げたところ、君が予想するように、日本文化に応じた独自のサービスができてるようだね。こうしてローカリゼーションから新しい考え方が出てくるのは歓迎だ」、と、私の次の質問を見透かして答えてくれました。全く恐れ入りました。

こんな感じでフランクに会話が進むので、プレゼンテーションの途中に調べたり、新規入会している人までいました。
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2人目のスピーカーは、Microsoft社副社長兼XBoxの双方向通信プラットフォームサービス(Game Studio)の最高責任者である、Shane Kim氏でした。
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この方は、まず御題の「崩壊」に対しては、「壊して作り直して新しい物を生み出す革命だ」と明確に定義して、Walkman=>iPod, Napster=>Itunes, Tivo=>Youtubeの例を取り上げていました。その流れで、NetFlix(ネット宅配DVDレンタルサービス)や、MySpaceをはじめとするSNSサービスの先に、XBox Video Boxがある、と主張した後は、延々といかにXBoxのビジネスに将来があるかを迫力十分に語っていました。

いくつかの講演のポイントを示します。
- 巨大投資は回収可能。HALO3は制作費に$100M(約100億円)かかったが、最初1週間で$300M、Grand theft auto IVに至っては、$500Mも売れた
- 音楽が現時点で最高の成功へのレバーになっている。それは、音楽業界との深いコラボレーションがインターネット配信により可能(例:メタリカが、Guiter Heroへの曲提供と、新作CDの発売を同じ日に行う)、および、個人でのめりこむゲームから、バンドのセッションのようにコミュニケーションをとるように、ゲーマーの振る舞いを変化したことがあるため
- 我々は任天堂を愛している。Wiiは別カテゴリーでユーザーの裾野を広げてくれた。1,400万人のユーザーがいるインターネットサービスで、簡便さのWiiとも、Blu-layのPS3とも差別化できているため、この強みをさらに生かす方向

「パネルディスカッション」
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全部で7回行われたパネルディスカッションのうち、「Creativity(創造性)」と「Game(ゲームビジネス)」の2つを聞きました。ともに5人ずつパネリストがいたのですが、前者は5人全員が、後者も3人が、小さいベンチャー企業のCEOで、皆それぞれ自分の世界観を前面に押し出して話すので、収拾のつきにくい大変なディスカッションでした。

前者の「Creativity」は、アート(写真、動画含む)やデザインの部分のCreativityに関する企業ばかりで、そこに絞った創造性の話をしていました。全員共通していた部分として、インターネットとWebサービスの進歩が、多くの人がリアルタイムで多くの情報をやり取り可能にし、人の働き方やデザインに対するフィードバックのあり方を大幅に変えたので、良くも悪くもデザインそのものに大きな影響があった、というメッセージです。

一方、後者のゲームに関しては、シンプルであるべきか最高性能を追求すべきか、無料ゲームが氾濫するオンラインや携帯に関して、どのように飽きられないように課金していくべきか、などの尽きない話に対して、大小のソフトハウスの方々が持論を展開していました。


というわけで、2週間前には東海岸のボストンでHarvard GSDのように、いわゆる理系、文系の最高峰であるMIT、Harvardがコラボする場に感嘆したのですが、その一方で、本日はHaasおよびBay Areaに住む人が、本当にハイテクやデジタルメディアを愛していることを実感できました。個々の学びも多数ありましたが、全体としてここまでどっぷりデジタルに浸かっている環境のMBAにいることは、東海岸にいるのとはいい(悪い?)意味で違う、今後の人生への何らかの指針となると考えています。ともあれ、無事、祭りが済んだので、しばらくは来週月・火にある中間試験、その後の期末試験へとモードを切り替えることにします。
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by golden_bear | 2008-11-14 22:17 | 学校のイベント

偉人達の講演会(1/2): 寄生虫になって生きるべき?

今週金、土は、偉大な方々の講演会を含むイベントが目白押しだったので、簡単に状況を報告します。
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まずは金曜日。昼に、大学の講堂で、緒方貞子さんの講演がありました。今年は、UC Berkeleyの日本研究センター(Center for Japanese Studies)設立50周年にあたり、先月の村上春樹さんに加え、今週も東大で「東大-UCバークレイ・シンポジウム」が開かれていたり、来月には日本人初のメジャーリーガー、村上雅則さん始め野球関係の方々、来年早々に京セラの稲盛和夫さん、など続々と大物が登場しています。今回は、「Global Responsibility and Development Assistance」(国際責任と開発支援)という題で、主にアメリカと日本がどのような役割を演じてきたか、まず緒方貞子さんがスピーチした後、日米の教授3名によるパネルディスカッションが行われました。

緒方貞子さんの印象は、もはや何もかも達観された、晩年の天皇のようでした。スピーチ自体は、もう80歳を超えていることもあり、マイクからとても小さな声で、戦後の日本と米国がどのような歴史を経て、また、2003年から現在理事長を勤められるJICAがどのように、国際責任や開発支援を果たしてきたか、を、ただただ淡々と淡々と、英語で語りかけたあと、最後に「今後は日米ともに国際政治におけるシステム、シンボル、ソフトパワーの構築を通じて貢献すべき」という、一文のメッセージに帰結させていました。一言一言選ばれている単語には全く無駄が無く、とても中立的で論理も通っているため、「仰るとおりです。恐れ入りました」と言うより無い、全く突っ込みどころの無いスピーチでした。国際連合難民高等弁務官という難職を10年も勤め上げられた結果、全くよどみなく自然にこういうスピーチができるのでしょう。

一方で、その後のパネルディスカッションには、申し訳ないですが落胆してしまいました。最初の2名の方は、遠路はるばる日本から来られた、テレビでも顔を拝見したことがある日本人の政治学と経済学の教授ですが、緒方貞子さんのスピーチを受けて、事実を元に今後日本がどうあるべきかを論じていたのですが、聞いた後に日本人として恥ずかしくなる内容でした。
- まず、日本は社会貢献できていない、という問題提起を、政治(例:PKO人数の減少)にしても経済(例:ODA金額の減少)にしても、これでもか、というくらい色々な事実を元に強調して話すので、本当にできない気にさせられる
- 次に、どうすべきか/していくか、については、あまり話さない上に、できなさそうな打ち手と、できない理由がいっぱい並ぶ。もしかしたら実際に関わられてできなかったのかもしれないが、特にアメリカ人からは単に言い訳を言っているように聞こえたのではないか
- これらを英語で延々と語り続ける。お二方とも、日本人としては英語は堪能であると思われるが、それでも微妙なニュアンスが伝わらないのに無理やり伝えようとしているのが、聞く側をとてもつかれさせていた印象。通訳を使ったほうがしっかり伝わったと思われる
自分が今後国際的に議論やスピーチをするときに、こうならないように、しっかり気をつけたいと思いました。
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続いて、夜にJTPAのイベント「金子恭規氏セミナー」に参加しました。JTPAとは、「技術を志向する日本人プロフェッショナルがシリコンバレーで働くのを支援するためのNPO」であり、今回初めて参加しましたが、いかにもシリコンバレーらしい技術大好きな日本人が多くが集まっていました。

金子さん自体の経歴や、「徹子の部屋」形式で行われたインタビューの模様は、それぞれクリックしたところで見ていただけるのですが、とにかく「カリフォルニアが一番輝いていた」1970年代後半から80年代に、シリコンバレーに飛び込まれてずっと第一線で活躍されている方独特の、エネルギーを感じました。以下簡単に印象のある話を、自分なりの解釈も踏まえて書くと
- 寄生虫: 人の力を借りて、自分を成長させることが大事
 -- ベンチャー時代に、20年後に40~50位になったときに成功していそうな人と、多数知り合いになれた
 -- VCを立ち上げた時の共同経営者とは、専門分野とバックグラウンドが微妙に違ったので、お互いにお互いの能力、人脈を最大限に尊重しながら、議論が出来た
 -- 最初の資金調達は、「お金は出さなくていいから名前だけください」と必死にくじけないで頭を下げて、著名な投資家を集めて回った。次第に、「この人が投資してくれているのなら」と入った。
 -- いい投資案件を見分けるにも、最初は大手がいっぱい投資しているところの末席に無理やり入れてもらい、一生懸命働き、金集めでも、ビジネス構築でも「こいつら使えるな」と思ってもらう。
 -- 1~2件成功させると、自分が既に知っている人間が起業する、と聞いたときに、一番最初から入れてもらえる。そうすると、トラックレコード(投資成功実績)を作れるようになる
-- ベンチャーにいた頃は、いかに投資家をだまして投資してもらおうか考えたし、一方VCをやり始めてからは、いかにマネージャーに”この程度”と思わせるか考えた。だからといって、複数VC間で「このベンチャーを値切り倒そう」などという相談は一切しない。悪評が立つと商売できなくなる。いかに安売りせず、長期に物事を考えるかが重要。
- VCは、シリコンバレーだからこそ成り立ったし、ここですら儲からない商売になってきた。IPO時の企業価値は、昔は10倍だったが、今は3倍位。また、規模で考えても全部集めても$15Bくらいしかない産業で、プライベートエクイティ1社にも劣る。
- 従って、単純に日本、中国、インドに展開すればよい、というものではなく、別のアプローチを考えても良い。例えば、日本企業の研究所に埋もれている技術を、どのように活用するか、など
- キャリアチェンジ(医者→MBA→スタートアップ(genentech)→投資銀行→VC)は、人と環境が光っている方向へ方向へと、進めた。こういう転機は第一印象(3分くらい)で大体決まるので、決断にはあまり時間をかけない。もちろんいっぱい失敗するが、リスクをリスクと考えない。 (← 司会者より、「これについて来た奥さんが一番偉い」「頷いた人と、全く参考にならない人がいるでしょう」、と突っ込みあり)
このほかにも、いくつか面白い概念やアイデアなど聞けたのですが、もし興味ある方はこれ以上の内容は、ビデオの方を見ていただければ、と思います。

ここまで聞いて、そういえば緒方貞子さんの時の日本人パネリスト御二方は、自分で調べた自分の説を延々と主張するだけで、あまり人の力を借りる/育てるといった発想を感じられなかったし、課題ばかりに目を向けて、地球や日本の環境や印象を良くしよう、といった発想の意見も無かったような気がしました。シリコンバレーに身を置いた以上は、皆様の力を借りながら、環境や雰囲気を育てる側の人間になって行くべき、と思った一日でした。
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by golden_bear | 2008-11-14 21:01 | 学校以外のイベント

私の値段をあげるには? ‐ 給与交渉と自分ブランド構築のワークショップ

狙ったのか偶然なのか分かりませんが、今日は昼休みに「給与の評価と交渉の仕方」、夕方から「目立ちなさい!自分のブランド構築の手法」と、こんなの教えるんかい、と突っ込みたくなる名前のワークショップが計4.5時間ありましたので、概略を説明します。

まず、「給与の評価と交渉の仕方」。就職課の熟練女性職員が、豊富な過去のデータや、ロールプレイを交えて解説していました。結論としては、給与交渉は様々な形で可能、ということのようです。

- 就職活動後のアンケートに基づく統計から、AAの業界では、BB%の人がCCの項目に対して交渉した。うち、DD%の人が条件が良くなった。(AAが縦軸、CCが横軸になっている一覧表で、全業界に渡る交渉率、成功率を紹介)
- 交渉可能な項目(上記CCに相当)には、基本給やストックオプション、就業可能時期や引越し費用など、最大21項目が可能性としてあり得る。ただし、実際に聞いて意味がある項目は、業界にもよるが、全体の1/3程度の項目
- 交渉成功のための秘訣としては、下記3段階
(1) 内定を貰った直後、一瞬喜んだら、一歩立ち戻って、もう一度自分が本当にこの仕事に就くのが良いのかどうか冷静に考える: スキル、就業環境、自分自身のゴールや価値観に照らし合わせて、何が得れて何を捨てるのか、考えた上で、給料を確認する
(2) 上記考察に基づいて、交渉に必要な情報をできるだけ多く集める: うちの大学のデータはもちろん、他大学のMBAウェブサイトや、書籍/Webからも確認可能。また、相手企業に在籍する卒業生などから、何が交渉可能なのか聞いておく
(3) 交渉の練習を行う:ここは一般的な交渉術同様、相手を知り、最低線と目標線を設定し、相手の気持ちになり、落としどころを探る、というステップ。また、いくつかの落とし穴を紹介。

ここまで聴いた上で、2人組でロールプレイを実践。隣の人が採用担当者で、自分が内定をもらった人の役をやりましたが、後で何が書いてあるかお互いに見比べると、内定者側に「昨年の給与平均より大分低いオファーが来た」、採用担当者側に「就職活動が厳しい今年は、昨年ほど給料を高く設定しなくても大丈夫と考え、低めにオファーしている」。我々は笑っただけですが、チームによっては相当揉めていました。

感想としては、具体的な数字は出せないまでも、日本では全くありえないように思える伝統的な産業でも、給与交渉に挑み、成功している学生がかなり多いことに驚きました。そして、それを支援する就職課。恐らく、「卒業生の平均給与」が各ビジネス誌のMBAランキングの評価項目になっている(そして、起業と非営利団体の割合が高いUC Berkeley MBAは、他大学よりどうしても平均が低くなる)ことから、こんな項目で不利になりたくない、という気持ちが働いているのでしょう。このように、アメリカ式の競争原理を垣間見た気がしました。ただ、全体のメッセージとして、「交渉できる給与や条件は交渉すべきだが、それは一時の金銭を稼ぐためではなく、自分自身と企業の双方が納得して、良い気分で仕事ができる環境を整えるためだと考えるべき」、という考え方には、納得感がありました。

次に、「目立ちなさい!自分のブランド構築の手法」。これは、William Arrudaというプロの方に、講師として来て頂き、本来2日間で行うトレーニングを3時間に短縮して行っていただいたものです。
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写真からは雰囲気があまり伝わらないと思いますが、まずは「ブランド」を教えるだけあって、素晴らしい話術、身のこなし方、さらに、数百枚の写真とアニメーションが織り成すプレゼンテーションは、みのもんたが朝のニュースとクイズ番組を使い分けているかのようでした。

構成としては、まずはブランドとは何か定義した上で、次の3ステップで、具体的に何をすべきか、使えるツールを紹介していました。

1. 自分のブランドを搾り出す(Extract)
2. 自分のブランドをどう表現するか戦略を練る(Express)
3. ブランドを滲み出させる(Exude)

一番の驚きは、2.で「Web上の自分を最大限磨くこと」を懇切丁寧に教えていたことでした。
- 「採用担当者の87%はgoogleで候補者を調査し、35%はgoogleサーチの結果で選考から落とす」ので、ウェブ上に不利な情報があれば徹底的に消滅すべき
- "自分の名前.com"を持っていない人は、今晩にでも取得し、zoominfo.comなどのサービスを使い、自分関係の情報(ブログや論文、記事など)を集約すべき。これは、土地の権利を買うようなもので、ないと話にならない
- Linkedin, Ziki, Ziggs, Naymzなどのキャリア紹介サービスには全て登録しておき、書かれている内容に矛盾が無いように、全く同じ内容を記載する。こうすると、googleで調べられても、まともな情報が1ページ目に並ぶ。
- ただし、これらの個人情報ウェブからネットワーキングをする場合は、就職活動に直接結び付けないSNSを1つ、就職活動向けを1つの、最高2つに絞るべき。これを守らないと、企業に対して悪い印象や問題を与える可能性がある

こういうことを徹底的にWeb上でやっておくことで、「現代は自分から就職活動をプッシュして行うのではなく、企業からプルしに来る時代。この時代の変化に対応できる」そうです。「そういえばFacebookやブログでも平気で自分の顔写真を載せてるし、アメリカは個人情報のオープン化がこんなに進んでいるのか」、と驚いていると、アメリカ人の友人が、「俺は時代遅れなのかな。ウェブ上に自分の情報を載せてたら、投資銀行やコンサルティングからはオファーが来ないと思うんだけど」とのこと。私もとりあえず保守的に、友人の側に立ちたいと思いました。

その他は、一般の就職活動本やセミナーで、あるいは、MBA受験予備校で教える「エッセイをどうやって書くか/どうやって自分探しをするか」といった講義(無料のものもあり)などなど、日本でも普通に説明しそうな話を、恐ろしく分かりやすく印象に残る形で体系だって説明していました。なので、詳細は省きますが、いくつか面白いと思った話を下記に記します。

- 私のブランドの定義は、Unique Promise of Value (価値の、独自の約束)
- 物や企業以外にもブランドは定義できる。例えばシリコンバレー。また、マドンナは「変化」をブランドにしている。80年代に性を売り、最近子供向けの絵本を売る、これを両方こなして支持を得て常に美しい人は他にはいない
- "F"で始まる単語を避けろ:Fineではなく、Best, Exceptional, Outstanding, Extraordinaly を使え
- ブランド伝達戦略のフレームワークは、3つの"C": Clarity(明瞭), Consistency(一貫), Constancy(恒常)
- ブランドを滲み出させる際には、まず親しい友人や家族、同僚にはブランドをアピールする必要が無い。これらの人たちには、約束を守り、成長させ、上司をスターにして、信用を与える、という当たり前の活動をすればよい。では、アピールする先はどうかというと、2段階ある。1段階目は「直接一緒に働いていない、社内の人」、2段階目は「社外の人」という切り分けになり、それぞれに応じた戦略が必要

要は、MBAという就職市場(Place)において、自分という商品(Product)の、価格(Price)と宣伝(Promotion)を決めるための講義だったわけで、人間や自分というものに対するアメリカ文化の合理的な考え方と共に、「せっかく必修授業でマーケティングやってるんだから、まずは一番身近な題材である自分自身を売り込んでください」という大学からのメッセージを感じた1日でした。
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by golden_bear | 2008-11-13 21:34 | 就職活動

ニューヨーク1泊2日の旅

先週末は、ニューヨークに1泊2日で出張してきました。目的は、ある日本企業のサマーインターン説明会をサンフランシスコでやると聞き、登録していたところ、あまりに参加学生が少なかったためか中止に。「往復の航空券代を出すので別の会場に来てくれ」、ということになり、数年ぶりに友人に会える&泊めてもらえるNYを選んだためです。

土曜日の始発朝6:05発のBART(地下鉄)にのり、予定より10分ほど遅れ7:15にSFO空港着。走って7:45の飛行機にのり、NYのJFK空港に着いたのが16:20(時差+3時間あり)。一番安い($7で行ける)、Air Trainと地下鉄A線を乗り継ぎ、マンハッタンのタイムズ・スクエアに、18:00頃、到着できました。
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会場とは離れたここに降り立った理由は、下記3点。
(1) 3年前の同時期に来た時と比べて活気があるかどうか肌で感じること
(2) 日本で結婚式を挙げる友人に綺麗な景色のところから電報を送りたかったこと
(3) 近くに紀伊国屋とBook Offがあり、日本語の本を買いたくなったこと

(1)は、いい写真が取れなかったのですが、小売店のターゲットがでっかい広告を出していたのが印象的だった以外は、相も変わらずネオンの輝きと多くの観光客でにぎわっている場所でした。というわけで、安心して(2)を実行後、時間が無いので、(3)は近い方の紀伊国屋だけ訪問。
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初めて来ましたが、B1-2Fまで3階建ての各フロア半分くらいの面積は、着物やら漆器やらを取り扱っていて、本はもちろんそれ以外にも日本文化を紹介する、文化発信基地としての役割があるように感じられました。ただ、せっかく立地は良いのに、外からは何の店だか全く分からないので、外装をもう少し工夫して、日本人&マニア以外が認知できると良いと思いました。

トイレでスーツに着替え、文庫&新書を4冊衝動買いして、18:45。プレゼンは19:00開始でしたが、地下鉄1駅分の距離だったので、タクシーに乗れば余裕と考えていました。
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驚いたのは、NYの中のタクシーの設備。クレジット&デビッドで支払い可能な端末に加え、見にくいですが、写真にあるように広告&テレビ番組ともに、GPSでの現在位置/地図が映し出されていて、ドライバーが最適なルートを進んでいるかどうか初めて乗った人でもすぐにチェックできるようになっています。「こんなの日本でもなかったなあ」、と感心していると、即感心しない出来事が、、、

- 渋滞: もともと数が多いのか、土曜夕方雨がいけないのか、道の工事のせいなのか、道路がタクシーで溢れかえっていました。乗ってしばらくすると大渋滞が始まり、約1kmの距離に30分かかり、$12も取られてしまいました。歩いたほうが全然速かったです
- 運転手: ヒスパニックの方ですが、私を乗せたあと降りるまでずっとスペイン語で誰かと電話しっぱなしでうるさい。しかも、最後に着いた場所が、WestとEastを間違っていて、余計に歩く羽目に。これには頭にきました。というわけで、マンハッタンでは夕方タクシーに乗らないが吉です。

企業のプレゼン&個別面談が終わり、友人と計4人で飲みに行きました。うち1人は経済学のPh.Dを取る直前の方、残り2人は東海岸のMBA2年生の方々でした。話していた内容を簡単に書くと、

「去年の今頃は、どんな希望があるのかと楽しみながらお互いの成功を喜び合っていたが、今年は採用減、インターン募集停止、内定取り消し、など、何の話をしても暗い話しか出てこないので、全体的に学生&学校の空気が重い」

もし今のご時世、企業の人も同様に、飲んだ時に不景気な話題しかできない、と仮定すると、まさに閉塞感という言葉の意味を実感した飲みでした。西海岸でも実際には状況は変わらないのですが、人も気候も明るい分絶望感のようなものは無く、是非この楽天的な空気が東にも行くことを改めて願いたいと感じた次第です。

翌日は午後よりバークレーで知り合いと会うイベントが2つ続いたため、6:30にマンハッタン発の地下鉄に乗り、9:00にJFK発、12:30頃SFO着、14:00に帰宅。32時間あまりの間に20時間ほど移動が入り、その間に本を3冊読み、それ以外の時間は誰かと話し続けるという、久しぶりに前職の仕事を思い出す大変密度の濃い1.5日間でした。
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by golden_bear | 2008-11-12 18:23 | 就職活動

Fall A 振り返り(2/3) 必修以外の活動でやれたこと、やれなかったこと

もうFall B(秋学期後半)の中間試験の時期になってしまいましたが、Fall A(秋学期前半)の必修課目以外の学びについて考察します。まずは参加回数の数字から。

・ 必修科目の授業: 全14回*3(ミクロ経済、統計、組織行動論)+全6回*1(スピーチ)+テスト3 = 計51回
・ 必修科目以外のイベント: 計86回参加(10月24日迄。11月9日迄では130回)

というわけで、必修科目の1.5倍以上、自由参加のイベントに行っていたことになります。大変さで考えると、予習・復習・宿題・グループワークがある分必修授業の方が大変なのですが、優先順位で考えると、まずイベント参加ありきで、その余った時間で宿題などを締切効果で無理やり終わらせていました。

次に、参加したイベントを、内訳とともに紐解いてみたいと思います。
・ 企業からのプレゼンや説明会: 計25回(10月24日迄。11月9日迄では45回)
 Fall Aでは、2年生の本採用と1年生向けの宣伝のために、毎日1~2社が採用活動のプレゼンに来ています。これは、自分の将来、顧客・競合・取引先・提携先・就職先のどれかになりうりそうな企業の現在の生の声を聞く意味で、純粋に「この業界/会社は、こんなことやっている/将来考えているのか」という戦略を見る意味でも、インターン/就職先でどういう経験ができるのかを知る意味でも、実は授業より全然面白いことが多かったです。特に、シリコンバレー企業のプレゼンは、超有名大企業であっても、「え、この企業先月からこんなことまで手を出しているのか」と、業務内容や組織の変化が本当にドックイヤーで起きていることがわかり、大変感銘を受けます。

 ちなみに、企業との交流、という意味では、後述するパーティーや授業の場を併せると、11月9日現在で計60社程度の説明を受けることになりました。一般的なアメリカ人は、最初から業界を1~2に絞って、計10社程度の説明を聞くように見えますが、私の場合、「テクノロジー+金融+バイオ+面白そうなベンチャー」という軸に大小様々なイベントに出たためです。インド人と中国人は、私と同様に、情報の洪水を浴びながら自分の適性を見極めていくやり方をとる人が多いです。

・ 飲み会: 計13回(10月24日迄。11月9日迄では21回)
 毎週火曜に学校のバーで、毎週木曜にサンフランシスコで、定例の飲み会があるのですが、実はそれらは別のイベントが重なることが多く、一度しか行っていません。それでも、月1回の学校主催のパーティーをはじめ、アルムナイパーティー、日韓対抗飲み会、1-2年生交流バーベキューなど、ざっくり週2回くらいは何らかの飲み会に出ていたことになります。うち、半分は夫婦同伴というイメージです。

・ スピーカーシリーズ: 計10回(10月24日迄。11月9日迄では13回)
 度々紹介している通り、毎週14のテーマで、様々な企業の部長クラスの人が、1回ずつ授業をしています。全部の授業に出席し、毎週数行のアンケートに答える、などだけで1単位が認められる、非常に楽な授業なのですが、全部の授業に出ることは結構大変です。例えば、私の場合、月曜日夕方にデジタルメディアとバイオビジネスが被っていて、毎回面白そうなほうを選んで出ているので、結局単位は認められないです。それでも、シリコンバレー企業の第一線で活躍されている方の、生の声を聞ける環境は、非常にありがたいものです。

・ 就職活動ワークショップ: 計10回(10月24日迄。11月9日迄では12回)
 テーブルマナーから、履歴書の書き方、企業の人から情報を集めながら自分を売り込む方法、面接で聞かれる内容の講義、面接の実践演習、データベースの使い方、はては、給与交渉の仕方(!、今週受けてみます)まで、就職活動に対する様々なアドバイスを受けられます。個人的には、マナーや話し方など、アメリカでどう社交的に振舞うか、といった基礎知識が就職活動に関係なく身につくのが嬉しいです。

・ 会議や講演会: 計9回(10月24日迄。11月9日迄では12回)
 度々このブログでも取り上げていますが、村上春樹さんやトヨタの方などの講演に加えて、今年は新学長が意欲的に開催したり、金融危機があったりしていることもあり、「有識者を交えた緊急討論会」のようなイベントが頻発しています。こういう場でアメリカ人は論争を起こすのが好きなのか、この前もある銀行の人が、金融危機に関して今様々なところで言われている「何が問題だったのか」、「これから何が起こるか」という話を一通りまとめた上で、「もはやMBA卒業者が高額収入を得られる時代は終わり、従ってMBAの存在意義も終わった!」とスピーチして物議を醸していました。ビジネスエグゼクティブの視野を聞けて議論が出来る良い機会であることは、間違いありません。

・ クラブ説明会: 計6回(10月24日迄。11月9日迄では12回)
 まずクラブについてですが、一番参加者が多いのが就職活動向けのクラブ。金融、テクノロジー、バイオといった各業界毎にあります。これらのクラブは、同じ目的同士の人が互いに鍛えあったり、企業の人に説明会や授業、飲み会、討論会、企業訪問などを開催していただくよう要望し、参加者を募ります。他にも、サッカーやテニスのようなスポーツ系、旅行/ビールやワインの研究/ボランティアといった、自分の世界を広げる系のクラブが存在し、入会金(2年で$40~60)を払って所属すると、定期的に上記の就職活動や講演会のようなイベントに参加できるほか、クラブ会員のみの就職イベントやアルバイトなどの情報が見れます。

というわけで、以上、どのクラブに入っても、就職機会の発掘(リーダーになることで就職活動のアピール)、及び、共通の嗜好を持つ友人と知り合う機会が得られることになります。ちなみに、私はいつのまにか7つのクラブ(テクノロジー、デジタルメディア、起業、金融、テニス、ワイン、アジア太平洋地区の集い)の会員になっているのですが、どれに注力するかは今後のんびり考える予定です。

・ 来年のMBA受験者向け活動: 計5回(10月24日迄。11月9日迄では7回)
 日本からキャンパス訪問に来た方に会って説明したり、採用担当の人主催の「ウェブページどうすればもっとよくなるか」、「南米の人をどうすればもっと集められるか」、といったブレインストーミングに参加したりしていました。うちのMBA生は、どうしたらうちの大学のブランドが向上するか、どうしたら来年会う1年生で面白い人に出会えるか、皆よく考えているようで、キャンパス訪問者にはとても親切に振舞っており、それに触発されて自分もこのような活動に参加しているところです。

その他4回以下の活動としては、来年のJapan Trekツアーの企画、スタディグループでの週末の議論、サンフランシスコ在住/訪問日本人の友人と会う、アメフトを見に行く、近隣の自然公園を探索、などです。その他、面白そうと思ったが参加できなかったイベントとしては、下記のようなものがあります。

・ ケース・コンペティション: 以前紹介したFacebook Case Competitionのような学内コンペの他、全米のMBA学生を対象とするコンペ(例:NPO&テクノロジー、不動産など)に参加して、予選に勝ち抜いて中西部やワシントンDC等に行っている友人が数多くおり、非常に大変だが楽しそうでした。
・ 就業体験: Haasが運営しているPEファンドBear Fundsへの参加や、ベンチャーキャピタルの内定を取るために、人が集まる酒場に行き、自分で株を買うポートフォリオを提案する、など、裏口でバイト先を見つけることに精を出している人がいます。ベンチャー企業や投資家などへの就職は、このような裏口就業体験から始まることが多いらしく、まだこの世界がどうなっているのか理解できるほど入り込めていないのが現状です。

こう見ていくと、Fall A(秋学期前半)では、企業や友人から情報を貰いまくる!という活動に大半の時間を費やしていたように見えます。これは、もともと自分にとってMBAでやりたかったことの一つに、「シリコンバレーエリアの生態系にどっぷり浸かり、その文化に染まりながら英語力を向上させる」があったため、これらのイベントへの参加が、英語コミュニケーション能力強化に一番近い、と判断して、突っ込みまくった結果であります。ただし、MBAで得られるものはこれに限らず、他に何がどの程度得られるのか、次のエントリーで考察してみます。
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by golden_bear | 2008-11-10 23:38 | 学業

多様性を感じる一日

前回の選挙のエントリでは、アメリカ人の少々排他的な一面を記しましたが、その一方で多くのビジネススクールが、「Diversity(多様性)」を売り物にしてます。では、そもそも多様性とは何なのか、幾つか考えるイベントが金曜日一日にまとめてあったので、順に記してみます。

まず、最初は”Haas Diversity Day”(多様性の日)。名前からも分かるとおり、朝9時から夕方5時まで、多様性に関する現状と今後の取り組みを、多数のゲストを招いて、スピーチやパネルディスカッション、小グループ討論していました。私は諸事情により昼食前後の2時間程度しか参加できませんでしたが、下記状況と学びを記します。
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・ 参加者の年齢層: 学部生から老人まで多様的だが、どちらかというと50歳前後の年配の方が多い:計10数名に上るパネリストやスピーチを行う方々の肩書きは、投資ファンドのCEOや小売業、メーカーの重役の方々など。参加者側にも「こんな人バークレーにいたのか?でもいかにもバークレーっぽい」と思われる、この手の会議の常連のような方が多数。学生は夜間も含む全MBA生の1割弱に当たる、50名程度が参加した模様。
・ 参加者の国籍: アフリカ系アメリカ人など、マイノリティーと呼ばれている人が多い。白人は、研究者または企業の採用部門/多様性関連部門の方がほとんどのようで、学生がほとんどいなくて残念。白人はこの中ではとてもマイノリティーに見える。
・ 参加者の目的意識: まず、マイノリティーなのに大企業で成功した人が、どう苦労してどう成し遂げたか、を披露。次に、参加企業が多様性をどう捕らえているか、採用部門など多様性に関わる方が宣伝。そして、この手の話にうるさい参加者の方々が、延々と持論を展開。
・ いくつかわかったこと: 
 - 多様性の言葉の定義: 国籍や肌の色はもちろん、男と女の違いも、働いたことのある国の違いも、何かが違っていれば何でも多様性、ということで良いらしい。ただし、議論になるのは、それを生かして成功した例と、問題が発生したり苦労した例とが、1対4位の割合で出てきた
 - 現状: 白人文化の象徴と言える、ある投資銀行の白人と話したが、ここ10年くらいでウォールストリートでも白人以外を重用するようになったとのこと。なぜなら、顧客や株主が白人以外の場合に、同じ人種の方を担当にしたほうがスムーズになるため(...これって多様性を手段として用いて、自分達の均一なやり方を押し付けているだけ???)
 - 解決方法: サッカーなどのスポーツを一緒にすることが、一番良いらしい

というわけで、全体的な印象として、アメリカ国内にまだまだ実在する差別意識の排除や、目の前の優秀な学生を集める、といった実利の面が強調されていて、非常に遅れていると思いました。これは、私が期待していた内容、例えば前職のグローバル企業で実感した「多様性から新たなアイデア・価値観が生まれる」ということや、INSEAD/IMDといった欧州MBAトップスクール、Infosysといったインドの企業などが高々と掲げて文字通り実践しているような、多様性からプラスを生じる内容、あるいはスイスやスウェーデンのような小国のシステムから大国が学ぶ内容、と違っていて残念でした。もっとも、多様性から新たなイノベーションが生まれることは、とっくの昔から分かっていて、だからこそ米国で現在できない理由である差別や階級意識について議論していたのかもしれませんし、日本の大学や企業の外国人に対する扱いと比較すれば、むしろ相当進んでいるといえるかもしれません。

次に、来月開かれる「国際」をテーマにした学校主催の飲み会で、日本人ブースを出すための下見を兼ねて、近所にある「米国宝酒造」を訪問。資料館の展示や10分程度のビデオ、5$で7種の酒を試飲し、日本酒を2本買いました。
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感銘を受けたのは、説明の仕方。アメリカ人向けに展示してあるだけあり、昔飛騨高山などの酒蔵訪問をしたときに受けた説明より、全然分かり易く、酒がどのように造られるのか、他人に簡単に説明できるレベルで、初めて理解しました。これにより、なぜトヨタやキャノンなど、対外説明に多くの時間を割かれてコストのかかる多国籍企業のほうが、日本国内のみで営業している企業:口頭伝達で以心伝心できるからコストは安いはずなのに、分かり易い仕様書などを残さず、やり直しが多く発生し、会議も長くなることがある:よりも生産性が高い理由の一端を垣間見た気がします。

最後に、今晩開かれた学校主催の飲み会。月に1度といいながら2週間前に私が女装したこの飲み会、前回のテーマは「同性愛、性同一性障害、などの性差別撤廃」を求めるクラブ主催だった、と後で知ったのですが、今回は「インド」でした。先週一週間がインドの新年のお祝い、ということで、皆さんインド料理のケータリングを食べながら、
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肌に絵を描いてもらう人もいれば、
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インドのアカペラを披露。
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どこかのコンテストで準優勝した人が踊り、
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その後はファッションショーもかねて、パキスタン、バングラディッシュ、といった国対抗の舞踏大会
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非常に盛り上がっていました。
こういうのを見て、結局ビジネスにおける多様性って、目的とか手段とかどうこう考えるものではなく、単純に「政治も宗教も過去の対立も忘れて、お互い五感で感じて溶け込む場があるかどうか」が重要、と楽観的に考えて、オバマ氏の今後を楽しみに見たいと考えています。
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by golden_bear | 2008-11-08 16:01 | 学校のイベント


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