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A Golden Bearの足跡


UC Berkeley Haas School (MBA) における、2年間の学生生活の記録です。
by golden_bear
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2009インターン状況レポート(1) Haas視点での他校比較

(注)本記事は、2009年10月31日時点の情報を元に書かれており、今後新たな情報が入り次第変更する可能性があります。

元の企業に戻る方以外のMBA生にとって、一番憂鬱で最も大事なイベント、就職活動が、11月に入り佳境を迎えています。2年生は例年12月末までに多くのフルタイムの内定先が決まる(注1)ので、毎日毎日誰かがスーツを着て面接を受けているのが、この時期の光景です。一方、1年生も、来年夏のインターンシップに向けて、金融業界はそろそろ面接のピーク、コンサルティングは12月以降、他の業界も年明け以降の面接ラッシュに向けて、準備を始めているようです。

そこで、今後いくつかの記事で、私自身の今までの経験を踏まえて、主に「在米日本人MBAが米国でインターンを獲得するため」に役立ちそうな情報を書いてみます。ちなみに、「日本人MBAが米国で職を探すのが大変である」、というテーマでは、既に渡辺千賀さんのブログ記事及びその中にあるリンク先で相当述べられていますので、興味ある方はそちらも参照下さい。ここでは、それらの中でまだあまり述べられていない話や、私個人の経験に基づく話を中心に、書きたいと思います。

本日は、大学別・地域別によるインターン傾向分析結果の紹介です。こんな分析をしてみようと思ったきっかけは、次の考えになります。
○ 私自身の話を書く前に、まずはマクロのトレンド(時系列比較と他校比較)を見ておきたかった。少なくとも、MBAスクール別の就職状況について分析した例がすぐみつからなさそうなので、自分でやってみようか、と思った
○ 数週間前に、"コロンビアMBA留学記"のnoritayaさんによる、CBSの2009年インターンの就職状況という記事を読んで、私のいるHaasとのあまりの違いに、笑うしかなく、とても驚いた。実は、HaasとColunbiaは2年生の秋学期にお互い数名ずつ学生を交換留学させていることもあり、このギャップはきちんと定量的に調べたら面白いかも、と思った
○ Haas見学者の方に何度か、"Haasって、ビジネススクールの中でもエンジニア出身だらけで、文系の人は行きにくいんじゃないですか?"、という質問を受けていた。実際には合格者の半数以上は文系出身なのですが、在学中に得られるインターンの経験の傾向を、他校と数値で比較するのもひとつの学校選択の基準になるのでは、と思った

このような就職情報データは、各校の就職課が統計情報としてWeb上で公表しています。そこで、地域別の傾向を見るために、様々なランキングでよくTop10と呼ばれるMBAスクールの常連校から、西海岸2校、中西部2校、東海岸4校の8校、過去3-4年の"業界別インターン先割合"データを取って、平均をまとめてみました(注2)。業界のカテゴリーは各大学様々ですが、私がいるHaasの視点で、Haasで使われている一番単純(おおざっぱ)なものでまとめてみました。下記の表が結果になります。(クリックで拡大します)
2009インターン状況レポート(1) Haas視点での他校比較_c0174160_14435349.jpg
結果からわかった意味合いです。(Haas視点の切り口で見ていることに留意願います)

○ 全般: どこの大学も全ての業界を網羅しているとはいえ、場所の学校別の特色や、違いによる、インターン先の傾向の違いはとても大きい。従って、
 - MBA受験生の方々へ: MBA在学中に、米国/グローバルでインターンをしたいのなら、大学及び場所選びは重要なポイント。この点、受験時には、よく日本で言われている以上に、出願エッセイにて強調しても良いかもしれない
 - MBA1年生で今後インターンを探す方々へ: 入学後にもし、自分の大学が、自分がインターンしたい業界に米国で「一番強いわけではない」とわかったら、同地域他大学の友人は勿論、他地域まで含めてネットワーキングをした方が、より良い就職先が見つかる可能性が高くなると思われる

○ 大学別の傾向: 
 - Harvardが全ての業界においてほぼ中央値に位置しているのは、さすがMBAの代名詞
 - この切り方をすると、東にいながらテクノロジーに強いMITは、満遍なく強い大学、となる
 - Stanford、Whartonは場所柄それぞれテクノロジーと金融に強みを持つが、それ以外はバランスが取れている
 - KelloggとChicagoは、同じ地域の全く対照的な大学
 - HaasとColumbiaは、両者ともさほどコンサルティングに強くないことを除けば、西と東で良い補完関係にあり、インターン直後に行われる交換留学プログラムにはとても意味がある

○ 業界別のコメント及び補足:
 - 金融: 一般的に金融に強いといわれる、Wharton, Chicago, Columbiaの3校は、やはりインターン先も金融に半数以上行く(というか、それでも半数は別の業界を選ぶ)。一方で、金融にさほど強くない、といわれる、Kellogg, MIT, Haasでも、20-30%の就職先があり、少ないとはいえない
 - コンサルティング: MBA就職先の花形かと思いきや、各校12-25%程度。西海岸がやや少ないが大差ないようだ。(ちなみに、業界ではなく職種別で見ると、コンサルティングの数字はこれらより10%程度ずつ高くなるので、米国では社内コンサルティング部門みたいなところでのインターンも盛んと思われます)
 - テクノロジー: 予想通り、というか、Haas,Stanford,MITの3校が圧倒的に高い。
 - バイオ: Haasが圧倒的に高いのは、MBA/MPHプログラム(Master of Public Health)の存在が大きいかもしれない。スタンフォードが低めなのはとても意外(私のカテゴリー判断ミスかも)
 - その他業界: ここが高いところは、より多様な業界に行ける可能性が多いのでしょう。HarvardとStanfordが多様なのは、納得です。また、Kelloggは製造業や消費財などの割合がとても高く、シカゴの土地柄をよく表しています。


最後に、各校別の生データのソース所在と、分析で私が利用した数字(注3)を下記に掲載します。ここで、2009の情報を公開している大学を見るだけでも、下記のように2009年の就職活動が如何に例年に比べて悲惨だったかが、数値に表れているようです。
- 各大学金融へのインターン割合が、10%近く下がっている(例:Harvard 40->31%, Stanford 34->27%, Wharton 53->44%, Columbia 57->49%, Chikago 54->48%)
- NonProfitやOthersなど、例年あまり見ないインターン先が激増(例:Harvardのnon profit 5->11%、ChicagoのOthers分類 3->13%、Stanfordのnon profit 5->9%、およびTechのうち6%分は新カテゴリーのClean Tech)
ただし、各校の強みがある分野は、あまり落ち込んでいないかもしれないです。例えば、他校のReal Estateが軒並み消滅している中、Whartonは、4%を保っています。このような視点で、受験生や在校生の方々は、各MBA校を見直すと、面白いかもしれません。
2009インターン状況レポート(1) Haas視点での他校比較_c0174160_1444461.jpg
2009インターン状況レポート(1) Haas視点での他校比較_c0174160_14441519.jpg
2009インターン状況レポート(1) Haas視点での他校比較_c0174160_14442864.jpg


(注1) 今年は、フルタイムの採用活動を来年1-3月頃にずらす、と表明している企業も少なくないようです。

(注2) 2009年10月31日時点で、Haas、MIT、Kelloggの3校が2009年分を公表していない。また、Columbiaは2008-9の2年分のありかがわからなかったので、"コロンビアMBA留学記"の数値を参考にした。もちろん、2009年の数値は他の年に比べて金融危機のインパクトが大きいが、各校とも金融が減った分その他が増えている、という傾向は共通し、全体の分析の意味合いを大きく変えるわけではないので、そのまま残した。

(注3) 一部、各大学内の情報を時系列でそろえるために、私が独断で変更したカテゴリー名及びそのカテゴリーに丸めた数字を含みます。
by golden_bear | 2009-11-01 21:50 | 就職活動
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