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A Golden Bearの足跡


UC Berkeley Haas School (MBA) における、2年間の学生生活の記録です。
by golden_bear
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加州卒業旅行(3)JPLとサンディエゴで日本人の技を堪能

ヨセミテ観光の後は、南カリフォルニアで頑張っている友人3人を、順に訪問することになりました。1人目は、1年半前に冬の西海岸ドライブ(2/5) Los Angels観光で、LAを案内して頂き、その翌日、冬の西海岸ドライブ(3/5) Los Angels - Las Vegasにて、Caltechを案内して頂いた方との再会です。

今回は米国籍の方が帯同して頂いたおかげで、なんと妻も一緒にPasadenaにあるJPL(Jet Propulsion Laboratory)の中を見学させて頂きました。
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JPLとは、Caltech(カリフォルニア工科大学)に付属する深宇宙探査の研究所ですが、こちらのリンクにある過去ミッションの一覧からもわかるとおり、NASAが火星や木星はじめ地球から遠く離れた星へ宇宙船や人工衛星を送り込むミッションは、ほぼ全てこちらで行われているものです。詳しくは、Wikipediaの日本語解説ページなども参照に。サンディエゴの話前半とあわせて、書き残してみます。

6月3日(金) 
10amにホテルを出発し南に。全く渋滞もなく、12:30pm頃到着した町Bakersfieldでインド料理を食べる。
Desi Cafe
4837 Panama Lane
Bakersfield, CA 93313
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各種カレーやサラダ、タンドリーチキンは、ビュッフェ形式で取り放題な上、焼きたてのナンがとても美味、かつ安い。
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予定より1時間早く3pmにJPLに到着する。近所のスターバックスで時間をつぶした後、4pmから6pmまで、たっぷり中を見学させていただきました。「写真は撮って良い」とのことでしたので、iPhoneでいくつか撮ったもののうち、機密情報の無さそうなWeb上や映画で公開されているものを、下にも掲載したいと思います。JPLホームページでも一部見ることが可能です。
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最初にビジターセンターで受付を済ました後、入って右側にある、展示室と会議室のビルに行きました。ここでは、JPLが過去数十年に渡って打ち上げてきた衛星や探査機の、実物の一部や模型が展示されていました。
記者会見に使われている会議室
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その両端には期間限定で入れ替わる展示物が置かれているらしく、たとえば、ハッブル望遠鏡の一部
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ボイジャーに書かれた宇宙人が読むための文字
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などが見れたのは、感動ものでした。そして、隣にある最近新装された展示室は、地上局の巨大なパラボラアンテナとそのネットワークの概要や、アポロ計画で持ち帰った月の石の実物などを見ることができました。

次に、オペレーティング・ルームと呼ばれる、JPLが宇宙船や衛星と更新するための地上局を見学させていただきました。大統領など要人が待機する部屋も隣にあって、まさに映画のワンシーンかのよう。
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この中のスクリーンにて、見学者は過去のJPLの偉業に関するビデオも視聴可能でした。(この写真ど真ん中の画面にビデオが流れます。)
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我々は、火星探査ローバーがどのような軌道を通ってどう着陸に成功したか、関連のビデオを、計3本見せていただきました。

さらに、大型のクリーンルームへ。ここでは、来年打ち上げ予定のMars Science Laboratoryをまさに組み立てている最中でした。JAXA内にある建物と、外観、中身、人が働いている雰囲気も、とても似ている印象でした。

最後に、実験棟が2つ入っている部屋を見せていただきました。片方はロボットアームのキャリブレーションを実験中。もう片方では既に打ちあがった火星ローバーが、どうやら岩の上に乗ってしまったようなのですが、その状況を地上で再現してどうすれば脱出できるかを実験している部屋になっていました。

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これらの見学をしながら色々と話を伺う中で、やはり宇宙開発の世界はまず「前人未踏の壁を乗り越え続ける」ための競争に純粋にチャレンジすることで、科学者や技術者のモチベーションが最も高まる世界なんだなあ、という印象を強く受けました。これは例えば、JPLという組織がどのようにミッションおよびプロジェクト全体を計画・設計しているか、という話や、最後のクリーンルームで「送られて来るごく一部の情報のみを頼りに、模型を作って状況をシミュレートしながら実験し、再度指令を出す」という、まさにエンジニアリングの問題解決を目の当たりにした時に、感じたことです。よく1960年代にソ連と米国が激しく月到達合戦を繰り広げた頃が一番宇宙開発が進んだとは言われますが、この研究所には未だその匂いが充満している気がしました。

また、この印象が強烈だったのは、MBAで勉強したMOT(技術経営)やイノベーション論とは、上記の宇宙開発の世界と簡単に相容れないことを同時に実感したからでもあります。MOTでは大抵、「最も売上/利益が大きくなる、世の中で競合他社よりも買ってもらえる技術をどう開発するか」を暗黙の目標におき、「技術的な凄さのみに邁進してしまうと、せっかく良い技術があっても市場に受け入れられず、日の目を見ない」と考えます。一方、宇宙開発、特にJPLのような科学衛星の世界は、売上も利益もありません(コストはある)が、成果は技術的に凄ければ凄いほど日の目を見る傾向があるためです。もちろん、MOTの授業では、このような純粋な科学技術追求が良い商品開発に直結するわけではなく、ではどうするべきか、という観点の理論や事例は、いくつも授業で取り扱われました。しかし、今回米国の最先端の研究所と人を見て、良い研究開発を行う環境構築と、良い商品を世に売るための経営とを両立することは、授業のケースで単純化されたような話ではなく、実際にまとめきることは非常に難しい。だからこそ強力なリーダーシップが求められるのだ、と改めて気づきました。

一方で、予算不足に関しても話題になりました。日本で事業仕分けで宇宙関連事業が削られているのと同様、JPLでもブッシュ政権以来の予算削減が深刻な状況のようです。 欧州で予算が多くなることは直近まず考えられないため、現状で宇宙開発のできる資金、技術、立地、制度の面でも有利な国は、やはり中国とインドになってくるのだろうか、ということも、考えさせられました。

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夜は、コリアンタウンへ。さすがLAのコリアンタウンは規模が大きく、チヂミや冷麺等各種料理の専門店があり、かつ妻の友人の韓国人が言うにはサンフランシスコやオークランドよりも味が良いそうです。
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今回訪れたのは、ミシュランにも載っているParks BBQ
955 S. Vermont Avenue
Los Angeles, CA 90006
213-380-1717
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有名人の写真が何枚も張られている有名店のようです。韓国料理にしてはとてもきれいな内装に、とても高級そうな肉、
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珍しいキムチのチヂミ
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多種多様な前菜
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上品な味のスンドゥブ
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そして冷麺を堪能できました。
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値段も一見高そうですが、量が多めであまり注文しなくて良いので、結局リーズナブルに収まる、良い店でした。

その後は韓国喫茶店へ。夜2時までやってて安い以外は、日本のスターバックスみたいでとてもきれいな雰囲気の良いところでした。ここでは、私と同年代か少し若い研究者の方3名といろいろな話を語りましたが、ビジネスの観点から色々なアドバイスを求められることも多く、MBAを取ったことでおかれた立場のようなものを実感。ともあれ、そこに集まった全員の今後の発展を祈るのでした。


6月4日(土)
翌朝はゴルフ。Scholl Canyonという、パー60のコース。値段は金曜日午前という最も高い時間帯にカート込み$23ととても良心的ですが、崖や高低差のきつい長めのパー3が多く、山の上から遠くにロスの大都市を見下ろせる景色も含めて、とても楽しめました。
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途中テーピングをした足が踏ん張れずにボロボロになったコースもいくつかありましたが、初めてパー4でバーディーが取れたことは満足でした。

昼食後サンディエゴへ移動。ラ・ホーヤという、海岸線沿いの高級住宅街を一通りドライブして堪能した後、日本人経営の有名なSushi Otaへ。
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サンディエゴで一番美味しい寿司だ、と聞いていたのですが、広い店内が満席で人でごった返していることからも、その姿がうかがえます。我々は3日前に予約したため、スムーズに入れましたが、予約なしの人は1時間半待ちだったようです。

一番入り口に近いカウンターに案内されると、なんと目の前で握っておられる方が、創業者の太田さんご本人でした。さっそく、サンディエゴ近海で取れたばかりのウニと甘えびが乗った刺身盛りを注文します。
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この真ん中の海老の頭は、まだ生きたまま足をばたばたさせて動いているのです。ミョウバンで締めていない本当に生のうに、えび、あわび、中とろ、と、すべて最高に新鮮な味でした。「3年間だけ修行のつもりで米国に来てみて、こんなに新鮮でうまいウニが取れることに驚いた。このウニなら、世界で勝負できる、と考えて、一念発起してここで店を出すことにしたのが20年前」と、創業当時のことを語っていただきました。そうこうしているうちに、次に握りセットが来ます。
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これまた、1つ1つのお寿司が程よく握られていて、どれを取っても絶品です。「(アメリカ人があまり食べない)ウニの供給を確保するのは大変なんじゃないですか?」と聞くと、「それは大変。まずウニの出来具合が天候に大きく左右されるし、ウニを取ってくるダイバーの方との信頼関係も重要。この店をやりながら、ダイバーの人も育っていって、何年かしてようやく5段階のうち最高級のウニが安定してうちの店に供給できるようになった。今では、そのウニのダイバーは全米中の最高級店に卸すまでに大きくなって、本音ではあまり他店にこのウニを広めてもらいたくないけど、それでもうちにはとりわけ良いものを卸してくれるよ。サンタバーバラのウニも有名だけど、私はこのサンディエゴのウニの方が好きで、これ1本でやっています。」とのことでした。

最後に、どこかで「カリフォルニアが旨い」と聞いていた、みる貝とえんがわを単品で注文。これまた、塩が聞いていて締まった実が厚く、大変満足な味でした。
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お客さんの大半が外国人でしたが、「最初は地元の日本企業の方がほとんどでしたが、徐々に外国人が増えだして、今では外国人の常連さんがすごく多くなっています。お客さんとの関係には、日本も外国も関係なく、日本の寿司屋でやっている『真心を込める』、といったようなことが、こちらでもとても重要だ、ということに気づかされます」とのことでした。確かに、店員の方のサービスは日本的に至れりつくせり。10名ほどいらっしゃる寿司職人の方々の胸には外国人にも読みやすい名札がついており、カウンターでは半分英語、半分日本語のとても親近感のある会話が繰り広げられていて、とても明るい店内でした。

というわけで、味も景色もさることながら、米国で頑張る研究者達と創業者のエネルギーに圧倒された2日間でした。次は、翌日のサンディエゴ観光と、ディズニーランドの話になります。
by golden_bear | 2010-06-04 02:23 | 旅行
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