A Golden Bearの足跡


UC Berkeley Haas School (MBA) における、2年間の学生生活の記録です。
by golden_bear
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第1回 Haas Talent Show への出演

2週間前になりますが、5月7日(木)に第1回Haas Talent Showが開催されました。同級生の台湾人Eさんが昨年に内輪のホームパーティーでやってみたところ、大盛況だったので、大学に説明してイニシアチブとして立ち上げたものです。私もいつの間にか巻き込まれて、妻と共に出演者として参加したので、その様子も含めて報告いたします。

まずは参加までの経緯について。このTalent Showの2ヶ月ほど前、私と一緒にビジネスプランコンペティションに参加していた、ギタリストでイスラエル人弁護士のEさんが、「Talent ShowのMusicの取りまとめになったので、お前もなんかやってくれないか?例えば、浴衣を着て日本の曲を演奏する、とかでいいから」と声をかけて来ました。この時は、どんな会なのかも何もかもわかってなかったので、生返事だけして、とりあえず考えとく、と言って頭の片隅にとどめておきました。その後、Japan Trekからの帰国直後に、オペラ歌手のJさんより、「エントリーの締切があるよ」とのメールを頂き、思い出すことに。Jさんの歌が聴けるような会になるなら、という事で、前向きに考えることにしました。

まず、どんなパフォーマンスを誰とするか。幾つか選択肢があったのですが、ここは10分ほど考えてすんなり、妻とピアノの連弾をすることに決めました。その理由は、

- 今回はどうしても楽器をピアノにしたかった。というのは、これは自分の中でかなり面白い発見だったのですが、昨年夏にバークレーに来てからは、12年ぶりにピアノを弾くモチベーションが薄れたのです。そして何故過去ピアノを弾くモチベーションが高かったのかを考えると、当時考えていた理由(注1)とは違う新たな意味として、ピアノが常に人生の気晴らしだったことに気付きました。浪人中は受験勉強、大学3年まではバレーボール・勉強・バイト、大学4年以降は衛星製作、就職後は勿論仕事、と、常にストレスとプレッシャーの溜まることを人生のメインにおいていたため、いつの間にかピアノを弾くという行為が、気晴らしになっていたようなのです。これは、忙しければ忙しいほど、余計5分でも合間を見つけて定期的にピアノを弾いていたことからも、頷けます。ところが、バークレーという環境に来て、今まで感じていたようなストレス&プレッシャーから一切解放されてしまうと、ここでやることなすこと全てが気晴らしになってしまったのか、ピアノを弾こうという気が全く起こらなかったのでした。というわけで、今回はピアノを弾く事を、気晴らしではなく主目的にすることで、何が起こるか試してみたかった
- いつも裏方の妻をたまには表舞台に立たせてあげたかった
- 今学期はあまりに自分のことで手一杯になりすぎていたので、妻との共同作業を強制的に入れることで時間を作ろうと考えた
- またピアノ連弾は、他の人はなかなかできない、被らない演目のはず

次に、曲選びなのですが、これが思ったより全然難航しました。そもそも連弾の曲に名曲が少ないのと、仮に曲があったとしても楽譜が無い、そして楽譜を見ると難しすぎてだめ、の3重苦がありました。これらを解決するために取ったのは、下記3つの方法です。

(1) インターネットの無料楽譜サイトの徹底的な調査:
飛び道具的に、一気に3つの問題を解決できるシンプルな方法です。せっかくですので、チェックしたサイトを下記に並べてみます。
Piano Four Hands Sheet Music and Duets. Free downloads of classical piano music.
IMSLP
Free-scores.com : World Wide Free Sheet Music (Directory and Direct Download)
Horowitz Scores Online
試聴できる究極のピアノ連弾通販サイト
連弾ネット
楽しい連弾の部屋:ピアノ・デュオの世界
あそびのピアノ連弾
d-score 童謡、唱歌、クラシックの楽譜ダウンロード
欲しい楽譜を1曲から簡単購入 ヤマハミュージックメディア「ぷりんと楽譜」
楽譜の風景 ~ ピアノ演奏の科学的アプローチ&面白楽譜達

見てわかるとおり、日本語のサイトがとても多いです。これは、単に私のGoogleの設定がいけないだけかもしれませんが、もしかしたら、ピアノ連弾、というニッチな業界においては、英語母国語圏よりも日本語圏の方が需要が高いのかもしれないです。ドイツ語、イタリア語が使えれば、また違う結果になりそうですが、いずれにしても国際公用語になっていないこういう世界では、まだグローバルスタンダードのビジネスが生めるのかもしれません。

とはいえ、どれも帯に短したすきに流し。2台ピアノはともかく、1台4種連弾だとなかなかいい曲が出てこないのです。また、 試聴できる究極のピアノ連弾通販サイトなんかは編曲はとても良いのですが、楽譜郵送だし、外国人聞いてもわからないし、もったいない。というわけで、結局調査は難航です。

(2) インターネット一般検索:特にYouTube
これもやってみたのですが、YouTubeで連弾またはPiano Duoとやると結構面白い映像が出てきました。しかし、数がまだ少なく、また自主編曲っぽい投稿が多いので、やってみたい曲(ボヘミアン・ラプソディとか)はあっても、結局手に入れられそうにありませんでした。

(3) 大学の図書館:
実はバークレーは音楽大学としても有名で、学生であれば無料の練習室や図書館を使い放題であることに、最近気付きました。この図書館、建物は最近新築され素晴らしいのですが、楽譜は古文書のような扱いで、「自分で弾きたい連弾曲」を探すためには非常に検索しずらく、骨が折れました。


こんな感じで、一巡してどうしたものか、と途方にくれていたのですが、思わぬところからのアドバイスがあり、一瞬で曲が決定しました。「この前ヨハン・シュトラウスを姉妹で連弾したのを聞いて、良かったわよ」という話を妻の母から偶然聞き、早速大学の図書館で手に入れて「美しく青きドナウ」弾いてみたところ、10分弾ききるには長くてだれるが、はしょれば丁度よさそうな感じで、採用になりました。さらに、「何十人パーティーに来るのかわからないが、ダンスなどもある中で、この曲だけでは盛り上がりに欠けると」、考えて、あそびのピアノ連弾さんにおいてあった「カルメン前奏曲」を加えることに。主催者の要請もあって、6分以内といわれたので、ドナウを3分半にまで大幅に削って、カルメンをそのまま残すことにしました。念のため、この2曲のオケ版をYouTubeから引用しておきます。(カルメンのピアノ版は、あそびの連弾リンクからMidiで聴けます)


こうして、曲が決定したのが2週間前。しかし、ここからが私にとっては地獄の日々でした。何しろ、ピアノを専門的に学んで来た妻にとって、(注1)に書いたような理由でピアノを弾いてきた私の演奏や練習スタイルは、全く受け入れられないらしく、毎晩毎晩練習するたびに大喧嘩をする羽目に。まあ、コンフリクトがあればあるほど完成度が高まるということで、結果的には良かったのだと思います。

そして当日。400人入るはずの講堂は、立ち見が出るほどの超満員で、さすがに私もこれだけ多くの観客がいる前でピアノを演奏するのは初めてです。というわけで、やる前から結構緊張。しかし、連弾は2人いてごまかせる分だけ舞台の上ではさほど緊張しないで済むことを思い出し、どうにか落ち着きました。

何回も衣装替えをした司会の3人組。面白かったのは、途中で"Twitterで司会にコメントを送ろう"、というイベントを始めたところ。面白いコメントを間のつなぎで使ったりしていました。
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就職先が無いことに始まり、2年間の愚痴を延々と風刺で歌う5人組のバンド
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アコースティックギターのジュークボックス
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パッヘルベルのカノン
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この次に我々の演奏。Japan Trekなどもあって名が売れていたらしい私は、入場の時から声援をかけられることに。最初の方は特に間違えまくってしまったのですが、選曲がばっちりはまったのか、カルメンの最後の方からは手拍子が始まり、最後はスタンディングオベーションをしてくれた人もいて、かなり気持ちよかったです。

Jさんのオペラ。工学と音楽学のDual Degreeで、オペラハウスのマーケティングをやってきた彼女の歌声は、プロでも通用しそうに上手い。当然スタンディングオベーション。
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バレーボーラーC君の引き語り。前のジュークボックスも筝ですが高音が出ていて異常ににかっこ良い
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主催者Eさん率いる中国舞踏団。坂本龍一の曲に併せて、羽衣の長いすそを新体操のリボンのように躍らせる不思議な舞踏
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C4Cのチアリーディング
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ボリウッド・ダンス。みんないつ服を準備して練習したんだろう、というくらい揃った出来
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EWMBAの方で、インド舞踏の銀メダリストによる、ソロ・ダンス
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前座としてサルサを踊る男女
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ここで、本日一番の盛り上がり、チャチャチャとジルバ。今まで何度か日本人による競技ダンスを見たことがあるのですが、背の高い白人男女が流れるようにきびきび踊ると、圧倒的にかっこよさが違いました。
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ピン芸人によるコメディ・トーク・ショー。アメリカにもあるんだなあ、と目から鱗でした。内容は、時事問題と大学で起こった出来事を絡ませて笑いを取る、という、日本の1人漫才と変わらないもので、笑ってしまいました。こういうの、英語の練習によさそうです。
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本日のサプライズ。学長のギター弾き語り。上手い。いつもスピーチではかっこよく、リーダーらしく強く語りかける学長が、裏では色々なことに不安を抱えている、とぼやく内容で、皆の共感を得ながら盛り上がっていました。
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そして、最後のイスラエル人Eさん率いる、バンドの時には、ステージに人がよじ登って盛り上がっていました。
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というわけで、第1回目ながら大きなトラブルも無く、大成功の形でやり遂げた主催者の方々、特に盛り上げるために何回も出演した、Eさんの友人の台湾・中国人の方々には、本当に敬意を表したいと思います。来年は、卒業記念に日本人や韓国人という形で、何かできたらよいなあ、と考えた、1年の締めくくり(注2)でした。


(注1) どうでも良いですが、よくピアノを弾きながら考えていた「何故ピアノを弾くのか」は、下記のようなことです。
- プロジェクトマネジメント(Xヵ月後の演奏会に、Xだけのリソースを当てて、投資練習量対演奏効果を最大化するプロジェクトを年数回実施する)
- アマチュア・マーケティング(このブログと同じく、全くお金を貰わない状況で、好き勝手に自分を表現するのがアマチュア・ピアノだとすると、のびのびと客商売の予行練習を行いながら、さらにフィードバックを貰うことができる。)
- 話の種(特に外国でたまたま置いてあるピアノが弾けると、友人作りのきっかけになること多し)
- 緊張感のコントロール(定期的に演奏会に出ることで、緊張をなくす方法を考える)
- 脳の活性化(指を動かしながら、天才が生み出した音を耳に入れる)
- 仕事のアイデア出し(例えば、楽譜はものづくりのマニュアル、と考えると、同じ楽譜を解釈してもプロと自分とで全然違う音楽になるように、熟練工はマニュアルを完全に自分のものにしてさらに高めるのに対して、初級工はマニュアルを守れない。両方ともマニュアルに従わないのに品質に雲泥の差が出るものづくりをする。このように、自分がピアノを弾くことに、どう初級工のスキルを上げるかのヒントが隠されている)
- 自分の健康のバロメータ(品質のばらつきが標準との差異となるように、自分の目に見えない疲れは演奏すればわかる)

(注2) 本日より3週間、ザンビアに向けて出発します。インターネット環境がどうなるのかわかりませんので、最長3週間アップデートできない状況と思いますが、書く内容は想像もつかないくらい多くなりそうなので、乞うご期待、お願いします。
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by golden_bear | 2009-05-21 20:06 | 学校のイベント
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