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(注) 本文中の数値は全て、あくまで、2009年11月16日時点でポスターやWeb告知等の文章内に使われている目安のものです。実際の学費等の数字に関しましては、学部や専攻の違い、カリフォルニア州在住かどうか、などの要因で、個人個人で数倍単位で異なることに加え、何を基準の増加額か等もよく明記されていないものを元に試算しており、内容は全く異なる可能性があります。従って、あくまで「ストライキ前に私が読んで受けた印象」をそのまま書いている、ということでご理解下さい。
しばらく、カリフォルニアの良い面を賛美する記事を続けましたので、悪い面についても述べてみます。9月24日に1日間ストライキが行われたばかりのこのUCバークレーで、今週18日(水)から3日間、今度はUC(カリフォルニア州立大学:UCLAなど含む10校を指す)全体に巻き込まれる形で、またストライキが計画されています。 ![]() このストライキのもう1つの背景に、これらのリストラにより$170million (約150億円)の利益を生み出す一方で、UCが$1.35billion(約1,200億円)新たに借金をして、70の建設プロジェクトを継続するようなのです。金額の規模感から言って、「建設プロジェクトの利子分の返済のみのために、これだけの学費増と首切りをするのか!!」と怒っているわけです。 これに対して、ビジネススクールでは今のところこのストライキには全く関与せず、通常通り授業が行われるようです。ビジネススクールはUCからは独立採算で経営されており、学費増もこの増加率そのままにはならなさそうです。また、前回は積極的にこのストライキを支持していた中国語のクラスも、今回は期末前の重要な時期に3日間も行われることから、さすがに、「学生が授業をボイコットすることは自由だが、授業は通常通り行われる。宿題の締め切りが、多少ずれるのみ。」という対応です。 それにしても、何でこんな酷いことになってしまったのか。ここからは私の推測ですが、下記2点かと。 (1) 2009年1月に連邦破産法第9条で破綻を宣言してしまっている上に、国ではない「州」であることから、「赤字なので借金して自転車操業」、という国がよくやっているやり方が認められないこと (2) 2009年9月のカリフォルニア州失業率は12.2%と高いことから、雇用回復が最優先。従って、比較的裕福な大学生(を持つ親や奨学金基金)のお金を使って、建設という公共事業に振り分けた こう考えると、実は(2)って、国も借金しまくりながらやっていることと同じです。日本でも民主党による仕分けのニュースが話題になっていますが、米国もFRB(日本でいう日銀)の資産を2007年レベルの2倍以上にまで、絶対額では100兆円以上増やして、銀行保護やめぐり巡ってオバマ政権のグリーンニューディールなどに充てています。ここで、カリフォルニア州は(1)により借金できないから、学費の値上げやストライキなど、大変なことが「目に見える形で」起こっている。もしそうだとすると、国全体も本当は今、とても大変な状態なのに、借金してあまり見えないように隠してるだけじゃないか、という邪推をしてしまいます。だとすると、巷では景気回復の兆しか、などと報道され始めていても、このUCバークレーに居る限り、とてもそんなには楽観できないのです。 ただ、本日、米国スタートアップ、順調に資金調達、雇用も創出、という記事も見ました。米国のベンチャー投資額は、現在せいぜい年間1-2兆円程度。これは、米国のGDP1,400兆円のうち、わずか0.1-2%程度のインパクトと少額であり、短期的な効果は限られるにしても、せっかくFRBが増やした100兆円のうち、1-2%程度はここシリコンバレーに回ってきて、長期的な成長の芽を確実に探っているようです。 今のカリフォルニアで見ている惨状が、将来世界中の国々で利子つきで数倍になって覆いかぶさってくるのかもしれない、と考えると、とても恐ろしいことです。が、そう悩んでいても仕方は無く、ここは、国が借金してくれて目の前の恐怖を消してくれている、と前向きに考えたいと思います。そして、私自身も将来の自分に借金してここバークレーに来ているのは、国と同じです。目の前で学費がすぐどれだけ上がるのかはわかりませんが、いずれにしても既にシリコンバレーが動き出していることを見習って、引き続き大学生活を満喫し、限られた時間に学べるだけ学びたい、と身を引き締めています。 (補足) UCのストライキ情報は、ここのサイトで日々アップデートされています。
続いて、夕方から行われた、豪華ディナーの紹介です。Washoku & Wine 50th Anniversary Gala Dinner to Benefitと銘打たれたこのディナーは、Center for Japanese Studyが寄付を募るためのイベントで、150名の参加者の大半は、大企業の社長や法曹界、宗教関係者など、地元の名士と呼ばれる方々ばかりでした。このディナー、特に私の妻が以前から興味があったのですが、参加費があまりにも高価で諦めていたところ、「最後の数席空きがあるから、どうか」ということで前日に割引価格で招待頂いたため、数名の社会人大学院生の方と急遽参加することにしました。JGRBを立ち上げて、普段からボランティアで地域の情報連絡係を買って出ていると、こういうときに役得があるものですね。
場所は、Culinary Institute of Americaという、全米で1,2を争う由緒ある料理学校(大学)。全米中の最高級レストランに料理人を輩出しているのは勿論、日本からもKihachiなどの有名レストランのシェフやレストランオーナー達が相当学びに来ている模様です(注1)。バークレーから車で北に1時間。Napaを通り過ぎた先にある、St. Helenaという町に、その建物は悠然と構えていました。 ![]() ![]() ![]() 6時より、メイン会場へ入場開始。私たちのテーブルは勿論末席なのですが、それでもこの豪華な飾りつけ。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ワインは、2005 Napa Valley Merlot by Luna Winery。2番目のワイン(白)と3番目(赤)を並べた写真が下記です。 ![]() ![]() ![]() ![]() 肉、魚、野菜の全てが新鮮な地場の自然食材を用いて、日本でもなかなか食べることの出来なさそうな美味を、蔵出しのワインで楽しむ、まさに至福の時。日本の外で、これだけ日本人の繊細な舌にあった自然素材の料理を、身近な近所のレストランで楽しめる、カリフォルニアおよびベイエリアという土地の素晴らしさを、改めて実感することになりました。あと半年の滞在ですが、食べ物や自然、スポーツや文化、そして何より地元の方々との交流を、引き続き満喫したいと思います。 (注1) 日本の同窓会組織もあるようです。
UC Berkeleyには、日本研究センター(CJS:Center for Japanese Studies)という、結構凄い研究所があります。CJSの何が凄いかというと、日本研究に関する蔵書数全米第2位という実績や、それゆえに「ジャパン・アズ・ア・ナンバーワン」を書いたエズラ・ボーゲル氏の息子で同じく日本研究の(すみません、初稿での誤りを訂正します)スティーブン・ボーゲル氏など著名人がバークレーに籍を置いている、という受け取り方もあります。が、それ以上に、この1年間で、日本では普段滅多に人前に出ることの無い、村上春樹氏や宮崎駿氏、そして緒方貞子氏や稲盛和夫氏などの著名人の方々を、次々にバークレーに招待して講演会を開いています。本日は、このCJS設立50周年記念の一環として、丸一日中日本食に関するイベントがありました。このうち、私は、昼に行われた世界一長いカリフォルニアロールを作るイベント、及び、夜のガラ・ディナーの2つに参加してきました。
まずは、世界一長いカリフォルニアロールを作るイベント。どういう経緯だかわかりませんが、とにかく世界一をハワイに奪われたので、カリフォルニアロール発祥の地に取り戻して、ギネスブックに登録しよう、というイベントでした。在サンフランシスコ総領事の長嶺さんが審査員をつとめ、日本の食品や調味料のメーカー・商社など10社近くがスポンサーになり、NHKや読売新聞、ロサンゼルス・タイムスやNBCなど報道陣も多数駆けつける、大規模なイベントでした。 1チーム5-8人で、57チームがエントリー可能、ということで、我々日本人大学院生・研究者の会JGRBにも、チームの募集がありました。しかし、募集があった翌日には、なんと57チーム全てが埋まってしまい、エントリー締め切り。どうやら、中国人や韓国人の団体が大量にエントリーしたようです。これを見て、知り合いの方が「日本のイベントなのに、日本人が入れないのは、よくないでしょう。忍者の格好でアピールするから、混ぜてくれませんか」、とCJSに対して交渉したところ、すんなり受け入れられて、しかもポールポジションの場所を頂きました。 下記がイベントの写真です。最初は和太鼓の演奏から入りました。さすがに日本の和太鼓ほど鬼気迫るパフォーマンスではないにしても、外国で聞く分には十分迫力のある、かっこいいパフォーマンスでした。 ![]() ![]() ![]() ![]() 多数の記事や動画がアップされているようです。我々も忍者の格好をしていたために、多数の取材を受けましたが、ほとんどは社員ではない学生やフリーのライターさんによるもので、書いた記事を地方新聞などにあげてもらって、経験を積んでいるようです。米国のメディア業界は今倒産が相次ぎ大変なことになっていますが、それでもジャーナリストになりたい人々、そして、低コストで記事を配信する業界側の、それぞれの工夫を垣間見た気がします。1人、知り合いの記者が書いた記事のリンクを、下記に載せておきます。 オークランド・ノース・ネット
本日は他の授業をサボってまで、朝7:30から夕方5時までみっちり、表題の会議に参加してきました。主催は、Berkeley Center for Financial Reporting & Management (バークレー財務報告管理研究所)。こんな研究所があるとは、まだまだ知らないことだらけです。場所は、サンフランシスコのWestin Hotel、という、大学主催の会議にしてはかなり豪華な会議室。それもそのはず、今回400人ほど集まった会場のほとんどはCPA(米国公認会計士)を持つ、ベイエリアの主要企業、監査法人、会計コンサルタントの方々だったからです。西海岸にもかかわらず、みなビシッとスーツを着ています。
![]() なぜこんな会議に参加したかったか、というと、下記の理由です。 - 当然ながら、多くの議題がIFRS(国際財務報告基準)やFASB(米国財務会計基準審議会)などの現状や将来を扱う。今後あるいは今既に日本で大きな問題になっているこれらの概念に対して、世界の最先端で何が起きているか見てみたかった - そもそも今までの人生の中で、プロの会計士同士が仕事の議論をしている場に触れる機会など全く無く、会計士とはどんな生き物なのか、肌身に感じてみたかった - 普段興味ない知らない領域の議論に飛び込むことで、英語力の向上 丸一日びっしりのプログラムの中から、時系列に面白いと思ったポイントだけ、下に書き並べてみます。なお、門外漢による英語での聞き取りを基にしているため、内容がおかしいところあるかもしれませんが、どうぞコメントでご指摘お願いします。 7:30-8:00 朝食ビュッフェ。$15くらいは元を取ったと思う。 ![]() 演説の中で面白いと感じたのは、Haas3つの柱を"Confidence Without Attitude"(態度に出さない自信を培え),"Question Status Quo"(現状を疑え), "Beyond Yourself"(己を克服せよ)と定めたこと。昔からHaasは"Leading Through Innovation"を第1に、"Confidence Without Attitude"を第2の2本柱でしたが、このDeanは昨年の就任以来校風の定義を変えようとしてきて、ついに公にした感じです。受験生の方は、エッセイの参考になるかもしれません。 8:30-9:30 Keynote Speech "Current Challange in International Financial Reporting Standards" IFRSを実際に制定している、IASB(国際会計基準審議会)のインド代表、Prabhakar Kalavacherla氏による講演。冗談が入りまくりの中で少しだけ本音を交える、というインド人独特のプレゼンスタイルで、ずっと面白いながらも、なんじゃこりゃ、という裏話(オフレコなので書けません)が聞けました。 印象に残ったポイントは、 - 会計基準の統一の話は、本来国の政治とは無関係に行わなければならないが、とても「政治的に」話し合われている。正しい方向に少しずつ向かっているが、話があまりに大きすぎて、そのスピードは北極大陸の氷河を動かしているようなものだ。 - 現在の主要4議題のうちの1つに、「国際為替レートの統一」がある。報告書上の為替レートを世界中で統一することだが、まだ採用していない国は、主要100カ国程度のうち、北半球では米国、インド、パキスタン、インドネシア、日本の5カ国程度。米国とインドが採用しない理由は、「文化的に一日中議論をするのが好きな民族だから」と思われる ちなみに、オフレコの話をする最中には、こんなプレゼン画面が表示されてました。 ![]() 大学教授、会計監査、SEC(米国証券取引委員会)、IASB、FASBの5団体の方々による、現在のIASBについての状況や問題点のパネルディスカッション。印象に残ったポイントは、 - 5人ともIASBに移行するメリット(世界中の投資がしやすくなり、流動性が高まる、など)がわかっていても、問題点(例:米国基準にすら準拠できないミスが多数あるのに、その問題が輸出されてしまう、など)も認識。安全側を取ると、全体の動きが遅くならざるを得ない - 会計基準の採用に対し、Conversion(変換する)のが良いか、Adaption(丸ごと適用する)のが良いか、は、ほとんど神学論争の世界。少なくともConversionにはしないといけないのだが、却って面倒なので、より大変なAdaptionをいきなりやるべき部分もあり - 今後の会計基準は「ルールによる(厳密な)定義」ではなく、「原則による(やや曖昧な)定義」に移行していく うーむ。最後の点に関しては、「原則による定義」に移行しないと、現実的に議論が全く先に進まないのはわかるけど、そんな定義の仕方で国際統一基準を作る意味があるのかどうか、、、。前職で、全世界の拠点の指標を統一する、というプロジェクトに関わった時に、指標を統一する管理者側のメリットと、現場側のモチベーション低下やコスト上のデメリットで、相当揉めた経験を思い出しました。昔の日本人が尺とか貫とか使っていたのに、SI単位系に切り替えたのは、本当によくやったなあ、と思います。 一通り議論を聞いて、長い時間をかけてでも、全世界での統一基準はきちんと構築されることが望ましいと思いました。統一基準ができれば地球規模で人類全体のコストが下がる、という意見は、その通りだと思いますし、そのような基準がないと今話題の排出権取引の標準化など進みようがない。少なくとも、全世界でプラグが物理的に違う電力の世界などと違って、お金をどう数えるか、というルールの問題だけなのですから、頑張って人類を前進させて欲しいものです。 11:00-12:30 FASB Panel 今度は、米国内の会計基準について、FASBやAICPA(会計士の団体)は勿論、IASBや民間企業の財務責任者も含めて議論。主な論点は、 - せっかく米国独自に進化させてきたきた会計基準(例:在庫の後入れ先出し法(LIFO))が、IASBでは使えなくなってしまうので、その際企業の業績には大きな変化(主に損失)があるはず。 - また、リース問題や、売上認識の問題などは、FASB内にて業界毎に問題を抱えてたまま。特に数千社の中小企業に関しては、IASB移行の前にやるべき課題がたくさんある。 12:30-13:30 円卓テーブルでランチ&ネットワーキング。様々なメールや電話の処理に終われ、急いで食べる羽目に。写真は取れませんでした。それでも、食事は美味く、$35くらい分の元は取れたか。 13:30-15:15 SEC/PCAOB PANEL 同様にSEC関連の5-6人がプレゼン。個人的に面白かったのは、下記2点。 - 金融危機後の規制をSECがどうかけるか、マスコミや政治家は過熱気味に期待して報道するが、SECの裁量で解決できる問題はほんの一部。金融機関側のモラルや立法側の問題が同時に動かないと、SECが厳しくしても、(金融以外も含む)全企業の不利益になるだけで、問題は解決しない。 - XBRLという、財務情報が作成・流通・再利用できるように標準化されたXMLベースの言語が、今どのように運用されていて、今後どうなるのか、を結構まじめに話していた。今年度は財務諸表のみ、来年度は注釈部分も含めて、数千社が適用する予定。うち千社以上は、SECが頼むまでも無く、XBRLを自発的にどんどん適用しているところがある XBRLという話は知りませんでしたが、自分から採用している企業は、技術に強いことのアピールや、システムの受注を狙っているのでしょうか。 15:30-17:00 Special Topics: Addressing the Challanges of Financial Statement Disclosures 今まで数時間の議論を一気にひっくり返してしまうような、現場の声、声、声、という感じ。企業の財務責任者を中心に、財務情報開示の問題を議論していました。日本でも、数年前に四半期決算が導入された時に、「3ヶ月に1度も報告書を提出するなんて、大企業しか対応できない」ということでとても話題になったのですが、それは米国でも同様。CFOによって感じ方は様々で、「徹底的に開示しまくって、資金調達を実際にしやすくした」良い事例を話す方もいれば、「そもそも何故IFRSにしなければならないんだ」、「XBRLなんて、現場で言われているメリットなど微塵も無い」という怒りに近い意見まで、様々に飛び交っていました。IFRSのインプリの大変さを実感。 全体を通しての感想としては、このIFRSは米国が言いだしっぺなのに、結局自国自身で拒否している点が多く、「国際協調がとても苦手な米国」の姿を改めて実感しています。西海岸にいると、留学生や移民の多さ、及び、国籍に囚われない人材活用やデファクト・スタンダードの構築が上手な企業群が、世界を相手に成功を収めている姿ばかりが目に付くため、米国は国際協調がとても得意な国のように思えていました。しかし、未だに度量衡の国際基準が通用しないことをはじめ、国際協力プロジェクトでは、恐らく内部に独自の優秀なシステムを持った反対者が大声を上げるために、よく足並みを乱すのではないか、ということを、今回の会議で、肌で感じました。 そして、1日座っていたら、誰か知り合いに会えるかな、と思ったのですが、Haasからは教授やポスドク、Ph.D学生ばかりで、MBAの同期で参加したのは私だけでした。想像するに、仮に私も日本のMBAにいて、「財務報告書に関する年次会議」という名称の会議を所属大学が行い、かつ学割でも5千円(一般は4万円)取られる、だったら、多分行かなかっただろう、と思います。わざわざ海外に来たことによる「おのぼりさん」効果のお陰で、この会議に出れた。さらに、全然知らなかった時事問題を、会場の人々独特の顔つきやしぐさ、しゃべり方を実感しながら学べたと思うと、海外にてMBAを取得する意味の1つを再認識できました。
本当はここしばらくはインターンの話、それが終わればザンビアの話を集中連載しようとしたのですが、先ほど私にとって衝撃的なニュースがTechcrunchに出てきたので、書き下ろして上げてしまいます。
Mintのファウンダー:IntuitのVPに就任して曰く、6~9ヵ月で「Quicken Onlineは終息させる」 この記事のどこが私にとって衝撃的だったか、というと、次の2点。 (1) 即断即決の買収完了劇とその中身 (2) 双方の会社の幹部が、Haasにて展開していた素晴らしい授業に、私が参加していた (1)に関しては、まず、高々設立2年足らずのインターネットベンチャー企業であるMintが、約153億円(1$=90円換算)という高値でのEXITを実現した、という、久しぶりに景気の良い話を聴いたことそのものの高揚感があります。そして、被買収側のトップが新しく副社長につき、しかも買収側の主力商品を廃止してしまう。勿論、日本でもニュースなどでよく目にする大企業同士のM&Aでも、社員の士気を保つために社長や経営陣の半分を被買収側から選出して据える、だとか、段階的に強い方の商品を残していく、という話は、普通に行われます。ただし、大企業の場合、様々なしがらみの解決等に時間がかかり、1年半くらいで問題なく完了すれば上出来、と言われているそうです。しかし、シリコンバレーで1年半も待っていたら、その間に他の企業(この場合、Microsoftやgoogle)に食われてしまうし、社員もみんな逃げてしまう。この辺、9月14日に最初のニュースリリースをして、わずか1ヵ月半後の11月2日に結果を示してしまう、シリコンバレーのスピード感に改めて驚いています。 また、このTechcrunchの記事を最後まで読むと、このM&Aはもしかしたら貴重な「イノベーションを加速させるM&A」の事例になりうるのかな、と思っています。貴重な、と書いたのは、Haasで受けたM&Aの授業の中で、教授が常々「M&Aの世界にシナジーという概念はない。あるのは、業績の改善のみだ」と言っていたからです。彼の立場は、予め数字で説明できない統合効果というのは起こりえないし、実際彼の40年の経験上、定性的なシナジーという言葉に頼ったM&Aはことごとく失敗している、という考え方のようです。ましてや、M&Aでイノベーションが発生する、などとでも生徒が話し始めようものなら、即刻退場させるような勢いで、シナジーはない、と強調していました。しかし、私自身はこの教授の考えは腑におちなかった。もちろん、業務上M&Aを扱う時に不確実なものを前提にしてはいけない、というのは当然としても、結果としてイノベーションが急激に加速する例があっても良いではないか、と思っていました。その1つとして(注1)、この本事例が、「強力なリーダーがそれを推進するためのブランド、資金、チーム、サポート等を得る場合」という形で実際に起こると、面白いなと思っています。結果はどうなるかは将来になってみないとわかりませんが、今後もIntuit,Mintの動きには注目したいと思います。 (2)ですが、まずはIntuit。日本ではあまり馴染みがない企業かもしれません(注2)が、アメリカ人なら誰でも知っている(注3)、TurboTaxという確定申告用のソフト、およびそこから派生した様々な個人用・企業向けの会計・税務系のソフトを作っている会社です。昨年、Haasの"Digital Media Product Development Speakers Series"の講師として、商品開発部長の方が講義をしていました。講義の中身は、商品設計開発のプロセスを5段階に分けて、マーケティングとエンジニアがどう協力して進めているか、というものでした。1つ、未だにパソコン用のソフトウェアをパッケージで売る、という、フリーソフトやSaaS(ソフトウェア・アズ・ア・サービス)全盛のこの時代によほど強くないと生き残れない商売のやり方をしているにもかかわらず、Microsoft Moneyはじめ競合のソフトに打ち勝って成長し続けている理由について、印象的な話をしていました。 商品開発のために、よく「顧客の要望を聞け」とは言われますが、この会社はその徹底さが違います。50人くらいの「エンジニア」(「マーケティング担当者」じゃないこともポイント)が、様々なユーザーの家を了承を取って3人組で訪問し、1軒につき丸2日間、ユーザーがどのような「生活」をしているか、ビデオを取って徹底的に検証するそうです。その中で、Intuitの商品がどのような場面で、どのような体勢で使われているのか、使っている最中に何が起こるのか、などなどを徹底的に分析しつくして、商品に反映しているのです。もちろん、家庭の会計系ソフトウェアが人の「生活」全体に占める割合は、ほんのコンマ数パーセントですが、それでもこの活動を始めてから、顧客満足度が大幅に上がったとのこと。「イノベーションは人の行動原理を変えること。常にこの基本に忠実に行動し、巨大な競合企業に打ち勝ってきた」と、繰り返し強調していました。 この話を聞いたときに、最近流行のプロダクト・デザイン・コンサルティング会社(IDEOなど)が今やっているようなことを、ずっと昔から自社でやっていたのか、と素直に感激していたことを覚えています。しかし、このIntuitが満を持して登場させたベストセラー家計簿ソフト、Quickenのインターネット版を、あっさり撤退させてそのパッケージ版も含むトップまで変えてしまったインターネット家計簿ソフトこそが、Mintになります。 Mintと私との出会いは、このブログでも何度か紹介している、今学期の"Case studies for Entrepreneurship"の授業です。1人の生徒のインターン先がまさにMintで、彼女の上司にあたる商品開発部長と2人で、彼女のインターン経験について2時間の授業をしていました。商品開発部にいた、ということで、彼女の仕事=ケースの課題は当然、どのようにIntuitを倒してシェアを拡げるか、が大きなテーマになります。NDAにより、普段目にしない内部情報などもケースを通して見ることができて、とても臨場感がある。私自身この戦略を考えるだけでも、とても楽しいケースでした。 加えて、ここからはNDAのため具体的な詳細を書けないのが残念ですが、立ち上がって2年弱、という急成長の組織の中で、彼女の活動は組織の狭間に落ち込み、身動きが取れなくなってしまいます。日々様々な組織の対立に巻き込まれ、本当に涙を流すほどつらい日々だったことは、ケースの文章からもひしひしと伝わってきました。授業の途中では、自分の元上司を目の前にして、息が詰まるほどの感情の吐露、緊迫の数分間が発生。そして、最終的に彼女のとった行動の1つが正に花開いた直後、劇的な形でこのIntuitによる買収劇が発生してしまった、というのが、9月の最終週にあったこの授業ケースの結末になりました。 シリコンバレーのインサイダーにアクセスできることのありがたみ、そして1つの買収劇にここまで感銘を受ける新たな自分を実感し、Haasに来て良かったなと改めて思っています。 (注1) 他の例としては、創業から20年強で既に130回以上M&Aを繰り返しているCisco。HaasでCiscoの上級副社長の方が授業をした際には、技術的に強い商品を持つ競合企業を買って、自社製品の方をうまく競合しないように改良・余分な機能を削ぎ落とし、両方の製品でラインアップを形成。一気にシェア拡大し、デファクト・スタンダードを形成した事例を紹介していました。「M&Aはイノベーションを起こすための、社内における標準プロセスの一部となっている」のだそうです。 (注2) 日本市場からは2003年に撤退 (注3) 授業の最初にクラス10人にアンケートを取ったところ、Mintは5人、Quickenは4人が使っていて、両方とも使っていないのは私だけでした。
(注)本記事は、2009年10月31日時点の情報を元に書かれており、今後新たな情報が入り次第変更する可能性があります。
元の企業に戻る方以外のMBA生にとって、一番憂鬱で最も大事なイベント、就職活動が、11月に入り佳境を迎えています。2年生は例年12月末までに多くのフルタイムの内定先が決まる(注1)ので、毎日毎日誰かがスーツを着て面接を受けているのが、この時期の光景です。一方、1年生も、来年夏のインターンシップに向けて、金融業界はそろそろ面接のピーク、コンサルティングは12月以降、他の業界も年明け以降の面接ラッシュに向けて、準備を始めているようです。 そこで、今後いくつかの記事で、私自身の今までの経験を踏まえて、主に「在米日本人MBAが米国でインターンを獲得するため」に役立ちそうな情報を書いてみます。ちなみに、「日本人MBAが米国で職を探すのが大変である」、というテーマでは、既に渡辺千賀さんのブログ記事及びその中にあるリンク先で相当述べられていますので、興味ある方はそちらも参照下さい。ここでは、それらの中でまだあまり述べられていない話や、私個人の経験に基づく話を中心に、書きたいと思います。 本日は、大学別・地域別によるインターン傾向分析結果の紹介です。こんな分析をしてみようと思ったきっかけは、次の考えになります。 ○ 私自身の話を書く前に、まずはマクロのトレンド(時系列比較と他校比較)を見ておきたかった。少なくとも、MBAスクール別の就職状況について分析した例がすぐみつからなさそうなので、自分でやってみようか、と思った ○ 数週間前に、"コロンビアMBA留学記"のnoritayaさんによる、CBSの2009年インターンの就職状況という記事を読んで、私のいるHaasとのあまりの違いに、笑うしかなく、とても驚いた。実は、HaasとColunbiaは2年生の秋学期にお互い数名ずつ学生を交換留学させていることもあり、このギャップはきちんと定量的に調べたら面白いかも、と思った ○ Haas見学者の方に何度か、"Haasって、ビジネススクールの中でもエンジニア出身だらけで、文系の人は行きにくいんじゃないですか?"、という質問を受けていた。実際には合格者の半数以上は文系出身なのですが、在学中に得られるインターンの経験の傾向を、他校と数値で比較するのもひとつの学校選択の基準になるのでは、と思った このような就職情報データは、各校の就職課が統計情報としてWeb上で公表しています。そこで、地域別の傾向を見るために、様々なランキングでよくTop10と呼ばれるMBAスクールの常連校から、西海岸2校、中西部2校、東海岸4校の8校、過去3-4年の"業界別インターン先割合"データを取って、平均をまとめてみました(注2)。業界のカテゴリーは各大学様々ですが、私がいるHaasの視点で、Haasで使われている一番単純(おおざっぱ)なものでまとめてみました。下記の表が結果になります。(クリックで拡大します) ![]() ○ 全般: どこの大学も全ての業界を網羅しているとはいえ、場所の学校別の特色や、違いによる、インターン先の傾向の違いはとても大きい。従って、 - MBA受験生の方々へ: MBA在学中に、米国/グローバルでインターンをしたいのなら、大学及び場所選びは重要なポイント。この点、受験時には、よく日本で言われている以上に、出願エッセイにて強調しても良いかもしれない - MBA1年生で今後インターンを探す方々へ: 入学後にもし、自分の大学が、自分がインターンしたい業界に米国で「一番強いわけではない」とわかったら、同地域他大学の友人は勿論、他地域まで含めてネットワーキングをした方が、より良い就職先が見つかる可能性が高くなると思われる ○ 大学別の傾向: - Harvardが全ての業界においてほぼ中央値に位置しているのは、さすがMBAの代名詞 - この切り方をすると、東にいながらテクノロジーに強いMITは、満遍なく強い大学、となる - Stanford、Whartonは場所柄それぞれテクノロジーと金融に強みを持つが、それ以外はバランスが取れている - KelloggとChicagoは、同じ地域の全く対照的な大学 - HaasとColumbiaは、両者ともさほどコンサルティングに強くないことを除けば、西と東で良い補完関係にあり、インターン直後に行われる交換留学プログラムにはとても意味がある ○ 業界別のコメント及び補足: - 金融: 一般的に金融に強いといわれる、Wharton, Chicago, Columbiaの3校は、やはりインターン先も金融に半数以上行く(というか、それでも半数は別の業界を選ぶ)。一方で、金融にさほど強くない、といわれる、Kellogg, MIT, Haasでも、20-30%の就職先があり、少ないとはいえない - コンサルティング: MBA就職先の花形かと思いきや、各校12-25%程度。西海岸がやや少ないが大差ないようだ。(ちなみに、業界ではなく職種別で見ると、コンサルティングの数字はこれらより10%程度ずつ高くなるので、米国では社内コンサルティング部門みたいなところでのインターンも盛んと思われます) - テクノロジー: 予想通り、というか、Haas,Stanford,MITの3校が圧倒的に高い。 - バイオ: Haasが圧倒的に高いのは、MBA/MPHプログラム(Master of Public Health)の存在が大きいかもしれない。スタンフォードが低めなのはとても意外(私のカテゴリー判断ミスかも) - その他業界: ここが高いところは、より多様な業界に行ける可能性が多いのでしょう。HarvardとStanfordが多様なのは、納得です。また、Kelloggは製造業や消費財などの割合がとても高く、シカゴの土地柄をよく表しています。 最後に、各校別の生データのソース所在と、分析で私が利用した数字(注3)を下記に掲載します。ここで、2009の情報を公開している大学を見るだけでも、下記のように2009年の就職活動が如何に例年に比べて悲惨だったかが、数値に表れているようです。 - 各大学金融へのインターン割合が、10%近く下がっている(例:Harvard 40->31%, Stanford 34->27%, Wharton 53->44%, Columbia 57->49%, Chikago 54->48%) - NonProfitやOthersなど、例年あまり見ないインターン先が激増(例:Harvardのnon profit 5->11%、ChicagoのOthers分類 3->13%、Stanfordのnon profit 5->9%、およびTechのうち6%分は新カテゴリーのClean Tech) ただし、各校の強みがある分野は、あまり落ち込んでいないかもしれないです。例えば、他校のReal Estateが軒並み消滅している中、Whartonは、4%を保っています。このような視点で、受験生や在校生の方々は、各MBA校を見直すと、面白いかもしれません。 ![]() ![]() ![]() (注1) 今年は、フルタイムの採用活動を来年1-3月頃にずらす、と表明している企業も少なくないようです。 (注2) 2009年10月31日時点で、Haas、MIT、Kelloggの3校が2009年分を公表していない。また、Columbiaは2008-9の2年分のありかがわからなかったので、"コロンビアMBA留学記"の数値を参考にした。もちろん、2009年の数値は他の年に比べて金融危機のインパクトが大きいが、各校とも金融が減った分その他が増えている、という傾向は共通し、全体の分析の意味合いを大きく変えるわけではないので、そのまま残した。 (注3) 一部、各大学内の情報を時系列でそろえるために、私が独断で変更したカテゴリー名及びそのカテゴリーに丸めた数字を含みます。 ![]() ブレンデル、といえば、バッハからシェーンベルクに至るまでドイツ・オーストリアの作曲家を得意とする、いわゆる正統派の巨匠ピアニスト。シューベルトやモーツアルトの全曲録音や、リストの演奏にも定評があるそうですが、なんと言っても彼がベートーベン演奏で打ち立てた金字塔とその名声は、他の誰にも真似ができないものと思います。1960年代に世界で初めてベートーベンのピアノ曲全曲を録音し、特にピアノにおける新約聖書に喩えられるベートーベンの32のピアノ・ソナタに関しては、1995年に至るまで全曲録音を3回もしているのです。今年78歳になる氏は、昨年12月にピアニストの演奏家としては引退を宣言。現在はボストンを拠点とし、New England Conservatory of Musicおよびジュリアード音楽院で指導者となられている他、作家としても本や詩集を残しているそうです。 今回の講演会の題名は、"On Character in Music (音楽の中の性格について)"。最初に「演奏家の仕事は、人が小説を読んだ時に頭に思い浮かべるような情景や感情と同じものを、音楽の譜面から取り出して聴衆に伝えることだ」と定義。その後1時間半弱の間、ベートーベンの32のピアノソナタから様々なモチーフ(数秒~数十秒の旋律)を取り出し、ブレンデル自身が「ベートーベンが伝えようとしているもの」をどう解釈しているか説明しながら、隣にあるピアノで実際に演奏して聴かせる、ということを繰り返す、という形を取っていました。 最初は、ピアノソナタ1番や、29番「ハンマークラヴィア」といった、いかにもソナタ、という曲を題材に、ベートーベン自身、つまり作曲者側の構成の工夫について語ることが多かったのですが、次第に17番「テンペスト」や15番「田園」、21番「ワルトシュタイン」といった中期の印象的な曲を取り出し始めると、もはや論理的には絶対に思いつかない「本当にそうなの?」と思うブレンデル独自の解釈に力が入り始めました。この時に、まるでグレン・グールドのように歌いながら披露したモチーフの数々は、時にブレンデルらしく感情を抑えたものであり、時に講演会であることを忘れてそのまま演奏し続けちゃうんじゃないか、と思うくらいのめりこんでいたものもありました。流石に引退後でもあり、音やリズムは一杯外れていましたが、それが全然気にならない素晴らしい音や旋律。「なるほど、こう解釈しているからこういう演奏になるのか」と、頷かざるを得ない、素晴らしく説得力のある「スピーチ」でした。 こう書いては見たものの、恐らく興味のない人にとっては、耐え難いつまらない講演会だったのではないか、と感じています。私自身にとってブレンデルは、私が高校3年生の時、なけなしのお金をはたいて3回目のベートーベンピアノソナタ全集を買ったくらい、個人的にとても思い入れのあるピアニストだったので、講演を聞くだけでもとても楽しめました。妻にとっても8年前に生で演奏を聴いた時に、涙が出るほど感動した名演奏だったそうです。しかし、聴衆の中には途中で帰ってしまう人もいましたし、最後、アンコールで何か1楽章でも演奏してくれるかな、と皆が期待して拍手をしていたのですが、結局演奏は行わず、聴衆から落胆の声が漏れていました。 ![]() もう1つの偶然として、本日は私がかつて所属していたピアノサークルの発足35周年記念パーティーが東京で開かれていた日でありました。このパーティーの会誌に寄稿を頼まれたため、以前このブログで書いたとおり、「バークレーは環境が素晴らしすぎて、今まで気晴らしに続けてきたピアノを弾くモチベーションが、12年ぶりに全く無くなってしまった」、という内容の文章を投稿しました。その文章が公にされた日に、このようにブレンデルの演奏を生で聴き、またピアノの素晴らしさを思い出したのは、とても面白い偶然です。もちろんブレンデルを生で聴いてしまうと、もはや自分でベートーベンを弾く気には全くなれないのですが、何らかの機会を生かして、何らかの形でピアノ演奏も復活させたい、と思うきっかけにはなりました。 講演会が終わり、大学のキャンパスを歩くと、ハロウィンの格好をした人々を多数目撃しました。サマータイムも終わり、もうすっかり秋になった感じです。 ![]()
1. 2年生の選択授業は、1年生の必修よりとても印象深い
2. MBA生活は後わずかしかない:一番重要なのは、狙ったネットワーキングではないか 3. ゆとりも必要 ここで突然ゆとりも必要だ、と思ったのは、次の3つの事件が関係しています。1つ目は、健康。何故かここ1-2週間、ずっとお腹を壊していました。ザンビアですら全く無問題だったのに、不思議なものです。さらに先週、突然左人差し指が痛くなった。多分、原因は急なゴルフのやりすぎ。一度グリップが中途半端なまま強振したような気もするし、それでもあまり痛くなかったので週に3回以上は打ちっぱなしか18ホールを回ることを続けていたからかもしれませんが、やたら痛くなりました。で、今週は火曜日に70球打ったら痛くなったので、とりあえず3日やめて見たところ、本日時点で痛みがなくなりました。もう30歳になってからも大分経ちますし、何事も急にやりすぎるのがは良くないな、と思ったのが1つ目。 2つ目の事件が本日のメインテーマ。前回のブログの最後にも書きましたが、先週末に大学OBの同窓会、および、International Potluckの2つを、キャンセルする羽目になった話です。 ゴルフが終わって帰宅途中に、5車線道路の真ん中から2番目の道を、周りの車に併せて75mile/hr (時速120km)で走っていると、突然アクセルが効かなくなりました。どんなにアクセルを踏んでも、徐々に減速している。ダッシュボードを見ると、エンジンオイルのランプが点滅している。とりあえずどうしようも無いので、急いでハザードを出して路肩まで行こうとする。しかし、周りの車は全然減速しようとしない。これはヤバイ、ほんとにぶつかったら死ぬかもしれない、と思いながら、必死で前と右とバックミラーを確認しながら、路肩までたどりつきました。 ![]() 路肩にいても、隣は時速110km位走っているので、いつ誰かが間違ってぶつかるんじゃないか、と冷や冷やします。そして、このとき私はAAA(日本にいるJAFのような、電話1本で故障車対応などをしてくれるサービス)のメンバーに入っていない。「今後車で遠出することもそんなにないだろうし、年会費1万円がもったいない」と思い、契約していなかったのです。とりあえず一度、家にいる妻に電話する。妻からは、車のダッシュボードの中に保険証が入っているから、まず保険会社に電話してみたら?と言われる。確かに、友人が車を壁にぶつけた時に、保険会社に電話してたなあ、と思い、試してみる。しかし、今入っている保険会社が怠慢なのか、不況で人減らしをしているからか、「年中無休で24時間対応します」と紙にも書いてあるし電話の最初でもそうメッセージが流れているのにも関わらず、すぐ次に「すみません、今は誰も対応できないので、営業時間中におかけ直し下さい」というメッセージ。 もう一度妻に電話をして、家に来ていた妻の友人が入っているAAAの番号を教えてもらい、電話をしてみる。AAAからは、当たり前ですが「貴方が今会員になっていないのなら、サービスは提供できません」との対応。「今すぐ会員になるから、すぐサービスを受けられないか」、と聴くと、「入会希望から実際の入会までは最低でも48時間かかるから、どのみち間に合わない」、との返答。「こんな優良顧客が目の前にいるのに、貴方はどうして見過ごせるのか。私からはプレミアム料金も取れるぞ」、と言ったのですが、流石は独占企業、「そうは言っても、規則は規則なので、駄目です」という返答。仕方ないので、「私は留学生でアメリカに来たばかりで、AAAの存在も最近知った位なので、貴方に見捨てられると正直どうしようも無く困ってしまう。AAAでなくても良いから、何とかこの困った状況を解決できる方法を教えてくれないか」、と聴いたら、「しょうがないわねえ。AAAがこの地域で契約しているレッカー車の電話番号に転送するから、直接そこと交渉して」といわれ、レッカー車に繋がりました。 なんでここまでAAA経由にこだわったか、というと、それ以外の方法は警察しかなく、ゴルフの懇親会で空きっ腹にビールを飲んで結構酔っぱらっており、この状態で警察はありえない。しかも道中ハイウェイパトロールがうろちょろしているのを見ているので、我の車が発見されて警察に尋問されるのも時間の問題。というわけで、何とか酒気を消すために、そばにあった懇親会の残りに頂いていた食料を一気喰いしたり、窓を開けたりして、レッカー車の連絡を待ちました。 レッカー車の人と話す。「今はI580のオークランドの27番出口のすぐ手前の路肩にいる。」と話すと、「困ったなあ。今オフィスにある地図上では27番出口なんか無いぞ」との返答。おいおい、それでよくレッカー車業者が務まるなあ、と思って諦めかけて何気なくエンジンをつけてみると、なんと発車するではないか。少しちゃんと動くことを確認し、「わりい、わりい。車だけど直ったみたいだから、もういいや」といってレッカー車への電話を切る。そして、iPhoneで一番近いガソリンスタンドを探し、そこまで車が止まらないことを祈りつつ、ゆっくり進める。 オークランド南部のガソリンスタンドは、流石に黒人ばかりだし、店員さんも防弾ガラスに囲まれたブースの中に居て、お金だけやり取りできるような作り。とりあえず酒気を消すためエナジードリンクを買って飲みながら、店のおじさんに、「15分ほど前に突然車のアクセルが効かなくなったのだが、直せるか」と効くと、「ここはガソリンしか提供していないよ。すぐそこに、オートパーツの店があるから、そこで聞いたら良い」との返答。日本とガソリンスタンドの機能は全然違うのね、と改めて感じながら、オートパーツチェーン(日本のAutobacksやYellow hatといった類の店)の店に立ち寄って、店員さんに話を聞く。「ちょっと車を見てやる。うーん、たしかに、エンジンオイルが焦げてるにおいがするね。ただ、申し訳ないけど、この店はパーツを売ってるだけで、オイル交換などのサービスはないんだ。他の店をあたってくれ」との返答。なんじゃそりゃ、という感じだが、それだけ米国の場合、車の点検や修理は自分で日常でやってしまう人が多いのでしょうか。 iPhoneで幾つか見てみたが、土曜日の夜にやっているサービスセンターなど、全く見つからない。そこでパーツの店員さんに聴くと、「あまりスピード出さなければバークレーくらいまでなら帰れると思う」といわれたので、高速に頼らず下の道だけで、バークレーを目指して北上。このとき、カーナビは電気を喰うので使わず、iPhoneのGoogle Mapのみに頼ったのですが、経路検索をすると高速が出てきてしまうので、とりあえず地図機能のみを頼りに北へ向かう。考えてみると、こうやってオークランドの町並みを南から北まで下の道でのんびり走る経験は初めて。中心部には想像以上に巨大なビルが立ち並んでおり、サンフランシスコ並に大きな町だなあ、と思う。が、土曜日の夜でも有り街は閑散として危険な雰囲気。そして、途中で大通りが途切れて、何故か小道に。故障車でスラム街に1台だけぽつんと迷い込んでしまう。もう日も暮れており、道端にうろうろしている危ない目つきの人々に、いつ銃で脅されるか、という恐怖におびえなながら、「頼む、バークレーまで故障しないでくれ」、と祈り続ける。どうにかオークランドの倉庫街を抜け、見慣れたバークレーにたどり着きました。 家に帰って、妻と「これは妻が1人で運転している時に起きた故障じゃなくて良かった。我々は運が良い」という話をしました。実はこの車、2週間前にもブレーキのきしみ音がうるさくなったので、修理工場に出して$200払ってブレーキを直してもらったばかり。何でその時にこのエンジンオイルの問題とか発見できなかったのだろうか、と、修理工場の対応に不安になり、元々自動車に詳しい父親に電話。店に何を確認すればよいか、父親に聞いた後、速攻でAAAに入り(実はネットだと1分で入れたので、故障した瞬間にiPhoneで入れば良かったのかもしれない、、、)、翌日曜日に空いている自動車修理工場を探しました。 翌日曜日。多くの自動車修理工場が休みにしている中、この車の前の持ち主も使っていた、タイヤチェーンのBig-O-Tireが営業していたので、行くことに。ここはタイヤ以外にもバッテリーやオイルなど、基礎的な車の機能を全てチェックしてもらえる上に、何に幾らかかるか、明瞭会計になっているので、以前頼んでいた近所の自動車修理工場より、とても安心してお願いできました。さらに、待ち時間には待合室で、ポップコーンやコーヒーを飲み食べ放題、というサービスもありがたかったです。 結局、全部点検してもらった結果、「とりあえず今わかっている故障は、オイルが古くなっていたことだけで、他には問題ない。ホイールバランスも直しておいた」ということでしたので、オイルを交換してもらい、無事、元通り以上に快適に走るようになりました。以後、クーラーの利用などに気をつければ、まだまだ持つと思います。 今回は結果オーライでしたが、もし先週までの忙しい間、ゆとりがない状態で、こういう事件が起こったら、もっと大惨事になっていたかもしれない、ということを改めて実感しました。アメリカ生活にも大分慣れてきてはいるものの、ここでもう一度安全・安心こそ最優先という原則に立ち返り、健康・安全第一で無事に留学生活が終われるようにゆとりを持ちたい、と思ったわけです。 3つ目の事件は、蛇足になりますが、単純に空虚な何もない時間も、MBAの重要な要素と思いはじめたこと。先週の試験を終え、今週は休講も重なり授業数が通常より6時間分少ない週でした。そこで思ったのは、授業が1-2時間少ないだけでも、ゆとりの大きさが全然違う、および、そのゆとりのありがたみです。 2ヶ月前のJapan Timesへの執筆の際に、過去1年を振り返ってみて、毎日様々な異なるイベントが発生していて1日として同じ日がなかった、と書きました。その中には、授業やインターンのように「義務」もあれば、旅行など自分や家族で「自由にやりたいことをやる」場合もあり、他にも突然予期せず発生した「行事」(シリコンバレーで毎日何かしらやっているようなシンポジウムなど)や巻き込まれた「イベント」(飲み会やチームのトラブルなど)も多数あります。このうち特に、最後に書いたトラブルも含めた予想外の「魅力的な誘惑」があまりにも多すぎるのが、Haas MBAの良いところ。だからこそ、このバークレーの土地で、私は、来る前には想像も付かなかったことをやっているのだと思っているし、過去多くの社費留学者が会社を辞めることを決断した、危険な場所である要因なのではないか、と思っています。 それは今週も同様。先週より6時間授業が少なかったにもかかわらず、私のスケジュール自体は週が始まる前に一杯まで埋まってしまいました。たとえば、 - インターン: 急遽、顧客や投資家の候補が大量に現れ、いろんな情報を欲しがったため、緊急の調査仕事が大量に降ってきた - 急な飲み会(1): Japan Trekで仲良くなった別の連中が、「日本人の『営業マンがやるような飲み会を久しぶりにやりたい』」ということで、ビールをがぶ飲みする飲み会を実行 - 急な飲み会(2): Fall A Partyという、中間試験が終わった1年生向けに、仮装パーティーを行うのですが、これは2年生が中心になって企画する恐らく最後の飲み会。皆就職活動で忙しく人不足だからか、2年生幹事メンバーに入って欲しい、という要請が仲の良い友人たちから急遽あり、いいチャンスと思い手伝うことに。 - 急な飲み会(3): 妻の友人が5日間うちに遊びに来ていたので、「日本人の女性をどうしても紹介してくれ」と凄い勢いで頼んできた同期の友人を、急遽家に招いて会ってもらうことに。 - クラブ活動(1): 去年行われた"Haas Talent Show"を毎年の定例行事にするために、1年生の幹事を募って説明会を開催。参加者として、どういう会だったかを説明するヘルプを求められたので会議に参加。ちなみに、今年は既にこのショーに向けて練習している人が大勢いるらしく、オーディションを開催しないと入りきらないのでは、という話になっていた。 - クラブ活動(2): 最近知り合いが立ち上げようとしているあるクラブ活動に参画。どのように立ち上げられるか検討中。 ところが、ゆとりがあったお陰で、先週までとは次の2つの点で感じ方が全く違っていました。まず、この1つ1つの活動をより一層楽しめたこと。高々2時間分でも、減った授業に頭を使わなくて良い、というゆとりがあるほうが、先週以前より全然楽しく、この差はとても大きいのです。次に、当たり前ですが、このゆとりはとても貴重。毎日このような様々な誘惑に体を任せるだけでも、麻薬のように楽しい2年間が過ごせますが、一旦卒業すると、後は基本的に仕事をするか無職になるかのどちらか。履歴書に無職と書かれずに何もしないですむのは、私の場合恐らく定年にでもならない限り二度と来ないわけです。従って、どうせ後から様々な行事で埋まるのであれば、あと7ヶ月、サバティカルのように本当に「何もしない」ことも、積極的に取り入れて見たい、と思い、年明け最終学期の授業数は極力減らしてみよう、と考えています。 大分長文になりましたが、要は幸運な事件と気付きのお陰で、ゆとりが重要、と改めて思ったわけです。ひるがえって考えてみるに、社費の人以外のMBA生がゆとりを持てない一番の要因は、就職活動にあるわけです。例えば今年のFall A Partyは、去年に比べると盛り上がりに欠けていた印象を受けます(それでも相当盛り上がっていて、単に去年が異常なだけかもしれないが)。これは、日程がテスト直後だった去年よりテスト終了1週間後になった今年の方が悪かった、ということを差し引いても、2年生は就活真っ最中、1年生も浮かれている場合ではない、という意識が相当高いからの気がしています。現に来ていた2年生のほとんどは、元々ソーシャルの意識がとても高い一部の人々を除けば、既に現時点で内定を獲得している人か、自分で起業中のためネットワークを広げたいと考えている人々が多数に見えました。そこで、次からの記事では、少しでも現1年生や今MBAを検討している人のためになればと思い、私の同期世代の就職活動(夏のインターンまで)について、少し書いてみます。
1. 2年生の選択授業は、1年生の必修よりとても印象深い
2. MBA生活は後わずかしかない:一番重要なのは、狙ったネットワーキングではないか 3. ゆとりも必要 本日は2.について。卒業式の日程が来年5月14日と発表され、もう卒業まで7ヶ月を切ってしまったことをまざまざと見せ付けられています。さらに、Fall Aが終わった、ということは、MBAの2年間を合計10学期間(注1)と考えると、うち7学期分、すなわち70%が終わった事になります。このベイエリア/シリコンバレーにいる間にやりたいことはまだまだ山ほどあるのに、全然時間が足りない。すでに1日も無駄にできない、と思いながら、切り捨てる/諦めるものを増やしながら動いている今日この頃です。その中で、最近妙に活動の優先順位が高くなったものがあります。それが、『狙った』ネットワーキング、です。 『狙った』、という言葉には、「今の自分に無いものを補完し、自分の将来に意義がある可能性の高いものを厳選する」という意味と同時に、「ただ漠然と過ごしただけでは手に入らない、他の何かを捨ててでも奪い取る必要がある」ものをイメージしています。逆に、狙っていないネットワーク、というのは、深く考えなくても普通に過ごして自然と出来上がってくるようなものです。MBAに来ている時点で全員、ネットワークは重要、と思っているので、意識しなくても勝手に居心地の良いネットワークが出来てきます。これはこれだけでも、ものすごい価値が高いものです。しかし、後数ヶ月しかない今、もう1歩踏み込んで、何かを犠牲にしたり苦痛を伴ってでも取りに行くネットワーキングをしていこう、という気持ちになっています。 また、1年前とはネットワークの仕方も変わっています。1年生の時には、とにかく行ける行事には食わず嫌いをせず極力全て顔を出してみて、自分の世界を極限まで広げるように動いていました。これには、1年間でどういう行事があるのかの目星を付けるため、そしてわざと好きではないものにも参加してみることで、自分にどういう反応が起こるか確かめる、またこれらを通じて多様な英語のリスニング機会を増やす、などの意味がありました。こうしてきたお陰もあり、2年目には、2回目に行っても意味があるものと、去年行けなかったものに限定して、狙ったものに参加しています。また、1年目は必修授業かつグループワークが多かったこともあり、まず課題提出などのノルマが先にありきで、余った時間をネットワークに充てる動き方でした。一方、2年目はそもそも就職活動や起業等で授業に出れない人が一杯いることもあり、「この課題を仮に提出しなくても、単位は来るな」と思えば、課題を出さずにネットワークを優先させることもありになりました。要するに、1年目はインプットの量を増やして、2年目にアウトプットの質を高めて収穫する、というネットワークをしているイメージです。 このように、改めてネットワークが重要だ、と思った2週間前位から、どんな機会があったかを、下記ならべてみます。 (1) 南アジアのコンサンプションファンクション(10/2) 大学の中庭で金曜日に月1-2回、どこかのクラブや企業が主催して無料でお酒/料理/踊りなどを振舞う祭事があり、これをコンサンプションファンクションと呼んでいます。この、南アジア人主催のものには去年も出ているのですが、今年のものは自分に取って、去年とはまったく意味が違いました。 ![]() ![]() ![]() (2) Pac Rimのお月見Potluck(10/3) ![]() ![]() ![]() しかし、今は中国語を勉強していることからも、中華圏の人々とのつながりは自分にとって特別な意味を持っており、パーティーに参加してみると、とても面白い。普段授業中などは何もしゃべらず何考えているか良くわからないことの多いアジア人が、ここでは全然オープンに何でもしゃべってくれる。米国人や欧州人も、ここに来るような人は相当アジアへの造詣が深い。彼らが中国やタイに行って如何に苦労したかを聞くたびに、自分が日本人として今後アジアに関わる際に知っておくべきことを、改めていろいろ学ぶことができました。また、これくらい閉じた場の方が、普段あまり交流のない1-2年生同士の知り合いを増やすのにも適している、と、2年生になった今はじめて気づいています。 (3) ザンビアチームの同窓会(10/4→キャンセル) これは、前から楽しみにしていたのですが、当日南アジア人2人がドタキャン。1人は就職活動、もう1人は起業でとても忙しいらしい。とはいっても忙しいのはこちらも同じ。チームの中国人と2人で、「ザンビアでも良く見かけた光景だ」と苦笑い。 (4) アメリカ人に招かれたすし屋(10/8) Japan Trekに参加した、あるアメリカ人が、「お前ら日本人だけを連れて行きたい寿司屋がある」ということで、彼+日本人同期5人で、最近サンフランシスコにできたばかりのすし屋"Sebo"に行ってきました。こんな誘われ方をするのも、Japan Trekの成果の一つです、 流石に日本人を限定して誘うだけあって、寿司自体もサンフランシスコとは思えない、日本でもそこまでメジャーではない秋刀魚や太刀魚などのネタが一杯出てくる、美味しいものでした。オーナーは米国人なのですが、小さい頃から沖縄で育ったのだそうです。 これに誘ってくれたグルメの彼は、元々コンサルタントだったが、金融機関への就職が決定したとのこと。そこで、何故金融を目指したのか、そのために今何を準備しているのか、などなどいろいろ聞いているうちに、彼が本当に昔から何をしたいか真剣に考えて生きて、それをMBAという場で実践に移してることがわかり、それがこの金融危機後に他業界から転職に成功した秘訣のように見えてきます。同じコンサルタント出身で他業界に転職を希望する身でありながら、MBAという場をゼロベースの自分探しの旅として使っている私と比べると、元々やりたいことが決まっていた彼のMBAの使い方は、正反対になります。MBAの使い方は人それぞれ異なり優劣はないのですが、少なくとも私のような生き方の人は、彼のように目標が明確な先人から多くのことを学べました。 2次会でドイツ風のバーに行き11時まで飲んだ後、3次会は日本人だけで1amまで飲みました。日本人同期は、もちろん狙わなくても一番最初にできるネットワーク。しかし、あと7ヶ月しかない中で何をするか、という話には、かなり濃い議論になりました。この同期との関係は、卒業後も一生大事にしていきたいものです。 (5) Tech Club Lunch(10/14) Tech Clubという、ハイテク業界のまじめな議論や就職活動のサポートをするクラブが主催したランチ。最近のハイテク業界の記事2つを印刷して持って行き、食事をしながら議論をするという会です。 実は、このイベントは毎回間が悪く、今回もある企業の就職説明会が被ったりして、クラブ自体には100人くらい在籍しているのに、当日参加者は13人。私自身も本日が初参加で、かつ試験真っ最中の水曜日に開催されていて、しかもレポートが終わっていなかったので、去年までだったら当然ドタキャンしてここには行かなかったと思います。しかし、この日は何故か「どうせ1時間半課題に余分に費やしても、大差ないし、このイベントに行かないとネットワークが増えない」、と考えて、宿題を放棄して参加することに。 私が持って行った記事は、2つの音楽認知検索ソフト、 "Shazam"と"midomi"に関するものでした。どちらも、iPhoneに音楽を流すと、何の曲か検索するソフトです。Shazamの方が、無料ソフトで、6ヶ月前に1,500万人だったユーザーが今は6,000万人いる。midomiは有料ソフトだが、Shazamの3倍検索が速く、かつShazamと違って鼻歌でも検索できる、という記事です。なぜ10年前に立ち上がったShazamが今更爆発的に伸びているのか、なぜKleiner Perkinsという老舗名門ベンチャーキャピタルがこのタイミングで投資しているのか、無料で今後どうやって課金するのか、他のソフトやメディア・サービスとの連携は何がおこるか、などなど、流石はTech Clubのメンバー。この手の記事には既に敏感で、面白い議論が沸騰します。 すると、たまたま前の席に座っていた、よくスポーツ系のイベントでバク宙をする、目だってて顔を見るのに話したことのなかった女子学生(Techに興味があることすら意外だった)が、「実は音楽業界に興味があって、XXレコードとか今就職先として探している」という話に。そこで、この記事の話をすると一気に話が盛り上がって、彼女の知識、考え方、知見を一度に学んで、突如仲良くなれました。こうして、アメリカの音楽業界に関することは彼女に聞けばよい、という繋がりができたことで、課題1回分で赤点を取った投資は十分回収できると思っています。 (6) UCLA Anderson卒業生とカフェで談笑 (10/16) 2ヶ月前に、UCLAのTech Clubが、UCLAの学生でベイエリアでインターンをしている人を集めたワインパーティーに、HaasのTech Clubも招待されたので、顔を出しました。そこにいたUCLAの人の友達の友達、というUCLA MBA 2007年卒の方より、突然会いたい、というメールを受けました。よくわからんし、困ったなあ、と思ったので、「3週間後の金曜しか無理っぽいが、それでも良いか」とメールを出したら、「おれも丁度そこが都合よいから、バークレーまで行くよ」と返信があり、わざわざ訪問してきてくれるなら会うか、ということで会って御話しました。 聞けば、彼は卒業後に就職していた会社を突然辞めされられることになり、就職活動中の身分。このように2007年卒で職を失った人は大量にいるらしく、その再就職は困難を極めており、今ほとんど成功していないのだとか。で、彼の場合多少日本語が話せることから、日本と関連した就職先の、最新情報を集めたかったのだそうです。彼は、私から情報を聞き出すために、彼の日本人ネットワークなど、私にとって役に立つ情報をいろいろ教えてくれました。なるほど、インフォーマルな就職活動は、こうやるのか(というか、ここまでしない限り、今の中途採用は本当に無い、、、)、という御手本を見せていただきました。 (7) 出身大学対抗ゴルフ大会 (10/17) ベイエリアに住む日本人による、出身大学対抗のゴルフ大会が開催されました。この日は、>Play Conferenceという、Haasの一大イベントがあったのですが、その日程を確認する2-3ヶ月前からこのゴルフには「行きますよ」と返信していました。最後までキャンセルしようか迷ったのですが、私の出身大学の参加者は4名になってしまい、キャンセルするのが申し訳なくなり、また>Play自体は去年も出たしWebでも後で講演とか聴けるのでいいかな、と思い、今回はゴルフを優先させました。 ![]() ![]() ![]() (8) 大学OBの同窓会(10/17) (9) International Potluck(10/18) 『狙って』行くはずだった、上記イベント2つは、残念ながらキャンセルする羽目になります。この話は、次回に行います。 (注1) Fall A, B, Spring A, Bの4学期 * 2年、に加えて、私の場合夏休みのザンビアと日米インターンが2学期分くらい重要だったため、4*2+2=10学期分。
試験&レポートの山だった怒涛の1週間が無事終わり、2年目の秋学期もあっという間に半分が完了してしまいました。どれくらい怒涛だったか、というと、書いた英文レポートは計38ページ。これに加えて、中国語とコーポレートファイナンスの中間試験があり、さらにCases for Entrepreneurshipで、自分で書いたケースを使って2時間の授業を行う私にとっての最終試験が被ったからです。この嵐のような1週間が過ぎて、強く思ったことは次の3つ。
1. 2年生の選択授業は、1年生の必修よりとても印象深い 2. MBA生活は後わずかしかない:一番重要なのは、狙ったネットワーキングではないか 3. ゆとりも必要 まずは1について。今週書いた英文レポート38ページの内訳は、 (1) Case Study for Entrepreneurshipのケース17ページ:(ケースA:12ページ、ケースB:3ページ、先生用マニュアル2ページ) (2) Power&Politicsの最終課題論文10ページ 他にも、VC&PEの課題5ページ、インターンの市場調査6ページがありますが、これらは、まだまだ続くので、もう終わってしまった(2)と、授業は続くものの私の「最終試験」が終わった(1)について、感想を書きます。 (1) Case Study for Entrepreneurship この授業は、今までに取った全ての授業の中で、予想外に、IBD(International Buziness Development:ザンビア行き)と並んで他とは比較にならない別格で素晴らしい授業でした。(概要は過去エントリ「水曜日は起業学の日 - 2年目秋学期授業(1)」参照)一番大きいのは、受講生が起業に関して造詣の深い8人しかいない、ということです。毎回毎回、8人のうち1人が、自分自身が体験したことを基に作成したケースを作成し、それを元にケースを書いた学生が実際にそのスタートアップの人を呼んで授業を行います。何が良いかというと、下記のように、楽しく8人分の人生及び8種類の起業体験を深く学べることです。 - 毎週友人の実話ケースを読むのが楽しい: 「おいおい、スタートアップでインターンする、ってこんな悲惨な目にあうのか」、「よく厳しい状況を乗り切って、凄いものを開発してるなあ」と、クラスメート達の苦労を目の当たりにします。これを見ると、単に宿題として課される他のケースより、圧倒的に楽しく、感情移入して、熱いものがこみ上げてきます。とくに、CEOと学生が2人で、「今本当に困っていて、何かアイデアが欲しい」という形で訴えかけたケースの際には、2時間の授業がその場でコンサルティングプロジェクトに変化。私も、久しぶりに前職の経験を思い出して、問題解決の議論を楽しく行えます。 - 議論が深く楽しい: 8人ともスタートアップで働いた経験を元に起業を志しており、これに関する豊富な知識を持つので、書いたケースでちょっとでもわからないこと、知りたいことがあると、2時間の間に容赦ない質問攻めにあいます。このとき、普通の授業なら、教授は勿論そのケースの場面に実際いたわけではないので、受け答えも非常に表面的に終わるのですが、この授業では、実際の当事者とその上司が目の前にいてNDA(nondisclosure agreement:機密保持契約)を結んで議論をするため、とても深い議論になります。 - 教授やクラスメートと密度の濃い知り合いになれる: ここまで深い議論をすると、今まで知らなかった友人の深い一面を知ることになるので、当然とても仲の良い友になります。また、それは教授に対しても同様です。MBAに来る前にある先輩から、「MBAの2年間で1つだけやり残して後悔しているのは、教授とのネットワーク。いっぱい教授と話した方が良い」というアドバイスを受けましたが、それが実践できています。そして実際、教授と深い議論をして仲良くなると、MBAの違った価値が見出せます。 さて、今週は私の番でした。テーマは、「シードファンディング」、つまり、最初の会社立ち上げの際にどのように資金調達をしたか。今一緒に働いているCEOと、9月中旬から何を話すか相談していたのですが、機密内容の多い会社、かつ、私の仕事は企業秘密の数字を扱うものがほとんどで、現在進行形の話は書きたくない。また、私が入る直前の話なので、それをインタビューしてまとめることは、私の現在の仕事にも勉強の意味でもプラスになる、ということで、このテーマになりました。 しかし、事前準備には難航を極めました。実は今、インターン先は猫の手も借りたいほど忙しく、CEOも全米中を飛び回っている状況。私のケース作成のためにインタビューをさせてくれる時間など、なかなか取ってもらえず、時間を確保しても、延期が続きました。そして、1週間前に、これ以上はインタビューで聞いて書くより、幾つかのパラグラフを直接埋めてもらった方が早い、と合意した箇所を送って書いてもらおうとしたのですが、提出期限ギリギリにCEOから戻ってきた内容を読むと、当初のイメージより全然素晴らしくためになる内容。そこで、事前に作っていた先生用のマニュアルを、大幅に書き換え、本編の構成も変えることに。そして、最後ギリギリに、「やっぱり固有名詞で本名は使いたくないね」というインプットを受けて、全ての固有名詞を偽名に変更することに。。。(この作業は結構楽しかったですが)。 発表当日、4時からの授業の準備のため3:30にCEOに来てもらったのですが、私は他の宿題の提出期限(4:00)に追われ、3:59に提出。全然CEOと打ち合わせができないまま授業に臨みました。 授業は、事前にパートAを皆さんに読んでもらっていた状況からはじまります。パートAには、どんな会社でどういう状況で何が問題か:どんな市場で、どういう競合がいて、どういう経緯で立ち上がり、今何故どのように資金調達が喫緊の課題となっているか、資金調達のオプションにはどのようなものがあり、目下どのようなことを考えていたか、といった内容を書いていました。そして、「このCEOは1時間後に、どういう資金調達をすべきか、創業者に対して1分間の留守番電話メッセージ残すことになっている」、というところでパートA本文を終わらせて、実際に、授業の前半1時間で皆で議論をして、1分スピーチにまとめてもらいました。 先生役の私は、これが結構大変でした。私自身は、会社そのものにはあまり触れずに資金調達のオプションの議論を中心にしたかったのですが、参加した生徒、及び教授の興味は、会社の事業内容そのものに。このように思惑がずれたため、最初の30-40分間、質問攻めに会いました。最初のうちは、「こんな質問されても、答えとは全然関係ない、うざい質問だなあ」と思っていたのですが、聞けば聞くほど、私やCEOが事前には想定していなかった、「確かにそういう情報がないと、資金調達の判断ができないな」、と思うものばかり。皆、よくケースを読んでいるな、と感心するとともに、参加者全員が私の知識・経験レベルをはるかに凌駕していることに、改めて驚かされました。 そして、1人の工学部Ph.Dの学生に、1分間で議論をまとめてもらってスピーチをしてもらい、その後実際に起こったことの書いてあるケースBを配布。皆それぞれ様々な反応をしていましたが、概ね内容には納得した様子。最後に、CEOが実際に何を考えて判断したかをプレゼンし、また生徒が質問攻めに。CEOにも、「私にも学びの多い、意義のある議論だった」、と満足していただけました。 こうして、私にとってはアメリカ人相手に授業を行う、という今学期の1つのハイライトを無事終えて、肩の荷がおりるとともに、次の学期に関連授業を取って改めて知識を補完したい、という新たな目標ができました。何度も書きますが、短期間にいろいろな学びができる、素晴らしい授業体験です。 (2) Power&Politics 以前の授業紹介の記事のところで、「超人気授業だが時間が短縮されたため消化不良気味、及び、就職活動やその後の個人的なキャリアにやや焦点を置きすぎているのが不満」、という書き方をしました。この傾向はそのまま最後まで続き、やっぱり自分にとっては消化不良の授業でした。が、多くのアメリカ人は絶賛しており、英語力の差と文化の差を感じています。そして、私自身も、消化不良にも関わらず、下記のように多くの学び、発見があった授業でした。 - この漠然としたテーマにも関わらず、根幹が揺るがない: この授業で教授が伝えたいことは、常に一貫して次のメッセージに基づいていました。 - 力とは何か: 人の意識や行動原理を変革すること、及びそのために、組織の中で、価値が高く代用不可能なリソースを、自由に操れること。イノベーションは、その定義から力がないと絶対に発生しない。 - どういう人が力を持っているといえるのか: ネットワーク、同盟、個人の資質、評判 - ある目的達成のために、どのように力を手に入れることができるのか: 効果的なコミュニケーション、身の丈をわきまえること、「影響力」を行使するための戦略の効果的な実践 - 力を持って、管理/統治するにはどうすればよいか: 公式な権威のみに頼ったら必ず失敗する。力は押してではなく、引いて達成するもの。信頼を構築し、相手を尊敬すること。 これらの議論が、一切ぶれない。講師は30歳後半~40歳前半に見える、准教授クラスの若手の方だが、最初の自己紹介で「この研究を既に15年続けてきた」という自信と裏づけが相当しっかりしているのか、どんなに議論が発散したり反対意見が続出しても、うまく収斂させていく。 これが、1年生の必修授業だと、同じ7週間の授業期間内にとても広く浅くやるので、1回1回の授業の脈絡がそこまで強くないし、教える側も、その全てに精通しているわけではないから、回によってははずれの授業も結構ある。ここら辺が、自分の研究分野だけを教える選択科目の強みだし、そこにコミットして効果的なプログラムを組んでいる教授の授業は満足度・人気ともに高い、と感じています。 - 即効性のある学びの数々: 上を証明するため、あるいは上の理論に基づいた動き方を実際に生徒にやらせるために、豊富なデータに裏打ちされた様々な小ネタが授業内に用意されています。 -- 統計資料に基づく小ネタ: 例えば「あなた自身の実績と、周りの人がどれだけ尊敬してくれるかの評判、そして組織内の影響力の関係」といった折れ線グラフ(比例関係なので直線)が、突如出てきます。最初は、生徒も、「こんなの測れるわけないじゃん」と、懐疑的に教授に突っ込みを入れまくるのですが、それに真正面から答える教授。すると次第に、データの曖昧さはどうでも良くなって、これを見て何を考えてどうすればよいか、という学びの方の議論になっていく -- 「それ言っちゃうの」系の議論: 上の統計資料にも関連するが、例えば、「人のうわさ話は古今東西どんな国でも誰でも大好き:人間の会話の60%がそうだ」、というデータの後に、次に「うわさ話は、是非何が何でも積極的に聞いて生かすべきだが、自分からは一切発してはいけない」という事例を豊富に示す。このように、今までの人生で漠然とそうかなあ、と思っていても、誰かに話すには確証がなく危険なテーマを、その通り、あるいは、その全く逆だ、とデータとともに断言しちゃう。それ自体苦笑しながらも聞いててすっきりするし、正しいかどうかはともかく一度やってみようという気にさせられる。 -- 突然の実習:たとえば、突然簡便なEQ(注1)のテストを受けされられる。14点満点のテストで、結果が丁度正規分布みたいに、クラスで1人だけ14点満点、3人ほど3点の人がいて、それぞれ顔を見て「こいつらなら確かにそうかも」と納得(苦笑)。私は7点だったので、平均よりやや低め。そして、「ではどうすべきか」という対処法がすぐに説明される。速効性あり。このような遊びの小テストが2回に1回くらいの授業であるので、とても楽しく身にしみて学べます。 - 実生活に生きる最終課題: 最終レポートは、エッセイ10ページを書くのですが、内容は、 「貴方が卒業後に行くと思われる企業・業界の先輩3人以上にインタビューをし、下記を含めた内容としてまとめること - 力の源泉は何でどういう組織力学関係にあるか - 力と倫理の問題が対立する場面はどのような場合か - その力を手に入れるには何をすれば良いか、 - 貴方の今までの経験はその力を手に入れるのに有用か - 卒業まで、卒業後1ヶ月以内、卒業後1年以内に、それぞれ何が必要か」 まさにMBAの存在意義そのもののような課題。したがって、「こんなことMBAに来るかどうか考えてる時から、インターン中まで、ここ2-3年常に考えて動いているよ」、と最初はたかをくくっていたのですが、いざ、実際にいろいろな方にインタビューしてみると、とても面白い。ある業界の様々な立場の方にインタビューをしたのですが、全員が全員口を揃えて同じことをいう内容もあれば、人によって全然受け止め方が違う内容もあり、それらをまとめるだけでも、「なるほど、だからこういう力が働くのか」というのが見えてきます。そして、授業で習った学びに照らし合わせることで、本当に、この授業を受ける前には思いも付かなかった、卒業まで、あるいは、卒業後1ヶ月以内にしなければならないことが、明確になってきました。これは、授業を取っているのといないのとでは大違いですので、大いに授業の意味があったのだと思います。 さて、このPower&Politicsの最終課題の中で、あらためて強く感じたのが、「MBA生活は後わずかしかない:一番重要なのは、『狙った』ネットワーキングではないか」ということになります。これについては、次の記事で書くことにします。 (注1) Emotional Intelligence Quotient。こころ(心)の知能指数、感情調整能力。詳しくはこちら。
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