A Golden Bearの足跡 |
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活動メモ(1) 5/22(金)出発-5/24(日)入国 - IBD体験記(5)の回で述べたように、中国、インド、パキスタン人が事前に発行したビザのコピーを持っていても全く入国できなかったにもかかわらず、日本のパスポートでは何の問題も無くその場でビザが発行され入国が許可された、というところから始まったこのプロジェクト。ザンビア滞在の23日間では、「こんなところにも日本が!」、「日本人で良かった!」と思う瞬間に、2日に1度は遭遇していた気がします。そこで、ザンビアで感じた日本について、大体時系列に沿ってざっくばらんに述べてみます。
○ 自動車 まず、空港を下りると目の前に青色のタクシーが数十台並んでいるのですが、そのほとんどがトヨタのカローラでした。そのタクシーに乗って首都に向かうと、すれ違う車の8割から9割は、日産、ホンダ、マツダ、三菱といった日本車が走っているイメージです。そして、そのままショッピングモールの駐車場に到着すると、外国人滞在者など比較的裕福な人が集まるところではあるのですが、下記のようなステッカーがついているではありませんか。 なんでザンビアで日本車、それも、どうみてもほとんど廃車になっている日本車が流行っているのかは、日本や英国と同様にザンビアが右ハンドルの国であることがあると思います。が、現地の運転手によると「日本車の品質が高い」、そして、「自分の手で部品の交換が行いやすい」からなのだそうです。もちろん、ザンビアにもトヨタやホンダ、BMWやダイムラーの看板を掲げた、正規(?)ディーラーと思われる店はあるのですが、これらの店で修理やメンテナンスを行うのは高いらしく、大抵の場合は自分でやるとのこと。その時、トヨタの車だととても組み付けが行いやすいのだそうです。 うーむ。トヨタ生産方式では製造コスト(時間)低減と品質向上を両立するために、ラインで間違えなく安全に組み立てられるような工程の単純化は勿論、部品の設計にまで製造側の考え方をフィードバックして改善を繰り返しているのは、世に多数出ているトヨタ本で述べられていることなのですが、その取り組みの成果がこんな形でアフリカ人に受けていることには驚きました。ちなみに、「日産もホンダもトヨタと大して変わらないので、やりやすい。三菱は日本車じゃないから、品質も悪いしメンテもしにくいよ」、とおっしゃっておりました。。。 ○ ザンビア在住パキスタン人のオフィスにでっかく張ってあったポスター ザンビア人とは関係ありませんが、どういう意図なのかさっぱりわかりませんが、「アメリカ人の世界」という紙がA3サイズに打ち出されていました。これによると、日本は"Radioactive Area"(放射能汚染地域)だそうです。。。 主要な幹線道路を走っていると、「この道は日本政府とのプロジェクトで作られました」、「ありがとう、大成建設&清水建設」、という看板が目に付きます。この話を、クライアントのオフィスの人にすると、こんな議論になりました。 「日本人の建設会社が、素晴らしい道を作ってくれたことには、とても感謝している。以前に比べると、幹線道路3本に関しては、非常に快適にドライブができるようになった。しかし、問題は、このプロジェクトでザンビアの国内に何も技術が残らなかったこと。日本政府と建設会社が、設計者とエンジニアを数十人派遣し、ここでの経験と知見を他のアフリカ諸国に持っていった。一方で、ザンビア人を労働者として雇って作ったみたいだけど、雇われたザンビア人は指示通り動いただけで、何も学んでいない。これでは、これ以上自力でよい道を作ることも、今ある道のメンテナンスすらもできない。こういう意味で、道が綺麗になったことには感謝しているけど、もう少し他に方法があったんじゃないか、とも思うよ」 実際、ビクトリアの滝に向かう8時間のドライブで、最初6時間は舗装道路だったけど、最後の2時間分は舗装されていないことが、上記の話の象徴的な部分だったように思います。 ○ 在ザンビア日本国領事館 こちらへプロジェクトの情報収集をしたときに、色々話を聞きました。ここに書いて意味がありそうなこととしては ● ザンビアにいる日本人は全部で200人。うち、4割くらいがJICA(注1)の方々で、他には商社やインフラ関係の方々がいらっしゃることが多い ● 日本料理屋はない。韓国料理屋は数件、中国料理屋はいっぱいある。日本料理や食材がほしいときには、ケニアから運んでもらうことになる ○ ザンビア政府(農業省) 訪問したときに、日本国政府が支援しているニュース ○ 家電 日本でもかつてコンビニとしてかつて良く看板を見かけた「SPAR」が、欧州資本だけあってザンビア内でもおそらくトップシェアなんだろうな、という感じで、いっぱい店を出しています。そのSPARのチラシ(外国人富裕層向け)を見る機会がありました。 3ページ目には日本ブランドは全然目に留まらず、 ○ たくましい日本人(1) 前回の記事でサファリの動物の写真を一杯載せましたが、そこで宿泊した"Flatdogs"という宿で、なんとアフリカを1人旅している日本人女性の方にすれ違いました。1-2分しか話す時間が無かったので、詳しい話は聞けなかったのですが、なんでも1-2ヶ月かけてバックパッカーのようにアフリカを東西南北10数カ国旅して周っている最中だそうです。年齢的には20代のように見えたので、就職前の卒業旅行だったのかもしれませんが、日本人1人でもこういう旅行を計画できるのだなあ、と驚きました。 ○ たくましい日本人(2) 最後に、IBD体験記(9) プロジェクト(1)の写真の記事中段で頭出しをした、夜にウガンダに国際電話をかけた話です。この時電話をさせていただいた方は、柏田 雄一氏。「ウガンダの父」と呼ばれる日本人の方です。 「ウガンダ 柏田」でGoogle検索すると、ここ(Smileyearth)とか、ここ(JBIC)、あるいはここ(NHKアーカイブス)とかでも幾らでも紹介されており、この人の伝記も出版されていて書店で買うことができます。 出発直前に本来クライアント側がアレンジするはずのインタビュー先を全てこちらでアレンジしなければならなくなったのですが、そのときにそういえば岩波新書の「アフリカ・レポート」の中で、アフリカでTシャツを作っている人の話を読んだなあ、ということを、思い出したのがきっかけでした。この柏田さんにインタビューして意見を伺うことが、プロジェクト・レポート内で「ウガンダでのオーガニックコットンの事例」として、ザンビアと比較して紹介できる、と思い立ち、日本国大使館に行って、電話インタビューのアポ取りをお願いしたのでした。 大変お忙しい中、2回に分けて合計2時間以上、電話で様々な話を伺いました。もちろん目的は私のザンビアプロジェクトに対する意味合いをいただくことだったのですが、本やネットで事前に予習した通りの1960年代に初めてウガンダで事業を開始して下地を作った話、1980年代に内戦で一旦工場を閉めて撤退しなければならなかった話、90年代を経て2000年代に入り再度オーガニックコットンでウガンダでの事業を再開した話。これら柏田さんが50年間何を見てどう判断してきたか、という経験を踏まえて、もちろん一般論としてではありますが、ザンビアプロジェクトに対する実践的な素晴らしいアドバイスをいただけました。そして、それ以上に、人としての学び: 事業を起こして成長・継続させるリーダーとはどうあるべきか、どういう環境を選び取ってどのように生きていくか、という、まさにMBAで学ぶべき最も重要な項目に関して、非常に大きな示唆を頂くことになりました。 ---------- 全体を通した印象ですが、ザンビアでは少なくとも煙たがられている中国人などに比べれば想像以上に日本の地位が高く、一時期流行した「ソフト・パワー」の面で日本は既にかなり成功してきているんじゃないか、という印象を持っています。まずはこの点に関して、外務省や国際企業をはじめとして過去数十年の日本人が築き上げてきた海外における「日本ブランド」に対しては、今の世代を生きる1人としてすごく感謝しなければならないのだろう、と思っています。一方、ウガンダの事例ではありますが日本人が頑張っている話もあるように、これだけ良い海外進出環境が整備されていながら、ザンビアに行く前の私がそう出会ったように、日本人のほとんどはそれを知る機会すらないことも改めて感じています。そして、アフリカはおろか、世界に出て行く日本人が減ってきてしまっている、という報道も様々な形で耳にしています。せっかく先人が残した良いインフラが無くなってしまう前に、何とか使い倒せないものかなあ、と感じています。 (注1) 国際協力機構。青年海外協力隊事業をやっている団体
by golden_bear
| 2010-10-24 23:05
| IBD(ザンビアプロジェクト)
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