A Golden Bearの足跡 |
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狙ったのか偶然なのか分かりませんが、今日は昼休みに「給与の評価と交渉の仕方」、夕方から「目立ちなさい!自分のブランド構築の手法」と、こんなの教えるんかい、と突っ込みたくなる名前のワークショップが計4.5時間ありましたので、概略を説明します。
まず、「給与の評価と交渉の仕方」。就職課の熟練女性職員が、豊富な過去のデータや、ロールプレイを交えて解説していました。結論としては、給与交渉は様々な形で可能、ということのようです。 - 就職活動後のアンケートに基づく統計から、AAの業界では、BB%の人がCCの項目に対して交渉した。うち、DD%の人が条件が良くなった。(AAが縦軸、CCが横軸になっている一覧表で、全業界に渡る交渉率、成功率を紹介) - 交渉可能な項目(上記CCに相当)には、基本給やストックオプション、就業可能時期や引越し費用など、最大21項目が可能性としてあり得る。ただし、実際に聞いて意味がある項目は、業界にもよるが、全体の1/3程度の項目 - 交渉成功のための秘訣としては、下記3段階 (1) 内定を貰った直後、一瞬喜んだら、一歩立ち戻って、もう一度自分が本当にこの仕事に就くのが良いのかどうか冷静に考える: スキル、就業環境、自分自身のゴールや価値観に照らし合わせて、何が得れて何を捨てるのか、考えた上で、給料を確認する (2) 上記考察に基づいて、交渉に必要な情報をできるだけ多く集める: うちの大学のデータはもちろん、他大学のMBAウェブサイトや、書籍/Webからも確認可能。また、相手企業に在籍する卒業生などから、何が交渉可能なのか聞いておく (3) 交渉の練習を行う:ここは一般的な交渉術同様、相手を知り、最低線と目標線を設定し、相手の気持ちになり、落としどころを探る、というステップ。また、いくつかの落とし穴を紹介。 ここまで聴いた上で、2人組でロールプレイを実践。隣の人が採用担当者で、自分が内定をもらった人の役をやりましたが、後で何が書いてあるかお互いに見比べると、内定者側に「昨年の給与平均より大分低いオファーが来た」、採用担当者側に「就職活動が厳しい今年は、昨年ほど給料を高く設定しなくても大丈夫と考え、低めにオファーしている」。我々は笑っただけですが、チームによっては相当揉めていました。 感想としては、具体的な数字は出せないまでも、日本では全くありえないように思える伝統的な産業でも、給与交渉に挑み、成功している学生がかなり多いことに驚きました。そして、それを支援する就職課。恐らく、「卒業生の平均給与」が各ビジネス誌のMBAランキングの評価項目になっている(そして、起業と非営利団体の割合が高いUC Berkeley MBAは、他大学よりどうしても平均が低くなる)ことから、こんな項目で不利になりたくない、という気持ちが働いているのでしょう。このように、アメリカ式の競争原理を垣間見た気がしました。ただ、全体のメッセージとして、「交渉できる給与や条件は交渉すべきだが、それは一時の金銭を稼ぐためではなく、自分自身と企業の双方が納得して、良い気分で仕事ができる環境を整えるためだと考えるべき」、という考え方には、納得感がありました。 次に、「目立ちなさい!自分のブランド構築の手法」。これは、William Arrudaというプロの方に、講師として来て頂き、本来2日間で行うトレーニングを3時間に短縮して行っていただいたものです。 写真からは雰囲気があまり伝わらないと思いますが、まずは「ブランド」を教えるだけあって、素晴らしい話術、身のこなし方、さらに、数百枚の写真とアニメーションが織り成すプレゼンテーションは、みのもんたが朝のニュースとクイズ番組を使い分けているかのようでした。 構成としては、まずはブランドとは何か定義した上で、次の3ステップで、具体的に何をすべきか、使えるツールを紹介していました。 1. 自分のブランドを搾り出す(Extract) 2. 自分のブランドをどう表現するか戦略を練る(Express) 3. ブランドを滲み出させる(Exude) 一番の驚きは、2.で「Web上の自分を最大限磨くこと」を懇切丁寧に教えていたことでした。 - 「採用担当者の87%はgoogleで候補者を調査し、35%はgoogleサーチの結果で選考から落とす」ので、ウェブ上に不利な情報があれば徹底的に消滅すべき - "自分の名前.com"を持っていない人は、今晩にでも取得し、zoominfo.comなどのサービスを使い、自分関係の情報(ブログや論文、記事など)を集約すべき。これは、土地の権利を買うようなもので、ないと話にならない - Linkedin, Ziki, Ziggs, Naymzなどのキャリア紹介サービスには全て登録しておき、書かれている内容に矛盾が無いように、全く同じ内容を記載する。こうすると、googleで調べられても、まともな情報が1ページ目に並ぶ。 - ただし、これらの個人情報ウェブからネットワーキングをする場合は、就職活動に直接結び付けないSNSを1つ、就職活動向けを1つの、最高2つに絞るべき。これを守らないと、企業に対して悪い印象や問題を与える可能性がある こういうことを徹底的にWeb上でやっておくことで、「現代は自分から就職活動をプッシュして行うのではなく、企業からプルしに来る時代。この時代の変化に対応できる」そうです。「そういえばFacebookやブログでも平気で自分の顔写真を載せてるし、アメリカは個人情報のオープン化がこんなに進んでいるのか」、と驚いていると、アメリカ人の友人が、「俺は時代遅れなのかな。ウェブ上に自分の情報を載せてたら、投資銀行やコンサルティングからはオファーが来ないと思うんだけど」とのこと。私もとりあえず保守的に、友人の側に立ちたいと思いました。 その他は、一般の就職活動本やセミナーで、あるいは、MBA受験予備校で教える「エッセイをどうやって書くか/どうやって自分探しをするか」といった講義(無料のものもあり)などなど、日本でも普通に説明しそうな話を、恐ろしく分かりやすく印象に残る形で体系だって説明していました。なので、詳細は省きますが、いくつか面白いと思った話を下記に記します。 - 私のブランドの定義は、Unique Promise of Value (価値の、独自の約束) - 物や企業以外にもブランドは定義できる。例えばシリコンバレー。また、マドンナは「変化」をブランドにしている。80年代に性を売り、最近子供向けの絵本を売る、これを両方こなして支持を得て常に美しい人は他にはいない - "F"で始まる単語を避けろ:Fineではなく、Best, Exceptional, Outstanding, Extraordinaly を使え - ブランド伝達戦略のフレームワークは、3つの"C": Clarity(明瞭), Consistency(一貫), Constancy(恒常) - ブランドを滲み出させる際には、まず親しい友人や家族、同僚にはブランドをアピールする必要が無い。これらの人たちには、約束を守り、成長させ、上司をスターにして、信用を与える、という当たり前の活動をすればよい。では、アピールする先はどうかというと、2段階ある。1段階目は「直接一緒に働いていない、社内の人」、2段階目は「社外の人」という切り分けになり、それぞれに応じた戦略が必要 要は、MBAという就職市場(Place)において、自分という商品(Product)の、価格(Price)と宣伝(Promotion)を決めるための講義だったわけで、人間や自分というものに対するアメリカ文化の合理的な考え方と共に、「せっかく必修授業でマーケティングやってるんだから、まずは一番身近な題材である自分自身を売り込んでください」という大学からのメッセージを感じた1日でした。
by golden_bear
| 2008-11-13 21:34
| 就職活動
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