人気ブログランキング | 話題のタグを見る

A Golden Bearの足跡


UC Berkeley Haas School (MBA) における、2年間の学生生活の記録です。
by golden_bear
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31
ブログパーツ

無力感とやり切れなさを感じた事件(1/2)インド人との交渉

「派遣切り」関係の記事を大量に目にしたり、せっかくコンサルティング志望の同級生何人かにインタビューの訓練とアドバイスをしてあげたが、インタビューの申し出が1社も来ない、といった話を耳にするたびに、不況による爪跡の大きさを実感しています。ただ、このブログで不況について書いても何も良くなりませんので、今回は敢えて、もっと好不況関係なく普遍的に、無力感とやりきれなさを感じた時 - 今月遭遇した2つの事件、について自戒の意味を込めて書き残す事で、来年予想される更なる不況に対峙する第一歩としたい、と思います。

1つ目は、インド料理レストランと揉めた話です。
12月16日、自分が幹事となって、UC Berkeleyに在籍する日本人大学院生のための忘年会を開催しました。このきっかけは、留学の目的の1つに、「グローバルなネットワークの強化」を漠然と考えていた所、実は足元の日本人のコミュニティが一番弱そう:MBAとLLM(1年制の法科大学院)以外は、各学部とも優秀な方々が1-2人いるのに、各々寂しそうに孤立しているように見えて、かつ他大学にある日本人会のようなものが見当たらない(韓国人や中国人にはある)。グローバル云々語る前に、まず日本人の連携を強めてみようと考えたことでした。

学部はもちろん、年齢層(24-40歳)も、背景も、嗜好も異なる方々を喜ばせるために、特に日程と店選びには悩みました。
・ 日程:学部ごとに期末試験終了日が違う一方、多くの方が試験終了直後から旅行や帰省でいなくなる。17日からいなくなる方が何人かいると、いう話を聞き、16日に決定
・ 店選び: クリスマスシーズンで多くの店/パーティースペースは予約いっぱいで取れず。以前集まったことのあるタイ/日本/韓国料理を外し、30人程度入る&大学の近くで検索すると、なぜかインド料理ばかりヒット。まず1件良い店を予約したが、なぜか直前に「ライセンスが切れて酒を出せない」となり却下し、急遽2件目のインド料理屋を発掘。

念のため日本人同期5人でランチに下見に行く。5つ星の味と新装開店の貸し切り空間には大満足。お店のマネージャーも凄く親切に、「30人のパーティーなら1人$15か$20のコースがある」、「酒は原価で出して良い」、「普通閉店時間は9:30だが、オーバーしても構わない」とのこと。その場で5人で話し合い、「料理はサービス料と税込み1人$19、酒は$300以上越えたら幹事に連絡、終了10:00でお願いできないか」と伝えたところ、「ボスに確認するから明日まで待ってくれ」とのこと。翌日「その条件でボスとも話し全てOK」と電話がありました。
無力感とやり切れなさを感じた事件(1/2)インド人との交渉_c0174160_19215627.jpg

当日は大盛況で、みんなとことん酔っ払い、まるで新宿の居酒屋のような雰囲気で、私も数年ぶりにコールが掛かって一気飲みしてトイレでOUTする、という状況になりました。結局いい感じで11:00位まで飲み続けましたが、店のマネージャーからは”Is everything OK? OK good”、”皆飲んでるから延長してもいいよ”、”$300超えたから、あとは1本ずつ課金するね”、と行った具合に通常の対応なので、安心していました。最後の会計の時には酔っ払っていたものの、一応レシートの内容を一つ一つ確認しながら、1人$19の食事代、$300+追加の酒代、Tax(なぜか掛かっているが、元々余りはチップで渡そうと思っていたからまあいいか)、でトータルを支払い。丁度財布の中身で払いきれたので、何とかなっているのだろう、と思っていました。

翌日、悲劇が起こっていました。会計を確かめた結果、丁度±0くらいだと思っていたら、大幅な赤字になっていたのです。これには、私の2つの甘さがありました。

(1) 当日キャンセルの多さ: 実に23%の方が当日にドタキャン。期末試験中で間に合わなかった方、急に寒い日が続き本人やご家族が風邪をひかれた方が多かったこと(及びバークレーの何でも許される土地柄!?)を読み違えました。また、これは当日頭の中では予算に織り込み済みで大丈夫、と思ったのですが、23%も動くと酒代の固定費への影響がバカに為らないことを、当日多くの方が遅れてくる中での暗算の見積もりでは見落としてました。

(2) インド人のぼったくり: まず、レシートを見ると、なぜか追加の酒代と、「Beverage」という欄が2重に計上されている。これをお店の人に確かめると、「ごめん、Beverageと書かれているのはTaxの間違えで、TaxとかかれているのはService Feeの間違えで、計算は正しい。」とのこと。もしそうであるならば、Taxとサービス料込みで見積もりお願いしたにも関わらず、その上から再度Taxとサービス料が掛かっているではないか。これで、全体の料金が35%ほど割高になっていることに気付き、まずは1人で1回目の交渉に行ってきました。

こちらの論点は下記2点。
A. 食べ物の1人$19には、Taxとサービス料を含んだ値段と約束。その予算内とボスも了解。従って、$19にTaxとサービス料を上乗せするのはおかしい。
B. $19にはデザートを含んでいたが、出されなかった。メニューとしては先に$15で提示したものと似たようなものじゃないのか

その日、マネージャーは店にはいなかったので、電話で話すことに。私は、下記のような返答を一つ一つ聞くたびに、思わず→以下を、電話口で怒鳴りまくってしまいました。

対A.
1.最初は$19にTaxとサービス料を含む、といっていたが、「こちらの人数が確定する前にTaxやサービス料を含めて$19とするには無理があるから、別枠にしたい」、と伝えているつもりだ → 私の認識では、そんな話は全く聞いていないうえ、前日夜20:30に“30人で確定してくれ”と伝えていて合意しているではないか、
2.本来は料理だけで$25、$30かかるディナーの上、場所代をただにしてあげたりと、かなりサービスしている → そちらは最初$15と$20のプランを提示しており、それを見てサービス料とTax込み$19で約束したので、関係ない
3.本来9:30で閉店のところ、11:00までいたため、その分の人件費として、サービス料が必要 → サービス料がいるなら、“時間です”と伝えて欲しかったし、当日「問題ない」と言っていたではないか
4.ドリンクでもソフトドリンク数杯分はただにしてあげたではないか → それはありがたかったし、でも4杯分くらいだから$8くらいだろう

対B.
1.実はデザートもあったが、“Is Everything Fine?”と聞いたときに、“Fine”とのことだったので、出さなかった → 出さないわけないだろう

「ここまで全く私の主張を聞いていないようなので、インターネットのありとあらゆる掲示板に御宅の店の対応のまずさを書こうと思うが、良いか?」と聴いたところ、「別の機会に会って話そう」、となったので、一旦退散。日本人同期5人に、上記内容に間違いの無いこと、及び、どうやって交渉するかを確認。1人冷静に商社の友人が「もう払ってしまってからは、法律的にも交渉は難しい」と言っていましたが、皆前向きに交渉術を練り、友人と2人で交渉に行く。

今度はマネージャーと共に、相手の店のボスが出てくる。相手の主張は、一度目の交渉と全く同内容。特に、ボスからは、A.の2.で出ているように、「ここら辺のほかの店も見てみろ、こんなに安く出している店は他に無いはずだから、そもそもお前らの認識が聞き違いか勘違いではないか」ということを強調し、ついにブチきれて我々に「悪口でも何でも言いふらしたければいってみろ。お前らは客じゃないからとっとと去れ。二度とくるな」と行った口調でした。推察するに、元々マネージャーが「$19+Tax&サービス料で客が取れたよ」とボスに伝えていたものだと思いますが、ボスからしてみたら、部下の証言以外何も証拠がない分、強気に出れたのだと思います。

ボスが立ち去った後、少しマネージャーとも話して、「もう店に支払ってしまった分は戻せないが、私のその日当日の給料$40でどうか。ただし、今金がないので明日来てくれ」ということで、これ以上話すのも時間の無駄と思い、合意しました。翌日、念のため別の友人と2人で行き、無事現金で回収できました。

結局
-我々が紙で見積もりを取っていなかった
-その場で払ってしまった
というこちら側に2つの落ち度がある中で、無事$40取れて帰ってきたのは、理不尽でやりきれない話ではありますが、銃で撃たれたり包丁で刺されなかっただけましだということにします。それにしても、今回目の前が大学のキャンパスにも関わらず、インド人は絶対に一回も謝らなかったし、こちらの非が無いのに部下を庇い、顧客に対して怒鳴り散らす商店主もはじめて見ました。実際、アメリカでビジネスやるにはこうじゃないといけないのかもしれないです。

こうして、学びとして、
・ 相手側はアメリカにいるインド人=日々身銭を必死に稼いでいる、MBAで学ぶ内容なんて何も関係ない人
・ 味方側は日本人留学生=英語も堪能でなければ地位も何も無い

という状況下では、

・ MBAでどんなにリーダーシップや交渉術・組織論といった高尚な理論や思想を教室内で訓練していても、教室の一歩外に出た瞬間、「MBA」自体は無力
・ 今まで仕事上ではもっと交渉しやすかったのは、顧客も一流組織でMBAで学ぶような理論が比較的通用しやすく、自分側にも会社のブランドやネームバリューがあったことを再認識

MBAでは、自分の裸一貫の本当の実力を見極め、それを伸ばす必要がある、と痛切に感じました。
by golden_bear | 2008-12-29 19:33 | 社会・風土
<< 無力感とやり切れなさを感じた事... サンフランシスコ・バレエ くる... >>


カテゴリ
以前の記事
お気に入りブログ
外部リンク
最新のトラックバック
その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧