A Golden Bearの足跡


UC Berkeley Haas School (MBA) における、2年間の学生生活の記録です。
by golden_bear
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カテゴリ:ビジネスプラン( 5 )

GoogleがDNS事業に参入!!! (後編) メール内容と素朴な疑問(ご意見募集)

このニュースを見て衝撃を受け、友人からのメールを受け取って
- 10分考えて返答したメール
- それに対してすぐ返ってきた友人のメール
- それを受けての感想と、3つの素朴な疑問
を、個人名以外改変せずにそのまま下記に掲載します。この我々2人の議論、および、最後に箇条書きをした3つの素朴な疑問についてでも結構ですので、全体にでも一部にでも、もし何かご意見、訂正、補足、質問などありましたら、どうぞご自由にコメント欄にご記入お願いします。その内容は、このページのコメント欄に書かれた状態にしておく以外に特別に使ったりすることはないです。ちなみに、この友人は、米国でIT系エンジニアとして働きながら大学院にも通っている方です。

(以下、私のメール)
「御久しぶりです。ニュースどうもありがとう。丁度さきほど、この記事で見たところです。
http://jp.techcrunch.com/archives/20091203google-dns-opendns/

このDNSサーバーって、技術的に優劣はつく&特許でその技術をどちらかが囲い込めるような性質のものなのでしょうか。もし、とても強力な特許を取れるなら、それをやった企業の方が勝つと思いますが、少なくともGoogleが後から参入できた、ということは、OpenDNSに、鍵となる特許は現時点でないはず。すなわち、技術的な優位構築は難しいような気がしますが、どうなんでしょう。

もし技術的に大きな差異がないなら、単純によりDNSサーバーからの物理的な距離が近い方が速いはず。そして、両方とも無料なので、両者が性能競争でアピールするしかないなら、消費者は近くにサーバーがあってより速いほうのサービスを選ぶはずです。Googleは、最初は自社のサーバーの空き部分を転用すると思いますが、OpenDNSは、自社でDNSサーバーを相当買い込んで分散して持っているので、それに対抗するには、Googleは投資してDNSサーバーを複数たてなきゃならない。そこまでするメリットは、と考えると、仮説としては、次の3つのどれかでしょうか。
(1) 現在、世界に数箇所ある(場所は非公開)Googleの自社サーバーを、他のサービスも含めて今後分散して持つ意識がある
(2) DNSサーバーを持つことで、より多くの個人情報を得て、検索技術や広告マーケティング技術に反映する
(3) 今OpenDNSが収益源にしているように、GoogleもDNSエラーページなどなどに広告を配信する

(1)ならユーザーには嬉しいですが、(2)、(3)だと、ユーザーへのメリットがない(か、デメリットが増える)ので、物議を醸しそうですね。いずれにしても、最近のGoogleは、他の零細Web企業が儲かりそう、とわかったら、手当たり次第に参入して、10-20年前のマイクロソフトみたいな意味で嫌われ者になる傾向がありますね(しかも、無料にして価格破壊をおこしているので、より性質が悪い)。まあ、それでもマイクロソフトは勝ち続けたように、Googleも勝ち続けるのかもしれませんが、今後どうなるかは、注目したいと思います。」

(以下、友人の返答)
「http://tools.ietf.org/html/rfc3467
DNSサーバーの根本的な概念や仕様そのものは、RFCというかなり公な形式で公開されているので、それそのものを特許で固める、というのは難しいと思います。

DNSの運営の部分は、結構政治が絡んできます。今のところ、オリジナルのDNS、と指定されらDNSサーバーが世界で13台あり、それらが提供しているデータがオリジナルという扱いになっています。DNSの機能そのものを提供するソフトウェアは色々あって、その中でもオープンソースなライセンスで有名なものにBindというのがあるのですが、それがオープンソースである事からもわかるように、誰でもDNSの機能を提供する事は可能です。既に、本当は存在していないTLD、例えば.hogehogeというようなドメインの名前解決を出来るようにしたDNSサービスを提供している個人や組織もあります。

ここが政治的なものが絡むところで、これは、どのDNSサービスを使うかによってどのIPアドレスを返すか、というのが操作出来る、という事です。実際に、中国などでは、それらの13のDNSサーバーとは違う答えを返すようなDNSサーバーが運営されています。ですので、もし多くの人が特定の一つの組織が提供するDNSサービスを使っていると、そこが中性的な運営をしないと、その組織の利益になるような運営が可能になってしまいます。それが、今のところ13のDNSがオリジナル、と定められている理由ですが、OpenDNSやGoogle Public DNSによって、それらが、しかもユーザー達の意思で、変わっていくかもれません。Googleは、ケーブル会社から、今は使っていない回線をどんどん買い占めていると聞きます。そのうち、Googleが提供するインターネット、Microsoftが提供するインターネットなどが出てきて、お互いが物理的に繋がっていないような事になるかもしれませんね。

根本的な技術は公ですが、その上に成り立つ技術で差をつける事は可能だと思います。例えば、DNSサーバーにおけるリクエストとそれに対する答えのキャッシュの方法などは、ものによっては特許が取れないこともないと思います。Google Public DNSは、それを売りにしている感じがします。

物理的な場所が近い方が早い、というのはその通りですね。

確かに、最近のGoogleはサービスも当たりが少ないですし、今のMicrosoftの様に、どこかの後追いを始めたら、もうダメになる一方でしょうね。」

(以下、感想と素朴な疑問)
このやり取りを受けて、前編に書いたMBAネットワークの価値の話以外に、改めて自分の専門分野外の専門家の方が近くにいる、ということの心強さに気付きました。実は、こんなメール&ブログを書いておいて恥ずかしながら、オリジナルのDNSサーバーが13個に定められている、といった話は知らないことでした。つまり、この友人がいなければ危うく、何も知らないことを知らない、という文字通り裸の王様状態で、他人に意見を述べたりしてしまうところだったのです。

さらに、この「オリジナルがあるけど、普通の人はそれを意識せず使っている」事実を知ったことで、今まで自分が勝手においていた前提が崩れ、いろんな素朴な疑問が頭の中に出てきました。3つ書き並べると、

○ OpenDNSが恨まれる理由とは: 
この事実を知る前は、これは市場を拡大してサービスを向上する、盲点を突くすばらしいビジネスだと思っていました。今まで広告がなかった場所に広告をつける「新たな市場・付加価値の創出」、ユーザーにはセキュリティーや通信速度を無料で上昇、しかもサーバーはリスクを取って誰にも迷惑をかけず、自分で投資している。では、なんでこの企業はよく叩かれるのでしょうか。

真っ先に思いつく理由は、不具合。言っているスペックが出てなかったり、他のソフトが使えなくなったり、といった被害はありそうです。次に、もうけすぎてることに対する妬みもあるかもしれません。

ここまでは思いついていたのですが、どうもそれでこんなに叩かれるかなあ、と不思議でした。しかし、今回DNSに13のオリジナルがある、という話を聞いて、よくよく考えると、広告を貼っちゃいけないところに貼って、公共の美観を損ねている違反広告物になってしまっているのに、撤去できないから、恨むよりないのかもしれない、と思いました。すなわち、道路のアスファルトの上に勝手に広告を張ったら、日本だと条例に引っ掛かるが、DNSエラーのページに広告を乗っけるのも、似たようなものかもしれない。問題は、道路だったら国や地方公共団体が取り締まれるが、ネットの世界は中国などの国でない限り、基本的にはieeeなどの非政府団体が性善説で運営していて歯止めが利かない、ことそのものが問題かもしれません

○ Googleが恨まれる理由とは: 
くしくも、上のOpenDNSが恨まれる理由の文章が、一言一句そっくりそのままGoogleにも当てはまります。しかし、Googleの場合は著作権やストリート・ビューの問題で、本当に物理的・金銭的に不利益を被っている人がすでにいっぱいいる。さらに、数万人の社員に創造性の高い仕事をやり続けさせるために、「そのうち紙おむつとかGoogleが作るんじゃない」と揶揄されるほど、新規サービス開発・参入のスピードは、全然衰える気配がない。このあたり、あまりに度が過ぎると、中国の例ではないですが、何かGoogleの息の根が突然止まるようなリスクが将来が発生したりするのかもしれません

○ そもそも無料って、良いことなのか: 
Cases for Entrepreneurshipの授業で1つ心に残った学びに、「オープンソース(無料でソースコードを公開し、皆の力を借りて開発を進めること)は、ローエンド品を開発するには、無限のリソース・パワーを与えるが、ハイエンド品を作るためのリソース・パワーは一切与えない」というものがありました。そのココロは、無料で提供されたサービスはどこかで必ず裏切るため、企業向けなど信用が第一のところには、無料ではかえって参入できない。なぜ裏切るか、についての簡単な例としては、今年のMBA生の夏のインターンでも、「無料でいいから仕事させてくれ」、という人がいっぱいいましたが、フルタイムの仕事を賃金ゼロで探す人はいないはずですので、インターン時期が終わるとそのリソースは必ず戻ってきません。Googleは、現在個人ユーザーには無料でサービスを、開発者には無料でAPIを公開している「オープンソース」な企業。一方、昨年から企業向けに有料サービスを展開し始めて、オープンソースからの脱却を試みているようにも見えますが、果たして既存のハイエンドユーザーがどれだけGoogleになびくかは、興味深いです。

一方、「無料より怖いものはない」とはよく言ったものですが、我々個人ユーザーがGoogleにいつか裏切られる日があるとしたら、いつ、どのような形で起こりうるのでしょうか。あるいは、Googleはいずれ個人ユーザーも「顧客」とみなして、サービスを続々と有料化することがありうるのでしょうか
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by golden_bear | 2009-12-04 18:00 | ビジネスプラン

GoogleがDNS事業に参入!!! (前編) MBAネットワークの価値

Walmartの講演から帰還して、何気なくRSSリーダーを眺めていると、GoogleがDNS事業に参入。その意味はこうだ(Techcrunch)の記事が目に。「はあ?」と、深い衝撃を受ける。その場で頭の中が緊急事態発生モードになり、関連記事をよく読みながら、何がおきているのか一生懸命考える。その5分後、別の友人から「ところでこんなものを見つけました。もしかしたら(a golden bear)さんも興味があるかな、と思いました。」とメールが届く。すぐさま、返答を書く準備に入る、、、

この僅か10分間でしたが、妻に「またご飯食べながら全然違うこと考えてるでしょ」と言われようが、翌日期末試験があろうが、頭がフル回転することになったのは、まさにMBAで得たネットワーキングの賜物なのです。

ネットワーキングは、MBAを経験した人であればほぼ全員、「MBAならではで得たもの」に挙げる、いわばMBAの究極の価値。一方、MBAを経験していない人から見ると、「ネットワーキングに、1-2年の歳月と数百~数千万円の費用を費やして、行く価値あるの??」という風に、おそらくMBAに行かない理由の筆頭に上がるものとも思います。行った人のみに分かるその良さが、行っていない人に上手く説明できないのは、難しく、もどかしい。そのギャップが少しでも埋まり、より多くの日本人がMBAに行きやすくなると、良いなと考えています。

そこで本稿では、前編では、MBAネットワークの価値について。後編に、衝撃を受けた内容そのものについて、皆様のご意見を承る形で書いてみることにします。MBAそのものに興味がある方は前編、GoogleとかDNSとかに興味がある方は後編を、御読み下さい。


まず、MBAネットワークの価値は、個人的には次の4種類あるかな、と感じています
(1) MBAの肩書き: 文字通り、名前が直接生む価値
(2) わらしべ長者: 2年間の間に学生の立場を生かして動いているうちに、自分の引き出しの深さと広さが拡がること
(3) オープンソース: 自分の知り合い同士が、自分が知らないところで創造している価値
(4) 理屈じゃ語れない良さ: 三十路にもなって、仕事無関係に気の置けない友人が一気に増えるって、実は凄い。

企業価値に置き換えて考えた場合、(1)はバランスシートに現れる資産価値、(2)は損益計算書に現れる利益・キャッシュフローを生み出す力、(3)は帳簿外の資産(顧客の口コミ、サードパーティーのネットワークなど)、そして(4)はビジネスを超越した文化・社会的な存在意義としてのネームバリュー、と捉えることも出来ます。

それぞれの説明。(1)と(4)はそのままです。(1)は、例えば、私のインターン先のCEOは、スタンフォードMBA卒であることで、同じく卒業生のベンチャーキャピタリストや弁護士、在校生や教授のネットワークを、会社の設立や拡大に、最大限に活用しています。

(4)も良く語られることですが、この年で日本人・外国人問わず、気の置けない仲間の数が増える、というのは、実際、大変嬉しい。学生から社会人1-2年目になった頃、「コンサルティング業界に行ったら、デキる同僚や幅広い顧客にネットワークが拡がるかな?」、と思っていたが、全然甘かった。実際に増えたのは仕事上と割り切る人間関係だけ(注1)で、気の置けない仲間という意味では、自分の忙しさや皆ご家族をもたれるなどの要因で、むしろ減っていってしまった。こんなことを考えている時に、MBAに来ることで、仕事を意識しないで語れる仲間が、数十人から数百人単位で増える。しかも、多国籍で皆何かに秀出ている方々ばかりが、世界中に散らばっててくれる、というのは、大変ありがたい。MBAでクラス対抗のイベントに参加したり、Japan Trekを企画運営したり、はたまたのんびりゴルフをしたり、、、「MBAは遊んでるだけ」と良く揶揄されますが、この遊びもとても重要だと思います。


(2)と(3)は説明しにくいので、具体例で。まず(2)のわらしべ長者とは、ネットワークを作ってみてその結果を咀嚼して、また新たなネットワークを生み出すサイクルです。MBAに来る、というわらしべが、何に代わって行ったか、私の中での1つの例として、

Step1 元々MBAに来る動機は、今後管理職に就くために、ファイナンスの知識を新たに身につけ、製造業・ハイテクの専門知識を増やすこと、という、知識・スキル獲得くらいにしか思っていなかった。したがって、とりあえずネットワークと証してその分野の知り合いを増やそうと試みるが、自分にスキルのないファイナンスの知り合いをいきなり増やすのは実は大変難しい。どうしても最初は日本人で固まることに。
Step2 日本人で固まっていると、MBA以外の学部にも、面白い日本人が多数発掘されることに気付く。後々、JGRB(大学院生&研究者会)を立ち上げてみることに。
Step3 JGRB立ち上げの過程で公共政策の方と話していると、ファイナンスと技術革新という一見相反する2つを学ぶ理由として、その行き着く最終目的に、開発経済を見据えると面白いことに気付く。そこで、急遽International Business Developmentの受講を検討し、出願することに
Step4 公共政策の人と話したこと、およびオバマ・ブームやリーマンショックを経て、ワシントンDCで何が起こっているかにも興味を持つ。1週間の集中講義を受けに行く。そこで、アフリカのエキスパートの方と実際に話し、感銘を受ける。
Step5 ワシントンの経験で心構えがしっかり出来たところで、IBDでは運良くザンビア行きに。ザンビアでの経験と、チームパートナーの影響で、まだ決まっていなかったが、8月以降にもう1つ米国でインターンが欲しい、という気持ちを強め、インターンを頑張って獲得し続けることに。
Step6 運良くクリーンテック関係のインターンに携われることが出来た。ここから、環境関連のシンポジウム等に多数参加するようになると、まだシリコンバレーも海外に進出するほど余裕がある状態ではなく、日本人の自分としては、日本と中国間の問題にも目を配った方が面白いと感じる。ここで、前職で中国では行く度に毎回散々な目にあったこと、ザンビアでとても中国人と仲良くなったことから、中国語の勉強を開始し、中国人とのネットワークを意識して拡大するようになる。
Step7-1 せっかくバークレーにはAsian Business Conferenceというすばらしいインフラがあるので、良く見てみると、2年生の幹部は全員スタディグループ等で仲良かった人たちばかり。そこで、彼らとも一緒にイベントを盛り上げてみようと考えることに。1年生の時にやってなかったのに幹部に入れてもらうきっかけとして、彼らが一番困っていたConsumer Panelの部分を引き受けてあげることになり、再度小売業に興味を持つ(今ここ)

というわけで、元々単なるスキルアップが目的のMBAが、日本人会の立ち上げ、開発経済、米国政策、ザンビアプロジェクト、クリーンテック、中国と、芋づる式に自分の経験が拡がって行ったことこそが、ネットワークの力と思います。そして、このStep1回が、PDCA(Plan:計画する、Do:実行してみる、Check:効果を確認する、Act:修正し完了する)のサイクル1回と考えると、これを1回ししてまた次のPlanに戻った時に、自分自身が1回り成長している。ここでいう成長とは、例えば、ある分野に詳しい友人が、その分野で自分と対等に議論をしてくれるようになることで、実感します。最初は日本人で閉じこもっていた自分が、いつの間にかいろんな分野の方と情報交換できるようになっていっているのは、嬉しいことです。

そして、(3)のオープンソースに関して。上記Step7が分岐したことを例に取ると、
Step7-2 スタートアップでインターンをすることで、Cases for Entrepreneurshipの授業を取得可能に。この授業内で、他の学生がインターンをしていたスタートアップのCEOと知り合いになる。このCEOの特許技術を、日本にもって行ったら面白そう、と考える
Step8 JGRBを立ち上げて、忍者の格好をしたお陰で参加できた豪華ディナー。ここで知り合った日本人の方のおかげで、上記CEOの技術が、ある日本企業の目に留まる(今ここ)

自分が意図せず、いつの間にか「シリコンバレーで自分で見た面白い技術を日本に持って来るお膳立てを整える」ようになってしまっているなど、当初は全く想像が出来ず、とても面白い。このように、普段あまり一言で表すことのできないMBAネットワーク価値の本質は、自分を成長させるPDCAサイクルの枝を増やすこと、そしていろんな枝同士が絡み合いながら実際に自分や社会に価値を生み出すこと、にある気がしています。


さて、これらの4つのネットワークの意味を、本稿のメインテーマである「GoogleがDNS事業に参入」に当てはめてみます。私の場合、もしMBAに行かずに東京で淡々と働いていた場合、下記の状態になっています。
○ Google社の知り合いは、学生時代に同じサークルにいた日本人の友人のみ。皆ご無沙汰で、この記事を見て、何か思うこともないと思う。
○ 5分後にメールをくれた友人とは恐らく知り合いになれていない。もし知り合っていたとしても、メールをくれるほどの付き合いになっていたとは思えない
○ DNSという言葉はよく目にするものの意味不明。ましてや事業なんてあるの?という状態。したがって、この記事は仮に見ても目にすら留まらない。

しかし、僅か10分の間に、私の中を駆け巡って実感したのは、下記の状況でした。
(1) MBAの肩書き: バークレーMBAがきっかけで、Google関係者とは国籍問わず多数の知り合いが増えていて、より身近な企業になっています。
(2) わらしべ長者: 実は色々動いているうちに、このDNSビジネスに深く関わっている方と知り合いになりました。彼の今の気持ちを察するに、Google襲来は黒船襲来から開国のような、大きな転換点になる、と察し、頭が緊急事態になりました。
(3) オープンソース: この話をブログにアップしようと思ったことそのものが、オープンソースを意識しています。
(4) 理屈じゃ語れない良さ: 3ヶ月前にはじめて知り合った友人と、この分野でメールをやり取りできるのは、素直に嬉しいことです

後編では、このメールのやり取りを、ブログにアップしてみたいと思います。

(注1) 退職後に、一緒に死に物狂いでプロジェクトを経験した卒業生同士では、凄く仲の良い友人になることも多いです。
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by golden_bear | 2009-12-04 02:56 | ビジネスプラン

UC Berkeley Business Plan Competition決勝戦

4/30(木)に上記ビジネスプランコンペの決勝大会が開催されました。一応準決勝で敗れた身として、雑感を述べてみます。

300名入る会場は超満員。まずは決勝に残った8チームのプレゼンが1つずつ。
(1) Auto TB
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人が結核かどうかを、唾液を入れるだけで自動的に判別する装置を開発。これで、検査の手間を大幅に省き、発展途上国でも容易に使えるようにする。→装置の形まで見せてのプレゼンは、臨場感ありました。

(2) GamesThatGive
(写真はなし)
「社会的に責任を持ったオンラインゲーム」を開発した「らしい」。特筆すべきは、プレゼンの時間にこの企業の紹介を一切せず、この企業に対して寄せられた幾つかの賛辞を紹介しただけで1分でプレゼンが終わってしまったこと。->よほど何か問題があったのか、一般公開ができない理由がビジネスモデルの全てにあったのでしょうか、、、

(3) Logicularity
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大企業の社内情報をビジュアルに"見える化"することで、生産性を向上するための情報管理ツールを開発。→検索技術と情報分類技術を企業向けに作成したところまではプレゼンでわかったが、導入事例が見られなかったのと、工数をかけずに多数の企業に導入可能かどうかがわからなかったのが、やや弱い感じがしました。

(4) Novophage
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抗生物質が効かないバクテリアを、当社が遺伝子工学を用いて開発したあるバクテリオファージ(細菌に感染し菌体内で増殖する細菌ウイルスの一群)を用いて、駆除する商品だそうです。→個人的にザンビアに行くために抗生物質を毎日飲むため、それが元で却って殺菌力が弱まり病気にならないか妻に心配されていたので、この技術は本当ならとても役に立つのではないか、と思いながら聞いていました。

(5) LavaHealth
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EHIS(Eloectronic health Information Systems)と呼ばれる電子カルテシステムは米国の大病院を中心に取り入れられているが、これを元に病院のコスト低減、待ち時間短縮などオペレーションを向上するシステムを開発したベンチャー→今回唯一、クラウドコンピューティングをベースにした技術で、個人的にはすぐにでも実用化されて欲しい面白い技術だと思いました。難点は、もし国や他の企業が同様の競合システムを作った場合、どうベンチャーなりに競合優位を保り、デファクトを取るのか、でしょうか。

(6) Ulteamail
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今回唯一Haas MBAのみで参加したチームで、より企業の生産性をあげるために必要な機能に特化、拡張したe-mailサービスのビジネスです。→emailの改良版、という、一見MicrosoftやGoogleといった巨大企業が常日頃から本業として考えていそうな内容を、スピードとセンスで上回ろうとしているだけあって、プレゼンは秀逸でした。実際のビジネス上で顧客を増やせるかどうかは、最初の数企業にどれだけ継続して使ってもらえるかどうかに、かかっていると思いました。

(7) Siverde
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CO2をBio Fuelに高効率で変換するシステムを開発。→光合成を高速に起こしてCO2を炭素と酸素に分ける技術、そしてその炭素を燃料の形に変換する技術の両者に既存の手法より強みがある、とのことでしたが、どういう強みなのか、何故今までできなかったのか、及び費用対効果や投資回収時期といった投資家向けの定量情報がプレゼンでは明かされなかったので、今一歩の感じです。

(8) Integrated Diagnostics
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既存のHIVテストと同性能の測定器を、手のひらサイズに全て収めて、誰でも使えるようにした。CMOSセンサーを含めた全ての機能を1チップ化しているところに特許を持っており、HIVテスト以外に様々な計測用途に利用できる技術だそうです→UC Berkeleyが持つ特許を元にビジネスを構築する、という意味でも、とても受けの良いプレゼンでした。課題は、数量が出る産業に打って出れない限り黒字化しないところか。


その後は会場の参加者による投票、さらに集計を待つ間に過去のビジネスプラン入賞者がOBとしてきており、現在何をしているかを1人1人プレゼンしていました。実際にこのコンテストを元に企業をして、IPOをしたりExitまで持っていっている人々の話は、大いに盛り上がりました。また、夏にスペインのバルセロナで開かれるビジネスプランコンペの宣伝もしていました。

さて、最終的な1-3位、及び投票による特別賞の結果はここを見ていただければわかると思います。私個人の感想としては、

- 特許・技術・商品を作ってしまっているところが強い: 勝ち抜いた上位3チームは、どこも特許あるいは新技術を基にした商品まで見える形で持ってきていました。残りの5チームも少なくともその片鱗は見せています。この点、私のいたチームが、商品が無い状態のビジネスモデルだけで勝負しようとして、準決勝で敗れたのも納得です

- オープンなコンペティション: 決勝に出たチームは、元MITやコロンビアなど東海岸の大学でPh.Dを取っている人も多く、出身がBerkeleyかどうかにはあまりこだわっていないようでした。また、1つのビジネスプランで全米の同種のコンテストに多数参加しまくり、賞金獲得と宣伝をかねる「コンテスト荒らし」と呼ばれるようなチームもあるようです。参加規程がどうなっているか詳しくは知りませんが、要は技術が世に出て起業が成功すれば良いわけで、ここら辺は懐が広いと感じています。

- 医療技術の優位: 去年の同コンペ、及びIntel+UC Berkeley Technology Entrepreneurship Challengeに引き続き、またもや医療技術が上位を占めていました。一方、ITやWebサービス系のアイデアも今回3つ決勝に残っていました。ただ、これらは上位には残りません。これは、イノベーションが止まった、と見るよりは、大学の独立したコンペに頼らずとも良い技術を自分で発掘してものにしてしまう巨人プレーヤー(Google, Apple, Microsoftなど)が存在し、しかもWeb上で無料で提供してしまうために、ベンチャーの参入及び付加価値・良いビジネスモデルの創出が難しくなっているからのような気がしています。そんなGoogleですら自らベンチャーキャピタルを作るくらいアイデア出しが難しくなっている(と見るかどうかは人それぞれですが)この世の中ですから、大学のコンテストにおける医療優位は当分続くような気がします。

- Green Techの台頭はいつか?: 昨年から話題のGreenTechベンチャーは、今回決勝に1チーム残りました。これらは、一般的には莫大な投資がかかる技術が多いはずですので、既存のシリコンバレーの世界/考え方では投資されにくい技術のような気がします。したがって、それでも無理やりシリコンバレーでこの技術を進めるのであれば、技術の方がシリコンバレー型に併せていく(例:小さい投資から横展開を繰り返して成長できるプラットフォームを作りこむ)のか、シリコンバレーがGreenTech向けに変貌していく(例:国・政府の規制や補助金を活用する)のか、どちらかの歪が起こると思います。これを上手く捕らえたベンチャーが、来年当たりに出てくることを期待したい(あるいは、自分でその中に居たい)と思います。
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by golden_bear | 2009-04-30 23:15 | ビジネスプラン

敗軍の兵、将を語る2 - ビジネスプランコンペを終えて

3月17日(火)に、UC Berkeley Business Plan Competitionの準決勝大会が行われました。1月に80チームで行われた予選(書類審査)を勝ち抜いた25チームが、2月からプランの詳細を30ページ(+8ページの補遺)の資料にまとめ、3月10日(火)に提出。その資料を基に、プレゼン15分、質疑応答10分の25分間の審査を行うのが準決勝大会の当日です。

・ 事前準備
プラン自体は、既に3月10日(火)までに喧々諤々の議論を繰り返し、38ページまとめ切ったのですが、それを最大15分のプレゼンにどう落とし込むかが、また難儀でした。これに先駆ける3月4日に、地元ベンチャーキャピタル(以下VC)3社とベンチャー企業1社による「VCに受けるピッチ(プレゼン)とは」という特別講義に参加していたため、求められるプレゼンの要件は、全員で理解していました(注1)。しかし、いざ実際に作り出して見ると、簡潔な言葉とは何か、伝えたい内容は何か、ビデオ・アニメーションをどう効果的に使うか、に至るまで、主要メンバー4人(起業家、弁護士、コンサル、投資銀行)のバックグラウンドで、考え方がこうも違うのか、と唖然としました。

最終的には、コンサル出身の私がフォーマットや15分で伝えるべき全体のメッセージの構成・順番を設計し、各ページは分担して作成。その後、写真やアニメーションを起業家がふんだんに取り入れ、弁護士が余計な文章を削り、最後に唯一ネイティブスピーカーの投資銀行家が、英語のチェックや冗長なアニメーションなどを削って、プロフェッショナルな形に纏めました。完成品は、コンテスト用のプレゼントしては驚くほど秀逸だ、とメンターにも太鼓判を押していただいたきました。これには私も素直に納得しましたが、コンサルティング用のプレゼンテーションとして見ると50点程度の出来(必要な情報が削られすぎ)と思ってしまい、コンサルタントのプレゼンが、如何に一般社会からかけ離れているのか、自分にもリハビリが必要、と改めて実感しました。

・ 直前準備
当日は朝10時から(授業のあった私は11時から)発表時間の13:30まで、大学近くの友人宅で何度も発表練習を繰り返し、御互いにフィードバックしました。
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プレゼンの構成上、社長の起業家が大部分を発表し、MBA生3名は各1-2枚ずつ補足する、という形になりました。1回目の練習では17分かかってしまい、それぞれお互いの発表内容やメッセージを削りながら、5回目の練習でどうにか15分に収めました。プレゼンの練習を2時間以上する、というのは久しぶりで、新鮮な経験でした。

・ 当日の様子
当日は、普段のキャンパスとはちょっと離れた、桜が綺麗な別キャンパスで行われました(終了後の夜の写真ですが)。
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全員スーツでびしっと決めて、審査員3人の待つ監獄部屋(!)への入場を待つ瞬間は、緊張感がみなぎります。
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さすがに監獄部屋の中を写真で取ることは出来ませんが、中にはVCの審査員が3人おり、我々のプレゼンをある人はとても面白そうに、また別の人は興味なさげに聞いていました。我々の審査員3人のうち2人は理系のPh.D、1人はMBAという組み合わせだったことから、技術系のプレゼンの際には大変もリあがっていたようでした。

実際のプレゼンですが、1つ不運だったのが、白い背景に黒い文字で提出したパワーポイント資料が、黒背景にスタイルを変えられてしまい、文字が非常に読みにくくなってしまったこと。それでも、これを察知した起業家が、最初15分の前半部分で練習より落ち着いてゆっくり話したため、何をやりたいのかが非常にわかりやすく伝わりました。一方で、残る我々3人の、どうビジネスとして成立するのか、というパートの時間は若干短めになり、それでもギリギリ15分で終わりました。

その後の10分の質疑応答では、案の定ビジネスの成立性に関する質問が連発しました。ここでラッキーだったのが、我々のチームには3人の専門家がいたおかげで、質問自体に完璧に答えきった上に、15分のプレゼンで伝え切れなかった部分を補足し、むしろ我々のアピールの為に10分間を有効活用できたことでした。例えば、競合優位性に関しては相当突っ込まれるだろう、と一番心配していた私は、他の楽観的なチームメンバーの裏で、どうやって競合から市場シェアを奪うか、ずっと考えていました。従って、連発された質問のうち大部分は私が即答する役を務めました。また、一番厳しい質問であった
「3年前にこの競合に私自身が投資している(!)のだが、そちらの方が上手くやっているぞ」
という質問に対しては、弁護士のイスラエル人が
「いや、直近ここ1-2ヶ月の間に、その競合自体が方針転換を余儀なくされている。この市場の変化に我々自身も大変驚いている。貴方はフォローしてないのか」
と逆に相手を攻めた上で、
「これは、競合が変化に対応しながら市場を拡げてくれているのを見ながら、我々自身が十分準備できるチャンスだ」
と即答で切り返した。またしても、ユダヤ人とは交渉したくないな、と思った瞬間でした。

・ 結果
非常に残念ながら、8チームが残る決勝大会には進めませんでした。これは、25チームそれぞれのアイデアが素晴らしい中で、より決勝で戦わせたい8チームが他にいた、ということなので、4月に行われる決勝大会では、その発表を楽しみにしたいと思います。

・ 反省と学び
審査員がどういう反応だったのかはまだ明かされていませんが、我々の発表内容側に問題があるとすると、下記の2点だったかな、と思います。
 - 要求する投資額が高すぎた: 最初1-2年の間に市場が爆発するまでは、顧客を開拓しながらブランド力を高めなければならない、というビジネスのため、ハイリスクハイリターンで最初に数億円投じてもらう、という絵しかかけませんでした(注2)。今の経済状況で、初期投資数億円、というのは、よほどリターンが確実、あるいは、強い特許を持っている、のでもなければ、成り立たないだろうと思います。
 - この機会しかない、という緊急性を訴求し切れなかった: 前にも少し書きましたが、このチームには何か特別な特許とか固有のアイデアがあるわけではありませんでした。そこで、プレゼンの組み立てとして
 「急激に伸びている市場がある」
 →「その市場には大企業が何社も参入しているが、どこもうまくやっていない」
 →「我々は、大企業が上手く出来ない構造的な理由を発見し、加えてどこよりも上手くやる方法とそれに必要なリソース・スキルを解明した」
 →「先行者利益を得たいから、今すぐ投資してくれ」
としました。ただ、この論理の流れや状況が本当なら、他に同じようなことを考えている企業がいっぱいあるかもしれず(現に、審査員の1人が3年前に同様の企業に投資した)、私がVCなら他も見てみたい、という気になったと思います。結局、我々の何が凄いのか、という部分が弱かったということになります。

一方、私自身には、得がたい貴重な学びが多数得られた大会でした。

 - 英語力の伸びを実感: 前回このようなコンテストにおけるプレゼンは、前職中、2006年末に新たなコンサルティング手法を競う大会(注3)に出場した時のことでした。このとき、準決勝のアジア大会にて、私自身が質疑応答の受け答えに失敗し、決勝の世界大会に進めなかった痛い経験があり、実は質疑応答はトラウマになっていました。ところが、今回は10分間の質疑応答のうち、6-7分間を私が淀みなく答え続けることが出来て、自分の中で大きな自信となりました。MBAに来た半年間、特に今年に入って、やたらチームワークを増やした成果を、実感することが出来ました。

 - 起業家のリーダーシップを体験: 我々がチームを組んだ、ブラジル人の女性起業家は、未だに得体が知れない方なのですが、とにかくリーダーシップということに関して非常に学べました。まず、本当に成功しか疑わない。動物的な勘があるのか何か知りませんが、全て成功することを前提に物事を考え、常にポジティブ。これは、問題解決の時に非常に重要で、例えば我々が「コストが高すぎて採算が合わない」、という分析結果を見せると、その反応は「もっといいやり方で採算が取れる方法があるはず。何しろ、市場はあって、伸びているのだから」。また、「この給料で人材って急に集まらないと思うんだけど」と聞いても、「今私の住んでる、サンノゼに失業者溢れかえってるから、彼らに声掛ければいくらでも直ぐ飛びつくわよ」。こんな調子で本当に、「ビジョンはあるから、頑張ってくれれば結果はついてくるよ」といっているだけなのです。なのに、それでも弁護士、コンサル、投資銀行家が納得してついていく。丁度先週号の日経ビジネスに、サントリー社長のインタビューがのっていましたが、「もっとやれ、もっと攻めろ、と檄を飛ばす言葉を繰り返したあと、がはははは、と豪快に笑う」点など、とても共通する点があります。よく、「起業家になりたいなら、コンサルタントにはならない方が良い」と言われますが、今後自分が組織のリーダーになるのであれば、嫌でもこういう資質を身につけていくんだろうな、というロールモデルを、間近に見ることが出来ました。

 - 投資家の言葉を学ぶ: チームメンバーとして一緒に働いた投資銀行家、また、プレゼンをした相手のVCの方々からは、結局金融業・投資家は、金出して儲かるかどうか、その1点の理由をとことん突き詰めているわけで、その人たちと会話をするには、その言葉で話さなければ為らないことを学びました。私のように、技術者や現場の方々と話す時間が多かった人々とは、180度興味の対象が異なっています。彼らと衝突したこと自体が、私のMBAの目的の1つを満たしており、実際私の世界を大きく広げるきっかけになっています。

 - ビジネスモデルを構築する: 今回、恐らく人生でもはじめて、「明確な競合優位性や資産が無いのに、ビジネスプランを書かなければならない」状況でした。それでも、一応25分間のコンペで淀みなく説得し続けるだけのプランが書ける事は、自分でも驚きました。また、このある業界で戦略を考えたり、調べたりしているうちに、1つの勝ちパターンの型のようなものに気付きました。これは、似たようなビジネス環境においては普遍的に使えそうなアイデアで、例えば早速翌日のBetter Place社の授業で、他のチームのブレストの時に適用して、喜ばれたりしています。面白そうなので、2年生になったら自由研究のテーマにして、自分で実験したり、その結果が面白ければ、来年のこのコンペに出てみたりするかもしれません。


というわけで、バークレーに学びにこられる方(学部問わず)は、機会があれば是非、このUC Berkeley Business Plan Competitionに参加されることを、強くお勧めいたします!


(注1)「VCに受けるピッチ」講義幾つかの要旨を抜粋:
- VCは大体1,000-2,000のアイデアを見ており、また、ピッチは1日中続きうんざりしている。従って、VCはPDFファイルを見ない。大体30秒で要旨を見るのがせいぜい。従って、最初のページでキーワードが浮かび上がっていることが重要
- VCは基本的にビジネスプランを発表する人が好きである。したがって、VCは何とか好意的に「自分がこの企業に投資したい理由」を探しながら、ピッチを聴く。だから、リターンが増える要素(例 scalable, less capital/license risks)が多いアイデアほど良い
- VCは、過去数年の経験から、成功の型を発見しており、その型へのパターンマッチングをしている。ピッチでは、貴方がどんなビジネスをするのか「何を売るのか、どういうオペレーションをするのか」のみを余計な言葉を混ぜずに説明し、後はその成功の型に収まっていることが重要。
- 大きな判断ポイントは、「貴方が何を売るのか(商品)」。そして、経済社会の生態系の中でどのような役割を果たすのか、「貴方がどんな動物なのか?」も、重要である。
- 具体的なプレゼンとして、文字を極力大きく(24ポイント以上)、1スライド箇条書きでの文章は、最大5-6点。図表や写真・動画を用い、極力言葉を減らす、などの工夫し、言葉で臨場感を持って説明すべき。

(注2) こじんまりニッチにローリスクローリターンに立ち上げる、というプランもあったが、この場合逆に投資してもらう必要がなくなってしまい、コンテストに出る意味が無くなってしまう

(注3) コンサルティングを実施した結果、あるいは独自調査から編み出された、新たなコンサルティング手法を、社内でプレゼンしあって競う大会。
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by golden_bear | 2009-03-21 20:58 | ビジネスプラン

起業は昔より大分易く(安く)なった - B-Plan Competition(1)

以前お伝えしたとおり、地元の起業家が参戦しているBerkeley Business Plan Competitionのチームに、ひょんなことから巻き込まれてしまいました。チームメンバーは

A. ある分野に豊富なアイデアを持っている、正体不明の起業家: ブラジル人、女性
B. 巨大ITシステム企業の法務出身MBA1年生: イスラエル人、男性
C. 経営コンサルティング、オペレーション出身MBA1年生: 日本人、男性 (私)
D. 投資銀行、不動産投資出身MBA1年生: カナダ人、男性

の4人に加えて、主催者側からメンターで派遣されている

E. 過去に起業経験とMITの100Kコンペ審査員の経験のあるコンサルタント: インド人、男性

が、ものすごくこのチームにコミットしていることから、実質5人体制。25チームで争われる準決勝の書類提出締切が、3月10日(火)、プレゼンが3月17日(火)、ということで、先週の日曜日丸一日と昨日の半日を潰し、さらに毎晩1時間Skype会議後に作業、と、ラストスパートで大変なことになっています。


内容は、実際にプレゼンがWebにアップされてからのお楽しみとして、幾つか調べているうちに、「起業って数年前に比べて、全然安くできるようになったんじゃないか」と思いました。そう思ったツール3種を下記に照会します。

(1) 有名Webのトラフィックが判るquantcast
このサイトでURLを打ち込むと、どういうWebサイトにどれくらい(少なくとも米国から)毎月訪問者があるか、一目瞭然になっています。したがって、ビジネスプランを作るときにこのサイトをじっくり研究すると、「競合や同種のWebサイトにこれくらい訪問者があるから、うちはこういうサービスとブランドでこれくらいを狙いたい」、という、マーケティング目標設定の1つの目安を作りながら、アイデアを深めることが可能です。(どのくらいの精度があるかはおいておいても、1つの目安になります)。

ちなみに、このサイトによる現在のトップ10は、下記のようになっています。(単位:百万訪問/月)
1 google.com 140
2 yahoo.com 126
3 msn.com 106
4 live.com 99
5 youtube.com 78
6 wikipedia.org 77
7 microsoft.com 76
8 myspace.com 68
9 facebook.com 66
10 ebay.com 65

(2) Amazon Web Service EC2が安い!
さて、どんな企業を設立するにしても、最低ホームページくらいは置いておきたいと思うのですが、このサーバーコストって、エンジニアを雇うことも考えると結構バカにならない費用になります、、、と思ってたのが数年前。今は、とんでもなく安く、スケーラブル(後から追加拡張しても、それで膨大な追加費用がかかるわけではない)なシステムが組めるようです。

ここから、Amazon Web Service EC2の値段表が見れます。これを元にちょっと試算すると、Amazonで作れば、データ量にもよりますが、上記(1)でTop10くらいトラフィックのあるウェブでも、人1人雇うより安く作れちゃうんじゃないかという結果になりそうです(実際、wikipediaは社員2人で寄付金でやってるみたいですが)。1つ前の記事で書いた、クラウド・コンピューティングの威力を実感します。

(3) コールセンターって誰でも作れる(米国の場合)
ビジネスを立ち上げる以上、お客様からの問い合わせやクレームに対応するために、電話番は必須です。最初は社長が直接電話に出れば、顧客の声をビジネスに素早く生かすことも出来るでしょうが、次第に顧客が増えると、社長が電話に出てたのでは当然ビジネスが回りません。しかし、当初売上に乏しいベンチャーでは、人1人雇うのでも結構バカにならない費用です。

ひょんなことから、「コールセンターってインドにアウトソースできるよ」と聞いたので、ここにとりあえず見積もりの情報を送って見ました。「1日何件くらい電話がかかるか」、「用途・会話内容は何か」、といった4-5項目と私の連絡先を入力すると、翌日には5社からメール、1社から電話が私のところに届きました。メールのタイトルを見ると”月$24.99からコールセンターを設置できます、、100分無料通話、機器設置込み”といった表現が書かれています。小中学生でも、自分の小遣いで海外の人(サービス)を雇うことができる時代になったのか、と驚きました。

もちろん、詳細な価格表を見ると、通話時間や内容に応じてどんどん課金されていく(携帯電話の料金プランみたい)。で、ある利用時間を超えると、「相当ぼったくってるな」という料金になるので、大企業になっていくにしたがってコールセンターを自前で持って、そのオペレーションを改善する理屈がよくわかりました。


というわけで、アイデア・理念、良い人材、素晴らしい技術/特許、時代の流れ(運)、のうち、2つか3つくらい揃えば、会社を建てるだけなら、本当に低コストでできるようです(後は何をするか次第)。今回私のいるチームには特に技術・特許があるわけでは無いので、後はチームワークでどれだけ良い起業プランをAさんにプレゼントできるか、がんばってみます。
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by golden_bear | 2009-03-05 05:04 | ビジネスプラン


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