A Golden Bearの足跡 |
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明日昼の授業確定まで毎日、「俺の持っている授業Aを授業Bと交換してくれないか」、「私のチームメンバーになってくれないか」など激しくメールが飛び交い、授業中もずっとadd/dropの画面を見続ける人が多い中、授業自体はぼちぼち本格的になってきました。本日は今取っている授業の中から、水曜日の夕方から夜の、2つのEntrepreneurship(アントレプレナーシップ/起業学)系授業のさわりを紹介します。
(1) MBA295E Case for Entrepreneurship (水 4-6pm) 夏にスタートアップでインターンシップをした人しか取れない授業。内容は単純で、「自分のベンチャー企業でのインターンシップ経験を元に、1つのケース教材(注1)を書き上げ、学期中に全員1回ずつ、その教材を用いて授業を行うこと」。ケースの題材は、実際に起こったことに即しているのであれば、マーケティングでも組織行動論でも資金調達でも何でも良い。しかし、「何かの授業で教授が実際に使える、と思ってくれるかどうか」が、評価基準となっているために、テーマ選びがとても重要。そして、実際に一緒に働いたCEOやそれに近い経営陣を巻き込んで、守秘義務のなかでどれだけ深く必要十分な情報としてまとめ上げられるか、の勝負となります。こうして、全てが新しく特殊条件の塊のようなスタートアップの業界・経験から、皆に判りやすく普遍的に生かせる学びを、自分なりに抽出しまとめ上げていくことが、授業の狙いのように見えます。 実は水曜夕方のこの時間、他にも"Innovation Creativity and Entrepreneurship"や、"Private Equity Speaker Series"といった人気授業がかぶっており、この授業にはほとんど人が集まらず現時点で8人しかいません。しかし、うち1人は工学部のPh.Dで、1人はスタートアップで働きながらEWMBAという夜間/週末コースのMBAに来ている人、そして残りのうち3-4人は、Mayfieldというスタートアップでインターンをすることで奨学金を貰っている、という優秀な生徒ばかり集まってます。この8人に対し、起業やベンチャー投資経験が豊富な教授が2人も付いており、ほぼ独占できる、という、全くもって贅沢な環境が出来上がっています。 私の場合、元々夏休みのインターンを元に、Independent Studyという形で現在の環境ビジネスとスタートアップの関係に関する研究をしようとも思っていたのですが、他にも勉強することは多いし、テーマも漠然としたまま、ぴったりの教授の時間はなかなか取れず、億劫になっていました。こんな中、正に直近起こった他人のスタートアップ経験を毎週学びながら、良い指導教官の下、自分でもケースという形で作品を残せるのは、とても嬉しい授業です。 ちなみに、昨日の授業では、1人オーストリアに学会発表に行っている学生がおり、WebカメラつきPCで授業に参加していました。「隣の人とのディスカッション」の時間になると、ノートPCごと運ばれてヘッドホンでスカイプをして、また全体会議で教室の真ん中に置かれるノートPCの彼は、ちゃんと授業についてきて発言もする。こういうやり方が許される、とてもアットホームな授業です。 (2) Venture Capital & Private Equity (水 6-9:30pm) こちらは同じアントレ系の授業でも、まさにHaasの看板授業の1つというべき、大人気の授業です。未だ受講可能性を探って立ち見が20人ほどいる盛況なこの授業は、アントレ系の看板教授であるJerryが、全然性格や経歴が異なる2人の教授を従えて、毎回「Venture Capital(以下VC)、Private Equity(以下PE)とは何なのか」を深く追求していきます。教室の雰囲気も打って変わって、下の写真のようなHaasで2番目の大教室になります。 昨日の授業では、下記4つの話が凄い勢いで議論されていきました。 - 事前に読んできたケース:「MBA生が3つのPE/VCファームからオファーを頂いたが、どこを就職先に選ぶべきか」を元に、自分自身がPE/VCに行く際に何をどれくらい考慮すべきか徹底議論 - 上記が終わりかけたところで、Haasの卒業生で実際にVCで働き成功している人2人が授業に登場し、それぞれ何故VCをやっているのか、今の不況下でどのような状態なのかを議論 - 夕食休憩を挟み、今度は別の教授2人が、VC/PE業界の現状について、統計データを元に、1人は悲観的な現状とシナリオ、もう1人が別の切り口で楽観/成長論を述べて、VC/PE業界の現状認識を深める - 最後に、課題「4人のチームで9月一杯までに、3人のベンチャーキャピタリストにインタビューをする」についての説明。面白いのは、誰をインタビューするか人を選んだ時点でこの課題の1/3の評価が付いてしまう。その心は、1つには、本日の授業全体を踏まえて「あなた自身が何故その人にインタビューしなければならないのか、何を聞くのか」徹底的に考え尽くすこと、次に「企業を選んでも意味は無く、重要な個人を選びぬく必要がある」こと、そうして「(たとえ面識が無くても)自分が一番インタビューしたい、忙しいベンチャーキャピタリストの時間を何とか確保すること」。 今日のこの授業だけでも、下記に1つだけ組で書いた学びの塊を、いくつも貰っています。 - マクロな統計では、09年上半期のVC投資金額は過去数年類を見ない小さい金額になっているが、もっと長期で見ると実は今までがバブルで今年の金額は妥当&順調に成長している可能性もある - 一方で、今まさに小さいアーリーステージのベンチャーにおいては、物凄く活発に投資が起こっている分野もある(ちなみに、日本にもあるそうだ)。が、これらは統計に出てこないほど小さいし、これを「投資チャンス」と思える角度の視点で見ることのできる人がほとんどいないので、皆気付かない。 このように、不人気でアットホームな授業と、大教室の看板授業とを組み合わせて取ることで、毎週水曜日は、シリコンバレーという世界最高の環境で生に触れることのできる「起業学」について、どっぷり浸かりたいと思います。 (注1) ビジネススクールでよく用いられる、「ケースメソッド」と呼ばれる学習法の教材。「ケース」とは、過去に実際に起こったある企業の、会社全体、チーム、及び、経営者や若手マネージャーなどの個人を主人公として、降りかかるビジネス上の課題をまとめた物語のことで、多くの場合、最後にその主人公が何かの決断・行動を迫られる場面で終わる。「ケースメソッド」では、学生は予習として本文を読み、参考資料のデータを分析して自分の答えと根拠を用意して授業に望み、授業で長所・短所や取りうる決断を教授と生徒が活発に議論する。その教材としては、シンプルなもので3-10ページ程度の本文と2-10ページ程度の参考資料(図表など)、複雑なものでは40ページ程度の本文&参考資料となり、さらに講師用のガイド(指導目的・内容や現実にその後起こった内容など)とで構成される。
by golden_bear
| 2009-09-02 23:47
| 学業
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