A Golden Bearの足跡


UC Berkeley Haas School (MBA) における、2年間の学生生活の記録です。
by golden_bear
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ABC当日の活況 (3/3) シンガポールの国家戦略

最後に、シンガポール政府投資公社(GIC: Government of Singapore Investment Corporation)のトップ、Lim Siong Guan氏の講演を紹介します。あまり情報公開はされていないものの、GICは、1981年に外貨準備高を長期運用する目的で設立されたSWF(ソブリン・ウェルズ・ファンド=国家投資ファンド)。Webに落ちている情報によると、設立時39億ドルだった総資産は、いまや2,000億ドル以上。アブダビ、ノルウェー、サウジアラビア、中国の2つについで、世界で6番目に大きいSWF(注1)。投資対象も株・債権・不動産・企業等なんでもありのようで、日本でもWestin東京ホテルや福岡ヤフードーム、汐留シティーセンターなどに投資している(た?)ようです。ある日本のメガバンクから来られている方によると、「こんな大物を1つの大学に連れて来れるなんて、信じられない。一応日本の銀行から見てもお客さんなので、GICに行くことはあっても、ここまでの人にはまず会わせてすら貰えないよ」という方なのだそうです。

この講演を聴く前まで、私にとってSWFの印象は、額もスケールも巨大、ということを除けば、国の戦略が重要なのかはたまた儲けさえすればよいのか、いまいちピンと来ないものでした。産油国が余ったオイルマネーをドバイや世界中の空港やホテルなどにやたら投資しまくっているかと思えば、映画「ハゲタカ」で中国政府系ファンドが日本の自動車会社を買うような話も、SWFのミッションとしてありうるためです。しかし、このLim Siong Guan氏の話を聞き、少なくともGICに関しては、シンガポールが国として描いている長期戦略に組み込まれそれを具現化している組織である、と、非常によく理解できました。下記に、私の聞き取りをかいつまんで大分意訳が入っているものですが、講演の概略を書いてみます。
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シンガポールはとても国土が狭く、国を設計する自由度が無い国です。従って、「今後経済が成長できるのか」、ということが、常に内在的な問題となっています。次の10年にわたって今の黄金時代を継続する問題解決ができるのか、そして短期的には経済のシステムを機能させて需要と供給を合致させ続けられるかが、常に問われている国です。

先ほど中国がシンガポールから学んでいる、という話が出ましたが、中国は漢字で「中央にある王朝」と書きます。中国はここ100年ほどは、経済的にも社会的にも難しい時代が続きましたが、最近再び息を吹き返して来ています。この中国を隣にしながら、シンガポールは、まさにアジアの中心なのです。この中心地において、「我々の付加価値は何か」ということを自問し続け、常に一歩先に出てアジアの指導役となり、諸国との関係を築いてきました。

今アジアの自由貿易市場には、既に6億人のマーケットがあります。ここに、今後日本のGDPを上回る中国や、人口11億人のインドが加わります。そして、アジアには新技術が生まれる土壌もあります。たとえば、中韓日の3カ国を合算したクリーンテックセクターの規模は、米国のものを上回っています。中国のソーラーパネルの生産量で20GWを超え、GEに対しても研究開発で貢献し、アジアは既に単なる工場からサービス・プロバイダーへの変貌が始まっています。

このような中で、シンガポールは国家として、次の3つを課題としてとらえてきました。1つ目は、アジアのオフィスとして優位性をどう構築するか。世界中の企業に、拠点として、商談の場として使ってもらいやすいように、移民などの規制や関税を緩和すること、その一方でIP(知的財産)の保護に力を入れることが重要です。

2つ目は、急速な地域の拡大にどのように対応するか。中国、インド、パキスタン、フィリピン、バングラディッシュ、ベトナムといった、人口が60%増えている地域に対して、社会的に、環境的に、どのように持続可能にすることができるのか。また、今後高齢化も急速に進みます。世界の60歳以上人口は12億人を数え、2050年には全人口の25%が60歳以上になるといわれています。この高齢市場、すなわち介護やヘルスケア、ライフスタイル・旅行といった市場が、2015年に6,200億ドルまで拡大すると言われています。

3つ目は、アジアに突然中産階級が生まれること。毎年3倍の増え方をしており、急激な都市化が進みます。従って、シーメンスと共同で都市マネジメントセンターの実験役を買って出て、モデル都市を構築し、今後の病院システムやプライベート・バンキングの世界をどうして行くか、といった都市生活全体の理想の姿を考えていく必要があります。

この3つの課題に対応するため、15年前から次の施策を続けてきました。まず企業に来ていただき投資を呼び込むために、英語教育を徹底的に強化し、公用語と呼べる以上のレベルに押し上げてきました。そして、中国とインドの中間に位置して両方にアクセスできるということで、グローバルからはGoogleやMicrosoftなど、中国からはLenovoやHuawei、そしてインドからはTataに、シンガポールをアジアの中心に位置付けていただいています。さらに、GEのImmelt CEOにはシンガポールを「経済をリセット」するための地球の拠点ハブとして捉えて頂いています。

このように今までは企業にシンガポールに留まっていただくために、誘致し、一杯働いて頂く為の"Host"役になることを目指してきました。しかし、これからは、"Host"から"Home"へ方向転換が目標です。優秀な人材、資金、そしてイノベーションの"Home"へなるために、投資や開発をしていきます。

アジアは2008年から09年の経済危機からいち早く脱却し、既に成長軌道に乗っています。この中で、シンガポールは、グローバル企業の"Home"へと、国の位置づけを変えていくことが急務です。グローバル起業がイノベーションや起業を起こし、成功するために必要な全ての施策をうっていくのです。

その一例として、セントーサ島の開発が挙げられます。

(セントーサ島、という言葉に呼応して、質疑応答が始まる)
Q. (Lim Siong Guan氏自身がGICとして投資したとされる)セントーサ島のカジノの立ち上げは、どういう意図か?
A.  公式に、カジノ・マネーが欲しくて作ったわけでは決してありません(会場笑い)。これには2つの目的があり、1つ目はカジノとビジネス&会議センターとの相性が良く、既存のビジネス街としての付加価値が高まること。2つ目は、今までビジネスマンのものであったシンガポールを、今後は家族にも魅力のある観光地にしていく、という意味合いを込めています。すなわち、"Home"と、都市づくりの両方の目的があるわけです。また、住民がギャンブルにはまらないための工夫も同時に凝らしています。まず、シンガポール国民は入場料を高めに設定し、年間$1,400払えば、フリーパスで入れる仕組みとしています。次に、家族の誰かがギャンブルにはまって困った場合、妻や子供が申請すると、名前をリストにて公開することになります。

Q. GICとして、中国をどう見ているか
A. プロセスや概念を国として急激に理解・学習して行っているが、まだ持続的でなく完全に信頼できる投資先ではない

Q. 他の新興国への投資をどう考えるか
A.「直接投資ができる対象」は、全て選択肢となりうる機会

Q. SWFとしてどう差別化していくか、
A. 差別化も何も、GICはGICでしか無い。しかし、SWFと他のファンドの違い、ということであれば、政治的意図が背後にある、ということは、他のファンドに比べて常にリスクを背負わざるを得ない、という状況を指す。国の関心がそのままファンドの行動原理となるため。

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Lim Siong Guan氏ご自身が、元々日本でいう防衛庁、国交省、経産省などにあたる国家の要職を歴任された方なので、自分の詳しい範囲に多少偏ったスピーチになった側面もあるのかもしれません。しかし、これだけ国家戦略を真剣に考えている方が、数十兆円を動かすことのできるSWFのトップにつき、恐らくセントーサのように表に出るもの以外にも国家を改造するための投資を多数行い、しかもなお年率平均10%のリターンを挙げ続けている、という姿には、シンガポールという国の舵取りのあり方を、とてもよく学べました。

日本でも、お台場や沖縄にカジノを作ろう、とか、郵政で民営化された300兆円で民間SWFのようなものを作って財政再建しよう、とか、法人税を下げて企業を誘致しよう、とか、小学生に英語を教えよう、とか、シンガポールを部分的にいい所取りしたような話はよく耳にします。しかし、シンガポールがこれをできているのは、制約が多い小国だからこそ国の目的が国民全員に明確で、ある意味長期独裁政権のような形で実現できるから。毎年総理大臣が変わり、縦割り行政の中ようやく第1回目の事業仕分けができるようになった段階の、日本という中途半端に大きな国が、シンガポールの成功例の一部だけもってきて真似しても、このような国家戦略の裏づけが無い限り上手くいかないだろうなあ、という印象を持ちました。

次に、それでは、シンガポールが既にあるアジアの中で、日本は何をすればよいのか?短い答えとしては、シンガポールに無くて、日本にあるものを最大限活用していかざるを得ないのだと思います。シンガポールが見ているような、高齢化や都市化のビジネスは、いち早く日本国内で作りこんで、世界に輸出できるプレーヤーとなる。その実現の際に、"Home"とは言っても所詮ハブにしかなれないシンガポールを、道具として最大限有効利用する、、、こう、とても偉そうに書いてみた理由は、「日本」という単語を「私」に置き換えても、同様の考え方ができるからです。これを1つの考え方として、自分の生き方に反映させて行きたいと思います。

そして、このLim氏を含む当日の全ての講演を通して、また、特に準備期間から一緒に働いた3人のco-chairをはじめとする今回の幹事たちの働きぶり見て、リーダーがしっかりしているかどうかが、組織を大きく変える、ということを、改めて目の当たりにしました。今後私自身、あるときは下働き、あるときはリーダー、またあるときはメンターと、色々な役割を交互にこなすことになりますが、リーダー役になった際には、ここでの様々なリーダーシップの形を懐に忍ばせて、いつでも出せるようにしておこう、と心に刻んでいます。

(注1) 出典:http://www.swfinstitute.org/funds.php
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by golden_bear | 2010-02-24 15:34 | ABC

ABC当日の活況 (2/3) アジアの消費者とインド技術

第2回は、大変盛り上がっていた、コンシューマー・ブランドと、インド・フォーラムの2つのパネルディスカッションについて。幹事の仕事のため出入りがあり、全て聞けたわけではないですが、個別に面白かったポイントを、書き並べて見ます。

コンシューマー・ブランド・パネル
パネリストは下記の4名
- Jose Davila, Vice President of Field Human Resources, The Gap : 日本に数年駐在経験があり、Gapのシンガポールへの進出、及び、昨年11月の中国への進出に陣頭指揮を取った方。最近昇進して、米国に戻られた。
- Dave Sessions, Vice President of Global eCommerce, Walmart International :特にアジアに限らず、中東、南米など新興国全般における、Walmartのe-commerce部門、Walmart.comの全権指揮を取っている方。ちなみに、米国ではWalmart.comは、Amazon.comとトップシェアを激しく争うほど秀逸です。
- Rand Han, Strategy Director, Bloodyamazing: 中国でWeb広告代理店(日本でのサイバーエージェントのような企業)を起業した中国系アメリカ人。グローバルブランドを顧客に持ち、中国でのブランド価値向上をサポートする
- Daniel Harris, Founder and Partner, Harris & Moure: 新興国、特に中国における、IP(知的財産権)保護を専門とする、弁護士の方
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議論のハイライト:
○ Walmartは、米国では最安値に位置するブランドだが、中国では価格が高すぎて、高級ブランドになってしまう。ましてや、インドなど1ルピー(約3円)変わっただけで大きくシェアがぶれる。こんな中で安値競争をしたらひとたまりも無いが、"EDLP(Every Day Low Price)"は全世界共通の標語。従って、新興国では、下記3つのような戦い方になる
 (1) 同じカテゴリーの同じ商品なら、低価格勝負に負けないようにする
 (2) 現地調達を強化する: これには2種類あって、1つは米国でやってる地産地消の取り組みを中国でもやること。もう1つは既にWalmartが中国、タイ等にいっぱい持っている米国向け商品の工場から、アジア向けに、既存商品を出荷したり、商品開発すること。前者は米国では地元の良い商品を前面にアピールする目的になるが、アジアでやると地元の商品がひどいことも多く、サプライヤーの発掘や教育を兼ねることになる。後者は、コスト高になるケースも多く、試行錯誤中。
 (3) 高品質を訴える: Walmartとしてグローバルで定めている品質基準が、アジアの現場より相当高い場合は、価格を高めに設定し、高品質品として売り出す

○ 例えば、テレビCMに関しては、米国である顧客層に効果的なCMが、中国では全く通用しない。まず政府がテレビで情報をコントロールする政治的な障害が大きい。次に、訴える内容も、米国では"落ち着いた質素なイメージ"でアピールしている廉価商品を、中国では全く逆に"米国発のアグレッシブな高級感"として高品質・高級品としてアピールしないと売れない

○ 中国市場の6割は、農村地域にある。そこまで浸透できているのは、まだコカコーラなど一部のブランドに限られており、今後ここを取れるかどうかがグローバルシェアに大きなインパクトを与える

○ 中国と言っても、都市毎に全て市場が異なる。北京、上海、大連、深センといった一千万人級の大都市は、それぞれ文化も言葉も違うので、むしろ1つ1つ違う国として考えたほうが良い。さらにそこから広がる農村地域は、全く違う市場。

○ このように新興国では、地域別の特性に合わせて商品あるいはブランドイメージを変えなければ、全く売れない。しかし、どのように変えるかは、非常に悩ましい問題。GucciやBMWのように元からグローバルの最高級を狙うところは、そのままの価格・ブランドイメージで、アジア人体型や生活に合わせた商品に変えればよいが、実はその市場はとても小さい(だから真似されない)。一方、それらより1ランク下のブランド、例えばH&Mは、現在価格を大きく下げて中国で爆発的な人気になっているが、既に偽物や模造品が乱発し始めた。ここで、現在中国の衣料品製造技術や品質が非常に高くなっていることを考えると、H&Mの価格帯の市場は、2-3年後には中国メーカーが参入し、食い尽くされていても全く不思議ではない。ただし、IKEAのように、40%価格を下げて初めて消費者に手が届き、認知され売れ始めたブランドもあるので、価格を下げることが一概に悪いわけではない。

○ 政府によって情報統制があるから、ブログ等はすぐに閉鎖される。だからこそ、インターネットはマーケティング情報の宝庫。
 - インターネットの世界が大きすぎて、政府の検閲のスピードが追いつかないので、情報が消されるとはいえ生の声が結構そのまま残っている
 - また、デジタルの世界にアクセスできるのは、富裕層で流行にも敏感な上顧客
 - 新興国市場であればあるほど、口コミが重要。中国では口コミが商品浸透効果として先進国より全然強い。(参考:「インドでは信頼できる人からの推薦が無いとそもそも売れない」:インドパネルの議論)
これらを踏まえると、今Facebookなどのソーシャルネットワークで起きている世界(推薦機能など)は、今後アジアにおけるマーケティングで非常に強力なツールになる

○ eBayやGoogleが中国から退場し、代わりにTaobao(中国のe-shoppingサイト)が成功したのは、現地化をどこまで徹底し、やるべきことをやりきったか、の違い。先にβ版を立ち上げて修正いく、というやり方では、問題が発生し、退場せざるを得ない。現地で一番最後までやり切る、という点から全てを考え、現地の利害関係者全員の利益を満たすために1つでもやり遂げられない点がある時点では、やりはじめないべき。

○ インドではインターネットより先に携帯電話が浸透している。中国でネットでやっていることを、画面の小さい携帯電話でどのように実現していくか、ということがポイント。

○ ネットという手段があること、商標権の登録などに正規プロセスができ始めていることから、賄賂など不透明なやり方で市場の優先権を得る必要性は少ない。賄賂はハイリスク・ローリターンなので、避けるべき。

○ 優秀な中国人はものすごい取り合いになっている。今後、中国で何かを立ち上げる際、人材確保は必ずボトルネックになる。

(下記、GAPのコメント再掲:
 ○ いまだにアジア売り上げの8-9割が日本。他のアパレルブランドも含め、日本の経験を生かしてアジアに展開しようとしているところが多い。しかし、これが思ったほど上手くいかず、現場の悩みとなる。
 ○ 現在、目下最大のライバルは、日本のSPA(製販小売)企業。こことアジアでどう戦っていくかが、最大の課題。)


インド・フォーラム
パネリスト4名の背景は、この記事を参照。
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議論のハイライト:
○ ここ10年で、とんでもない変化が起こっている。表にはタタが20万円の車を作っているが、裏では未来の金融システムをゼロから天才IT技術者達が立ち上げようとしていて、将来インドが既存の金融機関を全てひっくり返す可能性がある

○ IT業界に限らず、製薬業界の新薬開発や、高級エアラインの制御システム、GEや日本企業の重電・環境技術、そして実はAmazonのKindleはニューデリーで設計されているように、多数の業界において研究開発部門がインドに移っている

○ インドの農村の電気が無い世帯に、太陽電池ランタンを売る活動をしてから、面白い気づきを一杯得られた。1つは、各地方独特の方言が通じるかどうかが、売り上げに大きく響いていること。もう1つは、物流の最適解が米国と真逆だった、ということ。米国では、物流の規模を最小限にして工場で在庫を持つのが普通だが、インドでは物流規模を拡大して在庫を工場より物流により多く持たせるようにする方が、全体としてうまくいく。この詳細は述べないが、(物流がひどいから)飢え死にする人が多いこととも関連している。このモデルはもう少し研究して、他の新興国にも適用できると思っている

○ インドの商流に関しては、人が最も重要。ブランドが構築されるまでは、人は信頼できる人からしか買わない

○ インドでは、起業する年齢の平均値、最頻値とも、40歳程度。これは、10-15年ほど企業内の研究開発部門で修行を積み、その技術や人脈を元手に起業する人が多いため。

○ インド国内のベンチャーキャピタル(VC)は、まだまだ未成熟。2009年には32のVCが投資を行ったが、非常にリスク回避の傾向が大きく、Wiproのような既に大企業か、政府・公共系の企業に投資されるケースが大きい。また、国内で政治の腐敗、規制、干渉など様々な条件から、VC自体が経験豊富、百戦錬磨でないと上手くいかない。

○ こうした国内の制約を踏まえて、インドの起業家は、はじめから世界に目を向けている。各国の規制を逃れるようにIPを上手く設計し、本当の世界市場を相手にする商品を設計する。こうして、Intel、Motorola、Ciscoといった世界企業に対して、競合するなり、買ってもらうことを、目指しているケースが多い。

○ 今実際にインドに行くのは、とてもよいアイデア。起業の志も高い安くて優秀なエンジニアと直接アイデアを熟成できる上に、今後成長していくインド国内市場も相手にする機会が増える。今後は自分の履歴書に新興国で働いた経験があるかどうかが、いずれにせよ成功するかどうかの境目になるので、今のインドは良いタイミング。

○ 現在インドのGDPの3分の2は、外国に出て行ったインド人がインドに投資し返してくれている分に相当する。インド系アメリカ人とインド人との関係、インドとシリコンバレーの関係は今後も続いていく。

○ インドから米国への頭脳流出は、インドにとって1990年以降頭の痛い問題だったが、最近は米国からインドへ頭脳が戻ってくるケースが増えている。米国にいるインド人は皆どちらで働くのが良いか迷っているし、ある調査では11%の人が戻った方が米国より良い生活ができる、と考えている。実際昨年は米国インド人の6%がインドに戻り、出入りが均衡。今後は、米国からの頭脳逆流出が、米国にとっての大きな損失となる。

○ 大企業としてインドに研究開発拠点を作るには、文化、規制、人の管理、インフラ不足など、全てが困難に付きまとわれるので、生半可にはいかない。しかし、それでも安い人件費で優秀な頭脳を囲える。このメリットを生かせる辛抱強い体制が必要。


この2つのパネルを見た感想は、「自国の優れたシステム(金融、シリコンバレーなど)でアジアを統治しようとしてきた米国、それを、製造拠点と消費者市場として請け負った中国、研究開発と英語単純業務のリソースとして請け負ったインド。中国とインドの強大化により、この3カ国間の中で、人、物、金、情報が流出入しあう、壮絶な覇権争いが進行している」、というものです。新興国と成熟国の間で、市場と覇権を取らないと今後の成長はありえない、という強い気迫を、全てのパネリストから感じました。そして、米国人ですらこんなに頑張っているのだから、アジアにいて位置も言語も文化も近い日本人である自分自身が、この争いに入った時に負けるわけにはいかない、という意気込みを強く持ちました。

次回、この大きなうねりの中で、好位置で上手に立ち回っている国、シンガポールの講演について記して、最終回とします。
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by golden_bear | 2010-02-22 07:24 | ABC

ABC当日の活況(1/3) 米国から見たアジアの中の日本

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チケットが完売してもまだ押しかけてくる人がいて、参加者数560名と、大盛況に終わった、Berkeley Asia Business Conference。大変な熱気の中、裏方としてはハラハラドキドキしながらも、この大イベントで最低限の役目をこなすことができ、ほっとしています。御来場者およびパネリスト幹事・ボランティア・関係者すべての方々に、御礼申し上げます。

さて、ここでは3回に分けてこのイベントを振り返って見ます。第1回は、会議全体の流れの中で、聴衆として、裏方として、一番感じたこと。すなわち、日本が予想外にいつになく注目を集めた会議だった、ということです。


私が2005年にシカゴに初駐米した頃、「ジャパン・パッシング」という言葉がありました。米国が日本を飛び越えて中国と親密になっていく、という意味の言葉ですが、何より米国滞在中にこの言葉を一番意識したのは、あるシンポジウムででした。「アジア・ビジネスの今後をどうするか」というテーマの席に、100人以上の参加者がいる中、日本人は私1人。そして、そのプレゼンテーションの1枚目から、「本日はすべてのデータ・議論において、日本は含まれません」という宣言がなされ、その後ほぼすべてのスライドで「(日本を除く)」と書かれていたことでした。さらにその議論内容が、「おいおい、これじゃあ15年かけて単にバッシングがパッシングになっただけじゃなく、日本が孤立しちゃうじゃないか」というもので、背筋が凍る思いをしたことを、今でも鮮明に覚えています。

次の米国での長期滞在は、Haasに来た2008年から現在まで。この間、リーマンショックはじめ世界中で様々な事件が起こりましたが、米国から見た日本の印象は、一貫して、「ジャパン・ナッシング」。毎年ころころ変わる首相や政治はもはやニュースにもならない。昨年2月にあったこのABCの場でも、日本人の講演を除けば、誰も"Japan"という言葉を口にする人はいない。唯一、韓国企業のプレゼンの中で、「今後日本は韓国に比べてこんなに駄目になります」という予測の話が出たのみ。しかし、このコメントに対しても、韓国語でどよめきが起こった以外、特に賛成も反対もない。挙句の果てに、今年になってトヨタまでもが不祥事で大変なことになっている。こんな中、今年のABCで、もはや日本が注目されることなど無いだろう、と思っていました。

ところが、ふたを開けてみてびっくり。なんと、私が聞く限り、全ての講演者が"Japan"という単語を、繰り返し何回も使っているではありませんか!、、、しかし、その内容は7-8割、「日本は80年代に一度成功したが、その後長期に亘って失敗している。アジアはこの轍を踏んではいけない」といった印象でした。ある程度予想できるとはいえ、ここまで皆誰もが「ジャパン・ピティーイング」とでも言わんばかりに、隣国の屍を超えて行け!、といった発言を繰り返すと、日本はもはやアジアからここまで過去の遺物だと思われていたのか、と、複雑な思いでした。(一方、対照的に、韓国については、誰からも一言も出ず。コリア・パッシングかナッシングが近づいているのかもしれません)

具体的には、私の活動と共に、時系列で振り返って見ます。

8:30-9:30 受付事務と朝食ビュッフェ。早めに来たパネリストの方を控え室に案内したり、雑談したりと、ホテルのロビー担当みたいな役目。既に結構込んで盛り上がっています。
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9:30-10:25 学長による冒頭挨拶に続き、Morgan StanleyのアジアM&Aのトップ、Scott Matlock氏の講演です。楽しみにしていたのですが、私は次に担当のConsumer Panelがあるため、裏で最後の準備。チームで講演者1人1人へのプレゼントに手書きのメッセージを添えます。
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その脇の壁掛けテレビで、プレゼンの様子が放映される。しかし、途中まで声が聞こえない。
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最後のほうで、ようやく音声が聞こえて、そこでのメインメッセージは、「M&Aの世界では、80年代の日本で起こっていることが、今インドと中国でそれぞれ違う形で起こっている」というもの。80年代後半から90年代の日本のM&Aの事例(主に金融再編が牽引)を元に、直近の中国、インドの事例が対比して紹介されていました。三カ国ともクロスボーダー(国境をまたぐ)M&Aがまだまだ少ないが、今後日本では起きにくくなる、中国&インドはもっと国際的な買収を増やすだろう、という見通しを示していました。

10:30-11:25 私が担当するコンシューマーパネル。大変面白い議論だったので、詳細は別にしますが、GAPの方からの日本に関する2つのコメントだけ、下記に書いておきます。 
 ○ いまだにアジア売り上げの8-9割が日本。他のアパレルブランドも含め、日本の経験を生かしてアジアに展開しようとしているところが多い。しかし、これが思ったほど上手くいかず、現場の悩みとなる。
 ○ 現在、目下最大のライバルは、日本のSPA(製販小売)企業。こことアジアでどう戦っていくかが、最大の課題。

11:30-12:15 Joi Ito氏による講演。本当は、11:30迄に昼食の弁当を発注した業者が登場し、早めに並べ終えて、講演を聞く予定でした。しかし、なんと10:45頃、「弁当のお箸・スプーン・フォークが足りなくて、11:30には間に合わない。11:50か12:00までには到着する」という電話が。これには幹事メンバー一同大慌てで、リーダーたちも、「日本食の会社のくせに、納期を守らないとは何事だ」、とカンカン。トヨタの品質問題が高々と問題となる中、日本人としてわざわざ和食弁当のサプライヤーを選びぬいて、納期問題を起こされて、たまったもんじゃない、ということで、私は講演どころではなく。5分おきに、「今弁当はどこだだ」、という電話を誰かから受けて、10分おきに同じセリフをサプライヤーにかけ続ける時間でした。

というわけで、講演の内容そのものは聴けなかったのですが、聞くところによると、伊藤さんは今回、日本が如何にベンチャー企業が生きにくい土地か、そしてその対比として今彼が拠点を置いているシンガポールが如何に素晴らしいか、という話がメインだったそうです。
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12:15-13:15 ランチタイム。講演終了5分前の12:10に、ようやく車が到着。
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「Just in timeにも程がある」と皆でサプライヤーに怒りながら、「ギリギリに出てきた分あったかいから間に合ってよかった」、と急いでテーブルに並べる。
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すぐに、講演会場からどっと人が出てきて、500個用意した弁当が徐々になくなっていく。
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流石に厳選しただけあって、おかずの数が多い和風弁当だが、皆殆ど残すことなく、食べてくれました。490個ほど売れたので、見積もりもばっちりでした。


13:20-14:15 Finance Panelを聴く。司会者が予め用意した10個程度の質問について、3人のパネリストが、Yes/Noのどちらかの紙を上げる、という構成です。
 その中で、第2問が、「(このアジアマネーが世界を買っている状況は)、日本が1980年代のバブルで米国の資産を買い捲っているのと同じ状況かどうか」、という質問。これに対して、3人のパネリストが3人とも、"Yes"を挙げる。そして、3人が各々独特の視点で、日本が80年代に成功してきたこと、その後バブル崩壊となり90年に沈んだことを語りました。その後、これに陥らないために、中国やインドが何をすべきか、という話を、第3問以降でしていきます。日本は、今ではなく10~30年前の姿を見られている、それも、成否は不明だが少なくとも相当研究されている、ということが、よくわかりました。


14:20-14:30 Laura Tyson氏挨拶:
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Haas及びLondon Business School(LBS)の元学長で、現在Haasの教授とオバマ政権の経済アドバイザーを務める、この方が、実は今回のAsia Business Conferenceの教授陣のオーナーを勤めているのでした。従って、ここで短い挨拶。「オバマ政権として今は内政が最重要課題だが、最近米国からアジア向けの輸出が急成長していることが数字でも見られ、政権の追い風になっている」という話から、彼女自身が2つのビジネススクールの学長をしている間にアジア及び新興国をどう研究してきたか、そしてこの金融危機が終わった後のグローバル経済のけん引役は、もはや米国ではなく、中国やインドに移った、という話が大きな流れでした。この中で、日本も何度か引用されたのですが、一番印象的だったのが、「今世界中がV字回復しようとしているが、欧州と日本はL字(落ちたまま上がらない)、米国はUの右上半分が透明、実際にVになるのはアジアだ」という引用のされ方でした。

14:30-15:15 Lim Siong Guan氏基調講演: Laura Tyson氏が、「ここ数年の中国が常に模範として慎重に学び続けているのは、実はシンガポールの政策。そのシンガポールについて語っていただきます」、と言って自ら紹介した、GIC長官の方。この方のスピーチも素晴らしかったので、別項にまわします。


15:30-16:15 India Forum: これも面白かった内容は別項で紹介しますが、日本に関しては、「現在、GEやIBMをはじめ、日本の大企業までもがインドに研究開発センターをつくり始めている」という引用をされていました。


16:30-17:15 元Vodafone CEOのArun Sarin氏による、最後の基調講演。
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現在のKKRについての話は一切触れず、Vodafone時代のアジアやアフリカの辛い経験を、真剣に面白おかしくメッセージとして伝えていました。彼の明確なメッセージとして、下記3つがありました。
○ 今後世界の中心となっていくアジア。そこにおけるビジネスのやり方が米国と全然違うことを、覚悟しろ(例えば、中国人は米国人に比べ、より人間関係を重視し、意思決定までに時間はかかるが、一度やると決めた後動くのは早い。)
○ 今、成長の中心である中国やインドに居ないことは、それ自体大きなロス
○ もし米国にとどまるなら、アジアに負けないようにこれまで以上に大変なイノベーションを起こし続けることを求められるだろう

日本がらみでは、会場の米国人の1人から、「グローバル化というが、日本からは撤退したのは何故か。失敗ではないのか」、という質問が出ました。「J-Phoneとは2001年頃からジョイントベンチャーを作るかどうかで迷ったが、日本市場の速さと特殊性を考えて、バイアウトして100%握ってやってみたほうが良い、と判断。2003年に安値で買収できた。その後2006年まで経営し、いろいろ学んだ上で、孫正義さんにものすごい高値で買ってもらうことができた。つまり、3年で莫大なリターンと学びが得られた、大成功のビジネスだった」、という受け答え。これには、会場から拍手が上がりました。他にも、「China Mobileは、87%国が持っていて、10%がパブリック、残りの3%がVodafoneだが、この3%持っている、ということは、馬鹿でかい。大成功だ」。このように、見方によっては失敗に見えることを、堂々と大成功だ、と語るところは、流石百戦錬磨のグローバルCEO、といったスピーチでした。


17:30- 懇親会。去年に比べても2-3倍の人が残っていました。今回も、地元の宝酒造様にスポンサーになってもらった以上、
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会場の皆にお酒を振舞いまくります
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(写真はフィリピン人の方)。こうして、日本酒の一気飲みをし続け、久しぶりにかなり酔っ払った後、近所のホテルのレストランで、当日15名ほど参加のあったスタンフォードMBAの中国人と、HaasMBAの中国人同士が懇親会をしていたところに、幹事一同で乱入。なぜかテキーラの一気飲みが始まり、私も3杯目で完全に記憶を失いました。全く覚えていないのですが、スタンフォードの人を叩いたり、料理をなぎ倒したりして、大変だったとのこと。

このように酔って完全に記憶を失ったのは、3年前に中国で白酒を飲ませ続けられて以来のこと。またもや中国がらみで大変な目にあい、この米国の地で、アジアの中での日本人の弱さを、身をもって体現してしまったことも含め、大変ご迷惑をおかけしました。


こうして、講演内容、サプライヤー、自分の飲んだくれっぷりの3つの全ての面で、日本がイケテナイことを存分に味わって、身をもって周りに示してもしまった、反省の多い一日でした。しかし、それでもなお、日本のGDPは世界のトップクラス。こんな状況でも、米国では、日本製品はまだ品質でよく売れている、日本発で伸びている産業や文化も多数あることにも、気づきます。この日本という土壌を生かして、いまに地球上で何かを成し遂げてやろう、という決意を新たにした一日でもありました。
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by golden_bear | 2010-02-20 23:27 | ABC

(完売御礼)2月20日(土)Berkeley Asia Business Conference 2010

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(画像クリックでWebサイトへ)
裏方をさせて頂いている本イベント(2/20(土)開催@Haas校舎)のチケット販売中500枚のチケットが完売しました。アジアのビジネスリーダーが世界中より集結し、講演・パネルディスカッション・ネットワーキング等を行います。昨年は400名分が完売。本年は基調講演4回にインドフォーラムが全体セッションに追加されるなど、益々盛りだくさんになっています。参加希望者の方は、こちらより御申し込みお願いします
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by golden_bear | 2010-02-19 07:12 | ABC

日本語で読むBerkeley ABC2010講演者の顔ぶれ

「世界を救うこととFacebookアプリのどっちが重要??研究開発は大きな目的意識を持ってやれ」(Techcrunch日本語版記事:クリックでリンク先へ)

Berkeley Asia Business Conference 2010のIndia Forumに、急遽パネリストとして参加することが決定した、Vivek Wadhwa氏の寄稿が、昨日、日本語の記事になっていました。「“ケータイを持ってるんなら911に電話すればいいじゃないか。こんなの全然バカげてるよ”。審査員の多くが、世界には911サービス〔救急医療〕のないところが圧倒的に多いこと、途上国ではSMSがインターネットの代わりになっていることを知らない。」という一節や、「2008年にNational Academy of Engineeringの理事長Charles Vestが、全国の工科大学院の学部長たちを集めて、彼らの存命中に工学的技術的に解決できると思われる重要課題(Grand Challenges)」の14のリストにまつわる話などなど、とても熱いメッセージを発するVivek氏。彼がまさに今、インドで起こっているイノベーションについて、ABCの当日どんな話をしてくれるのか、非常に楽しみです。

その他の基調講演及びIndia Forumの講演者のうち、日本語の記事があった方を、下記に紹介いたします。
(基調講演)
Joi Ito CEO, Creative Commons and Co-founder / Board Member, Digital Garage
Joi Ito's Web
伊藤穰一- Wikipedia
今回参加していただける、唯一の日本人の講演者です。日本で最初のISP(インターネットサービスプロバイダー)を立ち上げた話、Twitterを日本に持ってきた話、そして、今話題の電子出版業界についても、当日彼の視点からどんな話が聞けるか、楽しみです。

Lim Siong Guan Group President, Government of Singapore Investment Corporation
シンガポール経済開発庁と三井化学の相互人材育成支援に関する基本合意について
日本アセアンセンター投資情報(リンク先の2007年1月 ベトナム・シンガポール投資セミナーから、資料が見れます)
今や世界経済に大きな影響を与えている、国家投資ファンド(SWF)の代表格、SIC長官の方。金融危機を経た後のアジアでのSWFの動向、シンガポールの最新情勢と、学ぶことが多そうです。

(India Forum)
Sabeer Bhatia Co-founder and Chairman of SabseBolo and Co-founder of Hotmail
「Hotmail」の共同創設者、「Microsoft Office」の対抗製品をリリース
人気の名著Founders At WorkにHotmailのファウンダの事実に反する発言があった
MicrosoftがOSとOfficeで稼いだ以上のイノベーションを自社から起こせなかったことについて、こちらでは最近ある重鎮の方が退職した際に発言した内容に伴い、Why former employees say Microsoft can't innovateという記事が書かれるほど、大きな話題になっています。このような雰囲気の中、Sabeer氏が何を語るのか、大変興味があります。

Kanwal Rekhi Managing Director, Inventus Capital and Founder of The Indus Entrepreneurs
TiE創設者Kanwal Rekhi氏の講演@九州大学 (九州インド哲学Blog)
デスクトップTCP/IPの歴史
EthernetとTCP/IPの標準化と普及を成し遂げたExcelan社を立ち上げ、1987年にインド系アメリカ人創業者兼CEOとして初のNASDAQへの上場を果たした方。その後1992年よりインドとシリコンバレーの双方でインド人の起業を支援するTiE Globalを立ち上げ。世界最大の起業家集団となっています。まだ基本インフラさえ不十分なインドと世界一起業しやすいシリコンバレーとの間で、どのようなハングリー精神が新しいビジネスを生み出しているのか、興味深いです。

Dr. Prabhakant Sinha Founder and Co-chairman, ZS Associates
ZSアソシエイツホームページ
営業・マーケ支援に定評のあるコンサルティング・ファームの創業者ですが、最近は自分の名を関したバイオエネルギーの研究所をインドに設立したり、超頑健な太陽光充電LEDライトを16億人の電気のない世帯に供給するgreenlight planet社を設立したり、と、大忙しのようです。

他の基調講演者のお二人も、日本にも縁のある企業出身であることも含めて、面白い話をしてくれそうです。
Scott Matlock Chairman of Asia Mergers and Acquisitions, Morgan Stanley、は、三菱東京UFJとの関係を含め、アジアにおける今後のMorgan Stanley、M&A戦略について何を語るのか。また、
Arun Sarin, Senior Advisor, Kohlberg Kravis Roberts and former CEO, Vodafone、は、世界最大の通信キャリアの元CEOとして、酷評もされながら幾多の困難を乗り越えられた方。日本では2006年にVodafoneからSoftbankへバークレー出身の社長同士の交代劇が起こりましたが、その後の通信業界について、アジアについて、世界最有力のプライベート・エクイティで何を見ているのか。

日本語の既存記事だけでは到底紹介しきれませんが、他のパネルの魅力的な講演者を含め、ABC当日が非常に待ち遠しいです。
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by golden_bear | 2010-02-16 09:28 | ABC

Asia Business Conferenceの舞台裏(2) 営業/卒業生名簿の有効性

「今年もConsumer Panelがやばそうだから、サポートしてくれないか」
「おおう、やっぱり一番難しいのが残ったねえ。。。了解。やってみるよ」


ビジネス会議である以上、基調講演やパネルディスカッションのスピーカー集めは、一番の肝。去年講演者が最後まで集まらずに苦労した我々2年生は、今年は早目から動き出し、基調講演の方は、今まさに旬、の素晴らしい4名の講演者を確保出来ました。

一方で、パネルディスカッション。今年は例年定番だったEntrepreneur(起業家)のパネルを廃止し、代わりにCleantechとIndiaの2つのパネルを新設。他に、Technology, Finance, Consumer, Global Operationの4つを加えて、計6つが開催されます。この各パネルは1年生が2-3名ずつでリーダーシップを取るのが慣例。というわけで、しばらく様子見をしていました。

その結果、予想通り、景気回復傾向のあるFinanceや、そこら中に話したい人が一杯いるCleantechは、順調に人集めが進む。また、Indiaは、1-2年生が軍団を組んでやたら熱く頑張ったせいか、そもそも国に勢いがあるせいか、ありえないような豪華メンバーが集結し、India Forumとして独立することに。

こんな中、予想通りConsumer Panelだけは、初めから人集めに難航。実は昨年も人が集まらず、パネルごと無くなってしまったのです。この理由として、そもそもアジア+消費者、というテーマの会議を米国でやる、という設定が難しいことが挙げられます。具体的には

○ メリット不足
一番パネルにふさわしいのは、アジア各国の現場で陣頭指揮を取っている人。しかし、そんな人がわざわざ現場を離れてバークレーに来て貴重な情報を公開するメリット(&義理)は、なかなか無い。

○ 参加資格のハードルの高さ
一方、現場にいた経験のない人は、パネリストをやれない/やりたがらない。さらに、アジアの消費者ビジネスは、一寸先は闇の世界。外から見て評論するだけならともかく、「うちはこうやって(成功して)ます」と、自信を持ってアピールできる企業は、なかなか無い。

○ コストの高さ
本会議において、パネリストの方の出張旅費は、すべて先方持ち。詳しい方がアジアにいることが多い上に、この不況の中では、企業として出張費や人材を出せるところは少ない。


要は、Consumer Panelで、資金(販促費)援助も無く、費用全額先方持ちで人を集める、というのは、「売れない商品を無理やり売りに行かされる営業」をやれ、ということ。この話が私に回ってきた時には、よりによって自分の経験やネットワークが最も使えないところに無理難題が降ってきた、と一瞬躊躇したのですが、下記の理由で引き受けることに

○ 良い営業経験:
商品を売る、という経験は、コンサルティングプロジェクトの経験はあっても、自分自身ではなかなか無かった。一方、MBA後には、何しても、営業して顧客/仕事を取ってくる機会が増えるのは間違いない。その前段階で学生のうちに「売れないものを売る」経験は貴重

○ 業界そのものへの興味:
もともとこの業界に興味があることは、2ヶ月前にもWalmartのCSR講演に書きました。が、ついにポーター賞の受賞企業が全社小売業関連になったことからも、日本で革新的と言われている企業が、最新技術を持つ企業から、消費者向けのサービスを直接実現できる企業に移りつつある。こう考えると、この会議でこの業界のアジアの最新動向を自分の手で収集するのは悪くない。

というわけで、11月中旬より、1年生2名のチームに合流。リーダーは消費財・飲料業界を渡り歩いてきた台湾人女性。もう1人は、消費財関連コンサルタント出身の中国人男性。このメンバーで、下記のような手順で、営業活動を進めてきました。

(1) 商品の定義
(2) 狙った顧客の一本釣り
(3) 全方位営業(卒業生名簿の活用)
(4) 晴れ舞台の作りこみ

(1) 商品の定義
元々消費財の世界にいて、去年の経験が無い2人は、「とりあえず声かけとけば、結構簡単に人集まるんじゃん?パネリストより、視聴者集める方が大変だよ」という感じ。一方、消費財の世界は未知&興味がある私は、「いや、観客はなんとかなるけど、去年つぶれたことを考えると、よほどパネリスト企業/自身に魅力のある会議にしないと、来てくれないよ」といくつか理由を添えて反論。という議論を経て、まずはパネリストにとって、この会議はどのようなメリットを訴求できるか、というところから、マーケティングの授業で習った(1年生はまさに当時習っていた)考え方に基づいて、企画を定義していく。

テーマ自体は、"Building brands in emerging markets"にあっさり決定。これは、McKinsey Quarterly, Harvard Business Reviewなど、経営者が良く読む論文から、アジア&コンシューマー関連の記事を直近半年くらい見てみると、7-8割が「中国におけるブランド構築の難しさ」についてのものだったため。このような旬な話題を語れる人が果たしてどれだけ集まるのか、ハードル高いかも、とは思ったものの、
 - パネリストにとってのメリットは、参加者同士の情報交換が最大だろう。従って、テーマには、面白さが一番重要
 - 少なくとも本テーマの「難しさ」を語れる人は多いだろう
 - ABC2010の全体テーマ"Asia: Shifting the Global Center of Gravity"に良く合う
という理由で、すんなり決まりました。このようにして既に手元に数種の論文があったことから、具体的な討議内容例も、簡単に決まっていきました。

(2) 狙った顧客の一本釣り
会議の開催には、パネリスト3-5名と、司会者1名が必要。チームでこのテーマなら誰を呼びたいかをリストアップし、「来て頂けた際のインパクトの大きさ」、「呼ぶ難易度」の2軸でプロットする。

- 「来て頂けた際のインパクトの大きさ」
 コンシューマーと言っても、消費財・食材、高級ブランド、小売店、電化製品/車、携帯/インターネット、娯楽産業、及び、広告代理店や弁護士・コンサルタントなど、非常に幅広い。この中で、アジアで実際に「商品や店が有名」で、かつアメリカ人も知っている企業を、最もインパクトが大きいと定義。次に、最近大きなニュースがあった企業や、パネリスト自身の経験、という軸が入ってきます。ここでこの議論をしていて面白かったのは、日本人の私からみて中国で有名そうと思っていた企業と、中国人が見ている印象は、結構違うこと。たとえば、すでに数百店舗以上展開しているようなある日本の小売店も、ブランドとしては定着しておらず、改善余地があるようなのです。海外の情報収集を現地を見ずに日本語(英語)だけで行おうとすると、いろいろな判断を見誤りそうで、注意が要るな、と改めて思いました。従って、優先順位付けは基本的に1年生の2人にお願いすることに

- 「呼ぶ難易度」
 自分自身の知り合いや、同級生でその企業出身の人がいれば、容易な一方、全く伝手が無い企業は当然難しい。また、近所に事務所がある企業や、現在事業拡大中で特に西海岸で採用活動やマーケティングを行いたい企業、は呼びやすい

こうして、「インパクト大で難易度が中」の6社と、「インパクト中~大で難易度が小」6社の計12社から、1人4社ずつ先に声をかけてみる。

この結果、GAPからオファーをいただけることに。丁度昨年11月に中国進出したことをニュースで見て、日本のGAPで働いていたことのある同級生に、中国立ち上げに関わった取締役の方を紹介頂けました。幸運な反面、この時点でオファーがあったのはGAP1社。Haasの学生からダイレクトに本人を呼べない場合(知り合いから知り合いへ伝った場合)は難しいことを実感。

1社じゃパネルは成り立たないので、早速存亡の危機。従って、次は生き残るために、「難易度が最小で融通が利く人」、すなわち、ダイレクトにコンタクトが取れ、かつ司会者にも参加者にもなれそうな専門職系の人、に、声をかけることに。

私が日米の昔からの知人に連絡したところ、皆親切にいろいろと手を尽くしていただいたものの、最終的には良い結果には至りませんでした。その一方で、中国人が連絡を取った弁護士と広告代理店からは、「参加したい」との声が即答であり(1つはなんとメール送信後15分)。返答を見る限り、中国人コミュニティーの勢い、中国人から見たバークレーという場の利用価値、といったものが、日本人が想像するより全然大きいことを実感しました。


(3) 全方位営業(卒業生名簿の活用)
このままでは、実際に消費者に面している企業は1社になってしまい、バランスが悪い。従って、これ以降、事業会社の方に、片っ端からメールや電話をしまくることに。

ここで、ついに私が昔から疑問に思っていて試してみたかったことを実践。それは、「MBAの卒業生名簿ってどれくらい役に立つの?」ということです。Haasは、フルタイムで1学年240名、と、他のトップ校の数分の1しかいない少人数制を売りにしています。しかし、夜間・週末やエグゼクティブコースの経験者も含めれば、1学年500名強。さらに、UC Berkeley全体の卒業生名簿へのアクセスも可能なので、やる気になれば数万人~数十万人へのアクセスが可能です。

この名簿、実際に使ってみると膨大すぎて、検索にも四苦八苦。しかし、ふと、知人で特ダネを記事にする天才の情報収集法、を思い出す。この方なら、どういう文章をメールに書くだろうか、という口説き文句を先に想像し、それに引っかかりそうな人の属性を検索ワードとして入力。すると、私がメールをすることで話くらいは聞いて貰えそう、かつ、呼べればインパクトがでかい方々が、徐々に絞られていき、8名の方がリストアップされました。

全く顔も名前も見ず知らずの方に、"Go Bears!!"という掛け声を頼りに、メールをすると、8名中5名の方から「とりあえず難しそうだけど、社内での人探しに協力する」と申し出を頂きました。うち2名の方とは電話会議を設定して詳細を詰めていき、最終的に2月5日という会議2週間前の土壇場にも関わらず、Walmartで新興国向けのe-commerceを一手に引き受ける、Vice Presidentの方に来ていただけることになりました。

ちなみに、この卒業生名簿の活動とは別に、米国とアジアの両方で躍進中の日本企業数社にも、知人の伝手や直接電話&メールなどで、連絡を取らさせていただきました。今回結局日本企業からの参加は実現しませんでしたが、こちらからの連絡時期が遅かったにも関わらず、社長、副社長レベルで検討頂いた企業も複数社あり、大変感謝しています。来年以降も機会がありましたら、どうぞよろしくお願いいたします。


(4) 晴れ舞台の作りこみ
パネリストの方々(=顧客)が決まってからも、気が抜けません。Webやパンフレット向けの写真や経歴を送っていただいたり、急に「午後は駄目」となってしまい全体で時間を調整したり、パネルの進め方に関する質問や意見が降ってきたり。他のパネルでこの時期に突然キャンセルされて追加を探しているところもあり、顧客管理の大変さを身をもって実感しています。

2月8日の昼に、Consumer Panelの司会者になっていただいた、戦略論で有名なTiffany教授と2時間のランチ。今まで授業でお会いすることは無かったのですが、ベストセラーを何冊も書いている人気教授で、こういう機会で仲良くなれるのは役得です。その教授が、今回のパネリスト4名を眺めて一言、「55分しかないパネルディスカッションに、この4名はtoo muchだよ。90分でも足りないくらいだ」。営業が頑張りすぎても、自社の能力が間に合わない、ことは、わかってても起こるんですねえ。

この、とても喋りたがりの教授に、「いえ、去年は1時間の枠で5人のパネルをやったりしてるから、大丈夫だと思いますよ」、と言いながら、55分のタイムプランをつめていく。さすが、よくアジア地域を訪問している教授だけあって、現場を知る人ならではのエグイ話(怖いのでここには書きません)も、シナリオにどんどん書きこまれていく。週半ばまで、何度か我々と教授の間で下書きを書いた後、タイムプランを一斉にパネリストに送付する。すると、今度はある1人のパネリストから、「これ、俺には出来ないから、喋るのやめた。Q&Aだけ担当するわ」との返信。

とまあ、このようなガタガタが続いていますが、当日Tiffany教授がこの4名のパネリストをどう料理するか、不安と期待が混じりながら、とても楽しみです。
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by golden_bear | 2010-02-14 22:03 | ABC

Asia Business Conferenceの舞台裏(1) 和食弁当の選定

去年11月頃から運営幹事となった、Asia Business Conference(以下ABC)。Haasの通常のクラブ活動(一覧はここで見れます)では、11-12月頃の選挙を受けて、年明け1月に1年生が2年生から幹事役を譲り受けます。これは、1つには1年生がインターン向けに就職活動をする際、このようなMBA内でのリーダーシップをアピールできるためです。しかし、このABCは実施時期が2月ということもあり、引き続き2年生数名が全体のまとめ役を務めています。

私自身、クラブ活動に関しては、今までは他にやりたいことが一杯あったこともあり、幾つかのクラブにメンバーとして登録し、情報収集やイベント参加の恩恵にあずかる&たまにボランティアをする程度でした。ABCでも一部パネリスト発掘を手伝ったのみでしたが、今年は、下記の理由で運営側に周ることにしました。
○ 昨年の会議が大変熱く面白かった
○ 授業等を通じて、現2年生の幹事全員と自然と仲良くなる。この尊敬できるメンバーと一緒に、運営を面白くしたい、と考えた
○ 今後何をして生きるにしても、このテーマは自分に重要。幹事にコミットすることで自分で色々と調べるきっかけや、ビジネスリーダー、1年生や教授などHaas関係者とコンタクトができる
○ 可能な範囲で、少しでも日本の存在感を上げることが出来れば、と思った。

Haasは歴史的にも(学校が貧乏&サボってて!?)これらのクラブ・イベントのほとんどは、学生が自主的に立ち上げ・運営をしています。「クラブ活動は就職活動のため」と揶揄されたりしますが、実際に中に入ってみると、全て自分達で立ち上げてやらなければならない、というのは、想像以上に大変。そして、これは、授業で習ってきた各種ビジネス・スキルを試す、格好の場でもあります。

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そんなわけで、本日は弁当屋さんの選定。毎年この会議では美味しいアジア料理が振舞われてきたそう。確かに去年のタイ料理はとても美味かった。今年は2年生幹事がみんな日本食好きでもあり、「安くて最高の和食弁当を探してくれよ」、と早くから私にプレッシャーがありました。

最初は、以前International Consumption Functionの時に最高のタコを提供していただいたTrue World Foodsさんより、当社が実施している新事業のプロジェクトの一環として、ここで弁当を出していただける、という話をしていました。ところが、今週になってそのプロジェクト・スケジュールが2月20日に間に合わず、弁当の提供も無理、という連絡があり。急遽、地域の日本食弁当屋さんを探す羽目になりました。

1日に500個も和食Bento Boxを作ってくれる業者(しかも安くて美味しい)なんて、近所ににあるのかいな?と思って、試しにYelpで"Sushi delivery"場所"Berkeley,CA"と入れてみると、85件ヒット。この高々10万人の都市に、寿司の出前がこんなにあるとは、アメリカ人の寿司好きぶりに驚きます。

85件から選ぶのも効率悪いので、評価が高くキチンとビジネスをしてそうなところだけメモをして、次に実地調査。近所のスーパー5社程度に、寿司の弁当箱が置かれているので、その中からおいしそう&値段が高すぎないものを買って、食べてみる。見た目綺麗なものの中で、味は本当にピンからキリで、びっくり。ちなみに、最悪は予想通り、学部生向け大学生協で売ってた弁当。見た目はなかなか良いのに、一口で吐きそうになった。1社おいしいものがあったので、そこを候補に。

最後に、以前緒方貞子さんや稲盛和夫さんらがバークレーにいらした時に、レセプションで提供されていた寿司のケータリング業者をCal Japan Studyへ問い合わせ。1件、良いものがありました。

これらの所に、電話して問い合わせてみる。"2月20日に弁当500個、この値段で作っていただけませんか?"と聴くと、特に本業がレストランの所からは、"そんな値段では無理。大皿ならいいけど、弁当箱は箱のコストが高い"、とか、"生ものは腐るからだめ"、とか断られたこともありました。しかし、"頑張ってみます。昔800個までなら作ったことがある"、とか、"その値段は駄目だけど、あと1個$1上乗せしてもらえれば、凄くいいのを作る"、など、受注を頑張ろうとしてくる業者もあり。

ここまでのやり取りが面白かったのと、この時点で残った弁当はおいしいものばかりだったので、せっかくなので、幹事の皆で品評会をしながら決めることに。金曜日の昼に"今3社程度の候補の中から1-2社迷っているので、明日の昼までに普通の1つ、ベジタリアン向け1つの、2種類のサンプルを用意して下さい。"と電話。こうして、候補に選ばれたのは次の3社(クリックでホームページへ)。
○ Musashi Japanese Restaurant
○ Suruki Japanese Restaurant
○ Creative Sushi Catering

そして土曜日当日。大雨の中サンプルを全て回収。ついでに、"日本酒も出そう"ということになり、もう何度も御世話になっている、バークレーにある米国宝酒造本社テイスティングルームに幹事のみんなを連れて行き、まずはお酒のテイスティングと、会議へのお酒の協力をいただけました。
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次に、我が家にて品評会。価格の違う2種類の弁当を用意したお店もあり、下記のような合計7種類の弁当が並びました(写真の順番と上記店の順番は不同)。
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ここから、幹事全員で喧々諤々の議論が始まる。
・ 「全体的に、この値段の割りに、これだけいっぱいのおかずが詰まっている、というのは、お得感があっていいね。どういう基準で決めようか。見た目、品質、味、コスト、宅配付きかどうか、、、」
・ 「コストは重要だよ。$1違うだけで、全然インパクトが違う。」
・ 「いやー、コストもいいけど、食べ物は会議の満足度を直接左右するからね。」
・ 「どうやって選ぼうか。順位をつけるか、1人1個にするか?。」
・ 「ベジタリアンは、これ、大丈夫かな」
・ 「他に味噌汁とかつけてもらう?」「いや、汁物はめちゃめちゃ大変だから、無理だよ。まだ昼からお酒を出したほうがいいよ。」
刺身を切りながら脇で聞いていた妻は、あまりの真剣さに大爆笑していました。
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そして、結局基準は見た目と味の2つに。まず全員紙に見た目の順位をつけて、回収。次に、各自自由に少しずつ試食し、味として一番おいしかったものを選んで、決めていきました。

結果、どの御弁当が選ばれたのかは、会議当日のお楽しみに。下記感想だけ述べておきます。
○ 購買担当者は楽しいが危険!!: どんなに"公平な相見積もりをしなくてはいけない"、と思っても、実際に店を訪問して手厚くもてなされたり、「どうしても買って欲しい」、という顔で懇願されると、ついつい情が移ってしまいがちになる。逆に、別の店で、明らかに普通で何の非も無い対応をしても、他の店の対応が手厚いため、対応が悪い、と錯覚してしまう。そう頭では分かっていたが、実際にやると本当に危ないと実感。

○ 味覚の違いと見た目の重要さ: 私が美味しい、と思ったものは、他の人と随分異なった。私が変なだけかもしれないが、やはり日本人が和食に関して気になる細かい味は、外国人には気にならないのだろうと思う。とすると、おそらく今回の3つの味は大差なく、私が考える以上に見た目がより重要なファクターになったと思われる。

○ 食は交流の基本: この後、妻に作ってもらった豚汁と刺身、友人に御土産で頂いた南カリフォルニア産のウニなどを交えて、日本酒を飲みながら、皆で相当酔っ払いながら、楽しい一時を過ごしました。皆もうすぐ卒業し、今後は世界中に散らばって活躍することになりますが、その前にこういう交流ができるのは嬉しいこと。協力してくれた妻に感謝すると共に、残された1日1日を大切にしたいと思います。
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by golden_bear | 2010-01-23 23:57 | ABC


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