A Golden Bearの足跡


UC Berkeley Haas School (MBA) における、2年間の学生生活の記録です。
by golden_bear
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カテゴリ:学校以外のイベント( 13 )

孫正義氏のUCバークレー学生生活秘話

UCバークレー卒業生の孫正義氏が、2010年3月29日に東京国際フォーラムで行われた来年新卒採用の学生向け講演会にて、2時間以上に亘って行われた演説の、前半40分程度が孫正義氏ご自身の大学生時代の話でした。この動画がWeb上に期間限定(4月5日まで)で公開されているようですので、下記にリンクと共に紹介させていただきます。

USTREAMによる動画(2010年4月5日まで公開)→終了

高校を辞めてアメリカに行きたくなったきっかけ、その初志貫徹の仕方、入学以降の誰にも負けない勉強姿勢、UCバークレーという場所の「使い倒し」方、そして20歳以降一度もぶれない人生の「志」、「登る山」の設計と、スピーチ内容の一つ一つが心に染み渡り、妻と2人で40分間、食い入るように鑑賞。この続きも聞きたくなって、結局映画を1本見る感じで(中国語の宿題やりながら)2時間バージョンを聴き通してしまいました。

こちらに要約してテキストに書き下ろしたものがあるようなので、そのリンクも貼っておきます。
孫正義、【志】を語る。「孫正義 LIVE 2011」書き起こし(その1)
実際のスピーチで見たほうが全然迫力があると思いますが、期間限定かつ長いため、見れなかった方はこちらをどうぞ。

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ここからは余談ですが、見て個人的に思ったことを2つ

○ 住む場所が人の属性に大きく影響を与える
孫氏が私のルーツがある九州の言葉で、私が今住んでいるバークレーについて語ったことで、ものすごい親近感とビジュアルイメージが沸く。ABCのインド・フォーラムの記事で、「インドで物が売れるかどうかは、各地方独特の方言が通じるかどうかが大きく影響する」と書きましたが、それを自ら感じることになりました。また、本当かよ、と思うような内容でも、本当にその通りやってる学生が一杯まわりに居ることから非常に納得でき、内容そのものの良さが何倍も増幅されて聞こえる。こうして、私自身もこのバークレーの環境で2年間学べた、という、一生切り離せない貴重な経験を、今後の人生に生かして生きたい、と強く思いました。(このとき妻には、「食事のときに私の作った料理に集中していない所だけは、孫さんとそっくりだね」、と言われてしまいましたが、、、)

○ 米国の大学(学部)に留学する意義
2週間前にシリコンバレーで行われたKeizai Societyの講演会、Three Scenarios for Japan's Global Futureの中でも、ハーバード大学(学部)の日本人学生が合計で1桁ということが指摘されていました。また、3/6(土)にバークレーで開催したスタンフォード大学との日本人学生交流会JGRB-SJAにおいても、スタンフォードの日本人学部生は、ハーバードと同様、殆どいないという話を聞きました。

UCバークレーに関しては、もともとアジア人が全体の4割以上を占め、コミュニティー・カレッジ経由での入学可能、ということも関係しているのか、ハーバードやスタンフォードに比べれば、数~十数倍の日本人学部生がいそうな感じです。それでも、まだまだ増加の一途をたどる中国人や韓国人留学生数に比べると、絶対数も勢いも衰えている、という公開データを友人に教えていただきました。
(図: UCバークレー学部生の国籍別推移。ソース:UC Berkeley International House資料)
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こういう話やデータがあっても、他の文脈がなければ良し悪しも不明な上、自分にどうすることも出来ないため、ふーん、と思うだけだったのですが、本日孫正義氏のバークレー学生生活を聞き、改めて2つのことを強く意識しました。

- 「数ではなく、質の問題」:
韓国人がいつの間にか日本人の十倍になっていようと、結局孫正義氏のような人が1人生まれるかどうかの方が重要。そもそも、孫氏の時代に似たような考えを持った日本人留学生が、今と同じ数の数十人もいたかどうかも判らない。従って、数の問題ではなく、個人がどれだけがむしゃらに頑張って質をあげられるかが重要。こう考えれば、私もあと2ヶ月、がむしゃらに質を高めて生きたい、とやる気が出てきた。

また、「質」が指す方向性についても、孫正義氏が最初の起業時の心情を、「日本人の中に1人くらい変人が居ても良いと思った」といった話を、どこかのビジネス雑誌に書いていたことを思い出す。そもそも奇人・変人が多いバークレーという場所が孫氏に何らかの影響を与えたかどうかは不明だが、私も人と違う道で堂々と価値を出せるようになりたい、と思う。

 - 「米国の大学は、改めて凄い場所」:
個人の資質を高めて世の中に価値を生み出す場所としての、米国大学のシステムの優れた点を思い出す。もちろんシリコンバレーと密接な関係にあり起業しやすい、という側面や、バークレーが東海岸のアイビーリーグに対抗して実学重視の大学(州立の公共性&工学部に優れる歴史に垣間見れる)である、という面も、孫氏のスピーチと併せて当然想起される。しかしさらに今回別の視点から感じたこととして、今学部生と一緒に受けている中国語の授業があります。理系/文系・大学院/学部問わず、受講生の皆様の頭の回転の速さはもちろん、多くの方は「この中国語は一番楽な授業」という感想で、毎晩深夜まで専攻の勉学や研究に取り組む姿を見ると、落ちこぼれの私からは敬意を表したくなります。このように研究機関に加え人材育成機関としての米国の大学の凄さを思い知るとともに、こんな中だからこそ、スピーチに出てきた孫氏の大学生としてのモーレツな学習態度が生まれたのだ、と納得です。
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by golden_bear | 2010-03-31 14:20 | 学校以外のイベント

UCバークレーの日本食イベント(1) 世界最長のカリフォルニア・ロール

UC Berkeleyには、日本研究センター(CJS:Center for Japanese Studies)という、結構凄い研究所があります。CJSの何が凄いかというと、日本研究に関する蔵書数全米第2位という実績や、それゆえに「ジャパン・アズ・ア・ナンバーワン」を書いたエズラ・ボーゲル氏の息子で同じく日本研究の(すみません、初稿での誤りを訂正します)スティーブン・ボーゲル氏など著名人がバークレーに籍を置いている、という受け取り方もあります。が、それ以上に、この1年間で、日本では普段滅多に人前に出ることの無い、村上春樹氏や宮崎駿氏、そして緒方貞子氏や稲盛和夫氏などの著名人の方々を、次々にバークレーに招待して講演会を開いています。本日は、このCJS設立50周年記念の一環として、丸一日中日本食に関するイベントがありました。このうち、私は、昼に行われた世界一長いカリフォルニアロールを作るイベント、及び、夜のガラ・ディナーの2つに参加してきました。

まずは、世界一長いカリフォルニアロールを作るイベント。どういう経緯だかわかりませんが、とにかく世界一をハワイに奪われたので、カリフォルニアロール発祥の地に取り戻して、ギネスブックに登録しよう、というイベントでした。在サンフランシスコ総領事の長嶺さんが審査員をつとめ、日本の食品や調味料のメーカー・商社など10社近くがスポンサーになり、NHKや読売新聞、ロサンゼルス・タイムスやNBCなど報道陣も多数駆けつける、大規模なイベントでした。

1チーム5-8人で、57チームがエントリー可能、ということで、我々日本人大学院生・研究者の会JGRBにも、チームの募集がありました。しかし、募集があった翌日には、なんと57チーム全てが埋まってしまい、エントリー締め切り。どうやら、中国人や韓国人の団体が大量にエントリーしたようです。これを見て、知り合いの方が「日本のイベントなのに、日本人が入れないのは、よくないでしょう。忍者の格好でアピールするから、混ぜてくれませんか」、とCJSに対して交渉したところ、すんなり受け入れられて、しかもポールポジションの場所を頂きました。

下記がイベントの写真です。最初は和太鼓の演奏から入りました。さすがに日本の和太鼓ほど鬼気迫るパフォーマンスではないにしても、外国で聞く分には十分迫力のある、かっこいいパフォーマンスでした。
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もともと57チームが一斉に丸めてお終い、という15分くらいのイベントかなあ、と思っていたのが、結構丸めるのがむずかしく、結局ほとんどはプロの調理人が端からゆっくりゆっくり2時間かけて、丸めていきました。この長い丁寧なプロセスが、日本人ぽいなあ、という印象です。結果、見事333ft=101.5mを達成し、世界新記録を更新しました。終わった後食べましたが、味も結構美味で、食べつくされていました。

多数の記事や動画がアップされているようです。我々も忍者の格好をしていたために、多数の取材を受けましたが、ほとんどは社員ではない学生やフリーのライターさんによるもので、書いた記事を地方新聞などにあげてもらって、経験を積んでいるようです。米国のメディア業界は今倒産が相次ぎ大変なことになっていますが、それでもジャーナリストになりたい人々、そして、低コストで記事を配信する業界側の、それぞれの工夫を垣間見た気がします。1人、知り合いの記者が書いた記事のリンクを、下記に載せておきます。
オークランド・ノース・ネット
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by golden_bear | 2009-11-08 21:26 | 学校以外のイベント

西川千麗さんのイノベーション

一昨日告知したイベントの1つ、"Japanese Traditional Dance Past, Present & Future with Senrei Nishikawa"を本日見て、大変感銘を受けました。

本日の構成は、最初に千麗さんがご自身の踊り「鳥の歌」を5分ほど披露された後に、大画面のスクリーンに日本の舞踊文化の歴史、特に千麗さんご自身の芸術に関係する、能、歌舞伎、舞、日本舞踊、最後に千麗さんのコンテンポラリー芸術を、英語で紹介するビデオが1時間ほど流れました。その後は、千麗さんご自身が舞台の前に登場し、簡単な踊りの振り付けを交えながらの講演をして、質疑応答に移る、という流れでした。会場にはざっと150名程度の人々が集まり、うち約8割は日本人以外のようでした。

私が何に感銘を受けたか、下記に箇条書きにしてみます。
○ イノベーターに出会った瞬間
彼女の講演における略歴紹介の部分は、「日本では古来から習い事は旧暦6歳の6月6日に習い始めると良いという言い伝えがあり、それに習って4歳6月6日に日本舞踊を始めた。以後、踊りが好きで仕方なかったが、1980年ごろ果たして自分は踊っているだけで良いのだろうか、と悩む時期があった。その時、ある地元京都の作家の方による1冊の本に出会い、『人々の心の糧になることを自分で思うように表現したい』(注1)と思うようになり、以後伝統的な日本舞踊も、新しい舞踊の探求との両方を行うようになった。2000年より、この心が通じる、というテーマであれば日本に囚われずに活動すべきと考え、海外でも活動している」、ということでした。

そこで気になって質疑応答の時間に、「特に日本の京都という伝統・保守のイメージが強い地域で新しいことを始めるにあたり、反発は無かったか。あったとしたらどのように乗り越えたか」という質問を僭越ながらさせて頂きました。

そのときのお答えが下記のように、圧巻でした。
- 「自分で良いもの、と信じて新しいことをやり続けている間は、それに夢中で、反発はあったのかもしれないが全然気付かなかった。もちろん後で『あの時はどうこう』と教えてくれたりしたこともあったけど、気にせず新しいことを追求する方が大事だった」
- 「京都は当時ロンドンのようとも呼ばれていて、ビートルズのように新しい文化が生まれる、と言ってくださった方々もおり、新しいことを始めるとむしろ協力してくれる人が多かった」
- 「結局はお客様に喜んでいただくことを続けることが一番大事で、それができていれば周りからどうこう言われることはなくなる。如何に新しいものに対する需要を自分で作っていくかが大切」
こうして3つ並べると、意志、地の利、顧客関係とまるでイノベーションの教科書のように要素が揃っています。、中でも一番上の「夢中で周囲の反発に気付かない」、というのが私自身の学びとして一番大きいです。こう言い切れるほど、夢中になれるものを見つけること、その世界でプロの第一人者になること、それに甘んじず新しいものを追求するリスクを取ること、これらが全て今の自分には欠けてるなあ、と思い、とてもやる気が出ました。

○ 知ってもらおうとする謙虚な努力: 
正直、このイベントは、外国人には受けが悪いんじゃないか、と懸念していました。というのは、Japan Trekの時に、歌舞伎に行った人々が、皆退屈して、英語の解説ヘッドホンもやたら高い料金を取られる割に全くよくわからなかったようで、すぐに出てきてしまったからです。ところが、お伝えしたようにこのイベントは外国人が8割。その影には、
- ドブ板営業: なんと千麗さんご自身が昼休みに留学生寮の食堂で、「来てね」と声をかけて回ったそうです。「National Trust(国宝)」といった紹介を受ける方が、ここまで腰を低くされるのは、なかなかできないことではないでしょうか。
- 創意工夫: 本日の席の並びは、扇子をイメージして配置したそうで、その小話を交えながら扇子にどのような意味があるのかを講演する。このように機転を利かせて、様々な方法でイベントを盛り上げる努力をしているのが伝わります。
- 的を得た英語ビデオプレゼンテーション: 中盤の1時間のビデオでは、「道成寺」の物語を1つ通して、書物から能、歌舞伎、舞、そして千麗さんご自身の芸術でそれぞれどのように表現されているか、順にクライマックスの部分に注目して説明する、という、できるだけ飽きさせない努力が見られる構成でした。まあ、ここまで努力しても日本の古来の芸術はとてもスローで退屈に移ってしまうのは仕方なく、今後まだまだ改善の余地はありそうですが、それでも私自身ですら全然知らなかった日本芸術の特徴を上手に解説されていて、とても勉強になる、という知識欲を満たしているところは、今回のように海外の大学で行うにはうまい表現だなあ、と思います。
- スタッフのサポート: 最初の「鳥の歌」と、最後の講演・質疑応答は、アメリカ人の日本語通訳が完璧な訳し方、時には千麗さんがはしょっていた内容も、自分で「例えばこういうこと」と付け加えて、とてもわかり易い英語の解説にしていました。上記のビデオや当日の音響を準備している千麗さんのスタッフの方々、そして通訳を手配したIhouse/商工会議所/Japan Societyといった地元の方々のサポートの力が大きいのだと思います。

○ カリスマ(オーラ):
勿論近くで見た際に、着ている御着物が繊細で素晴らしい、といった外見面の印象もあるのですが、ここまで書いた内容にもあるとおり、とにかく千麗さんご自身は、とても上品でひょうきんで温かみがある、という人柄が良く伝わってきます。日本芸術の大家の方でしかも海外でご活躍なされていることから、もしかしたら気難しそうな方を想像していました。しかし実際には、芸の追及には妥協を許さない意思を感じた一方、我々に話している感じでは全くそういうことが無く、こういうのが日本人、特に京都の女性に備わっているカリスマなのではないかな、と感じいりました。

というわけで、丁度Power&Politicsの授業で、「イノベーションはその定義からして古いものを克服しなければならないため、必ずPowerとPoliticsが必要」という定義をした際に、まさにPowerに溢れるお方を目の前に見て、私自身がとてもPowerをもらった夜の催事でした。千麗さんはじめご関係者の方々に、この場をお借りして御礼申し上げます。


(注1)『』内は意味を違って解釈している可能性があります。違っていたらすみません。
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by golden_bear | 2009-10-06 22:30 | 学校以外のイベント

(告知) 10月のベイエリア日本系イベント数々のお知らせ- 芸術の秋ですね

いつも御世話になっている、地域やJGRBの会員の方々から、「イベントの告知をお願いします」というメールを4通ほど受け取っていますので、こちらでも紹介いたします。ベイエリアにいると、このように日本芸術に触れる機会が沢山あって、時間的にゆとりがあるからか離れているからか、むしろ日本にいたときよりも日本を感じる機会の多い気がする、今日この頃です。

(1) 10/6(火) 7:30pm- @ iHouse ”Japanese Traditional Dance Past, Present & Future with Senrei Nishikawa”
(2) 10/10(土) 10am-4pm @ Yoshi's San Francisco "The Flip Side of Yoshi's - Japanese Cultural Extravaganza"
(3) 10/17(土) 2-4pm @ McKenna Theatre, San Francisco State University "Kabuki- Backstage to Hanamichi"
(4) 10/31(土) 2-4pm @ サンフランシスコジャパンタウンユニオンバンク社交室 "のびる会主催*講演会+交流会"


(1) 10/6(火) 7:30pm- @ iHouse ”Japanese Traditional Dance Past, Present & Future with Senrei Nishikawa”
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Senrei Nishikawa is an internationally renowned Japanese dancer, choreographer, artistic director and one of Japan's national treasures.
Do not miss this rare lecture demonstration appearance infused with modern sensitivity that goes far beyond traditional Japanese dancing.

Sponsors Include:
The Japan Foundation,
the Consulate General of Japan, San Francisco, the Japan Society of Northern California and International House, UC Berkeley

General Public: $10.00; Free for I-House residents and members; $5.00 for UC Berkeley students and staff.

Many thanks,


(2) 10/10(土) 10am-4pm @ Yoshi's San Francisco "The Flip Side of Yoshi's - Japanese Cultural Extravaganza"


(内容、ポスター等は追加で届き次第、アップする可能性があります。)

サンフランシスコのYoshi'sの方ですので、お間違えのないように。詳しくは、下記
http://www.yoshis.com/sanfrancisco/jazzclub/artist/show/961


(3) 10/17(土) 2-4pm @ McKenna Theatre, San Francisco State University "Kabuki- Backstage to Hanamichi"
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在サンフランシスコ日本国総領事館は、10月17日(土)、以下の要領にて上記カブキ紹介イベントを開催いたします。本格的な歌舞伎役者を当地にお迎えするのは4~5年ぶりのことになります。共催団体一同、なるべく多くの方にご来場頂き、普段は見ることの出来ない楽屋の様子や歌舞伎の歴史、音楽についての説明を通じ、楽しみながら歌舞伎を知って頂きたいと考えております。宜しければ、UCバークレー校日本人会の皆様、更には御家族、御友人の皆様もお誘い合わせの上、是非お出かけ頂ければと存じます。

◎歌舞伎レクチャーとパフォーマンス
1.日時:2009年10月17日(土)、1400-1600
2.場所:サンフランシスコ州立大学McKenna Theater(1780 Holloway Avenue, San Francisco, CA )
3.出演者:中村京蔵氏、中村又之助氏
4.内容:二人の役者が女形の代表的作品「鷺娘」や雄雄しい獅子の舞を含む「石橋(しゃっきょう)」と演じるほか、歌舞伎の歴史や歌舞伎囃子の説明に加え、化粧の仕方から衣装のつけ方まで歌舞伎の「裏舞台」を詳しく紹介します。
5.入場料:チケット(一般前売り$15、当日$20、学生前売り$10、当日$15)を御購入ください。詳しくは、サンフランシスコ州立大学McKenna Theaterホームページ(http://creativearts.sfsu.edu/events/1195/backstage-hanamichi-behind-scenes-look-color-magic-and-drama-kabuki)をご覧ください。


(4) 10/31(土) 2-4pm @ サンフランシスコジャパンタウンユニオンバンク社交室 "のびる会主催*講演会+交流会"


2時から3時まで:講演会
3時から4時半まで:交流会

場所:サンフランシスコジャパンタウンユニオンバンク社交室
住所:1675 Post Street, San Francisco, CA 94115
建物の一階の奥にある赤い太鼓橋の横です。

講師:長谷川葉子先生(カリフォルニア大学バークレー校)

題名:日本語から見た日本人―日本人は「集団主義的」か?

要旨:ことばは、それを話す人のこころや、それが話されている文化・社会のありようを映すものである。この考えは古くからあり、言語学のみならず、哲学、文学、心理学、文化人類学、社会学、ひいては精神医学などの諸学問において、ことばと人間および人間社会の関係の重要性が認識されてきた。この講演では、我々の母語である日本語から、日本人の特性と日本文化について考えてみたい。伝統的な日本人論では、日本人の言語行動はウチ・ソトの対立などに見られる集団性の論理によって支配されているという見方が強く、個の主体性が集団に同化・埋没するとまで言われてきた。しかし、この論理は日本語の本質的特徴とは相いれないところがあり、集団性を示唆すると思える現象の背後には、英語などの西洋語以上に強い個の意識に根ざした言語体系が存在することを、様々な言語現象の分析を通して考察していく。

入場料:18歳以上の方は一人5ドルをお願い致します。

席に限りがありますので、下記よりお早目にご予約ください。よろしくお願いします。

http://www.nobirukai.org/
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by golden_bear | 2009-10-04 23:34 | 学校以外のイベント

Silicon Valley-China Wireless Conference 2009の様子

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Google本社とMicrosoftシリコンバレー支社からそれぞれ徒歩5分で行ける立地に建てられた、Computer History Museumにおいて、表題のSilicon Valley-China Wireless Conferenceが9月25(金)-26(土)の丸2日間開かれていました。私は土曜日に行われた下記4つの講演に参加してきました。

(1) 9:30-10:30am KEYNOTE: esurfing: SURFING IN 3G ERA,
(2) 10:40-12:10pm China 3G and Beyond: Embracing the opportunities after years of waiting
(3) 12:10-01:10pm KEYNOTE: Global View of Mobile Broadband, Yesterday, Today, Tomorrow:
(4) 01:10-03:00pm Smart Grid - The Next Frontier of Mobile/Wireless Ecosystem

わざわざ土曜日にこのような講演会に参加した動機は、下記。
- 自分の将来への興味: 自分のバックグラウンドや、今自然にやっていることを踏まえると、シリコンバレーと中国は自分の将来を考える上で避けられない2大テーマ。この2点間でどのような議論がされているのかへの強い興味(どれだけ中国語が聞き取れるか含め)
- 過去に学んだことのアップデート: 2004年に仕事で中国及び世界の携帯市場を徹底的に調査した経験、2006年-7年に中国で電子機器や半導体の工場や市場を診断する仕事を経験したことがあり、それぞれ2009年の夏にどうなっているのか、最新知識を仕入れてみたい
- Smart Gridのパネルディスカッション: 現在引き続きパートタイムインターンでエネルギー業界に関わっていることから、同テーマで中国と米国がまたがって、これだけのメンバーが何を考えているのか、とても興味があった。
- Computer History Museumの見学: 過去何回か前を通ったので中を見ようとしたが、開館時間が平日12-4pm、土曜11-5pmと、非常に不親切な時間帯で、中を見たことが無かった。

それぞれ4回の会議の様子と学びを下記に。会議全体としては、恐らく200人くらい出席し、6割くらいが中国人、後は国籍様々なシリコンバレー人。日本人の方は私の他に2人ほど見かけた気がします。ちなみに、私が英語(と中国語(?))で聞いたメモから書いており、間違いが含まれている可能性がありますので、その場合はご了承下さい。コメントも歓迎です。
(1) 9:30-10:30am KEYNOTE: E-surfing: Surfing in 3G era,
YiJun (Donald) Tan - President, China Telecom Americas
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China Telecom AmericasのPresident、YiJun (Donald) Tan氏のプレゼンテーション。China Telecom(中国電信)は日本で言うNTTのような最大の固定電話網会社。私が調べていた2004年当時は、PHSを1億台単位で売っている会社で携帯では出遅れていたイメージでしたが、今年からCDMA2000(日本ではAUの陣営が使用する規格)で3Gの営業を始めたところだそうです。

内容は、いかにもNTT、BT、AT&Tといった各国の固定電話会社が抱える課題をそのまま現したような、「うちは総花的に何でもやってるけど、今は全部そんなに強くない。でも、総合力で勝負するぞー」というイメージでした。ただし、先進国と違うことは、下記2点
- やや時代遅れ: あまり具体的には書けないですが、日本では数年前にとっくに議論しつくされていたような話やサービス(たとえば、"3G"を使うと"2G"に比べてインターネットが快適に見れるようになる(!))を、目玉のように話す。これで売れるんだったら楽だなー、と感じるとともに、中国は何となく規制が大変で身動きが遅くなってるかな、と言う印象でした。
- そんな時代遅れの技術・サービスがこんなに成長するの?: 大げさに言う癖のある国民性で、全部は信じないにしても、まだそれしか利用されていないの?、そんなに成長するの?というような数字が次から次へと出てきます。すでに3Gが飽和しきっている日本から考えると、誠に羨ましい話です。

そして、日本メーカーの話は何も出てこない、、、こんなに数年前の技術が大きく成長する(とあくまでChina Telecomが言っているだけですが)この市場において、スピーチの中で日本企業の話が一言も触れられなかったのは、悲しいばかりです。ガラパゴスと言われる前に、何とかならなかったものなのか、今からでも何とかならないかなあ。


(2) 10:40-12:10pm China 3G and Beyond: Embracing the opportunities after years of waiting
Moderator: Kye Cheung- Partner, Quoris
Panelists:
○ Frank Fan: VP of North America Telecomm Business Unit, VanceInfo
○ Yong Chen: GM of wireless, tianya.cn
○ Dawei Zhang: Dirctor of wireless network, China Mobile Research Institute US
○ Lixin Chene: Founder & Principal Consultant, ALA Group
○ Zhijun Ren: CEO of BOCO Inter Telecom
○ Steven Chun, Independent Consultant, US and China, Semiconductor, Philipps, Free Scale, Management Expert opportunities
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China Mobile(中国移動通信)のシリコンバレー研究所ディレクターはじめ、中国での3G/Wireless時代の生態系プレーヤー(コンテンツプロバイダ、半導体メーカー、技術/市場コンサル、技術人材派遣)が、それぞれ社長ないしは常務取締役級の人々を送り込んでの、パネルディスカッション。1人だけ中国語で話して通訳してもらっていましたが、他は皆つたなかろうが英語で堂々と議論しているところから、自分も英語頑張らなきゃなあ、と思ったのが第一印象。

China Mobileの今後の技術やビジネスの見通しが発表された後、幾つかの発表が続き、あるコンサル会社調べで、「2009年末の3Gユーザー数(百万人)は、TDS-CDMA 10、WCDMA 8、CDMA2000 10の合計28百万人」という数字が出る。その後はモデレーターの「御社にとって3Gの意味は」、「どうやって市場をつかむか」、「その次の技術は」、という質問に各社答えていました。

議論で印象に残ったものは、下記のようなものです。
- 3Gの導入は、カバレッジもないし、高コストでリスクが高い、と思っている人が多い。一方で、3Gはすでにデファクトの規格であり、さっさとビジネスとして導入して、次の技術開発を進めるべき、と言う意見も有り
- 顧客は混乱するはず、との見方。メイン顧客は大学生であり、価格が高いことから、2G(GSM)でいいや、と思われるのに加えて、彼らはTDSだろうがWCDMAだろうがCDMA2000だろうが気にしない。が、カバレッジが異なるのは相当面倒と考える。
- 新規開発の質問に関しては、China Mobileのみ回答し、TDLT技術(?詳細よくわかりません)という国策の技術と、NGMN (Next generation of Mobile Network)に力をいれて、wirelessとmobileの融合ネットワーク、グローバル化、Amazon.comデータをユーザーにどれだけ使いやすくするか、など顧客満足を追求する、とのこと。

うーむ。日本や米国では3Gは当たり前だけど、中国ではまだこれからで、国土が広いのと規制が厳しいことと貧しい人が多いから事業化も大変、というのが意味合いでしょうか。また、こんなところでAmazon.comの名前が出てきていることにも、その強さに驚きました。

(3) 12:10-01:10pm KEYNOTE: Global View of Mobile Broadband, Yesterday, Today, Tomorrow:
Jan Uddenfeldt- Senior Vice President, Senior Technology Advisor, Ericsson Group
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エリクソンの上級副社長、Jan Uddenfeldt博士の講演でした。市場がどのように成長し、エリクソンの技術がどこでどのような方向性を目指しているか、という、会社の宣伝が主なプレゼンの内容でしたが、そもそもエリクソンという会社についてあまり知らなかったので、1時間の講演でとてもよく勉強になりました。ちなみに、中国については一言だけ、「最近ようやく規制を超え(恐らくChina UnicomがWCDMAを提供すること)、今後最重要な市場と見ている」という話を述べていました。

興味深かったのは、Sony Ericssonの話は「あれは端末を作ってもらっているだけだ」と、ほとんど何も触れずにスルーし、代わりに半年前に作られた「ST-Ericsson」(STマイクロとEricssonのジョイントベンチャー)の話を、「世界中の主要ノートパソコン、主要携帯電話のチップセットを、ほぼ全て抑えている」という形で大々的に強調していたことです。他には、
- シリコンバレーには研究者を1,200人体制で敷いている。ここは、携帯技術が強い北欧と、IT技術の強いシリコンバレーが今後ますます融合していくと見る中で、非常に重要な拠点としている
- 2014年には、GSM及びGSMの延長であるW-CDMAが世界シェアの9割を占める、と見ており、Wimaxのシェアは1%程度だろう
- 今後エリクソンは、現在分散化されていて全く非効率な、携帯電話のバックボーンと、インターネットインフラのバックボーンを、できるだけ共通化して効率をよくする部分での、機器・システム開発に力を入れていく。

私個人の感想は、下記2点:
- ここでも日本の話は全然注目されていない: 彼自身日本にも仕事で駐在したことがあるそうなのに、日本の話題は上で書いたSonyのものと、ST-EricssonがTOSHIBAのノートPCにチップを売っている、という2点だけ。
- Wimaxはチャンス?: 疑問に思ったので、「Wimaxが2014年に1%しかないと見ているのはなぜか。その前のページで貴方は『2年半で携帯データ通信の量が18倍に膨れている』と言っているし、日本で商用サービスが立ち上がっていることから、5年後にそんなに低いことはないんじゃないか」と質問してみました。彼の答えは、「世界中の主要携帯キャリアがどこもコミットしていないから、というのが1つの答えだ」とのこと。そりゃ、携帯キャリアは3Gに死ぬほど投資していて、その回収をしたいから、Wimaxがいい、とは言いにくいだろうけど、もし本当にそれだけが理由だったら、Wimax陣営は技術とコストに問題が無い限り、顧客を握って既存キャリアを本当に倒してしまえるのではないか、とちょっと思ったりしています。(勿論、既存キャリアもQualcommや政府などと共同で、技術的にも政治的にも対抗措置をとるでしょうが。)

(4) 01:10-03:00pm Smart Grid - The Next Frontier of Mobile/Wireless Ecosystem
Co-Hoas: US-China Green Energy Council
Moderator: Andrew Clark, Director of Corporate Strategy, Venture Capital group, IBM
Panelists:
○ John K. Hane - Counsel, Communications, Pillsbury Winthrop Shaw Pittman LLP
○ Erfan Ibrahim - Technical Executive, Electric Power Research Institute (EPRI)
○ William Kao - Co-founder and managing partner, LEED international LLC
○ Geng Lin- CTO, IBM Alliance, Cisco
○ Raj Vaswani - Silver Spring Networks, CTO.
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IBMとCiscoとユーティリティー系コンサルタントと大学教授ベンチャー企業社長と弁護士(!)の5名による、「スマートグリッドとワイヤレス機器の将来」に関するパネルディスカッション。「スマートグリッドとは何か」と言う、まだ定義すら曖昧なものを、いろんな人が語るのが面白いと思いました。ちなみに、ワイヤレスどうこうという話題にはあまりならず、ましてや中国という単語すら一回も出てこない、純粋なスマートグリッドの議論でした。

ちなみに、スマートグリッドとは何か、を、会議の中で出てきた話で書いてみると、「Nikora Tesla(コイルを発明した人)が1883年にすでに提唱した概念で、”Modernized utility network: distributed, smart, two way flow, based in renewable energy”。今ようやく実現しようとしている。短期的(1-5年)には、スマートメーターなどの機器がユーティリティーインターフェースで、ユーティリティー使用状況の双方向通信を可能にし、中期的(5-10年)には顧客が総合エネルギー管理システムを個人の手に持つことができ、長期的(10年-)には、再生可能エネルギーを全ての人がコントロールできるようになる、というロードマップだろう」ということだそうです。主なメリットは、エネルギーの無駄がなくなる(必要な時に必要なところから必要なだけ放電し取り出し、余った分は充電しておく)。主な課題は、高コストとセキュリティー(個人情報漏洩)、といったところでしょうか。

一番印象に残ったのが、最後にある中国人が、「結局、スマートグリッドって、消費者にどんなメリットがあるの?」と質問したことに対して、あまり的を得た回答が5人から得られなかったこと。シスコの人が、「電力は顧客の2/3が法人だから、法人需要にセキュリティーやメンテナンスなど様々な意味があるし、消費者にもきめ細かいプライシングで需要と供給をマッチしてコストを下げる選択権が与えられる」と答えていたのが一番まともだった気がしますが、正直「これだ」というブレークスルーのアイデアはまだ出ていない分野なのだな、という印象を受けました。

次に印象に残ったのは、ユーティリティー系コンサルタントが冒頭挨拶で、「この中にハイテク企業を5社以上知っている人は何人いるか?(ほぼ全員手を上げる)、では、この中にユーティリティー企業を5社以上使ったことがある人は何人いるか(ほぼゼロ)。このように、ユーティリティー企業は寡占企業かつ平均退職年齢が48歳ということで、シリコンバレーのTech業界とは人も組織も文化も全然異なる。スマートグリッドはこの異文化にシリコンバレー側が戦いを挑んでいる、という構図なので、生半可には行かないことを認識して欲しい」とだけ告げて、後は延々とエネルギー業界のもっと大きな問題:エネルギー需要に対して供給が間に合いそうもない、と言う話を延々としていたことです。

この分野、この会議だけ聞く限り課題は山積みに見えますが、だからこそどんなブレークスルーが出てくるのか、楽しみであります。

最後に、今まで見れなかったComputer History Museumの中身を、少しだけ写真で載せて見ます(撮影禁止とは書いていませんでしたが、もし怒られたら消します)。コンピューター好きがしばし郷愁にふけるには、最高の場所かもしれません。
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by golden_bear | 2009-09-26 22:10 | 学校以外のイベント

JGRB 新入生歓迎パーティーからの学び

本日2つ目の節目は、JGRBのキックオフパーティーが開催されたことです。今は大学のシステム移行に伴いホームページ更新が滞っていますが、バークレー地区の日本人大学院生・研究者が気軽に集まれる場を作る、という目的で今年5月に立ち上げてみたこのJGRB。長い夏休みとそれに伴う人の入れ替えを経て、昨日年度始めのウェルカムパーティーをBerkeley Thai Houseにて、無事に実施できました。

今回の立ち上げに際して、自分の気付き、学びを下記に2つ並べてみます。

- 社会人参加者の方が増えた: 昨年9月時点にこの会の一番最初のさきがけとなった飲み会では、20名ほどの参加者全員がUC Berkeleyに所属する大学院生の方々でしたが、本日の出席者66名の顔ぶれを見ると、大学院生がむしろ少数派になり、すでにPh.Dを持たれている方、あるいは社会人として研究をされている方が多数派になっていた印象です。特に、今までほとんどいらっしゃらなかったシリコンバレーの企業にお勤めされている研究者・技術者の方々が大幅に増え、本当に年齢層が幅広くなり、より様々な話が聞かれました。このように、自分でこうしよう、と思って立ち上げた時とは、全然違う形で会が進化しているのは、とても面白いです。

- 創設者兼リーダーの責任: 
 ○ 会員数が100名を超え、様々な立場や年齢層の方がいらっしゃる中で、どのような会にしていくべきか
 ○ 会員の方々はもちろん、地元や日本にある様々な団体やスポンサー企業の方々などのステークホルダーからも頂く、様々な要望に、リソースがない中でどう対応すべきか
 ○ 多忙な中、現在幹事になって手伝っていただいている6名の方々と意見が食い違った時に、どのように判断していくか、、、

8月下旬から1ヶ月かけてこのパーティーの準備をしていく中で、併せて1年間の活動計画、役割分担やコミュニケーション方法など、もう一度精緻なものに作り直していくことに迫られました。その過程で、最も感じたのは、よく「リーダー(社長、CEOなど)は孤独である」と言われていることの意味です。

もちろん、前職がコンサルタントだったことから、このような議論をまとめて判断をしていくことに、それなりに経験と慣れはありました。ただし、前職の時には自分が最高責任者の場合でも常に上司やクライアントが存在し、私が「こうだ」と提案したものに対しては、必ず何かが跳ね返ってきました。一方、今回は私が創設者兼会長であり、前例も無いことから、本当に「上に誰もいない」。よく気をつけずに何か一言言ってしまったら、結構重い言葉になってしまう。そして、このJGRBには「利益」や「目の前の敵」といった強力な共通目標がないため、最大の判断軸が「私の意向」にならざるを得ないケースが結構ある(ように見えてしまう)。すなわち、本当は他の軸を入れなければならない場合でも、短時間の議論の中では当事者の自分ではその軸に気付かず、結局私の主観で判断してしまい、後で正しかったのかどうか考えてしまう。こういう経験から、自分の過去の人生においてリーダーシップを取った、と言える事はいくつもあるにもかかわらず、それでも「上に誰もいない状況でのリーダーシップは初めてであり、それは孤独である」、ということを、本当に勉強しています。

もちろん、幹事メンバーの皆さんが常に互いに言いたいことを言い合っていますので、実際には究極の決断に迫られた瞬間以外は、物理的にも精神的にも孤独になることはないです。ただ、この会の幹事のようにいつもチームで何か相談できる、という状況の方が実生活では少ない気がするので、社会復帰前に貴重な経験をさせて頂いていると思います。多少余談になりますが、「コンサルタントと実業家は全く違う職業。起業するならコンサルタントにならない方が良い」、「どんなにコンサルティング・ビジネスがコモディティ化してコンピューターに置き換わったとしても、社長に対するプライマリー・カウンセラーという部分の需要はなくならない」、と良く言われる話に、ものすごく共感できます。


多忙な中お集まりいただいた参加者の皆様、及び、何よりパーティーの準備や運営を滞りなく進めていただいた幹事の方々には、本当ありがとうとこの場をお借りしてお礼申し上げます。これからも、長年継続する体制を整えてうまく引き継いで行きたいと思いますので、どうぞ宜しくお願いします。
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by golden_bear | 2009-09-25 23:59 | 学校以外のイベント

シリコンバレーの環境技術レベルは如何に? - Imagine H2O会議の所感

昨日、スタンフォード大近くで開催されたImagine H2OというNPOが主催するワークショップに出席しました。このNPOは、世界中の水問題を解決するために設立されたそうで、水を利用している組織のリーダーを集めて必要な技術の洗い出しをしたり、水問題の解決関連のスタートアップ企業を育てるための、ビジネスプランコンペティションやインキュベーションを行っている。要は、「シリコンバレーのやり方で水問題を解決する」ような団体に見えます。Haasの同級生の1人がここに所属していて、Haas Tech Clubメーリス宛にワークショップの告知があったため、現在のインターン先が環境問題に関連することもあり、興味を持って参加してきました。

当日の内容は、まず前半に「水資源利用関連のお偉いさん」5名による、パネルディスカッション。下記の多彩な肩書きを持つ5名が、自分たちが今までどれだけ水利用の方法を工夫・改善してきたか、今後欲しい技術はどのようなものか、それぞれ非常に熱く語っていました。
- PG&E(電力&ガス会社)の上級プログラムマネージャー
- EBMUD(上下水道の供給と浄水処理)の、水質資源管理マネージャー
- スタンフォード大学、ユーティリティー管理の次長
- ソノマ地域のワイン葡萄委員会会長
- Googleの土地資源サービスエンジニア
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Googleは、この手の会議には結構どこでも顔を出している気がします。

後半は、下記6つの議題に沿ってテーブルごとに興味のある人が集まって議論。途中でテーブルを移っても良い。
- 水資源を直接扱っている業者での機会は何か
- 水関連の装置に対するビジネスを行う業者や、水の一般利用者での機会は何か
- 農業部門でどのようにニーズに答えていくか
- エネルギー/産業セクターでの機会は何か
- ベンチャーキャピタルの視点から、水関連技術のスタートアップ企業がどのように見えているか
- 水関連スタートアップ企業が使えるリソースや、ビジネス上のベスト・プラクティスはどのようなものか
私は、主に下2つのテーブルを行ったり来たりしていました。

会場を提供していたのは、Palo Altoにオフィスのある、それなりの規模の弁護士事務所。クリーンテック関係の案件を数多く扱っており、それを強みにしたいそうです。このように、専門が細分化された弁護士事務所が比較的大規模(建物見る限り少なくとも数十~百名程度は弁護士が所属)かつ、多数見受けられるのが、米国の法曹界の特長かもしれません。ちなみに、「スタートアップで財務分析したら、弁護士費用がバカ高かったんだけど、この業界儲かるでしょう」、と聞いてみたら、「もちろん。この分野で弁護士が活躍できるところは沢山あるし、専門性も必要だ」という答えが案の定返ってきました。

全部で70-80名の水関連技術に興味がある方々が集まっていました。大半は40-50代に見える年配の方々で、環境技術を専門に扱っているMBA(注1)に社会人枠で登録している人や近いビジネスで実際に起業している人も多く、中にはNASAで有人宇宙船内の水循環システムを開発しているような人もいました。また、若手では何故かハーバードビジネススクールから2名ほど参加していたことが、驚きました。

さて、ここまでは、環境問題に優秀な人材が集まる米国の裾野の広さや、シリコンバレー地域における環境問題への意識の高まりに、素直に凄いなあ、と思った話です。しかし、一旦テーブルでの議論が始まると、下記のような話を受けて、「シリコンバレーの環境技術利用実態って、実は欧州日本に比べてひどいのではないか」、と、思ってしまいました。

 - 「世界中の水問題解決」を謳っておきながら、皆自分の目の前のベイエリア周辺の前提でしか議論しない。例えば、さすがに「中国の水問題は深刻だ」という話は、多くの方がご存知だが、だれも具体的にどれだけ大変なのか知っている人は居らず、知っていてもわれ関せず、といった反応。実際カリフォルニアは秋になると毎年水不足や山火事に悩まされていて、他国の話どころではない、という事情もあるにせよ、このあたりの米国人の感覚は、大リーグが米国一決定戦をWorld Seriesと呼んでいること(注4)と、とても似ていると感じました。

 - 「日本はどうして水利用が上手いのか」、といろんな方に質問される。そこで、例えば「トイレは最近、水で流すのではなく、洗剤で汚れを落とすタイプが進化して、水の利用量を大幅に減らしている」といった話で答えると、異次元の世界のように驚かれる。

 - 求められている技術はとにかく「水不足の解消」や、「人が水を無駄に利用しなくなるための仕組み」。どんなに乾季でも芝生に水をまきまくって綺麗な庭を造っているカリフォルニアで、この問題をわざわざスタートアップが新技術を発明して解消しようとしているのは何となく滑稽に感じてしまい、単純に人の無駄遣いをなくすことが先なんじゃないか、と思ってしまう。(こう精神論に持っていってしまったら、新技術など生まれないのかもしれませんが。)

考えてみると、つい2年位前まで大量消費は美徳とばかりエネルギーを世界一消費しまくっていた国民が、今になってどこもかしこも急にクリーンテックを言っている。実は今ブームになっている「クリーンテック」とは、「アメリカ人を省エネにしよう」、という、とんでもなく低レベル(だが途方も無く難しい)の話を扱ってるんじゃないか、と錯覚してしまうような会議の内容でした。

ただ一方で、これだけ大量消費したくなるくらいエネルギーのコストが安い(注2)のもアメリカの特長で、エネルギーを生み出し配信する部分を低コストでできる技術力は非常に高いイメージがあります。また、特に水確保の技術は軍も政府も相当力を入れているようですので、今後急激に技術革新が起こるかもしれません。そして、そうなってしまう前に、欧州や日本の企業は当然アメリカに対して自国の優れた技術を売りにいくと思われます。

今週でフルタイムのサマーインターンは修了しましたが、引き続きパートタイムで続けて欲しいとの要請を受け、現在調整中(注3)です。いずれにしても、今後これらのクリーンテック分野で競争が活発になり新技術が発展するのかどうか、シリコンバレー型のイノベーションが通用するのかどうか、はたまたこれは単なる一過性のブームなのか、引き続き見て行きたいと思います。


(注1) 会場には、Presidio School of Managementの学生が多数いらしていました。他にも、ネットで検索すると、green MBAのように、環境関連を専門に扱うMBAが幾つか存在する模様。

(注2) 現在住んでいる大学の寮は、水道・電気・ガスは幾ら使っても無料。4年前にシカゴにいた時には、夏は冷房、冬は暖房が24時間ずっとつけっぱなしになっていましたが、1人暮らしで水道・電気・ガス全部あわせて安い月は2千円、高くても6千円程度でした。

(注3) 2年生の秋学期以降は、授業が行われている週に、週20時間まで「0単位授業」の形でバイトをすることが可能。また、直接働くことはできないが、Independent Studyという自主学習の授業として、指導教官を見つけてマーケティングの研究やコンサルティングのプロジェクトをテーマに設定し、論文を提出することで1-3単位を取得することも可能。

(注4) 「『World Seriesは,"The World"という新聞社が,年間王者を決めるシリーズを主催したのが由来なので,世界で一番,という意味ではない』と友人のアメリカ人に言われた」という情報を頂きました。有難うございます。
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by golden_bear | 2009-08-21 23:35 | 学校以外のイベント

JGRB 立ち上げの舞台裏と振り返り

以前お伝えしていた春学期のプロジェクト(授業以外)の1つに、さりげなくJGRB (Japanese Graduates and Researchers society at Berkeley:バークレー日本人研究者会)を立ち上げる、というものがありました。本日、JGRBホームページを一般公開することで、1つの区切りがつきました。本日は、立ち上げの舞台裏について、経緯について記してみたいと思います。
(1) 立ち上げの動機ときっかけ
(2) 幹事の構成
(3) スケジュール
(4) マーケティング
(5) オペレーション
(6) 今後の指針


(1) 立ち上げの動機ときっかけ
設立の経緯につきましては前の記事(最後のパラグラフ)を参考にして頂きたいと思います。ただ、これをもう一段深掘って、何故私が立ち上げなければならないか、また、何故このタイミングか、の2点について述べてみます。

前者の何故私が、は結構明確で、恐らく他の誰よりも私自身に立ち上げることのベネフィットがあったからだと思います。既にUCバークレー公共政策大学院留学記さんなどから、自分のバークレー生活の目的が変わるようなアドバイスを頂いていたりすることで、この会を立ち上げた場合のベネフィットの大きさを感じていました。またこの会全体を見渡して「私費留学生」はほとんどいない事から、留学に対する投資対効果を大きくしたい、という意味で、分母=投資が他の方々より大きい私が立ち上げるのが一番、当事者意識を持って続くだろうな、と思ったことがあります。ちなみに、当初"founder and president"と履歴書に書けるメリットもあるのでは、と下世話な考えもあったのですが、実際には就職活動でこの点を突っ込まれることは皆無。むしろ米国企業向けには日本人色が強まってよくない場合すらあるかもしれないです。

後者の何故このタイミングか、は、結構衝動的で、決断した瞬間は2回あります。1回目はワイン畑に囲まれたゴルフ場: 初の18ホール体験の記事の最後に、ゴルフとは全く関係なく出てきた韓国料理屋にふらっと現れた某Aさん。2回目は、無力感とやり切れなさを感じた事件(1/2)インド人との交渉の忘年会後に、当日キャンセルした数名から、集金するために1月中旬に開催したランチに現れた、某Tさん。勿論、その他の飲み会でも毎回毎回様々な素晴らしい出会いがあったのですが、その本編と関係ない小規模な集まりで、この御二方と偶然お会いできたことで、「バークレーには今までの人生で全く会った事のない、とんでもない人種が隠されている(Aさん、Oさん、すみません)」ことに確信を持ち、どうにか上手く継続して面白い人々を発掘する仕組みが作れないかなあ、と1回目の時に思い立ち、2回目に実行に移す決断をしたわけです。人間、何かを立ち上げるには、明確な動機ときっかけと他人の後押しが重要なんだと思いました。


(2) 幹事の構成
この直後の1月下旬より、私を含め社会人大学院生と理系のPh.D1年生(注1)より各2名ずつ興味のありそうな人に声をかけて、隔週程度に集まりながら学生団体立ち上げのプロジェクトを進めてきました。幹事4名にしたのは、下記のように継続に重きをおきたかったためです。

- 人の発掘が目的なので、大学の正式団体として登録したかったのだが、それには最低4名が試験に合格して幹事として登録される必要があった。
- 2年制以上のプログラムで毎年日本人の入学が見込める社会人大学院生(MBA,MPPなど)に、持ち回りで代表、副代表をやってもらうようにしたかった
- また、Ph.Dの1年生を巻き込めれば、数年間この会に携わってくれる可能性が高い
- せっかくクラウド・コンピューティングの時代になり、その中心にある地域の研究者団体なのだから、立ち上げ時から運営コストを極力下げた効率の良いスリムな組織にしたかった。4人ならば、トップダウンで立ち上げるために必要十分な広さの意見とスピード、当事者意識がバランス良く得られるはず、との読み。
- あまりある特定の学部の勢力を強くしたくは無かったので、基本的に各学部から1名の選出にした

上の3点については間違っていなかったのですが、下の2点については今後もう少し柔軟な運用ができるように、必ずしもこの形で制限する必要はないと考えています。


(3) スケジュール
予実で振り返ってみます。元々の予定では、スケジュールは下記のようなものでした。
- 2月: 大学への団体登録申請を完了。この間に、組織の存在意義・ミッション・年間計画などのイメージたたき台を4人で共有する
- 3月: Webサイトを立ち上げながら、JGRB発足記念パーティーの企画、告知を行う
- 4月: JGRB発足記念パーティーの開催
- 5月以降: 年に2-3回大きな飲み会、及び、必要に応じてカジュアルな飲み会などを実施

実際には、2月のスケジュールは非常に順調に進み、ここに記載されているミッションなどは上手く共有できました。ところが、2月上旬に、UC Berkeley卒業生の大先輩である北加商工会議所会頭、及び、サンフランシスコ総領事と同時にお会いする機会があり、この立ち上げの話をしたところ、「初回は総領事を御招きして、盛大に立ち上げた方が良いので、全面的に協力する」、との有難いインプットを頂く。次に会頭にお会いした際に、iHouseの理事長を紹介いただき、1回最低数万円は使用料がかかるこの歴史的建造物を、本会の立ち上げ会場に提供していただける、という話になる。と共に、この「総領事を御招きして、盛大に」が、何となく100人規模のパーティーをイメージしていたことがわかり、立ち上げに一気に火がつきました。


(4) マーケティング
当時既に知ってた人は全員で30名ほどだったので、3倍以上の人集めが目標になりました。これは、まさにマーケティングの基本です。
- Place: iHouseで確定し品格を高める
- Product: 集まる人と、提供されるコンテンツ(食事・酒)で勝負。前者は、地域のネットワークのコアになりそうな方をゲストとして招待すること、日程の調整で工夫をし、後者は地域の安価で美味しい料理を出す店を、他の日本人団体などに聞いて発掘、交渉。
- Promotion: どう70人追加して発掘するか、メーリングリストに聞くことから始まり、iHouse経由で日本人ビザを持っている人全員に告知メールを出す、などで追加募集。また、地域の日本人で興味ある人なら誰に対しても連絡可能、という形で、口コミで、間口を広げました
- Price: 赤字覚悟で1人$20、学部生は1人$15に設定。その代わりに、スポンサーを一杯つけるべく片っ端からあたることに。

というわけで、ゲストの招待やスポンサーの獲得は、同時期に並行して進めていたJapan Trekで身につけたスキルをそのまま横展開しながら進めました。さらに加えて、ここでも他学部の方にお願いすることで、普通ありえないであろう方が支援していただけることになったり、と、まさにネットワークの力を痛感しました。

そして、5/2の当日。名簿を見る限り、私でも半数以上は見たこと、聞いたことの無い人が、合計100人弱も集まることになり、本当に大盛況になり驚きました。(一応、iPhoneで顔の認識できなさそうな写真を掲載しました。盛況ぶりはいまいち伝わりませんが、、、)
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(5) オペレーション
一方のパーティー当日、舞台裏の運営は、ぐだぐだになってしまいました。
- アメリカクオリティを甘く見すぎていた: iHouseと事前に打ち合わせておいたサービスが全くなされず。
-- お願いしていたマイクが出ていなかったため、全員叫んでスピーチをする羽目に 
-- 会場設営は当日の朝終わっているはずが、開場時間の夜6時を過ぎた段階で、全く何も終わっていなかった
- 日本人を甘く見すぎていた: 「6時半開場といっても、皆1時間遅れくらいでばらばらに来るだろう」、と踏んでいたら、総領事効果もあったのか6時半に人が殺到
- ボランティア含め、当日のスタッフは7人(受付3人、中2人、ケータリング2人)で十分回る計画だったのだが、会場設営にほとんどの人員を取られて、受付が大混乱に
- ケータリングも、貴重な寿司は1人4貫まで、と数量制限を設けた上で、他の料理も整列して食べてもらう予定だったのだが、皆待ちきれない状況で一気に提供されて、鯉に餌をやったかのように食べ物テーブルに人が殺到することに。結果、半分くらいの人が残念ながら寿司を食べれなかった模様
- 開会ギリギリまで準備に追われたため、事前に準備していた司会進行の紙を訂正できず。頭の記憶に頼ったアドリブの来賓紹介や会長スピーチになってしまい、年長者に対して突っ込みどころ満載の失礼な紹介・挨拶になってしまった。
- 会が始まってから、予想以上にいろんな方が次々と自分の所に挨拶に来ることを想定しておらず、来賓やスポンサーの方々と重要な挨拶・打ち合わせをする時間がなくなってしまった。(というか優先順位付けがなっていなかった)

結局、初めから最後まで全体を見渡せる人を1人どっしり構えて問題解決をすべきだったのですが、恐らくそれに適任の私が現場に入ってしまった(コスト低減交渉&車を出せるため、ケータリングの食材を取りに回りに行ってしまった、)ことが一番の敗因のように思います。管理者が現場の作業に回ると崩壊することを、身をもって経験しました。


(6) 今後の方針
その後、2週間かけてWebの最終構成やメーリングリストの更新が終了し、現時点で参加者が100名を超える大所帯の団体が無事、立ち上がりました。既に、就職活動情報や地域のイベントの情報などが自発的にメーリスに流れており、立ち上げた身としては嬉しい限りです。今後、この団体がどうすればより居心地よく、また継続できるか、引き続きあと1年の間に少しずつ工夫を凝らしていきたいと考えています。具体的には、年に2-3回の比較的大規模な飲み会(Welcome,忘年会,Fairwell)に加えて、(1)に書いたような出会いや互いをより深く知るような、もっと小規模な飲み会(新橋の居酒屋風)を、定期的に開いてみたい、と考えています。また、この場を活用していろんな催し物をしたい方も、どしどし企画していただきたい、幹事もできる限りサポートしたい、と考えています。というわけで、関係者の方々は、今後もご支援宜しくお願いいたします。

(注1) こちらでは理系学部のPh.Dの1年生は、日本で言う修士1年生と同等の意味になります。修士コースを設ける大学があまり無く、学部を卒業したらすぐにPh.Dコースに入り、そこで5年程度かけてPh.Dの取得を目指すためです。
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by golden_bear | 2009-05-16 02:35 | 学校以外のイベント

"Whose Cloud is it anyway"(クラウドコンピューティング円卓会議)

Bay Areaに来て半年が経ちますが、その後半の直近3ヶ月の間に急速に耳にする機会の増えた単語の1つに、"Cloud Computing(クラウド・コンピューティング)"があります。本日は、このCloud Computingを現在最も推進している企業のトップが一同に介して意見・主張を交わす"Whose Cloud is it anyway"というイベントがあり、満を持して参加してきました。

先にクラウド・コンピューティングとは何か、について私なりの解釈をしてみると、要するに「今パソコンや携帯電話に入っているアプリ(ソフトウェア)のうち、ウェブブラウザ(例:インターネットエクスプローラー)以外は、全部ネットの向こう側(=クラウド)が持って行っちゃうよ」ということだと思います。少々補足すると、例えば今人々がインターネットを使っている際には、ネットの向こう側には基本的にはデータだけ預かってもらい、そのデータ(例えばこのブログ)を読み書きするには、基本的には先にパソコンや携帯に入っているソフトウェア(ワードとか画像取り込みソフトとか)を使って、アップロードしたりダウンロードしたりしています。ところが、クラウドの世界になると、このワードとか画像取り込みソフトにあたるものが、全部インターネットの中で提供されるので、「ブラウザ付きXXX」(XXXには、何を入れてもいいです。テレビ、車、洋服、etc)、があれば、それが今のパソコンや携帯と同じことが出来てしまう、そんな世界になるのかもしれません。

無理やり生活の例に置き換えたのでわかりづらくなりましたが、ブラウザさえあれば、ワードはもちろん、ウィンドウズのようなOSすら要らなくなってしまう、ということは、今のマイクロソフトはIEとゲーム機以外(!?)不要になってしまうのです。

このクラウドの恩恵を今のところ一番受けそうなのが、企業法人になります。何しろ、大企業ともなると、数百社の顧客や業者、数万人の社員、数百万点にも上る部品や製品の在庫・物流を管理するために、日本の例ではIBMやNEC、富士通、日立のようなシステムインテグレーターに、全社費用の数%~数十%にあたるお金を支払い続けて、システムを作ってもらっていました。何でこんなに高いお金を払っているかというと、今の企業のシステムは、その企業がやりたいこと(要件定義)に応じて「ソフトウェア(及びデータを格納するハードウェアとそれを動かすミドルウェア)」を、各個別企業向けに設計・構築するためのシステムエンジニアが膨大に必要で、その人件費が高かったからです。さらに言うと、「そのコストを下げてより良いシステムを作りますよ」という名目で、IBMやアクセンチュアに代表されるシステムコンサルティングという業種、及びSAPやオラクルという汎用パッケージソフトウェアの業種が繁栄していました(これらも本質的には人件費です)。

ところが、クラウドの世界になると、ソフトウェアが無くなってしまうわけですから、ここに挙げたマイクロソフト、IBM、NEC、富士通、日立、アクセンチュア、SAP、オラクル、といった企業のシステム構築の職業は、全部無くなってしまいます。「本当にそんなこと起こるの?」と訝しがる人もいるかもしれませんが、例えば皆様に身近なGoogleもGoogle Enterpriseで、順調に顧客を増やしているようです。そして、この企業向けクラウドで一番成功しているのが、Salesforce.com。9年前に「Amazon.comを見て、これが企業に適用できれば凄い」と考えて企業したマーク・ベニロフ氏は、CRM(顧客管理)のシステムに特化して、上述のIBMやオラクルなどのシステムを次々に自社のクラウド型製品に置き換えて、ついにSalesforceが年間収益$1Bを突破という状態にまでなっています。

実は、私がHaasに入学した半年前には、Salesforce.comは「"SaaS(ソフトウェア・アズ・ア・サービス:ソフトウェアはサービス(無料)で提供されますよ)"、"PaaS(プラットフォーム・アズ・ア・サービス:Webの向こうにシステムを作るための場は、サービスで提供されますよ)"の会社です」と言っており、クラウドという言葉は使っていませんでした。一方、その頃様々な企業が各々自社の定義で「クラウド」という言葉を濫用していたのですが、3ヶ月ほど前についに、マーク・ベニロフ自身が「クラウド」という言葉を前面に押し出して世の中に語りかけるようになって以来、急激にクラウドという言葉に売上実績が付いて、重みを増してきた感じを受けています。

非常に前振りが長くなりましたが、本日参加した会議の何が凄かったか、というと、マーク・ベニロフ氏御本人はじめ、今このクラウドの世界を推進するトップ10社のクラウド関係の最高責任者が、勢ぞろいしたからです。その方々は、下記になります。

・ Marc Benioff, CEO, Salesforce.com
・ Vic Gundotra, VP Engineering, Google
・ Amitabh Srivastava, Corporate VP, Windows Azure (注:マイクロソフトもクラウドには当然参入していて、Azureはそのブランドです)
・ Lew Tucker, CTO, Cloud Computing, Sun Microsystems (注:"Cloud Computing"にCTO(最高技術責任者)が付いた、初めての方)
・ Scott Dietzen, SVP Communications Products, Yahoo
・ Paul Buchheit, Co-founder, FriendFeed; creator of Gmail (注:Gmailは、世界初めてのクラウド製品、と呼ばれている)
・ Werner Vogels, CTO Amazon (注:アマゾンはSalesforce.comが手本にした会社であることからも当然技術力が高く、"Amazon Web Services"というブランドでクラウド製品を外販している)
・ Mike Schroepfer, VP of Engineering, Facebook (注:今や世界最大のSNSサイト。MySpace(日本のMixiに相当)がいるにも関わらず、追いつけ追い越せで上回ったのは、このクラウドの技術に長けていたこと(でユーザーの利便性と利用可能性を拡げた)も大きな要因と言われている)
・ Gina Bianchini, CEO, Ning (注:上記FacebookやMySpace、MixiのようなSNSサイトを、自分で無料で作れるサイト)
・ John Engates, CTO, Rackspace (注:ウェブホスティング(顧客のWebサイトを管理・運営する)企業。2008年にAmazon Web Servicesの競合クラウドサービスに参入)

内容自体は、今後色々なところで挙がって来ると思うので書きませんが、何しろベンチャー成功者達が織り成すの雰囲気に圧倒されました。
・ 10人全員が先見者であるため、一つ一つの発言に、自分がクラウドに何をどれだけ賭けているのか、という想いが乗っかり、その発想の凄さと重みを再確認した(発言内容自体は、ホームページの"社長挨拶"や"会社理念"みたいなものに沿っている)
・ 従って、10人全員の考え方一つ一つに納得感があるが、そのどれもが多少違う視点から語られているため、あまり討論にならず、言いっぱなしで終わる事が多い
・ 限られた時間で伝えたい情報があまりにも多いので、全員超早口。だが、とてもわかり安い(気持ちがこもってアクセントが良く付いているからか、元から興味があって多少調べたりしていたためか、、、)

また、実はこの10名の討論の前座で、クラウドコンピューティングの世界だからこそ生まれてきた、ベンチャー企業5社が、大企業の重役やベンチャーキャピタルに対してビジネスモデルを語るイベントがありました。「クラウドは第2のドットコム・バブルで、今後ベンチャーが多数出てくることを期待している」、と言う趣旨で始まったこのセッションでしたが、
・ データセンターを常にオンラインにすると電力を食いすぎるので、使わないときには極力Offにする事で電気代を1/30にする技術
・ クラウドの中にブラウザまで移して、ブラウザとサーバー両方を軽くする技術
など、確かに今後クラウドの世界で需要が高まる技術を持ったベンチャーが既に生まれているようで、活気を感じました。

こうして、前座と本番が終わった後は、立食パーティーがありました。残念ながら上記の特別ゲスト達はパーティーに来なかったので、10名ほど参加していたHaasの同級生と早速意見交換。「結局クラウドで勝つのはどの企業?」といった話を議論し、これに白熱していたら、あっという間に時間切れになりました。議論の中で面白かったのは、上記10社が激しく戦えば戦うほど、その裏で大きく伸びそうな企業が、浮かび上がってきたこと(どこかは秘密にしておきます)。こういう議論ができると、同じ興味を持った友人が集まるビジネススクールのの良い点を実感できます。

Mountain ViewにあるMicrosoftの会議室で行われたこの会議から、帰り際に外に出ると、目の前に「Computer History Museum」の建物がありました。
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この会議の前にここに立ち寄った友人によると、マッキントッシュ1号機の試作機や、グーグルの初代サーバーなど、まさにコンピューターの博物館に相応しい骨董品の数々が展示されており、感激したそうです。また、直ぐ近くにGoogleの本社もあり、観光コースとしても面白いところだと思いました。

というわけで、世の中何処もかしこも世界的な大不況なのですが、だからこそ、その次の世界で生きてくる可能性のある最先端の概念・技術の世界は、大変に盛り上がっておりました。クラウドがもし本当に「破壊的なイノベーション」で、いろんなもの・概念を破壊するのであれば、私も卒業後には破壊して再構築する立場の仕事につきたいな、と心から思えた、良いイベントでした。

[参考記事]
“クラウドは第2のドットコムだ” (TCクラウドコンピューティング会議のビデオ・ハイライト)
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by golden_bear | 2009-02-28 16:44 | 学校以外のイベント

「我が人生に悔いあり」- U.S.-Japan Baseball Symposium

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12月6日(土)、UC Berkeleyに日本人初のメジャーリーガー、村上雅則氏と、元読売巨人軍4番のウォーレン・クロマティ氏が登場しました。これは、UC Berkeleyの日本研究機関発足50年記念イベントの一環で、2日間に渡り"U.S.-Japan Baseball Symposium"という形で何人もの方が議論していた中の1コマです。

残念ながら私は一部しか参加できなかったので、クロマティ氏のスピーチは聞き逃してしまいましたが、村上氏の講演と、その後10分程度行われたパネルでのクロマティ氏を見れたので、その概略を簡単に説明します。

(1) 村上氏の講演
第一印象は、どこかで見た事のあるお顔と、NHK-BSの大リーグ中継の解説で聞いたことのあるお声。「この方が村上さんだったんだ!」と再認識しました。高校を卒業してからメジャーリーグに行き、大リーグのマウンドに立ち、2年後に日本に帰るまでの出来事をドキュメンタリーのように語っていました。

一番印象に残った内容は、講演の最後に「『我が人生に悔いあり』、と常に思って生きてきた」とおっしゃっていたことです。もともと南海ホークスから米大リーグに"留学"という形で送り出された村上氏は、2年間の間にメジャーに昇進しながら実績を積み上げて、3年目にメジャーとの大型契約を行おうとした矢先に、ホークスから帰国命令。恐らく色々もめたのでしょうが、「高校時代に『アメリカに行かせてやるからホークスに来なさい』と直々に誘っていただいた当時の監督の姿が頭に浮かび、そして実際に行かせてくれた恩義を考え」て、戻ることにしたそうです。「あの監督が一言、『もう少しアメリカにいていいよ』と一言でも言っていてくれたら、喜んで残っていただろうが、そううまくはならず。当時あと数年は米国でやれる自信と環境が整っており、その後の野茂などの活躍を見るに、もしあの時残っていたら自分の人生は全く違うものだっただろう」ということで、悔いあり、だそうです。

この話を聞いて、たまたま手元にある堀紘一氏の著作、「一流の人は空気を読まない」を思い出しました。実は私はこの本に関しては冒頭を少し眺めただけですが、そこでは「日本社会では、日常生活で空気を読むスキルがあるに越したことはない。しかし一方で、人生に何回かの重大局面では、空気を読んでしまったら、必ず失敗する。一流になるには空気を読んではならず、自分で空気を作る位でないとダメだ」といった内容が書かれています。これを当てはめると、村上氏は日本人的価値観を重んじて空気を読み、野茂氏はKYだったのか、と想像するに、自分が今後悔いを残さないために、いつを重大局面と捉えて、その時どういう行動を取るべきか、考えさせられます。

その他、心に残った内容を下記に記します。
・ 私の時代は東京オリンピックが最優先で、私のメジャー挑戦はマスコミも一言程度しか取り扱っていなかったと思う。今の日本人大リーガーには通訳がついているが、私には当然なく、辞書を2つ持ってキャンプ地に行った
・ 1年目の終わりに対メッツ戦でメジャー初登板した際は、緊張しないように「SUKIYAKI(上を向いて歩こう)」を歌いながらマウンドに上がった。1球目で外角低め一杯にストライクを取れた後は調子にのり、1回を1ヒット2三振1内野ゴロに仕留めた。投げた日に感激はなかったが、翌朝NY TIMESで「初の日本人」と紹介され、初めてどでかいことをしたと感じた
・ 2年目に、アンパイアの判定に抗議し、ロージンバックを上に投げつけたところ、アンパイアが怒り狂って向かって来た。早口で聞き取れずよく分からない顔をしていたらますます怒られ、キャッチャーがなだめてどうにか事なきを得た。後にこの光景をテレビで見ていたサンフランシスコの日系人の長老から、「よくやってくれた」と感謝された。というのも、終戦後20年間、日系人は全く米国人の言われるままにしかできず、私が米国人に対して堂々と抗議しているのを見て胸がすっとしたそうだ。思わぬ貢献をしたと喜ぶ一方、戦争は2度としてはいけないと強く感じている


(2) クロマティ氏
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我々が小学生の頃、低くかがんで構える姿を真似してた人がいっぱいいましたが、そのひょうきんさは全く失われていませんでした。目玉を大きく見開く、ガムをかんでるかのようにほっぺたを膨らませる、質問者がクロマティの真似を右打者の構えでしたら「オレハヒダリダ!」と怒る、当時最高打率.378と紹介されたあと「今はイチロー」という司会者の声に本気で悲しむ。そして、終了間際に司会からマイクを奪い取り、「ミナサンサイゴハバンザイサンショウデシメマス。セーノ、、、」。これらのしぐさ一つ一つから、天性のカリスマを感じました。

そんな彼の一言は、「自分の成功に一番重要だったのは、日本の文化にどう溶け込むか、なりきるかだった。日本ではどこに居ても自分は目立ってしまったので、とにかく自分から全て何でも日本式に変えて行く事で、何とか受け入れてもらい、味方を作っていった」といったような内容です。これだけのカリスマを生まれ持ちながら、さらに人一倍の努力をして異文化の中に入り込み、成功を掴む姿は、ともすれば互いに批判することに価値を見出しがちなMBA生にとって、非常に見習う点が多いです。

討議後には、親切に写真とサインに応じてくれました。これを見えるところに飾り、今後人一倍アメリカ文化の「空気を読んで」溶け込めるよう頑張り、「空気を読まない」タイミングを見計らう感度を上げて行こう、と考えています。
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by golden_bear | 2008-12-06 22:11 | 学校以外のイベント


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