A Golden Bearの足跡


UC Berkeley Haas School (MBA) における、2年間の学生生活の記録です。
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第2回 Haas Talent Show: 留学中に芸を磨き表現する意義

「1-2年間、顧客や上司や仕事のノルマから思いっきり解放されて、自分や家族で好きなことが、履歴書を傷つけずにできる」ことは、フルタイムMBA取得の大きなメリットだと思います。そして、一度ストレスフルな社会人を経験した上で、学生に戻って好きなことに打ち込むことは、大概以前よりも圧倒的に集中し、高効率に高い効果を出せることが多そうです。これは、新しいことを始める、及び、昔からしてきたことの継続や再開の双方に、当てはまると思います。

どちらかといえば、MBAの2年間では、まずはじめに昔からの継続より、新しいことを始めてみる人が、多いと思います。これは、仕事をストップして高い資金と時間の投資をして来るからには、過去の継続だけではしょうがない、という意識が高いのだと思います。振り返れば、入学直後のオリエンテーションから、新しいことを始めてみよう、と言う雰囲気が充満していて、実際スタートアップを立ち上げる、大きな転職、新たな趣味やクラブ活動を極める、などなど、何でも良いので1人1つや2つは新しく何かを実現している人が多いと思います。

こと新しく始めた趣味、に関しては、私はブログ、中国語、ゴルフの3つを始めて、質はともかく卒業まで継続できたことは良かったと思います。また、日本人同期の例だけでも、マラソン、料理、スキー、自転車、などなど、皆様それぞれプロ顔負けに極められていています。こう簡単に書いてみましたが、入学時平均29歳という年齢から新しいことを始めるには、結構な苦労が伴います。しかし、米国の中でも「新しいことを始めるには、最も適した場所」と言われているサンフランシスコ・ベイエリア。上述の周りの雰囲気に加え、最高の気候と美味しい食べ物・ワインが、苦労を苦に思わなくさせてくれる意味で、新しいことを始めるのに力強い後押しをしてくれます。

一方、卒業直前の時期になると、MBAは昔からの趣味の再開にも、とても貴重な機会を与えてくれることに気付きます。その1つが、先日紹介したスポーツ大会のC4C。私自身はバレーボールを楽しみましたが、元プロゴルファーやプロ自転車競技者、バスケットボールやスカッシュ等様々な競技で、日本人同期にもサッカーやテニスで、プロ顔負けの活躍をしている友人たちがたくさんいます。

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そして、今年第2回となる、Haas Talent Show。昨年同様、見るもの全てを感動させるような素晴らしい芸術・技術の数々が繰り広げられました。その模様は、下記から演目別に動画でお楽しみいただけます。

Haas Talent Show YouTube Channel (クリックしてリンク先に)

YouTubeで番組が持てると、個人でもこういう面白い使い方があるのだ、と初めて気付きました。便利な世の中になったものです。

幾つかのハイライトを紹介すると、
○ ベリーダンス: 昨年このTalent Showを創設した台湾人の友人のダンス。今年4月に地元ベイエリアでも2週間の公演を行っていた彼女は、去年は台湾の伝統的な踊りを現代芸術に昇華したようなダンスでしたが、今年はとてもSexyなダンスで驚きました。
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○ ボリウッド: 昨年はほとんど女子だけでしたが、今年は男女半々で、より力強さが入って大変盛り上がりました。ここで当日一番のサプライズとして、日本人の同期が1人、インド人に混じって溌剌と踊っていたこと。Talent Showを機会に、新しいことを始めて友人を作る、ということを実践されている、素晴らしいものを観ました。
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○ ジャイブ: 昨年同様、Haasの教授ご夫妻が激しいラテン系のダンスで魅せてくれました。
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○ 学長のギター弾き語り: 昨年は、いつも偉そうにスピーチしている自分の仕事や立場が如何に大変か、とぼやいて、素の自分を上手く表現しながら笑いをとっていました。今年はボブディランの替え歌で、スタッフへの感謝と力強いメッセージでした。
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○ Leading Through Innovation Band: トリを飾った2年生のバンド。3曲演奏した最後の曲では、1時間半前にアリアを歌っていたオペラ歌手のJさんがボーカルで参加し、Guns 'n Rosesの"Paradise City"を熱唱。日本でも学生バンドの定番曲ですが、米国人かつオペラの女性ボーカルがTシャツを引きちぎらんばかりの勢いで歌ったこのナンバーには鳥肌が立ちました。最後は皆でステージに上がって大熱唱
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ここからは個人的な話になりますが、昨年同様妻と2人との連弾で、George Gershwinの"Rhapsody In Blue"で出演しました。当日の演奏はミスだらけでしたが、4月頭から1ヶ月間の準備プロセスは、MBAを終えようとしている自分の現在と深い過去とを結び付けて、この素晴らしい2年間を与えてくれた米国、Haas関係者、そして妻への感謝の気持ちを凝縮させた、1つの集大成の表現に出来たと思います。

○ 選曲:
日本でも「のだめカンタービレ」のテーマソングに使われている有名曲ですが、まさに米国を代表する曲で、後述の通りとても難しい。これを弾くのかどうかは妻とも相当議論がありましたが、下記どうしても弾きたい、という理由がいくつもあり、押し切ることに。

- 自分のルーツがある曲(1)
振り返ると、この曲と初めて出会ったのは、小学校4年生の時。当時マーチング・バンドという、上から見て様々な絵を表現するように歩きながら演奏するバンドに打ち込んでいて、そこでの演奏が最初でした。

過去にもこの、マーチングバンドで100名の小学生がどう一糸乱れず動けるのか、というメカニズムから大学の卒業論文のヒントを得た事がありました。今回タレントショーに選曲してみて、このバンドを立ち上げて指導された3人のやる気に満ちた小学校の先生方に、自分がとても影響を受けていることを、改めて実感しています。この3人の先生方は、音楽は全く専門ではなく、課外活動で水泳やサッカーなどを精力的に教えていましたが、たまたま隣町の小学校がマーチング・バンドの大会で全国優勝し、その演技力の高さに驚く。別の小学校で仲の良い先生も全国大会の常連チームを指導されていたことから話を聞き、見よう見まねで立ち上げ、楽譜の調達から指導方法まで全て手探りで取り組まれていたと思います。

私が4年生の時が創部2年目。翌年5年生の時に初めて地区大会に出て、激戦区の中第2位の評価を受ける(第1位は全国優勝)。が、翌年は周辺校もレベルを上げたため、我々も数段実力向上したものの、評価を下げる。文部省の学習指導要領は全く関係なく、実績も無いこのクラブを、3人で協力しながら、創設から父兄を説得しての生徒集め、強豪校にまで育て上げる。実際、先生が変わった後もブランド・伝統が残ったのかクラブは存続し、十数年経った最近全国優勝したと聞いています。この立ち上げの最初期に、3人の先生方のやり方を肌で感じれたことは、組織を立ち上げてどう大きくするか、という考え方を育む貴重な経験になっている、とMBAを履修し終えて改めて感じています。

Rhapsody In Blueに関しては、小学校4年生の時に初めて演奏した時は、とにかく変な曲だなあという印象でした。何よりも、テンポが一定でなく歩くのが難しいため、以後あまり使われることも無く、記憶の奥底にしまわれていました。恐らく先生方も、有名だから、という理由だけで楽譜を輸入してしまい、練習させたものの本番では使わなかった「失敗」だと想像されます。この「失敗」の印象が、かえって当時の混沌とした立ち上げ時期を、より鮮明に思い出させるのです。

- 自分のルーツがある曲(2)
次にこの曲を意識したのが、米国に初めて赴任した時。赴任地がユナイテッド航空の本拠地があるシカゴだったため、出張や移動でオヘア空港に降り立つたびに、家でテレビをつけるたびに、何度と無くこの曲を聞きました。また、Haasにきた時にも、サンフランシスコもユナイテッドの大拠点だからか、シカゴ同様テレビでも街でもこの曲が一杯かかっている。妻もそれに気付いたのか、「アメリカ人ってガーシュウィン大好きなんだねえ」という感想。本当に良く耳にする上、曲も良いため、いつ聴いても元気になります。

- ピアノ演奏のマイルストーン
大学生以来、ピアノを弾く1つの動機として、数年に1回のペースで大曲を弾きたい、という事を漠然と頭に思い浮かべていました。以後5年おきに、20歳、25歳、30歳では、偶然も手伝ってその目標を達成できたのですが、このラプソディー・イン・ブルーのソロ版を、35歳までのマイルストーンに設定していました。現実的には、35歳の自分にピアノを弾いている余裕はない、と思っており、その意味で妻との連弾の短縮バージョンという形にしろ、前倒しで達成できたのは、非常に嬉しい機会でした。次は40歳までに何弾こうか、と思いをめぐらせています。

- 米国人向けのプレゼン:
今年キム・ヨナさんがオリンピックで金メダルはともかく、ものすごい高い得点をたたき出したのは、選曲がガーシュウィンのへ調のピアノコンチェルトだった、ということが一因のような気がします。それくらい、アメリカ人はアメリカ、ガーシュインが好き。私自身も、このアメリカに2年間どっぷりつかっている瞬間だからこそ、アメリカ人に対してこの曲を演奏する、ということは、まさに今しかできないこと。自分を2年住まわせてくれた米国という地に対する感謝だと思っています。

○ 曲の編集
連弾編曲は様々な版がある中、作曲者本人許可の下編曲したHenry Levine版を使うことに。これは実は、元々同氏編曲による2台ピアノ用の楽譜を、無理やり1台ピアノに詰め込んだ、超高難易度のもの。世の中"Rhapsody In Blue”の"Piano Duo"のCDは無数にあるのですが、その殆ど全てが2台4手。この1台4手版は、プロだと弾こうとすらしない曲のようなのです。

とりあえず、元々15分もある原曲を全て弾くことはできないことから、6分に削ぎ落として、楽譜の中で弾けそうで効果が高い部分をつなぎ合わせることに。しかし、これまた一苦労。
 - 印象的な部分が多すぎて削るのが勿体無い
 - オーケストラ版では「ここがかっこいい」と思っていたところは、実はピアノ連弾にするとヘボイ、
 - しかも連弾譜だとピアノ・ソロと違い、ぱっと見ただけではどういう演奏効果かわからない、、、

偶然このHenry Levine版のMIDI(コンピューター自動演奏)を無料でダウンロードできたので、それを聞きながら編集できたのですが、これが無ければあきらめてたかもしれません。

このようにして演奏箇所が決まると、大学そばのコピーセンターで楽譜をコピーし切り貼り。ここでは、1枚3セントでコピーができることを知り、格安ぶりに驚きました。

○ 編曲 
こうして6分間の編曲ができたものの、何かもう1パンチ足りないなあ、と思っていたところ、なんと「のだめカンタービレ」のCDでは、この曲の冒頭の有名なクラリネット部分を、ピアニカで演奏されている、ということを知る。ピアニカでできるならアコーディオンでも良いのではないか、と考えて、最初の部分だけアコーディオンを使うことに急遽決定。恐らく前代未聞のRhapsody In Blue Accordion Versionの完成です。これも仕事の宴会芸で身に着けた功ですが、わざわざアメリカまで持ってきた甲斐がありました。

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6分強の演奏を終え、演奏としては去年の方が上手くいった気がしますが、選曲の妙だったのか、今年の方がよりたくさんの人に様々な感想を頂いています。
「アコーディオンの最初の旋律で、何の曲かわかって良かった」
「日本人もこれ、飛行機の曲だって知ってたというのは驚きだ」
「めちゃくちゃ長くなる、と思ったけど、うまくハイライトされていて良かった」
「普段一部分ずつしか聞いていなかったので、まとめて聴いてこういうつながりになる、とは初めて聴いた」

やっぱり、アメリカにいるからには、アメリカ人の心をつかむ工夫が重要なんだなあ、と改めて感じました。そして、当日学業もビジネスも関係ない同級生の多彩な才能に感化され、自分もますます仕事に趣味に、家族と共に卒業後の人生を充実させていかなければなあ、と、心を新たにしています。

(後日談) 早速、その第一歩として、Craigslistでピアノを売却し、その資金で妻への感謝の気持ちを込めてiPadをプレゼントすることに。その話は後日レポートしたいと思います。
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by golden_bear | 2010-05-06 23:07 | 学校のイベント
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