A Golden Bearの足跡


UC Berkeley Haas School (MBA) における、2年間の学生生活の記録です。
by golden_bear
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カテゴリ:M&Aコンペ( 3 )

M&A ケースコンペ(3) ケース設問からの学びと、プレゼン結果

前回、「中国語のコンテストはスキルとやる気の両方を高める」と書きましたが、それはM&Aコンペにもあてはまります。本日は、ケース設問、プレゼンと結果からの学びを書いてみます。

まず、ケースの状況設定:
「あるカリフォルニア州の通信系中小企業が、山間部など過疎地に絞ったサービスを展開し、高収益体質を保っていた。株主構成は、60歳を過ぎた創業者社長と、30歳の娘、22歳の息子の3人が、それぞれ40%、30%、30%。丁度、創業者社長が引退を考え、後継者をどうするか悩んでいた時に、米国全土をカバーする大手企業数社のうち1社が、互いのサービスエリアが被らない、というメリットを強調し、買収を迫ってきた。これに対して、中小企業のオーナー社長がどのように対処すべきか、チームにアドバイスを求めている」

この設定自体で既に、下記5点を面白いと感じました。
○ 自分の「地元」になじみの事例: 
シリコンバレー発のTech企業が、成熟後にどう自社をEXITするのか、オマージュとして見ると楽しい。さらに、このような状況の企業は今日本にも多数あり、将来自分に起こりうる可能性のある問題と考え、やる気が出る

○ 珍しく売り手側のケース: 
今まで授業中に扱ってきたM&Aのケースは、買い手側の立場が大半を占めていたように思います。その理由は推測するに、双方の詳細な企業情報を元にシナジーや統合後の企業価値を算出したり、複数の買い手が競い合う、という設定を学習させやすいからだと思われます。しかし、今回は売り手側。買い手側の情報は、「1回目オファーの買い値と現金/証券の構成」、「買収によるメリット」、「現在の時価総額&株価」のみしか与えられず、実際に情報が乏しいまま判断を迫られる雰囲気が良く醸し出されています。

○ 同族経営のケース:
また、同族経営であることから、下記のような条件を解かなければならないのも、新鮮な考え方でした。
 - 非上場企業っぽく、財務諸表が上場企業にあまり見られない書き方や数値の傾向を示している
 - 株主3名の興味が全て異なっており、全員の意向を組み入れて平等に幸せにすることは、とても難しい

○ 設問には必要十分な情報のみ提示: 
恐らくM&Aの実務では、無限にある膨大な情報の中からM&Aに重要なものを如何に抽出するか、という作業が結構肝な気がします。したがって、過去のM&A関連授業では、ケース自体に本文10~40ページ、付表15~50ページは割かれ、さらに新聞記事、財務諸表やアナリストレポート、論文などが数十~数百ページ渡されることもありました。

しかし、今回のコンペでは、本文4ページ、付表8ページの計12ページしか情報が無い。さらに、「与えられた情報以外をプレゼンの根拠にしてはならない」、というルールがありました。これは楽勝なのか、、逆にたくさん仮定をおかなければならない難物か、、、

ふたを開けてみると、無駄な文章が一文も無い、書かれた全ての文章が使われた、本当に必要十分にまとめられたものでした。もちろん、審査基準を明確にするために、突拍子も無いアイデアを封じる意図があったのだと思いますが、実際に普段と逆の思考回路でケースを紐解くことで、売り手側のM&Aに最低限考えるべき事項の量(文章&作業)の目安を、肌で知ることができました。

○ 生の業界情報を提供: 
上に関連して、このケースの買収側・非買収側の企業は架空の話・データを提示されている(もしかしたらモデルがあるのかもしれませんが)とはいえ、他の同業他社比較や取引履歴比較に用いるデータは、全て実在する企業の直近のものが、必要な分だけコンパクトにまとめられて提供されています。このデータを見ることで、地元Tech業界の現状を俯瞰して見ることができました。

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次に、分析してみてわかったこと。特に奇をてらうわけではなく、下記の4つのステップで進めていきましたが、それぞれ面白い発見が=問題、が多数ありました。

(1) 被買収側企業価値の算定:
「使える限り全ての評価手法を試せ」、という指示があったのですが、今回は非公開企業の売り手側、ということで、実際に試せたのは、同業他社比較、直近同様取引の比較、DCF法(現状)、DCF法(統合&改善後)の4つ。

 - 同業他社比較
既にリストに挙げられた11社、S&P500に入るような巨大企業から小さな企業まで様々並んでいたのですが、なんと対象企業はこの一番小さな企業の1/10のサイズしかない、、、のに、やたら収益率は高いは、やたら借金は多いわ、と、全然比較できない。 シリコンバレーの未上場ベンチャーと、上場済みの企業は、普通に比較してもなかなかうまく行かないことを実感。

 - 直近同様取引比較:
実在する過去5年分の数十件の取引データが匿名で与えられました。ニッチな業界でも数十件もM&Aが起こること自体、M&A市場の規模が日米で1桁違う、と感じます。しかも、その結果は1つ1つ大成功から大失敗までピンからキリまで非常に幅広く、リスク&プレミアムの高さを実感します。2005年から2010年2月くらいの激動期に、シリコンバレーが混乱に陥った様を、数値に感じることとなりました。

 - DCF法(現状): 
中小企業ということで「過去の実績をベースに将来を予想する」という手法が、本当に、全く、使えない。過去数年、毎年違う企業に入れ替わってるんじゃないか、というくらい、業績や財務内容の増減が激しく入れ替わっていて、何が本来の姿かわからない。にも関わらず、なぜか未来予測には美しい数字が並んでいる。この予測をどれだけ信じられるかねえ、という所に、チーム議論のさじ加減が必要でした。

 - DCF法(統合&改善後): 
統合後のCEO候補として、60歳のおじいさん、30歳の女性、22歳の青年、そしてその誰でもない統合後の企業から派遣、と、複数考えられます。しかし、その誰がCEOにつくかで、経営方針が全く違う。この経営方針の違いで、結構業績予測が変わってくるのです。日本でも社長が交代しただけで株価が上がったり下がったりしていますが、この「経営は人なり」の部分って、中小企業だと本当に大きいんだな、と実感。

そして、当然、4つの手法で全然違う結果となる。誰も熟練者がいない我々のチームは、条件の抜け漏れや計算ミスを探すのにも一苦労。先の話を議論しては、ミスや条件の変更に気付いて計算しなおす、という手戻りを何度も繰り返して、ようやく中央値が丁度ケースに提示された買収金額程度に収束。

(2) 買収価格の精査:
次に、買収側のオファーを精査。現金のほかに、Seller's noteやら、株やらが紛れている。Appendixと脚注を良く良く読んで見ると、これらの価値が向こうの言い分の半分くらいしかないことに気付く。「これは100円だ。そう書いてあるし、そう見えるよな!!!」、といってジャイアンに渡された紙を、のび太がドラえもんに見せると、50円しか価値がなかった、という漫画みたいな世界が、本当にあるんだ、と驚く。

(3) 他の売却先と売却スキームを検討:
最初にプロポーズしてきた相手が駄目、とわかったので、「出直しておいで」、と言う所までは筋書きが書けました。しかし、このままでは婚期を逃してしまうため、別のお婿さん候補を探すことに。すでにプライベート・エクイティ・ファンドさんが4社も目をつけていて、「市場が回復すればIPOも狙える」、などと調子の良い言葉を言っています。しかし、ファンドさんに売る場合、創業者一族=我々のお客さんの身柄をどう保証するか、という点も重要になってきます。それなら別の競合企業に買ってもらったり、独立を貫く、という手もありなんじゃない、という話で、延々とどこにどういう形で売ろうか、という議論が続きました。

(4) アクション・プランの提案:
そして、この会社は時系列にいつ何を考えどう行動するか、という形で、プレゼンにまとめます。最初に提案してきた相手をどう断って、他の相手にどうやってアプローチして、一方元の企業が2回目に良い提案を出して来たらそっちにも浮気して、、、、、あたかも5人の男に歩み寄られているクラス1の美女が、皆と平等に話しながら、他の4人and学級委員長(=法律)を怒らせないように、一番いい男と最高の条件でくっつくための、アクションプランを練るわけです。そして、「こんな立ち振る舞いは、我々のサポートがないとできませんよね」、ということを暗に仄めかす文句をさりげなく最後に一言入れる。

このプランを練りはじめた時点で、火曜日の夜。前述の通り以後私は木曜のプレゼン本番まで作業しないので、他の3人に、(3)の売却スキームの検討に戻ってそれぞれ3つの婿企業候補(Aさん、Bさん、Cさん)を検討してもらうことに。そのどれが最高の統合相手になろうと、(1)(2)(4)で自分が気になる部分は殆ど変わらない状況に持っていけたのを確認し、安心してお任せしました。そのときの我々の初期案は、AさんとBさんを両天秤にかけて、ギリギリまで条件&価格を吊り上げると言うものでした。

水曜日夜時点のプレゼンを見ると、結論が「Aさんは全く見込み無いので、Bさんに全力投球」という風に変わっている。Bさん担当が、Bさん案が如何に素晴らしいか、渾身のプレゼンを用意していました。私自身は当初Bさん案が嫌いだったのですが、その気合の入りっぷりと面白さをみて、それでもいいやという気に。しかし、なんとプレゼン発表2時間前に、「プレゼンに重大なミスがあって、これは出せない」として、Bさん担当が自分でせっかく作った全てのスライドを、引っ込めてしまったのです。最後土壇場で、スライドとしてはAさん案のみ残り、バタバタの発表となってしまいました。(ついでに、この間ずっとCさん担当は、何度スライドを作っても説得力のあるものにならず、結局Cさん案が日の目を見ることは一度もありませんでした。個人的にはCさん案は脈有りかも、と思ってたので、コミュニケーションの問題で本来良いかもしれないものが悪くなってしまう瞬間に立ち会うことになりました。)

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当日のプレゼンでは、英語の堪能な2人が、時間配分に気をつけながら、筋書き通りクライアントの個人的な興味を含む疑問を、一つ一つ丁寧に解消していく。もともと凄くできるなあ、と思っていた2人なので、プレゼンの上手さにも感心しました。

質疑応答では、最後のアクションプランの部分を集中して聞かれました。ルールを守って複数社にどうアプローチするか、という質問に始まり、土壇場で却下してしまったBさん案に対する質問や、なぜ「独身を貫く」という案の評価が低いのか、などなど。

このとき質疑応答担当としては、金融関係の質問にはとっさに答えられず、企業戦略関係の質問には自然に答えられたことで、やはり前職の経験が体に染み付いていることを実感。MBAで新たに知識を得ているとはいえ、キャリアチェンジの難しさを感じました。

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我々のチームの結果は、地区予選14チーム中第2位。賞金としてチームに$500($250の現金と$250の商品券、、、そもそも本当に$500の価値あるんだろうなあ、と疑い中)を頂きました。決勝大会はどういうわけか開催が中止になったため、ここにて終了。

Bさん担当の「今までのEWMBA生活の中で一番濃密な1週間だった」という言葉に表れるとおり、普段の会社のエンジニアとしての仕事と、このケースコンペの両立には、本当に頭が下がります。また、Aさん担当は、会社を休職して香港で投資銀行のインターンを獲得。Cさん担当も、今後は自分の会社のIPOに邁進すると思われ、皆ここでの知識が即、次の人生に生きるのだと思います。

卒業直前にこのような機会にめぐり合えた幸運に感謝です。ここでの経験、友人達を、一生大事にし、私自身も一層スキルとモチベーションを高めていきたいと思います。
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by golden_bear | 2010-04-27 20:06 | M&Aコンペ

M&Aケースコンペ(2) チームワークの大変さ

中国人/中国系米国人EWMBA生3名とのチームワークは、想像以上に大変でした。起こったことのうち印象的なことを、下記に記してみます。

(1) 非論理的な議論の進め方
日本では、誰かが議論の流れにそぐわない発言をした場合、無かったことにして議論が先に進んでしまうことは、ビジネスの場でも見かけます。社内会議でも顧客への営業でも、特に下役が変なことを言うと、上司が机の下で遮って先に進める、とか、その場の全員が無視する、とかは、起こりうることでしょう。

一方、これは米国ではほとんど起こらない気がします。誰かが変なことを言っても必ず、「それはここでは関係ない」とか、何かキャッチボールが返ってくる。もしかしたら、外国人の発言を一生懸命聞いてくれるMBAならではかもしれないですが、そうでなくても、対面よりも電話会議の方が全然多いビジネス環境、議論好きな国民性、英語の構造、など、様々な環境要因から、誰かが発言したらそれに返答するのが当然、となっているような印象です。

ところが、このチームの議論は、日本型でも米国型でもなかった。頻繁に意見が無視され、流れが吹っ飛んでいって、何の話をしているかわからなくなっていってしまう。例として、ためしにM&Aの会話を料理に置き換えると、下記のような流れが良く発生していたのです。
(メンバーA)「小麦粉と卵はどれだけの分量で混ぜるべきだろうか」
(私)「卵の黄身と白身は分ける?それとも両方使う?」
(メンバーB)「どっちでもいいけど、白身は腐る可能性があるから、スピードが大切だよ」
(メンバーC)「最後に電子レンジにかければ、白身が腐っても新鮮でも問題ないんじゃない?」
(A)「電子レンジは小麦粉が傷むから避けたい。最後は油で揚げるのはどうか」
(B)「油はいいアイデアだけど、買って来る時間が無いよ」
(C)「いや、ギリギリまで水を入れなければ、時間は稼げるはずだ。」
(私)「、、、(分量の話はどこにいったのだろうか?)」

こうなってしまったのは、4人とも本業でファイナンスをやったことが無いことから、単純に専門知識不足ややり方が悪いだけ、ということはその通りと思います。しかし、定量的にゴリゴリ押せるはずのファイナンスの分析で、しかも皆似たような授業で同じ教わり方をしているにも関わらず、これだけ行ったり来たりしてしまう。これは、単なる経験・知識不足、というよりは、ディテールにこだわるエンジニアらしいと言うか、いろんな要素を一緒くたにして考えるアジアらしいと言うか、性格や文化の要素がとても強く出ている気がしました。

こうして、こういう議論に堂々と入れるようになったのは進歩とはいえ、それを上手くマネージできない自分の力不足を実感できました。

(2) 納期延長の弊害の数々
当初は4/1(木)夕方に開始、4/5(月)に資料を作り上げて提出。で、決勝に呼ばれた人のみがプレゼンをする、という話で理解していたので、「週末やり切って終わるぞ」、という気でいました。ところが、4/3(土)の夜になって、「4/8(木)夜に全チームでプレゼン&資料を提出」というルールに、「いつの間にか変わっていた」そうです。

大会が開始されてから締切やルールが変更されるなんて、本当かいな、と思いつつ、これ以降様々な問題が発生することに。先に起こった問題を纏めておくと、
○ そもそも全体に雰囲気が弛緩し効率が落ちる
○ 締め切りが延びたことで、考えなくても良いことが気になりだして、検討対象が広がり、収集がつかない
○ 週末気分のまま平日に作業量を分担してしまい、忙しい平日にとても終わらせることが出来ない: 特に、私はEWMBAの方のライフスタイルを知らないし、EWMBAの人は私の生活を知らない
○ 元々無いはずだったスケジュールが後から追加されるため、玉突き事故のように他のスケジュールが圧迫されのびのびになる悪循環が起こる
○ 家族に対しても、何故夜にこんなことをやっているのか申し訳がつかず、雰囲気が悪くなる
○ 結果、チーム全体の雰囲気が険悪になり、ますます効率が落ちる

次に、土曜日以降何が起こったか、日記風に時系列で書いて見ます。
4/3(土)
他のチームメンバーは土曜日なので、朝9時から夕方6時まで授業を受けている。私は昨晩の議論結果を受けて、日中1人で作業。夜9時までにメンバーにファイルを送り、メンバーは夜9時から作業を開始。ここで、木曜に締め切りが延びる

4/4(日)
朝メールをチェックするが、あまりにも論点が多いので無視。昼からサンノゼにあるメンバーのマンションの会議室を借り、3時間半みっちり議論。本来もう最終資料をまとめはじめている時間帯の計画だったが、締め切りが延びたのを良いことに、まだ色々な可能性を検討しはじめている。最初の2時間半でスコープが伸び切って収集が着かなくなってしまったので、早めに帰りたかった私は、最後の1時間で無理やり最終アウトプットの形に詰めていき、私の部分だけ役割分担を明確にして、後は皆に任せて帰宅。その後、深夜まで溜まっていた宿題をこなしていく。

4/5(月)
私は朝から晩まで授業の日かつ、6pmの授業に重い宿題を抱えていた日。週末から本日明け方までにやり終えられなかった部分を、授業の合間を見てどうにか4:30pmに終わらせ、6pmまでの1時間半のみこのケースコンペの作業に当てる。その後、本当はメールベースでのみ議論をし、問題が無ければ火曜日に一度打ち合わせて終わり、という計画だったが、メンバーの1人が不安に思ったのか、11pmにミーティングをセット。不意打ちを突かれた感じだったが、私に関わる議題が多かったので、出ざるを得ない。他メンバーのうち1人は別のミーティングのため欠席。もう1人はいきなりミーティングがセットされ若干切れ気味。最初の1時間は殆ど私と主催者の2人の議論になってしまい、切れ気味のメンバーが「俺意味ないじゃねーか!!」と本当に切れた後、後半1時間は彼と主催者が1時間議論。今度は私の意味がなくなってしまった。

結局、この会議で全体の結論が変わったので、議論をした意味はあった。今後これ以上の変更がないことを望む。

4/6(火)
皆様日中は仕事をしているので、その間に昨日の結論を受け、私が時間を見つけ修正を入れる。「もうこれでデータ変更は最後。私のプレゼン資料も終わってなくて申し訳ないが、後はプレゼンに集中してくれ」と4pmに皆にメールを出す。5pmに一度大学で会おう、と約束していたが、道が渋滞して5pmに誰も来れず。私は6pmから2年生全体のワークショップに参加したら実は大きなパーティーで、酔っ払う羽目に。

8:30pmに帰宅し、1ページ気合の入ったパワーポイントを作成していると、9:30pmデータファイルが返ってくる。見ると、意味不明なデータの修正が起こっていて、「説明するから10:30に電話くれ」とのメール。このデータ修正とそのパワーポイントの反映方針の議論だけで1時間が費やされ、30分遅れで11:30から予定されていた最終打ち合わせ。4人中私含む3人が、計画通りの進捗になっておらず、「やはり週末と違って平日に作業するの無理だよ」という愚痴モードの会議に。しかし愚痴を言っても何も進まないので、翌日6pmからのリハーサルに向けて、最終的な仕事分担をする。また、「前から行っていた通り、私は水曜木曜は殆どこれに時間使えないから」、と念を押す。終わったのがまたもや1am。私自身はここから中国語の試験勉強を開始する。

4/7(水)
朝8時から中国語の試験。昨晩ヤマを張ったところが奇跡的に良く出て、満足いく出来に。9時からManaging innovationの最終課題チームミーティング。これもとてもよい議論が出来満足。10:30から中国語補講、11:00amから「今週は無理、ごめん」とほったらかしにしていたInternational Financeのケースだけ念のため読んでおき、1時間半で準備完了。12:30-2pmに私のこのコンペ最後仕事1枚のパワポを書き終える。2-6pmは授業2つだが、iPhoneを見るとチームの3人は凄い勢いでファイルをやり取りし、恐らく仕事はしていない。6pmから電話会議で最終プレゼンの練習。しかし、皆初めて見るスライドばかりなので、全員が内容を確認し整合性を取る会とし、練習は後で各自でやることに。7:20pmの段階で、「私は予定通り明日この仕事何も出来ないので、後はお任せするわ」と宣言し、プレゼンターからもはずして貰う。7:30からDays At HaasというHaas合格者がキャンパスを訪問しているイベントの飲み会に参加。久しぶりに日本人同士で夜遅くまで楽しく飲むことに。夜家に帰って予想通り30通ほどコンペ関連のメールが増えているが、私宛の質問が無いことを確認し、無視。

4/8(木)
朝8時に中国語の授業を受けたあと、一目散にゴルフ場へ。もちろんプレゼン当日なのでゴルフのキャンセルも出来たのですが、
○ かなり前から予定していた特別なメンバーとのゴルフであること
○ 私と仕事を分けている中国人メンバー同士が凄い勢いでメールを飛び交わしている中に、今私が入っていってもあまり役立たないこと、
○ 私自身が気になっていた点は無事議論が終結していて、そこから他のメンバーがどう結論付けても、大勢に影響ないと思っていた
ということで、あえてチームに入らずにゴルフを優先させる決断をした。しかし、昨晩の泥酔とこのケースコンペの疲れからか、最近ではありえないひどいスコアをたたき出してしまう。

1:30pmにゴルフを終え、スーツに着替え、50通ほどのメールを流し読みし(全員仕事サボってる!)、プレゼン最終版を見ると、ええっ、いつの間にか当初私が思っていた逆の結論になっていて、驚く。ただ、ストーリーを見ると、その結論でも面白い、と思ったので、チームメンバーに「きっと今日のプレゼンでは審査員との議論がとても盛り上がるよ!素晴らしい」とメールを出す。その後、4pmからDays at Haasのイベントに参加、6pmからWine Industryと、4時間連続で飲み続ける。4:30に送られてきたメールを見ると、「やっぱり俺のスライド無理だから、引っ込めたわ。結論も変えといたから」、と、当初私が思っていた通りの結論に急遽戻している。「(貴方の部分が初めからその結論でいいなら、日曜日以降何もしなくても良かったのに、、、)」と心の中で思いつつも、チームとしてはプレゼン3時間前に全く逆の結論をプレゼンする羽目になり、混乱を通り越してあきれることに。整合性がつかない部分が多々入っているが、直せないので口でごまかすことにしたらしい。

8pmからプレゼン本番を迎える。酔っ払って真っ赤な私は、質疑応答専門部隊だが呂律が回らない、、、(次回に続く)
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このように、所属や考え方、目的やモチベーションが微妙に違う人々と働くことは、それ自体学びの宝庫です。さらに、色々試せる(例:プレゼン本番当日に、皆仕事そっちのけで頑張る中で、私はゴルフに行ってしまい、酒を飲み、それでもチームとして結果を担保できるか)ことも、学生に戻ったからこその利点とも思います。しかし一方で、ケースそのものが良くなければ、これらのチームワークや葛藤、学びは生まれません。この意味で、今回のケースは非常に面白く練られていた、と思いましたので、次回、プレゼン本番の状況と併せてケース内容について書いて見たいと思います。
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by golden_bear | 2010-04-13 17:11 | M&Aコンペ

M&Aケースコンペ(1) EWMBAメンバーとの共同作業

(Pさん)「エントリーに人足りないんだ。名前だけでもチームメンバーになってくれないか?」
- 2日後 -
(私)「ちょっとその週末は忙しいから、本当に名前だけになると思うけど、面白そうだから良いよ」
(Pさん)「というか、返事が遅いから、自動的にOKということで登録しておいたよ」
(私)「・・・」

Private Equityの授業で同じチームだった中国系米国人のPさんから、M&Aケースコンペのチームへのお誘いのメールが来ていたのが丁度1週間前。彼の身の上及びこのコンペにかける意気込みを知り、人数不足で出れないのは可愛そうと思い、とりあえず名前だけ貸してあげることにしました。(それにしても、返事がなければ勝手に名前を使う、というのは、とても中国っぽい考え方だ、、、)

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MBAに在籍していると、様々なケース・コンペティションに参加する機会があります。ケースコンペティションとは、昨年同時期に私も参加した起業アイデアを競うビジネスプランコンペとは多少異なり、参加全チームに同じビジネス上の課題(フィクションの例では、Appleが「iPadの売上最大化のために、どこか1社とだけ連携するとすると、どの企業と何をするか」など)と資料が与えられて、期限内にそれを解き、もっとも優れた解法のアイデアやプレゼンを競う大会です。これらの多くは、一企業が主催しています。というのは、企業にとって、
○ 格安で会社を宣伝し、
○ 学生のアイデアを集め、
○ 優秀な学生を青田買いできる、
というメリットがあるからです。従って、Haasにおいては、地元のAppleやFacebookといったシリコンバレー系の企業や、Chevronなどクリーン・テック系の企業が毎年手を換え品を換え様々なお題を出してきます。また、金融・コンサルティング・不動産などのコンペは、一大学に絞らず全米を対象にすることもあり、決勝に勝ち残った後、全米中に飛んでいく友人たちも見かけます。

学生にとってのメリットは、
○ コンペに勝てればその会社で働きやすくなる&履歴書に書ける
○ もし勝てなくてもチームでアウトプットを出すビジネススキル、そして一緒に頑張ったメンバーと濃い友人関係を築くことができる

といった所です。実際、一昨年のFacebookコンペに優勝したチームメンバー3人は、その後リーマンショックに始まる一連の大不況が直撃し続けているにも関わらず、皆が羨むような就職先を確保できています。
・ そのままFacebookのインターンに内定。インターン後、フルタイムも内定
・ AmazonとCiscoの2社から内定を頂き、迷い中
・ Googleに決定

元々優秀な学生が、優秀な同士で仲良くなれて、コンペに勝ち、ますます優秀になる環境に入れる。こういう好循環があることから、たかがケースコンペといえども、参加学生は人生をかけて本気で取り組みます。特にチーム選びは皆真剣で、入学直後から、優秀そうな学生にチーム参加依頼が殺到している光景をよく見かけました(英語がつたない私は全く蚊帳の外でしたが。)

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さて、この卒業直前時期に、突然不意打ちのような形でチームに誘われた私。どんなコンペか見てみると、

○ 主催者は、ACGという、「中規模の企業がM&Aを通じて成長する方法を探る」目的で、1954年に結成された業界団体だそうです。まさにこの目的が存在意義になっているPE各社はもちろん、金融関係やデータベースの企業が名を連ね、全米各州及びグローバルに展開している
○ 今回のコンペは西海岸のMBA学生が対象で、決勝はロスアンゼルスで行われる。従って、ケースそのものも西海岸に則した題材で行われる
○ 参加者のメリットは、主に西海岸でM&Aを行う複数の企業群(金融機関に関わらず、CiscoやGoogleなども含む)にまとめて名を売れる。また、優勝すると賞金ももらえる
○ Haasからだけで10チーム以上エントリー: 西海岸全体で100チームくらいいてもおかしくない。確かにこれだけの中で優勝できれば、就職には有利と思われる
○ 予選は、4月1日(木)の夕方に一斉に問題が配信され、4月5日(月)が締め切り。決勝は4月末

私のチームは、中国系米国人が2人と中国人が1人。しかも、皆さん平日はエンジニアとしての仕事を持つ、EWMBA(Evening & Weekend: 夜間&週末のコース)の学生の方々で、3年制プログラムの2年目の方々。皆の参加動機は、
 - 金融への転職を考える人
 - 今後シニアマネージャーとなり実務で地元のベンチャーを買収する立場になる人
 - 今の会社を大きくしてIPOやM&AによるEXITを考えてる人
と様々ですが、いずれにしても、日常業務の合間を縫って、丸3年間MBAで学び、さらにこんな大会に出て学びを深めようとしている姿だけでも、米国のエンジニアって凄いなあ、と思います。

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私にとってのこれに参加するメリットは、下記3つ

(1) 皆私より年上の中国系シリコンバレーエンジニア、という、滅多にお近づきになれない方々と知り合う良い機会。しかも向こうから降ってくるとは有難い
(2) この1年の間に、M&Aの力がどれだけついているか、の自分に対するテスト。これを大好きな西海岸の題材でやれるのは嬉しい。
(3) 今回誘ってくれたPさんはとてもデキル奴。彼1人でも十分で、最悪自分は何もしなくて良い、という読み

デメリットは、もちろん卒業までに残された貴重な時間が奪われること。実は、この週末に実施される小旅行イベント2つを検討していて、このチームは旅行の移動中に手伝う形か、そうでなくても、他のインターンの仕事などが溜まっているので、無理では、と考えていたところでした。

しかし、前回の記事で書いたようにスキミング被害に遭い、幸か不幸か丁度小旅行分程度のお金を盗まれてしまった。これを天の声と考え、2つともキャンセルし、大人しくケースに打ち込むか、と心に決めたわけです。

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やってみて真っ先に気づいたのが、EWMBAの3年間は本人も家族にとっても、凄く大変だ、ということ。

4月1日(木)昼12時に問題が配られ、その後慌しくメールがやり取りされる。皆仕事中でも、MBA関係のメールはキチンと処理している。そして、第1回目のSkype会議がその日の夜10:45にpmセットされる。こんなに遅いのは、メンバーのうち1人が夜9:30pmまで授業のため、その後車で1時間離れたサンノゼまで帰るからです。聞くと、全員仕事や家がシリコンバレーの南側にあり、5pmに仕事を終えて1時間運転して6pmからの授業に出ているそう。大学から至近に住み昼間に通える普通のMBAが如何に楽か、思い知ります。

私自身はWine Industryの授業で大層酔っ払ったあと、10:45pmから最初のSkypeディスカッション。人によって予習の度合いやM&Aスキルの理解度が違うため、結局皆で初めからケース読むような感じになる。何とか夜12時までに明日までの作業分担をし、夜7時から別件があった私に配慮して、明日金曜夜10時からミーティングがセットされる。

4月2日(金) 朝から中国語や他のチームミーティング等をこなし、昼にオークランドの中華街で韓国人の友人が進めてくれた「山東飯店(Shan Dong Restaurant)」で妻とランチを楽しんだ(麺類が大変美味)後、3pmから7pmまでケースに取り組む。私の担当は、バリバリの定量分析を、1人あまり良くわかっていない人に教えながらやること。3時から2時間かけて進めたファイルを、彼の仕事が終わる5時に送り、電話をかけ説明する。5時半に電話を切る前に作業を再分担し、7時以降は彼に進めてもらうように頼む。

7時半から、とある地元のディナーに参加する。これが大いに盛り上がり長引いたことから、「悪い、10:20pmに入る」とチームにメールを出す。家に帰り、実際に10:20にミーティングに入ると、既に喧々諤々の議論がWeb上で始まっている。
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さすがはエンジニア集団。CiscoのWebExという電話会議システムを駆使して、リーダー役のパソコン画面が全員に見えるようになっている。リーダーは皆のSkype会議の議論をリアルタイムで自分のPC上に反映していく。WebEx自体は見慣れたものだったが、ここまで違和感なく素早く使う人々ははじめて見た。

私ともう1人のメンバーが中途半端なアウトプットしか出さなかったこと、及び私が7-10pmに送られた十数通のメールを見ていなかったことから、リーダー役が少々機嫌を悪くしながら、自分で独自に進めた分析を見せだして、「この前提で全部やり直した方が良い」ということに。私も半分は賛成だったし、酔っ払って早く寝たいと思い、快諾。が、その後もう1つのサブチームがあまり進んでおらず、またもや話しながら作業をする非効率な世界に、、、。

夜12時に一応話し尽くす。明日土曜日は私以外全員朝から夕方まで授業。従って、その間に私が進め、夜から彼らが引き取って作業する分担に。そして、日曜昼に一度、はじめて全員で対面で会うことになり、全て終わらせて、月曜提出に間に合わせることになります。

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今回はケースコンペという特殊なイベントでしたが、EWMBAの方々は、恐らく通常授業でも、金曜、週末関係なく、夜遅くまで作業をする世界のような気がしました。逆に、フルタイムMBAでは、特に家族のいる方の場合、夜以降はミーティングを極力避けるのが普通。私も妻には申し訳ないな、と思いながら、妻も「アメリカでもこういう働き方をしている人たちがいるのねえ」と、不思議そうな表情で理解を示してくれました。

何はともあれ、私自身は久しぶりに日本で働いていた時代のことを思い出し、懐かしくなりました。卒業後に現実世界に引き戻される良いリハビリにもなりそうです。
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by golden_bear | 2010-04-03 16:46 | M&Aコンペ


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