A Golden Bearの足跡


UC Berkeley Haas School (MBA) における、2年間の学生生活の記録です。
by golden_bear
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
ブログパーツ

カテゴリ:Washington Campus( 6 )

2009年1月上旬のワシントンDC観光記

丸5日間の授業風景を書いてきましたが、ワシントンDCに来たもう一つの目的である、観光と友人との再会についても書いておきます。私がDCに来るのは2回目、前回は2001年8月30日~9月1日まで滞在していましたが、今回は下記の点で違う印象のDCとなりました。

(1) 2001年9月11日の影響
(2) オバマ大統領の影響
(3) 政策に近い町
(4) 旨い食べ物とコミュニケーション

(1) 2001年9月11日の影響
前回訪問時には、ホワイトハウス、FBI、ペンタゴン、国会議事堂など、名だたる施設の中に入って、こんな風になっているのかと感激しながら見たものでした。特に、ペンタゴンは「建物のどこからどこまでも7分以内で駆けつけられます」、と説明を受けて感心しながら、「もし外から攻撃されたら、この5角形の真ん中から迎撃ミサイルでも出るんじゃない」などと仲間内で話していたら、それが全く想像の域を出なかったことを10日後に思い知っていたわけです。

そして、今回、上に挙げた全ての施設の観光コースがなくなっていました(注1)。さらに残念だったのが、大学時代からの友人に連れて行ってもらい8年ぶりに訪れた、NASAのGoddard Space Flight Centerにおいても、9/11テロ以降、内部の見学が禁止されたとのことです。
c0174160_1854860.jpg

ただ、代わりといっては何ですが、運のいいことに、偶然訪れた当日に「ロケットの打ち上げ大会」が開かれていました。何組かの少年少女がロケットを打ち上げるのを見ていたところ、我々にも声がかかり、楽しんでロケットを打ち上げました。c0174160_1862080.jpgc0174160_1863819.jpgc0174160_1865386.jpg
c0174160_1871588.jpgc0174160_1872732.jpg
c0174160_1873991.jpgc0174160_1875136.jpgc0174160_188066.jpg
c0174160_1881970.jpgc0174160_1883090.jpgc0174160_1884196.jpg
また、中ではこちらこそ「地球シミュレーター」なんじゃないか、と思えるような球形のプレゼン装置があり、月・火星・地球に関わらず、また、宇宙から眺めたアフリカの焼畑の様子などを必要に応じて拡大縮小しながら映し出しており、とても判り易いシアターだと感激しました。
c0174160_189139.jpg


(2) オバマ新大統領の影響
町中、オバマさん一色で、パレードの準備が日に日に進んでいることを、真近で感じることができました。
・ 地下鉄のチケット
c0174160_1892022.jpg

・ みやげ物や
c0174160_1892495.jpg

・ ホワイトハウス前
c0174160_1810572.jpg
c0174160_1810888.jpg



(3) 政策に近い町
「合州国」の考え方を、良く取り入れた町であることを実感できます
・ アインシュタインの像: 「世界を代表する科学者を受け入れた国として、誇りに思う」として像が建設されています
c0174160_18103687.jpg

・ Zip Car: 車のシェアリングシステムで、友人にNASAに連れて行ってもらった際にも利用しました。会員になると、会議室予約のような感じでWebページ上で使いたい日時に空いている車を検索し予約登録。実際に予約した車に行き、カードキーにより時間内であれば自由に運転できるほか、ガソリンもそのカードで入れる仕組みだそうです。カリフォルニアでもたまに走っていますが、自家用車比率が高く、ワシントンDCほど多くは見かけない印象があります。
c0174160_18105761.jpg

・ セグウェイによる、都市観光ツアー
c0174160_18112076.jpg
c0174160_18113094.jpg

・ ジョージタウン: 政策研究のメッカとなる大学と、その城下町。こんなに古い歴史のあるキャンパスの中に入ると、
c0174160_18115295.jpg

隣には一面太陽光発電設備の工学部と思われる建物が。
c0174160_1812649.jpg

ちなみに、すぐ隣に見えるバージニア州と比較して、DCは家賃も税金(消費税で10%する)も高いそうで、多くの人が反対側から橋を渡って通勤しているそうです。
c0174160_18121992.jpg

・ ペンシルバニア通り:よくニュースで「ワシントンよりお伝えします」とやっている地点。この日も、どこかのテレビ局のアナウンサーが、報道していました。
c0174160_1813927.jpg

が、その裏ではスケボー少年達が飛び回っており、生放送中に「うるさい、静かにしろ!」とテレビ局の職員が追い払っていました
c0174160_18124821.jpg



(4) 旨い食べ物とコミュニケーション
最後はやはりこれ。すでに1月8日のブログでランチを紹介していますが、ワシントンDCは各国の大使館がある町であることから、レベルの高い料理をニューヨークなどに比べると高くない値段で食べることができます。

・ ドイツ・オーストリア料理:Cafe Mozart
日本にも、まるでパチンコ屋かと思うくらい大音量で道に向かってモーツアルトをかけている同名の喫茶店がありますが、こちらではドイツ人とオーストリア人が自国のための料理を心を込めて作っている印象で、全然格が違いました。もちろんモーツアルトのレコード(?)がかかっていましたが、夜は生演奏もあるそうです。ビール・ソーセージ・ポトフ・ケーキと全てうまい。
c0174160_18133838.jpg
c0174160_18135884.jpg
c0174160_18142392.jpg
c0174160_18143464.jpg

・ 広東料理:Full Kee(富記)治安が良くないとされる中華街ですが、駅のすぐそばにあるこの店までは、2人以上で行く分にはあまり問題なさそうです。2回行ったのですが、両方混んでて10分くらい待ち、うち1回は円卓で4組の人と食事をして仲良くなれました。お粥(約$6)、中華麺(約$6)、チャーハン($8-12)、野菜炒め($6-12)、餃子($2-4)など、全て良心的な値段にも関わらず、横浜の中華街で普通に繁盛店になりそうなほど旨く、また余ったら持ち帰りもできるので、長期滞在には非常に重宝しました。多くのレビューにサービスが悪いとありますが、日本でラーメン屋に行ったと思えば全然良い方だと思います。
c0174160_1815186.jpg
c0174160_18151573.jpg
c0174160_18152613.jpg
c0174160_18153733.jpg
c0174160_18155556.jpg

・ イタリア料理: Sette Osteria
Dupont Circle近くでランチを頂きました。釜で焼き上げた感じの、ピザが美味しかったです。
c0174160_18163786.jpg
c0174160_18171619.jpg
c0174160_18173250.jpg

・ スペイン料理:Jaleo
カジュアルなスペイン料理。一品一品多少塩気が多いのが気になったが、良心的な価格の割りに本格的に美味しいです。
c0174160_18185042.jpg
c0174160_1819141.jpg
c0174160_18193748.jpg

・ フランス料理:Bistro Du Coin
earth colorさんに教えていただいた、ここのレストランが、一番のヒットでした。最初に頼んだパテから病み付きになり、あっという間に平らげてしまう。次に、数種類のソースから選べるムール貝とシチューから、それぞれクリームソース蒸しとビーフシチューを頼んだのですが、これが絶品。思わずフレンチフライを追加で頼んで一緒に楽しんでしまいました。
c0174160_18201420.jpg
c0174160_18202692.jpg
c0174160_18203997.jpg
c0174160_1818303.jpg

・ イタリア料理: Al Tiramisu
こちらのイタリアンでは、留学先で知り合った/再会した人伝に御知り合いになったearth colorさんと大学時代からの友人と妻を交えて、4人でディナーを頂きました。クリントン夫妻はじめ、有名人達の写真がいっぱい貼ってありましたが、それに恥じず味も一級品。何も考えずに本日のリゾットを頼んだら、ロブスターのリゾットが出てきて、めちゃめちゃ美味かったけど、値も張りました。

残念ながら、このお店の写真はございません。というのは、この4人で話していると、御互い「世の中めちゃめちゃ狭いね」という話に始まり、専門分野の話、ルーツの話、将来の話、現在の話など、とどまることを知らずあっという間に時が過ぎ去り、写真を撮るのを忘れてしまったからです。ご一緒させて頂いた御二人と妻には、数自体が減少しているといわれる日本人の留学生仲間として出会えたことと今後の再会に、また自分が今後何していくべきかについての考えが一段ずつ深くなったことに、多大な感謝をしたいと思います。

(注1) ホワイトハウスは、議員の紹介があれば見学可能。実際に、内部を見学していた人たちを見かけたが、凄く高級そうな衣服に身を纏っていた。また、国会議事堂は今はオバマ就任時期のため警備を厳しくしているとのことで、後に復活すると思われる
[PR]
by golden_bear | 2009-01-10 18:03 | Washington Campus

MBA向け公共政策の特別講義最終日: 我々はどう動くか?

長かった1週間も最後の日を迎え、「経済の将来と、貴方が実際どう動くべきか」をテーマに、次の4つの講義が行われました。個人的には、自分のアクションプランに直結していることから、本日の講義が一番有意義なものと感じました。

(1) The Future of The U.S. Economy (米国経済の将来)
(2) The Role of Lobbyists and Interest Groups in the Public Policy Process (公共政策プロセス内での、ロビイストと利益団体の役割)
(3) What the 2008 Election Results Mean For You (2008大統領選結果が貴方に意味するもの)
(4) The Role of the Media in the Public Policy Process (公共政策プロセス内での、メディアの役割)

(1) The Future of The U.S. Economy (米国経済の将来)
これが今回の私の中でのベスト・スピーチでした。講演者は、The Honorable Sidney L.Jonesという方で、StanfordでPh.Dを取得後、1968年からミシガン大の教授、1974から93年まで財務省や通産省の経済政策秘書及び連邦準備理事会を2期勤め、現在は投資信託会社の理事となられています。

最初の30分は、過去27年間レポートを書き続けた立場として、今年ほどFundamentals
(基礎)が通用しない年は無かった、という導入に始まり、非常に小さな声で、過去の米国内及びロシア・アルゼンチン・アジアといった金融危機の例、事業会社の会計操作やファンドのスキャンダルなどバブル機の事件、1960年代からの国家予算と経済政策、特に社会保障と社会問題との関連など、非常に多岐に渡りしかも人の気持ちを暗くする事例を淀みなく紹介していました。一つ一つは面白い話だけど、いったいどうまとめるんだろう、と思っていた矢先、高らかな声で

「もし貴方が一生懸命働けば、子供達がより良いスタンダードの下でより良い生活ができる。これがアメリカンドリームではないのか」


そして、取り出した1枚のスライドに「経済成長の根幹」のタイトル、及び、9個の箇条書きされた項目が書かれており、

今最も重要な課題は、人口統計学(少子高齢化)。そして次に、技術開発と海外貿易/投資。この3つ以外の課題(移民、通貨政策、財政政策、エネルギー&資源価格、起業&規制緩和、金融市場)は、経済とは別にして解くべき移民問題を除けば、不安定さが大きく効果が小さいため、手を出すべきでない」

と言い切っていました。そして、下記のような主張に、サポートする理由をつけながらまとめていきました。
・ 少子高齢化に関しては、中年層が一番の課題&女性の教育水準と出生率との逆相関をどう解きほぐしていくか
・ テクノロジーに関しては、大学の研究室と企業・国の研究機関の3者がどれだけ近接して新しいものを作るか(シリコンバレーの起業モデルは、既に米国経済に貢献しており、またアジアへの貢献度がより高くなるためこれから手をつける優先度が低い)
・ 移民問題に関しては、最高レベルの人材と貧困層とを両方受け入れる体制を整えた上で貧困層を裕福にする

目から鱗だったのは、少子高齢化/世代格差の問題がこの金融危機の本質と言い切り、そこを基点に他の課題を構造化していたことです。確かに
・ 「ヘッジファンドが無理に高いROEを求める背景には、その裏に年金基金があるため」
・ 「ビッグ3の車が売れない大きな要因が、60-70年代に従業員との間に設定された年金契約」
など、米国が抱える高齢化の問題と金融危機との接点は私も耳にしていましたが、ポジションを取ってこの世代間格差を基点に、テクノロジー離れと技術流出を結びつけて「20数年間GDPを化粧し続けて問題を先送りにした」という形で全ての問題を整理するのは、なるほどと思いました。というのは、私自身前職で「2007年問題」のような世代間格差の問題が、大きく日本の製造業の技術力低下に結びついていることを肌身に実感していましし、さらにこの3つに対して対応策を構築することは、企業や市場に対する資金注入といった表面的な対策ではないため、確固たる打ち手の下に「不安定さを打ち消す」効果が出るはずと考えるからです。そして、これを一枚紙のプレゼンでやり遂げた、スピーチのスタイルそのものにも、感激しました。(後で頂いた配布資料は、30ページでできており、スピーチをサポートする数字が並べられている)

日本にとっても、少子高齢化/世代格差の問題、及び、移民の問題は取り上げられていますが、是非直近将来両方への影響が如何に大きいかを精査し、これを基点により多くの議論が生まれることを、期待したいと思いました。


(2) The Role of Lobbyists and Interest Groups in the Public Policy Process (公共政策プロセス内での、ロビイストと利益団体の役割)
Business Roundtableという、Financial Timesに"米国で最も影響力のある経営者達によるロビイ活動グループ"と称される団体において、経済政策のディレクターを務める女性による、企業の活動内容紹介が主なスピーチでした。

幾つかの学びを下記に
・ Business Roundtableには現在GE,Boeing,Walmartなど約200社のCEOが登録している。業務内容としては、定期的に企業と政治家との間に会合を開き、1つの合意点(例:XX商品の中国に対する関税の撤廃)を見出し、それについてのキャンペーンを行うこと。また、Business Roundtableでは、ロビイストが特定の政党につくことはない
・ 20年位くらい前までは、社長が良く社員と話していたため実情に詳しく、直接ロビー活動をしていた。最近は、社長よりも部長クラスの方が、課題や収益について詳しく知っているため、経営権のない部長クラスの方に直接来ていただくことが増えている
・ ロビイストが企業の情報を自分達で集めることはせず、企業の方にお願いする。一方で、ロビイストは公になっている政治の情報に関しては、誰よりも詳しくなければならない・ Googleに熟達している必要がある。オバマのチームは、何かあれば必ず、まずGoogleに情報を載せる

最後に、「ロビイ活動が上手く、成功する経営者とは、どういう経営者ですか」と尋ねてみたところ、「その産業界の専門知識に詳しいこと、その情報を適時的確に伝えること、それ以外の事をしないこと」だそうです。こう聞いて、ロビイ活動とは、2~3番手の企業が逆転を狙うために使うのは難しく、トップシェアの企業またはそもそも1社しかない業界/技術で、参入障壁を築くために使うのである、ことを理解しました。

ここで、会場が"the Rayburn House Office Building"という、D.C.に3箇所ある下院議員向けオフィスの1つに移りました。
c0174160_15455976.jpg

中には、著名議員と思われる写真が多数飾られた床屋などもあり
c0174160_15462538.jpg


宴会場のような所で、もう1つのクラスと合流し、計120名で昼食を食べ、そのまま最後2つのスピーチに移りました。
c0174160_15461184.jpg



(3) What the 2008 Election Results Mean For You (2008大統領選結果が貴方に意味するもの)

テキサス州の民主党広報部長を経て、現在は政府向け広報活動のコンサルティング会社パートナーのTony Welch氏と、共和党で1992-2000年の党首選挙に出馬したPat Buchanan氏を妹として選挙活動を支え、現在はAmerican Causeという教育団体の代表を務めるAngela Buchanan氏の2名による、ディベート形式の講演でした。

最初は、Buchanan氏が「オバマ大統領はChangeと言うけど、何回でも説得して本気で変革しな限り、各論反対で終わって何も変わらない。現在の公約内容では経済対策に全くなっていないので、金は使うなら使うで厳しく細かく内容をつめないと、11日後(20日の就任スピーチ)で『期待はずれだ』とボロクソに書かれるのが目に見えてるよ!!!」と、こっぴどく批判すると、Welch氏が「オバマ大統領の役割は、自分で新しいアイデアを出すことではなく、皆に新しいやり方を考えさせること。政治的にとても賢く、国民や議会、与野党間を緊張させない彼の下で、時間をかけて継続的に変化を起こすやり方には、皆理解を示すと思う。一方、強い反戦家なので、最初の関門は中東情勢対応になる」と応酬。ここから、学生の質問に対しての質疑応答になりました。

過去の政局の話などを引き合いに出され、あまり理解できなかったのですが、判った範囲での学びは下記
・ 「現在の2大政党は似通ってしまったために、3つ目の政党は望ましい。問題は、強力な成功する代表候補が出てくるかどうか」(両者)
・ 「政策は勉強できるが、政治をするには天性のタレントが必要。この意味で、サラ・ペイリンに今回足りなかったものは、ガッツ。今回名前を売ったこともあり、今後政策を勉強すれば、将来また有力幹部候補になりうる」(Buchanan氏)→「ペイリン氏の敗因は、側近の評価の低さが周りに漏れたことだ」(Welch氏)
・ 「ブッシュ以後共和党に求められるリーダーは、移民政策を取りまとめられる人。(現在は州ごとに揉めているが)『自分達の合衆国だから自分達で決める』と言い切れるリーダーが良い」(Buchanan氏)
・ 「対外政策に関しては、オバマ大統領ではなく、詳しいバイデン副大統領がリードするのではないか。経済政策に関しては、まだわからない要素が多く難しいが、最初は例えば一律3割減税など強めに出て、最後に調整する形を目指すのではないか」(Welch氏)

特にあたかも田中真紀子議員のようにまくし立ててしゃべるBuchanan氏に驚きましたが、Welch氏含めても、さすがに2大政党で広報コンサルタントをやる以上は、弁舌軽やかに表情豊かにしゃべれる人達だ、と実感しました。

(4) The Role of the Media in the Public Policy Process (公共政策プロセス内での、メディアの役割)

最後を飾るのは、米国で初めてのメジャーな経済ブログ記者といわれているらしい、Megan McArdleさん本人によるスピーチでした。英文学部を卒業後、2年間Wall Streetで投資銀行員として働いた直後に9/11テロに直面。2001年より在籍したシカゴ大のMBA在籍中に、フリーランスのジャーナリストとして活動を開始。「その頃から、世の中の経済誌がミスだらけ/バイアスだらけであることが気になっていたが、卒業後にEconomistに就職し、経済ジャーナリストが基本的なバランスシートの読み方すら知らない人達ばかり。これは、記者の仕事の中では経済関係は人気がなく、若手に丸投げにされるが、その若手は複数の記事を掛け持ちするため、後回しになり、分析に集中できずに締め切りに無理やり間に合わせる、などの構造的原因。個人的には、2004-5年に住宅ローン危機の兆候をブログの方には分析して載せていた」、といった話を淡々と続けていました。主な学びとして、下記です。特に最初の点など、何か分析する際に普遍的に役に立つ考え方だと思いました。

・ リポーターの仕事とは、情報を集め、バイアスを確認し、「何か違和感があるな?そして、違ってたらすごいことになるのでは?」と気付いたものに対して自分自身で情報を取りに行き、自分なりの新しいフレームワークを与えて発表することである。
 - 記事にバイアスがあるかどうかを見破るには、いくつ異なるソースがあるかを把握すること。記者も互いの記事を見合って内容を確認しているため、一見異なる記事でもソースは1つのこともある。複数あれば信憑性が高い
 - バイアスや違和感を感じた時点で、そのファクトはファクトではなくなる。従って、そこに自分で確認すると、新しいファクトを付け加えられる
・ ブログなどのニューメディアと、テレビや雑誌などの旧来型のメディアとの違いは、大きく3つ
 - スペースとコスト:ニューメディアでは気にしないが、旧来型メディアはまずありき。このため、記者を見て話しているわけではないホワイトハウスの方からは、『何行の記事が欲しいんだ』と聞かれて、『じゃあこの情報だ』といったやり取りとなる
 - 時間:ニューメディア側はできた時に流せるが、旧来型は数ヶ月貯めてしまうことも多い
 - バイアス:ポッドキャストやブログでは、例えば海外に対しても記事を配信することが可能(注:広告主からのバイアスを話しているわけではない; 記者レベルでは完全に隔離されているため受けない、とのこと)
・ オバマ大統領に対しては、プレスはマケイン氏だった場合に比べてはあまりプレッシャーをかけないだろう。それは、人々がオバマのことを好きだから。ただし、経済が今後どうなるか、また、"1932年の大恐慌以来だ"(実際には1930年)という間違いの発言が結構あり、これらが酷くなると、プレスの攻撃にあう可能性がある
・ もし、オバマ大統領に質問するとすると、「1.2兆ドルの財源をどこから持ってくるか。海外からなら、中国からなのかインドからなのか。そうでないなら、どうやってインフレを防ぐか」という質問になるだろう


このようにたった1週間のWashington Campusでしたが、政治家、官僚、秘書、アナリスト、ロビイスト、コンサルタント、記者など、それぞれ異なる立場の一流の方々が「オバマ政権」、「経済危機」といった共通の課題にどう取り組んでいるか、個別には表面的でも一度に包括的・多面的に理解できた意味で、非常に密度の濃い、有難い講義でした。それにしても、このWashington Campusは今年で30年目を迎えるらしく、そんなに古くから若手ビジネスマンに政治への関わりを啓蒙する正式な場があることに、驚きます。ここで得た学びを今後どう生かせるか自分でも楽しみになる、お勧めのコースです。


(追記) 今後持ち帰って取り組むグループプロジェクトのテーマは、以前このブログ「MIT Sloan 遊学記」でも取り上げていた"Better Place"社に無事決定しました。たまたまSAP時代にCEOのShai Agassi氏の下で働いていた、という同期と、実効性のある政府との協調シナリオが作れるかどうか、頑張ってみます。
[PR]
by golden_bear | 2009-01-09 23:44 | Washington Campus

MBA向け公共政策の特別講義4日目: 金融危機に米国政府はどうする?

いよいよ佳境を迎えた4日目は、注目のトピック「この金融危機における、規制と財政はどのようなものか」に沿って、下記の講義、及びテストやグループワークの準備が行われました。

(1) Federal Regulation: Structure, Process and Economics(連邦政府の規制: 構造、プロセスと経済的意味)
(2) The Role of the Federal Reserve in these Turbulent Times (この動乱の時代における、連邦準備金制度の役割)
(3) 昼食:グループワークのディスカッション
(4) The Current Banking Crisis and the Role of Financial Regulation (この金融危機について、及び金融規制の役割)
(5) 試験

(1) Federal Regulation: Structure, Process and Economics(連邦政府の規制: 構造、プロセスと経済的意味)

誰がどのようなプロセスで意味のある規制にしていくか、1970年代に大きな効果を挙げたOSHA(Occupational Safety and Health Administration:職業安全衛生管理局)の規制を例に取り、数十年にわたってヘルスケア関係の法規制制定に関わった弁護士の方から講義がありました。ちなみに、この方の敬称は、苗字と名前の前ではなく後に"Esq."(殿)という文字がついていました。

最初は「法」と「規制」と「ルール」それぞれの定義であったり、「人間が生活するもの全てに何らかの規制が関わってるんだよ」といった事例から入って判りやすかったのですが、突然1枚のプレゼンテーションに

「Cost and Benefit of Major Rules(主なルールに関する、コストと利得の比較)」

主要な執行機関別に、1997-2007年に制定したルールの数、利得の総額、コストの総額が並べられた表が出てきました。例えば

EPA(観光保護庁) ルール数=40 利得=83,298~592,567、コスト=32,252~35,058(単位不明。たぶん 100万ドル、2001年に割戻した数値)

といったデータです。これに対して、「利得は、例えば就業中に落とされた命のうち、規制によって救われたであろう命の価値などを元に、個別に分析されている」といった説明があった瞬間から、参加者が「人の命を計算できるのか」、「実際には規制によって多くの企業が利益を落としているではないか」といった質問が、集中砲火のように振ってきて、結局ここにほとんどの時間が費やされた印象です。さすが、アメリカ人は何でも全て金額に置き換えて、採算で考えようとするんだな、と感心する一方、それが嫌いなアメリカ人がいて安心しました。(しかし、コストに対する利得=利益が、平均値同士の比較で10倍になっているとは、なんという高い利益率の分析だろうか。「全ての経済活動から平均10%の税金を取れば採算が取れる」という考え方なのか、、、)

そして、ここから細かいプロセスや専門用語のオンパレードになって、ポイントを話してくれる時間すらろくに取れず、どんどん飛ばして終わり。項目だけ判ったので後で必要な時に調べやすくなったことが、良かったことか。

(2) The Role of the Federal Reserve in these Turbulent Times (この動乱の時代における、連邦準備金制度の役割)

現在はシンクタンクいる財政の専門家から、金融危機を財政の視点でどう見ているのか、というスピーチでした。最初に「政府の中で独立している」中央銀行の役割として、「1. 銀行の監視、2.決済のシステム化、3.金融政策への関わり、の3つに加えて、最近、4.金融市場の安定化が増えた」と彼女なりに定義。次にこの4つの役割について、連邦議会、連邦預金保険機構、証券取引委員会などが、御互いに何をどういうツールで実施し、誰が誰を監視するか、と一通り説明。そして、バーナンキ氏やポールソン氏、グリーンスパン氏らの話を交えながら、サブプライムからなる一連の危機をどうして防げなかったか、の経緯の話をしていました。

その後、「政府は資金注入の量を調整できるが、流動性を直接あげられないため、一層の政府と企業のコミュニケーションが求められる」、「通貨の希薄化は許容範囲でインフレは抑制できるはず」といった彼女なりの見方を話し出すと、後は様々な学生からの質問攻めで時間切れになりました。

私も試しに、「日本では、まずドルと円のレートを固定して、次にトヨタなどの日本企業の本社/拠点を米国に移すよう誘導して、財源など複数の問題を一度に解決する、なんて噂があるが、米国で実際に議論されているか/実現性あるのか」、といったふうに質問をしてみたところ、上手く伝わったかわかりませんが、「前者はもちろん選択肢にあるはずよ。。後者は考えたこと無いけど、もし『イノベーティブな売れる車が開発される』という条件を満たしながら、トヨタや日産などのプレゼンスが上がるのなら、今の米国民・米政府ともに雇用が増えて大歓迎じゃないかな。もちろん、どこでやるかは相当気を使って、ミシガンとかを避けなきゃならないけど」といった回答でした。


(3) 昼食:グループワークのディスカッション
本日は試験があることも考慮されたのか、昼食時間に2時間以上充てられていました。ただ、「1月26日提出の、グループワークのチームと調査対象企業をこの時間で考えて、今日中に提出して欲しい」ということになり、我々はバークレーの1年生2人と食事をしながら話を詰めました。(どんなグループワークにしたかは、明日確定後に書きます)

レストランは、ホワイトハウス脇のOld Ebbitt Grill
c0174160_1692294.jpg

1856年創業、ワシントンDCで最も古いバーで、昔から多くの政治関係者がサロンとして使っていたところは、ランチにも関わらず予約しないと入れないほど盛況でした。
c0174160_1694413.jpg

看板商品のベーコン入りクラムチャウダー
c0174160_1610778.jpg

ジャンバラヤ
c0174160_1685587.jpg

ともに、絶品の味でした。ちなみに、ワシントンDCの昼食事情は、多くの建物にあるFood Courtで済ますことが多いようで、
c0174160_16102599.jpg

カリフォルニアのIn'N'Burgerと同じようなヘルシー本物志向のハンバーガーショップ”FIVE GUYS”などが入っています。
c0174160_16112658.jpg
c0174160_16105596.jpg

他にも、イングリッシュ・バーに行けば、イングランド・アイルランド双方の代表料理を食べれたり、と、さすが大使館が並ぶ町だけあって、美食のレベルは相当高いです。
c0174160_16115282.jpg


(4) The Current Banking Crisis and the Role of Financial Regulation (この金融危機について、及び金融規制の役割)

ビジネス法務の専門家から、金融危機の現状と、政府ができる対応に関するプレゼンテーション。金融危機の現状に関しては、今までも色んな教授や銀行の方が度々ビジネススクールで講演会でやっていたように、マクロ経済指標のトレンド分析(例:住宅抵当負債が2001年から2007年までに倍になる)などを、これでもか、と数十枚織り込んだ、定量指標のチャートをたくさん見せていました。

驚いたのは、この資料を後で配布して頂けたこと。過去3ヶ月の同様のプレゼンでは、資料を配らず「映し出された数字は、数日後にもっと酷くなってるかもしれないので、信用しないで」、と早口でメッセージだけどんどん説明し、一切形跡を残さない狐に包まれたようなケースが多かった。今回初めて資料が配布されたことで、一通りの現状分析のフェーズは終わったのかな、という印象を受けました。

では、今後政府はどうするの、という話に移るところで、「現在の規制は、不透明な新しいデリバティブ、過剰なレバレッジ、金融システム全体のリンク、の全てを許してしまった」という頭出しで時間切れ。一応配布していただいた資料の一枚に、書かれていた「公共政策の役割」を載せておきます。
・ 金融市場を安定化し、システミックリスクを回避する
・ モラルハザードを防ぐ: 悪行を褒章せずに、無実なものを守る
・ 経済成長を促進する
・ 財政規律を維持遵守する
・ 透明性の増加と、リスク管理
 - 透明性 --“太陽光が最高の殺菌剤”
 - レバレッジの最適化は? 実質資本を基準にする(セルサイド、バイサイド双方)

(5) 試験
・ 30問の選択式問題
・ 試験時間:75分
・ 試験範囲:全ての講義と事前配布資料(計12冊、100ページに及ぶ。直前まで私はダウンロードできなかった)

と言われていて、結構厄介だなーと思いながら、配布資料はあきらめて、毎日このブログを作りつつ、講義の内容を振り返っていました。ただ本日になって、私と同様に事前資料をダウンロードできなかった人が多数いたことと、講義で取り上げられなかった内容があったため、問題はなんと13問にまで削減されていました。

うち、7問くらいは話の流れをつかんでいれば普通に解けたのですが、残り6問は例えば「大統領がXXの時に行使できる権限は、AとBとCとDとEである。○か×か?」、つまり、XXとA~Eの組み合わせを完全に覚えていないと解けないような、重箱の隅系の問題。どうしようも無かったので、「もしこうだったら我々が今後気をつけたいと思う気になるよなあ」という希望が入った方にチェックして提出。無事、単位が来ることを祈ります。
[PR]
by golden_bear | 2009-01-08 16:08 | Washington Campus

MBA向け公共政策の特別講義3日目: 政治家は大変!

この1週間の特別コースですが、普段は、ワシントンのまさに中心部、ホワイトハウス近くにあるRonald Reagan Building and International Trade Centerというビル:こんな外観の建物で、
c0174160_1413384.jpg

中に入るとこんな感じ
c0174160_14135511.jpg

この中のこんな一室
c0174160_14141047.jpg

で講義を受けています。

しかし、本日は「議会の役割と運営はどのようなものか」というテーマであったため、午前中の2コマは、国会図書館(Thomas Jefferson Building)に会場が移りました。

外観
c0174160_14142515.jpg

中はこんな風になっていて、
c0174160_14144791.jpg

窓の外には国会議事堂が望める
c0174160_1415498.jpg

こんな感じの部屋で講義でした。
c0174160_14151815.jpg



(1) The Role of Congressional Staff In The Policy - Making Process (政策における議会スタッフの役割:プロセスの作成)
ある下院議員の下でChief of Staff(首席補佐官、幕僚長?)をやっている職員の方が、日々どのような仕事をしているか、我々に教えていただきました。要は、外資系企業で生きていくには、まずアシスタントの人と仲良くなるべき、というに同じく、議員と仲良くなるにはまずスタッフから、ということのようです。

・ 一日として同じ日は無く、議員先生だろうがCEOだろうが、政策や法案が影響する方々から一日中電話、FAX、メールがひっきりなしに掛かってくる。
・ メールは常にストックされて、返信は常に遅れてしまう。月に1回、DCがたまった問題を元に、問題解決セッションを行い、そこで一気にやっつける(逆に、このタイミングまで電話でフォローしまくっても無駄なことが多い)
・ 議員先生のスケジュールに優先順位をつける際、常に最重要となるのは税率の話。いつも多方面と情報を授受しながら調整するので、自分に知識がついてきてはじめて優先順位付けできるようになる。
・ また、直近の課題を挙げると、失業の問題と、予算制定の問題が大きい。予算制定はロビイストが関わるが、人間関係ができた方との問題はフォローし易い
・ 今はD.Cよりは地元の方が重要で、地元に帰っている時間の方が長い
・ 経済危機の話はまだ全体像が見えていない上、FTA関係で持ち越しになった案件があるので、まずそれを片付けた上で具体的な議題に上るだろう

オバマ政権になったばかりの年明け、と言うことで、目が回るほど急がしそうで、遅れてきて早口でしゃべって早めに帰っていきました。

(2) The New 111th Congress:A Former Member's Perspective (新しく開催される第111回議会:前職議員の視点)
Mickey Edwardsさんという、下院議員を1977年から1993年まで16年間務め、現在はトレーニング機関でディレクターを務めている方が、オバマ政権下で議会がどうなるか、熱く語っていました。ちなみに、元議員の方は、男女関係無く敬称がMrやMrsの代わりに"The Honorable(尊敬すべき)"になっています。

・ 2009年の議会は、アメリカにとって非常に重要な年。オバマ大統領がまず人種の壁を取っ払い、Changeを訴えている内容を、具体的に実現できるようにパッケージ化をやり切るべき
・ この時、現在の課題は大きく本質的な判断が不可欠のため、やり通せるだけの人材をかき集めること、そして、多くの問題を国際問題として扱うことが重要
・ オバマ大統領は、少数派のリーダーに話させる場を設けること、法案を出させること、法案を拒否することの3つを使い分けて、議会をリードするだろう。彼は、この3つをクリアに実行できることが、強みである

そして、最後に、「アメリカは、統治者により統治されるのではなく、『人』により現実にChangeを起こし、『人』により全世界を変えていく国だ。したがって、この国でビジネスの世界にいる人は、この国の構造を熟知した『人』として、変化を起こして欲しい」と仰った時には、拍手が出ていました。これを聴いて、つい最近まで企業には好き勝手やらせて、突然巨額の資金を注入している、手のひらを返したような変化の背景にある考え方がわかったような気になりました。

(3) "Congressional Insight" (コンピューターシミュレーションによる、議会の考え方)
午後からは、普段の部屋とは違う部屋に動き、「1年生議員のロールプレイ・シミュレーション」のゲームを行いました。このように7-8人で1組、8チームを作って、
c0174160_14154729.jpg

各チームがそれぞれ1人の異なる新米議員になり切って、当選から次の選挙までを11ターンに区切って、意思決定していきます。

最初に、各テーブルに置かれている議員のプロフィールや地元の支持基盤などのデータを読みます。私のチームは、「元民間ハイテク企業出身で、極端な緊縮財政を好み、イラク統治は強硬に賛成の立場をとり、、、、基盤は白人が8割を占める州で、製造業が強く、、、」という共和党の女性議員を担当しました。

次に、早速1ターン目。「当選直後」といった状況が新聞の見出しの形で告げられ、質問票が配られます。
c0174160_1416343.jpg

この票には、3-6題程度の「悩ましい」質問が書かれており、1ターン1-7分(問題の数と質による)でチーム内で議論し、結論を出して送ります。例えば1ターン目では、「誰を秘書に選ぶか」、「どの党内グループに所属するか」、「どの団体に支援を求めるか」といった質問が聞かれ、最後に「次の7つの活動の中から、実行するものを4つ選んでください」といった活動選択問題で締めくくられます。

時間が来て回収されると、チェックをつけた内容がすぐにコンピューターに打ち込まれ、結果が「地域アナリストの見解」「ワシントンDCアナリストの見解」という形ですぐに戻ってきます。ここには大抵、例えば1ターン目の例では、「地元ではXX秘書を選ばなかったことで、YY団体が失望感を示している」、「XXグループに属したことでYYから評価された一方、ZZから批判の声が上がっている」、といった批判的なことが書かれていて、へこみます。この結果を反映して、次のターンの問題が各チームに配られます。

3ターンに1回くらい、支持率調査の結果が送られてきて、自分はどれだけ与党、野党から支持されているか、他の議員と比較しながら知ることができます。ちなみに、与党からは51%以上、野党からは15%以上支持されていることが、次回選挙で当選する目処となるようです。
c0174160_14153522.jpg

ターンが進むことに、意思決定がどんどん難しくなります。最初のうちは、ある法案の予算を増やすか減らすか、といったシンプルな判断ですが、そのうち
・ 自分が支持した政治家が問題を起こして追求された時にどう対処するか
・ ホワイトハウスから発注された公共事業を受け入れるかどうか(受け入れると、ホワイトハウスと地元企業の支持は上がるが、税率を大幅に挙げた上環境団体から批判される)
・ ブラジルとのFTAをどの条件で結ぶか
そして、途中から資金調達もして、最後の方では次の選挙向けに、いつ、どのようなプロモーションを打つかも決めなければなりません。正直、この位になると、そもそも問題がわからなかったり、7人のチーム内で意見が真っ二つに分かれたり、とパニックになってきます。

最後に、次の選挙で当選したか落選したかが判明し、ゲーム終了です。我々のチームは、53%の支持を集め無事当選。8チーム中4番目の成績でした。

実際に議員1年生になり切ってみて、私自身最も感じたことは、政治家は自分から「何かしたい」という気になる時間は全く無く、瞬時の判断と、リソース配分に追われ続けるピエロだ、ということです。これは、下記のようなことから思いました。
・ 7つの選択肢から4つしか活動が選べないのだが、確かにその4つが大変そうで他のことをやる暇はなさそう
・ 判断するには、情報が少ないし、仮にもし情報が増えたとしも、常に利害関係は残る
・ また、そもそも法案の数が多く、その話題が多岐に渡るので、詳しく判らない状態で一瞬で判断しないといけなさそう(アメリカ人議員は、年間に数千-万単位の法案に目を通すそうです)

他の方の感想でなるほどと思ったのは、下記のようなものです
・ 絶対に関係者全員を満足させることはできない。完璧な法案は作れない
・ 自分を批判する人に向かって、寛容になれないとやってられない
・ 時間が無いので、問題解決するより、チームでコンセンサスを取る方が重要(←この発想は危険だけど、チームでやったらそうなった)
・ 長期的に良くないとわかっていても、つい今の自分の保身に走る選択肢を選んでしまう
・ 妥協するよりは、信念を通した方が良い
・ 地元と国の利益は、よく対立する

政治家って、こんな感じで条件反射に追いまくられるだけだったら、確かに頭の良さ自体はあまり重要ではなさそうだし、若くても経験無くてもなんとかできそうだけど、実際にやるのは大変そうだなあ。


(4) Protecting the Homeland - Business as a Target (自分の国を守れ-標的となるビジネス)
最後に、また元議員のTimothy J. Roemerさんから、いかにして国家の安全を保証するか、特にビジネスがターゲットにされるテロの話を中心に頂きました。

・ 現在オバマ大統領は、課題の優先順位リスト(問題の大きさ、解とリソースの有無、期限など)を作っているが、国家安全保障と経済危機対策の2つは常に最上位にある。これらがクロスする課題の優先度はさらに高くなる。
・ 従って、資源ビジネスが集積している地域のテロは、特に重要度が高い。たとえば、下記3地点へのテロが該当
 1. マラッカ海峡:全海運量の約25%が通過し、石油も出る。
 2. ソマリア海沖: サウジアラビアの石油がハイジャックされる
 3. ムンバイ: 金融セクターと、核開発施設がすぐそばにある
・ テロでなくても、同じ優先度で考えて、例えば「失業が元で、学校閉鎖が起こった地域の犯罪問題」も優先度が高くなる
・ 移民とその貧困の問題は重要。欧州に学ぶ必要がある。特に
 1. 移民受け入れの体制をスムーズにする:厳しくすると、不法侵入や事故の原因になる
 2. 全ての移民に、機会を与え、教育を行う:アメリカは最高レベルの教育を優秀な人にのみしている
 3. 政治的な利益に結びつける: 人口増のバランスを上手く取れるかどうか
・ 長期的には、クリーンエネルギー政策と、エネルギーのポートフォリオを組むことで、資源地域のテロの危険を緩和できる可能性はある

最後に、「テロの問題は、国家問題。9/11を想像して、自分の肉親が殺されたことを想像して欲しい。そして、貴方の未来を守る公約に票を投じて欲しい」というメッセージで締めくくり拍手が。いかにもアメリカの政治家らしいスピーチでした。
[PR]
by golden_bear | 2009-01-07 23:11 | Washington Campus

MBA向け公共政策の特別講義2日目:政府のビジネスへの影響

本日は、「最新の政権、議会、政策がそれぞれ、貴方や貴方のビジネスにどう影響するか」のテーマに沿って、下記5つの講義がありました。

(1) Transition to the new administration and congress: What the 2008 election results mean for you (新たな政権と議会への移行:2008年大統領選挙結果が、貴方に意味すること)
(2) National energy policy and regulations (国家のエネルギー政策と規制)
(3) U.S. trade policy (米国の貿易政策)
(4) Developing an advocacy strategy (政府の支援を得るための戦略構築)
(5) The differences between public and private management (公的機関と私企業における、経営の違い)


(1) Transition to the new administration and congress: What the 2008 election results mean for you (新たな政権と議会への移行:2008年大統領選挙結果が、貴方に意味すること)

James A. Thurber博士という、過去オックスフォードやハーバード、UC Berkeleyなどで教鞭をとっていた、著作・テレビ出演多数の政治学の大御所のような方が、2008年の選挙結果により政策、組織プロセス、政党などの何が変化するか、と言った内容を講義しました。

一番驚いたのが、講義のスタイル。
・ 冒頭から学生を適当に指名して「オバマはワシントンを変えると公約に書いているが、変わるか?」「どのくらい掛かるのか?」「何故そう思うのか?」と詰問していき、学生の回答をこき下ろす
・ 「カリフォルニア、特にバークレーのやつらは嫌いだ」を4~5回繰り返す
・ 「これでロビイスト達の暗躍の機会が失われ、透明性が上がって良い」(昨日のスピーカーは、「ロビイストのおかげで組織の隙間が埋まって良い」と言っており、主張が180度異なる)
・ 思っていることを言いたい放題の一方、気に食わない質問は却下

このように、かなりトップダウンの激しいプレゼンでしたが、
・ ハーバードの講義スタイル、ってこんな感じなのか
・ 一瞬で仮想敵(バークレー)を作って、対立議論にするのは、まさに政治家っぽく、テレビ受けもするんだな
という妙な納得感がありました。

内容的に気になったのは、次の3点。

・ 政治家は、民主党も共和党も、過半数を取るためになるべく中道的な案を出す。一方で、1960年に30%ほどいた中道派の政治家は単調減少し、2000年以降2%しかいない。したがって、両方の党が中道的な案を出しても共に支持されず、現在の膠着状態(上院与党58%)になっている

・ 下院エネルギーおよび商業対策委員会候補のHenry WaxmanとJohn Dingellは、民主党内にもかかわらず過去34年間も対立し続けている。オバマが今後排出権取引の法案を進めるには、このような歴史の理解が必要。

・ 現在の経済危機は、目下マクロ政策最大の課題である点で、2つの世界大戦と性格が似ている。マクロ政策は下記6点が揃うと、爆発的に進行するが、そうでなければ政府は動かない。
 - 脅威/問題点が、明確になっているか?
 - 解決法/任務が、明確になっているか?
 - その任務に、強く興味を持っているグループが存在するか?
 - リソースの制約は無いか?
 - 中央集権の体制が整っているか?
 - 「ハネムーン」へ移行できるか?
例えば、第二次世界大戦はパールハーバーがあって初めて、米国は総攻撃を開始し、日本を蹂躙した。この意味で、現在の経済危機は、まだ誰もが違うことを言っているので問題が明確になっておらず、一番最初の点で止まっている。


(2) National energy policy and regulations (国家のエネルギー政策と規制)
エネルギー系の企業や団体を歴任し、現在はデロイトでコンサルタントをしている専門家の方から、今政府と民間企業の中で最も熱い話題になっている、エネルギー問題の全体像を解説していただきました。

前半は、「どの1次エネルギーが、どの2次エネルギーにどれだけ変化され使われているか」を示した1枚の図を元に、下記のような議論

・ 今後、どの2次エネルギーがどれだけ増えるかの試算を元に、1次エネルギーはコストや社会への影響を組み合わせで総量を動かす必要がある。例えば、車のための再生可能エネルギー(renewable energy)のみを単純に増やしても、今は先にElectric Powerに使われてしまって、車用には使われない

・ これをあるシナリオで計算すると、2025年にはエネルギー総消費量が45%増加する。うち半分は、今電気が無いような人向けの生活必需エネルギー、残り半分は、増え続けるぜいたく品(iphoneとか、大きい家)向けのエネルギー

・ これを満たすには、まず減らせるエネルギー消費を減らした上に、追加で原発が50基必要。今6基作り始めたが、完成時期は、今までの法案通過と実行のタイミングを考えると、楽観的に見てライセンス5年、稼動5年の計10年かかる。つまり、17年後は、結構ぎりぎり

後半は、21世紀のトレンドとして、「気候変動への対策と、排出権取引が避けられない大きな課題」、という内容を強調。中でも非常に印象に残ったのは、ドイツやイギリスのおかげで、排出権取引を行って採算が取れるようになったので、アメリカが本腰を入れて取り組むことになったこと。「政府=まず採算ありき」はここでも生きているようです。「なぜ京都議定書に調印しなかったアメリカが今こんなにエコブームなのか」と聞いてみたところ、「京都議定書は目標が高すぎた。できると思わなかったし、予想通り調印した国は未達で投げ出した。今回は、大統領が本腰いれて取り組んでいるので大丈夫」とのこと。


(3) U.S. trade policy (米国の貿易政策)
数ある政策の中で最も込み入っている、貿易関係の政策について、誰が作ってどんな課題があるのか、最新のWTOドーハラウンドの事例を元に、非常に官僚的にてきぱきと淡々と説明していただいた。多大な事前予習資料を斜め読みしてから望んだが、それが却って仇となり、理解していたところで寝てしまい、起きたら理解できてなかったところが終わってた、を繰り返した情けない状況でした。ポイントを2つだけ。

・ 米国がFTAを結ぼうとしてまだ結んでないのは、現在コロンビア、パナマ、韓国の3国。このうち、韓国とFTAを結べれば、NAFTA締結以来最大の利益をもたらすが、1.狂牛病に対する反発、2.韓国自動車業界の力が強すぎて米国に被害が来るところの調整、の2点がボトルネック
・ 現在のWTOが直面している課題は、次の5つ
- 衛生食物検疫措置の障壁(狂牛病など)
- 食の安全(中国、、、)
- 技術の標準(WTOで定める標準と、業界で定める標準の乖離が激しく、対象の設定と規制のかけ方が難しい)
- 知的所有権の保護(中国、、、)
- 通貨インフレの影響


(4) Developing an advocacy strategy (政府の支援を得るための戦略構築)
HPのサーバー部門の方が、空港の航空券発券機を速くするシステムを導入した事例を元に、「企業が政府に取り入る」のための秘伝を伝授する内容。まるで政府向けに特化した営業部隊のトレーニングのようで、下記のような多数のフレームワークを紹介していました。

・ 政府要人を顧客と考えた時に、顧客を知るとは、倫理観、歴史、人(政党、拠点、人となり、イデオロギー、課題)、プロセス、イベントの5つを理解すること
・ 特に、顧客(政府要人)の課題を徹底的に理解し、「顧客(政府要人)の許す時間内で」課題に直結した鋭い質問を投げかけること。これは、10分のこともあれば、1分のこともあり、またメール27文字のこともある。課題に相手が反応したら、それを解くのに必要な要素(時間、落としどころ、リソースなど8項目)を次々につめていく
・ その課題解決に必要なツール(調査、宣伝、ロビイストなど9項目)は、すべて無料かお金で買ってこれるもの。したがって、誰でも実践できる。


(5) The differences between public and private management (公的機関と私企業における、経営管理の違い)
「本質的には、政府と民間企業は同じやり方で経営管理できる」(Graham Mlison)。とはいえ現実にそうなっていない違いの部分の解説と、だからこそ舵取りが難しい、という事例を、昨年12月にGMに資金供給した際のドタバタを元に説明していました。(が、あまりに早口で誰も追いついていなかったので、あとで資料で配られるとのこと)

違うとされるていたのは、下記10項目
1. 時間軸: 政府は2年単位と短く区切られるが、民間は中計などもっと長く考える
2. プロジェクトの耐用年数: 政府は18ヶ月と短い。民間は長い
3. 業績評価: 政府は民衆の評価や次期選挙、民間はシェアや株価など
4. 従業員の問題: 政府は雇用と解雇に対する規制が非常に強く、民間はより柔軟に権限を持っている
5. コアの価値: 政府は公平性、民間は効率性(あるいは競争力)
6. メディアの役割: 政府は常に監視されるが、民間はされない
7. 意思決定・リーダーシップ: 政府は分権制で大変、民間は直接可能で矛盾するリスクが少ない
8. 実行過程: 政府は民衆に見られなければならないが、民間は見せる必要なし
9. 立法・司法の役割: 政府は共に強大、民間は危機でもない限り微小
10. 最終結論: 政府は不透明か定義できない、民間は利益

…5、7、10番目の差をどれだけ近づけるかの勝負かな、という印象です。


まだ半分も終わっていませんが、これまでに魑魅魍魎とした世界とその課題の一端を見ただけでも、「行政官さんご苦労様です」と言いたくなって来た、2日目でした。
[PR]
by golden_bear | 2009-01-06 23:15 | Washington Campus

MBA向け公共政策の特別講義初日:ビジネスパーソンのための政府とは

本日より、Washington Campusという、ワシントンDCで行われている1週間の特別講義を受けています。このコースは、「ビジネスを行う上で知っておいて欲しい、公共政策の知識」を1週間で詰め込む目的で2ヶ月に1回ほど定期的に開催されているようで、冬休みの今回は、全米12の(主に)州立大学のMBAコースから合計60人ほどが参加しに来ています。

私がこれに興味を持ったのは、下記3つの理由です

・ アメリカをもう一段深く知る(&英語力向上): 前職で北米に出張したりした際に、顧客や同僚との会話の中で政治や行政の話が出てくる度に、聞き取れない上に中身もわからず、きょとんとするだけ。こういう経験を何度もして、恥ずかしいので、最低限何とかしたい。

・ そもそも公共政策を知る: ここ3年で総理大臣が4回も変わってる事や不祥事が続出してることから、日本の行政がうまく機能していなさそうだ、と心配になっていた。一方、そもそも中学校以来体系的に政治を勉強していないため、いろんなニュースや人の話から、単発で悪い、と判っても、どの悪さがどう関連しているのかは、ぼやっとしか判らない。そこで、少なくとも日本よりうまく行ってるようにみえる、米国の仕組み(それですら、この金融危機を起こしてしまったが)を見ることで、多少問題の構造の理解を深めたい。

・ 自分のビジネスの見方/価値観を修正し、将来に生かす: 秋学期に「今後金融に対する規制が強まる」といった話を耳にしたが、じゃあ規制する側は現在と将来具体的にどう動くのか。このような、国とビジネスが関係する最新のトピックを知って、自分の将来を考える判断材料としたい

初日が終わって、上記3つに対して期待以上に判ったので、学びを記して行きます。(注:英語の聞き取りに苦労してますので、細かい点は自信ないです。大きな考え方の間違いなどありましたら、コメントいただけると嬉しいです。)

本日の講義内容は、下記4つ
(1) イントロダクション
(2) The Congress and Legislative Decision Making (議会と立法府の意思決定)
(3) Organized Chaos - Your Government at Work & What Business Needs to Know (組織のカオス: 仕事におけるあなたの政府と、ビジネスするために知っておくべきこと)
(4) The Bureau of Labor Statistics: Current Issues in U.S. Labor (労働統計局:現在のアメリカ労働者の課題)

(1) イントロダクション
1週間何するかの紹介と、全員の自己紹介と興味、行政とビジネスが絡む問題を1人1言しゃべる、という内容。1週間に19コマ講義があり、4日目に試験、及び、終了後にグループワークが含まれる結構ハードな内容です(バークレーでは1単位にしかなりませんが、他大学では3単位になるところも)。

日ごとに下記のような大まかなテーマがあるらしいです。

初日: ビジネスをするための、政府はどんなところか
2日目: 最新の政権、議会、政策がそれぞれ、貴方や貴方のビジネスにどう影響するか
3日目: 議会の役割と運営はどのようなものか
4日目: この金融危機における、規制と財政はどのようなものか
5日目: 経済の将来と、貴方が実際どう動くべきか(ロビー活動/マスメディアの活用など)

参加者の興味は、大まかに下記の3分類
・ 単純に公共政策って何か、ワシントンで何が起こってるのか、知りたい(5割程度)

・ 自分がしたいことに、今後どう政府が関わるのか(金融業界はもちろん、エネルギー事業や、小売業など) (3割程度)

・ その他:政府向けのコンサルティングをどうするか、自分の母国に帰って何ができるか、など(2割程度)

60人中、University of Texasの人が20人くらいいて、あとは各大学4-5人です。白人がほとんどで、次に多いのが5-6人いる黒人。留学生は、インドネシア、インド、パキスタン、日本(私)の計4人のようです。バークレーからは4人いて、うち2人が留学生(もう1人がパキスタン人)という珍しい構成でした。また、年齢層が結構ばらばらで、60くらいになるおじいさんで「自分の年金がどうなるのか知りたい」なんていっている人や、「海軍で准教授をしながら、MBAで学び、ここには休みを取って来た」なんていう人もいます。


(2) The Congress and Legislative Decision Making (議会と立法府の意思決定)
この道20年の政策アナリストの女性による、議会の意思決定が、なぜ、どう大変なのか、に関する、良く構成されたプレゼンでした。

ストーリー的には、
「法案通過に必要な人数は上院・下院とも過半数だが、議事妨害には上院の6割、拒否権は上院・下院の3分の2、と数字に乖離があり、これがそもそもの問題」
→「111期では、民主党の上院が58人、共和党が41人となると、41人の方が重要」
→「そもそも中道派の人々がいたり、政党内で意見が対立したりしていて、何か変革の際にはどちらかが選挙民の意向に左右され保守的になり、過半数を取るのは非常に難しい」
→ 「したがって、オバマになったからといって、天変地異でも起らなければ一気に改革はおこらず、地道な小さな変化の積み上げを起こしていくしかない
→ 「とはいえ、今の共和党政権や大統領の低い支持率に比べれば支持率が上がることで、生産的になる。が、経済危機の建て直しに時間と労力が掛かるため、他の政策は遅れる」
といったような内容。これをサポートするいろんな話が知らない事だらけで面白かったのですが、うち単発で書いても印象に残った話を幾つか

・ 民主党の中もいくつかの党派があり、まとめるのが大変: 今回当選した新しい議員達は、ハイテク業界の保護とFTAの推進によるグローバル経済の推進に興味があり、組合に基盤を置く古い方々とは真っ向から対立する。また、別にBlue Dog Coalitionと呼ばれる、とても財政的に保守的な人が新旧共にいて、これらが互いに対立するため、民主党で意見を一致させるのは難しい。例えば新しいビジネスをするときに、民主党だから一概にしやすい、とも、しにくい、とも言えず、むしろ共和党や中道派(民主にも共和にもいる)への根回しや、地域への貢献の有無の方が重要だったりする

・ もはや新聞を購読しているのは50歳以上の人しかおらず、選挙ではテレビとインターネットの2メディアが重要。うち、オバマが$3Mもあれば当選できることを示したように、インターネット上の活動が重要だが、インターネット上のActivistを取り込むことは、個別対応で複雑になってしまい大変。むしろ、選挙民の6割はテレビの情報のみしか参考にしていないし、単純で判りやすさをテレビでアピールするやり方が一番効いている。

・ 大統領が何か新しいことをプロモーションしたい時は、まずカリフォルニアのバークレーと行った非常に多様な意見のある土地でやると、誰か飛びつくけど絶対に過半数に行かないので立ち消え、安全に実験できる(会場苦笑)


(3) Organized Chaos - Your Government at Work & What Business Needs to Know (組織のカオス: 仕事におけるあなたの政府と、ビジネスするために知っておくべきこと)
元生物学者で10年間DCの研究機関にいた後、さらに10年間はいろんな政府ポジション(主に政策秘書)をやられている方が、彼女の経験から、ビジネスをするための政策決定をどうやって促したらよいかについての10年間の学びを話していただきました。

最初に導入として、「ビジネスにとって、政策は、ビジネスのやり方、コスト、報酬に大きく影響するため重要。一方で、政策立案者はビジネスパーソンの話を聞きたい。なぜなら、まず彼らは『雇用』が最大関心事だが、その雇用を生み出すビジネスの専門知識が無いため」→「このように利害は一致しているのだが、それを実際に一致させるには、ビジネスパーソン側が、まず政策立案プロセスを知り、各プロセスにどう効率よく効果的にアクセスできるかを知る必要がある」という話。その後は、大統領に始まるアメリカ政府の組織図を1つ1つ、どういうプロセスになっているからどう入り込むか、という各論を時間切れになるまで話し続けていました。幾つかの学びを下記に。

・ 大統領は各15の省庁のトップと、Cabinet-Level Rank(Bush Administrators)と呼ばれる閣僚の2つを配下に持つが、基本的に15省庁のトップは信用していない。なぜなら、各省庁のトップは、「自分の省庁の予算/権益を最大化する」ための情報を流す可能性が高いため。また、大統領が扱うような問題は省庁をまたがることも多い。したがって、Bush Administratorと省庁トップ間を取り持つ秘書(ロビイスト)が重宝される。このロビイストのTipsには2つあり、1つは常に議会の情報通であること、もう1つは、省庁側の職員にとっての利益を強調できること

・ 6つあるCounsilが、省庁間をまたがる問題解決を行う(例:教育機関のセキュリティーの問題を、Domestic Policy Councilが調整)。そもそもここでの調整に時間が掛かるが、さらに金融の問題は、国内と国外で違うCounsilが担当していて、一段と調整が大変になる

・ Presidential Advisory Comittieeという所が、大きな政策における民間企業との橋渡しをする。ここに大企業しか取り入れないのは、取り入るために財務情報の開示が毎年必要で、それに多大な労力が掛かるため

・ 政策は、大統領あるいは省庁が作りたいと思うが、実際に承認するのは議会。大統領には、自分の政策を通すための手段として、「議会に対する予算請求」など5種類のツールを持っているが、そんなに権力が強いわけではなく、基本的にはまず「議会のために働く」ことで、はじめてやりたい事ができる。多くの国民はここがわかっていない。

・ 省庁は、規制、ガイダンス、などの手段で政策を実現できる。このうち、規制の法案を通すには、徹底的にコスト分析をすることが必要(例:環境問題の解決は誰もが賛成。問題は、どうやるかと、そのコストは幾らか。)

・ ガイダンスとは、EPAが発行し(例:魚の漁獲量Xトンまで)、違反者を直接罰せられないが、マスコミや地方自治体が違反者を自主的に叩くので、結構有力な手段。

・ 財政による縛りも強力。義務的経費(Mandatory Spending)と言われる中に、社会保障や医療の費用が含まれる。医療保険制度は良く批判されるが、政府としては「例えば85歳の人が心臓のバイパス手術を受けたい、といっても、政府が全て面倒を見るわけには行かず、どこまでOKという線引きも難しい。したがって、政府は、基本的には『何歳でどの治療を受けるか、決める権利を与える』という立場。今政府がサポートしているのは5つのパイロットスタディで、例えば末期治療の状況を病気別、土地別、に費用や期間の統計を細かく取り、より費用対効果の高い治療をするようにガイドラインを出す、といった話」

最後の医療の話は、参加者の間からいろんな意見が出て相当もめて、ここで時間終了。日本政府も、例えば一番上の点でいう諮問会議のように、アメリカと似たような組織や仕組みはあるような気がするのですが、使われ方が大分違うんじゃないかな、といった印象を受けました。


(4) The Bureau of Labor Statistics: Current Issues in U.S. Labor (労働統計局:現在のアメリカ労働者の課題)
労働統計局までバスで移動して、話を聞きました。ここは、アメリカで2番目に大きい統計機関であり、雇用統計をはじめ労働者関係の統計はもちろん、CPI(消費者物価指数)のような経済状況に関わる統計(GDPを除く)を広く扱っているようです。

・ 米国には社会保障番号に基づく失業保険制度があるため、前月の雇用状況は翌月の金曜日に出てくる、素晴らしいシステム

・ だが、失業関係の統計はサンプルを取って電話をかけまくって分類していたり、CPIなどはいろんな店に行き、例えばスーツなら「何個ボタンがついててここの形がこうなっている、XXの型のものはいくら」、と行った情報を地道に数えており、多くの仮定が数字に入り込んでいることを覚えておいて欲しい

・ これらの情報収集には多大なコストが掛かる(年間$14B=1兆3千億円)が、その大半は情報の秘匿性を高めるために使っている。なぜなら、このデータが金融経済や実体経済の意思決定に大きなインパクトを与えてしまうため(でもあんた達を建物に入れてしまっているのは矛盾してるよね)。

・ 生産性関係は、最も単純な人件費しか見ない労働生産性と、減価償却を含めた総合的な生産性の2通りがあるが、最も難しいのは、サービスの生産性をどう定義するか。外から定義できないので、内部に入り込んで生データを集める試みもしているが、守秘義務に抵触してあまり有意な情報が出せていない


全体的には、(2)と(3)のような話を、一般人ましてやビジネス・パーソンに教育している、アメリカの懐の深さに驚きました。
[PR]
by golden_bear | 2009-01-05 22:33 | Washington Campus


カテゴリ
以前の記事
お気に入りブログ
外部リンク
最新のトラックバック
景気判断
from MIT Sloan 遊学記
その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧